接地(せっち)とは、電気機器の筐体・電線路の中性点・電子機器の基準電位配線などを電気伝導体で基準電位点に接続すること、またその基準電位点そのものを指す。本来は基準として大地を使用するため、この名称となっているが、基準として大地を使わない場合にも拡張して使用されている。アース()、グランド(グラウンド)()とも呼ばれる。1897年10月6日、神田区錦町の牛肉店「ゑち勝」で15歳の雇女が電灯線に触れて感電死した。変圧器が風雨で劣化し高圧側(2000V)と低圧側が混触したためだった。その後この種の事故事例は東京以外でも多く発生するようになった。それにより混触による高電圧の発生防止のため低圧側を接地することになった。これが電気保安用接地工事の嚆矢、1911年制定の『電気工事規程』で、変圧器の高圧側と低圧側の混触による感電事故防止のための低圧側接地用に「第二種地線工事」が初めて定められた。ちなみに「第一種地線工事」は機器筐体の接地用であった。電気機器などが金属の筐体に収納されている場合、故障などによる地絡で筐体が大地に対して電位を持つと、人が触って感電し火傷を負ったり死亡したり、また漏洩電流による発熱で火災の原因となる可能性がある。これを防ぐために、これらの機器や設備を大地に接続してその電位と大地の電位との差を十分に小さく(理想的には 0 ボルト)する必要がある。したがって接地工事の目的を以下のようにまとめることができる。一方、電子機器、通信機器は、内部で電磁波や静電気などのノイズ(雑音)を輻射することがある。また、このような機器や設備に電磁波や静電気などが外部から侵入すると誤動作を起こすことがある。このような場合、機器や設備を遮蔽(しゃへい)して、電磁場や電場が機器や設備の内外を通り抜けることがないようにする必要がある。この時に必要な電磁シールドや静電シールドといった遮蔽は、大地や筐体に接続(接地)される必要がある。医療機器では上述の対策が特に重要となる。大地の電位をそのシステムの機能の一部として使用することがある。以上の他に、静電気防止接地、雷保護接地がある。一般家庭で使用される、特に水回りの電気機器は、人がよく接触するため、漏電などによる感電防止のために人体保護用の接地電線が取り付けられていることが多い。水や汗で濡れた人体は非常に感電し易い状態にあるため、機器の劣化や故障による僅かな漏れ電流であっても人体に流さないようにする目的で、濡れた手で操作する若しくは濡れた体が接触する可能性がある機器はアース接続が強く求められる。乾燥した皮膚は交流100V程度の電圧ではあまり電流を流さない程度の抵抗値を持っているが、水に濡れると途端に抵抗値が低下し電流が流れ出すため危険である。たとえ濡れていなくとも、大きな電圧がかかれば電流は流れやすくなり、感電の危険性は高まる。感電経路にもよるが、床や壁が濡れていたり、導電性の高い粉末等が付着していれば、さらに大きな電流が流れやすい。地面にアース棒を打ち込む方法が一般的である。住宅用のアース棒はホームセンターなどで販売されている。日本では鉄芯を銅で被覆した棒が使用されるが、ステンレス製なども存在する。銅は抵抗値が低く、鉄などと比べると強い酸化被膜を作りやすい上にイオン化もしにくいため、錆が進行しにくい耐候性のある金属といえる。しかし錆が進行すると抵抗値が増加していきアース性能が低下するため定期的なメンテナンスが必要である。土壌は保水性の良い物ほどアースの性能が高まるが、逆にアース棒の錆を促進する。アース棒は長いほど良い。地表から深いほど水分が存在する確率が高まるためである。水分と接する確率を上げるため、複数のアース棒を距離を離して設置しアース線で連結する方法が用いられる。電圧を地表に出さないために、アース棒と地表に露出している鉄柱は1m以上離さなければならない。アース棒とアース線の接続は、水分による電解腐食を防ぐために溶接される事が多い。昔は、水道管が導体である鉛管だったために、幹線が地中に埋まっていることを利用して蛇口へ洗濯機などのアース線を接続することがよく行われていた。しかし、現在の住宅工事などで使用される水道管は室内の露出部分が金属でも、その造営材内部の給水管路の材質が不導体である架橋ポリエチレン製になったために、水道管にはアースとしての機能はない。『電気設備の技術基準の解釈』第18条・第19条にあった「金属製水道管を利用した接地工事」の規定についても平成25年5月20日付改正で削除された。また、金属管であるからといってアースを水道管に接続すると、その漏洩電流により配管の腐食(電蝕)を誘発する可能性があるので危険である。同じ目的のためには、適切に施工された接地ターミナル付のコンセントにアース線を接続するとよい。築年数を経た住宅では、末端ガス栓の取り付けられている鋼管のガス管に接続することは引火・爆発のおそれがあり非常に危険であるため、行ってはならない。またモルタル外壁内部のラスに接地線を接続することは、火災を引き起こす可能性があるので絶対にしてはならない。洗濯機やエアコンを購入すると、付属品としてアース線が同梱されていることがある。戸建住宅で地面がある場合、別売りのアース棒を地面にハンマーで打ち込み、アース棒から出ているリード線を家電機器のアース端子に接続する。この場合、洗濯機やエアコンの室外機など、機器毎に別々の接地が行われる多点接地となり、誘導雷サージなどの影響を受けやすく機器が故障する可能性が高まる。そのため、近年では分電盤で家中の接地線をまとめて一点接地を行う事が推奨されている。一般的な電気工事の場合、その施工箇所の土質により得られる接地抵抗が異なるため、必要に応じて銅棒、銅板を土中に埋めてアース線を接続する。岩盤などの接地抵抗が特に得られない土質においては、ボーリングを行うこともある。一般的には接地抵抗計を用いて抵抗測定を行う。中性線と、保護接地導体が最終的に一つの基準電位点で大地に接続されるものである。中性線・保護接地導体が同一電位となるため、雷サージやその他のノイズによる障害が少ない。ヨーロッパやアメリカの低圧配電線路で一般に用いられており、日本では使用されない。保護接地導体と中性線とが別の基準電位点に接続されているもの。雷サージやその他のノイズにより中性点と保護接地導体の電位差が大きくなると、機器の破損・異常動作を起こすことがある。日本の低圧配電線路で一般に用いられている。どの電源配線も接地されていないもの。1本の電源配線に異常が起きただけでは重大事故にならない。2010年現在、JIS A 4201・JIS Z 9290-4などに規定されている。
出典:wikipedia
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