血液ガス分析(けつえきガスぶんせき、英語:blood gas analysis, BGA)とは、血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の量、あるいは pH を測定する検査。通常は動脈血を測定する。主な目的は次の 3 つである。ヒトを始めとする高等生物は、生命活動に必要なエネルギーを得るために体内で酸素を消費して二酸化炭素を発生させている。体内で発生した二酸化炭素は血液(静脈血)に乗って肺に運ばれる。肺では呼吸によって血液中の二酸化炭素を放出する一方、酸素を血液中に取り込んでいる。こうして肺を通過した後の血液は酸素を豊富に含み、動脈血と呼ばれる。この血液を採取して酸素と二酸化炭素の量を調べることにより、肺が正常に機能しているかどうかがわかる。換気の指標としては PaCO が、酸素化の指標としては PaO や AaDO がよく利用される。これらの値を正しく解釈するために呼吸数の併記が必要である。生命活動により体内では様々な有機酸が合成されるが、調節機構のはたらきにより、体内環境は常に pH 7.4 前後に保たれている。この調節機構が破綻して体内に酸が蓄積すると(例:腎不全など)体内の酸・アルカリのバランスが崩れ、それを代償するために呼吸回数が増えて二酸化炭素の量が減ることがある(二酸化炭素も「炭酸」という酸である)。動脈血中の二酸化炭素の量と pH を調べることにより、間接的に体内の酸・塩基平衡を知ることができる。主なもののみ列挙すると呼吸不全がある患者、意識障害がある患者、ショック等、重篤な状態にある患者、呼吸機能を精査する必要のある患者(手術前後の患者など)があげられる。呼吸状態の評価と酸塩基平衡の評価が必要と判断されれば必ずといってよいほど行われる検査である。大腿動脈(鼠径部)、上腕動脈(肘)もしくは橈骨動脈(手首)などから採血する。通常の採血(静脈)と違い動脈を穿刺するので、看護師ではなく医師が行う。採血管(シリンジ)には抗凝固薬が添加されており、採った血液の凝固を防ぐ。採血後直ちに測定を行うべきである(採血後時間が経つと値が変化するため)。血液ガス分析器にて自動測定される。また、採血シリンジ内に気泡がある場合、ヘンリーの法則に従い、pO は大気のそれ (158 mmHg) に近づき、pCO は下がっていくので、出来るだけ検体が空気に触れないようにする。基準値は施設により、また病状により異なるので、ここに示すのは参考値である。人工透析の患者などでは静脈血で血液ガス分析を行うことがある。静脈血は組成が部位によって異なるので一概には言えないが、大腿静脈や肘静脈では PaO は約 40 Torr で PaCO は約 46 Torr が正常である。pH は変化してしまい、十分な血液ガス分析はできなくなるが、 HCO は測定できるので代謝性アシドーシスの治療効果判定などは行うことができる。日本では何故か、血液生化学の項目にHCO の項目がないので苦肉の策である。酸素解離曲線より、SaO 90% は PaO 60 mmHg、SaO 60% は 30 mmHg に相当する。これを 3・6・9 の法則という。それ以外に SaO 97.5% は PaO 100 mmHg、SaO 75% は PaO 40 mmHg、SaO 30% は PaO 20 mmHg を覚えておけば、ほとんどは事足りる。SaO はあくまでも血液ガスから求めるが、非観血的な測定法がパルスオキシメーターによる SpO である。これは色素の波長分析で行っているので一酸化炭素中毒などでは測定値との乖離がみられる。酸素のガス交換は肺胞壁の状態に強く影響される一方、二酸化炭素はあまり影響を受けない。すなわち、PaO 異常→肺胞障害、PaCO 異常→換気障害と考えることができる。血清pHが 7.4 未満になった(低下した)状態をアシデミア、7.4 より上になった(上昇した)状態をアルケミアと言う。そして、平衡を酸性側にしようとする状態をアシドーシス()、平衡を塩基性側にしようとする状態をアルカローシス()と言う。基本的に代償機構ではアシデミアがアルケミアになるような大きな代償は起こらない。アシデミアがある時点で、呼吸性アシドーシスか代謝性アシドーシス、あるいはその両方が最初に起こったと考えてよいと言われている。PaCO は肺胞換気量の指標であり、他の要因に左右されない。PaCO↑とは肺胞低換気を示し、具体的には換気障害(呼吸停止、気管内異物、気管支炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患など)や循環障害(心停止、肺梗塞など)でおこる。また二次性変化としては代謝性アルカローシス(下記参照)(pH 補正のため代償性に CO が上昇する)でも起こりえる。PaCO↓は肺胞過換気を示し、最も多いのは過換気(過換気症候群、PaO 低下による過換気など)によるものである。気をつけてほしいのは肺胞過換気でも PaO↓となる病態は数多くある。こういったデータを見たら、過換気にも関わらず酸素のガス交換ができない病態と考える。具体的には痰づまりで閉塞性無気肺が起こったときにみられる所見である。酸素投与や理学療法による閉塞の解除が必要である。PaCO↑で PaO↓ならば、呼吸が止まりかけているということで人工呼吸器の適応を考えなければならない。二次的には代謝性アシドーシス(下記参照)(pH補正のため代償性に CO が低下する)でも起こりえる。PaO は気圧、吸気酸素濃度 (FiO)、肺胞換気量、換気血流比、シャント、拡散障害で決定される。PaO↓となることに病的な意義がある。もちろん酸素投与をしていればいくらでもあがるのでどれくらいの FiO かは常に考えなければならない。これだけの FiO にしては低値であるというのも所見である。具体的には換気障害、循環障害、肺胞障害(肺炎など)で低下しうる。これと PaCO を組み合わせて病態を予測していく。酸素に特有の事項として、肺胞レベルのガス交換が重要である。二酸化炭素においては、拡散能が優れている(酸素の約 20 倍)ために肺胞気中の分圧と動脈血中のそれが等しくなり、PACO = PaCO が成立した。これに対して、拡散能が比較的低い酸素においては、肺胞気中の分圧と動脈血内のそれのあいだに較差が生じることとなり、これを肺胞気・動脈血酸素分圧較差 (AaDO) と呼ぶ。AaDO の算出式は AaDO = PAO - PaO であり、正常は 10 Torr 以下である。20 Torr もあればかなり息苦しいと考えられる。AaDO は、肺胞レベルのガス交換要因によって左右される。その要因としては下記のようなものがある。肺炎や閉塞性肺疾患などの多くの患者では換気・血流比の不均衡分布が著しくなり、AaDO は大きくなる。間質性肺炎、肺線維症などでは換気・血流比不均衡とともに拡散障害も関与する。シャントの増大は ARDS や広範な無気肺(初期)にもみられる。特に ARDS では AaDO が著しく大きい。室内では吸入酸素分圧は 150 Torr なので、PaO = 150 - PaCO/0.8 - AaDO [Torr] が成り立つ。厳密に計算するのなら PaO = ("大気圧" - 43) × FiO - PaCO/0.8 - AaDO [Torr] である。大気圧を 760 Torr、FiO を 0.21 とすると上の式が出てくる。酸素化係数 (RI) とは酸素療法中の AaDO を補正するものである。一般に FiO が増加すると AaDO も増加してしまい、評価が難しくなる。RI = FiO/PaO にて評価され、正常値は 0.5 未満である。酸素化係数(P/F比)とは PaO/FiO という値のことであり、ARDS や急性肺障害 ALI のスコアとしてよく用いられる。ARDS では 200 以下となる。200 を超える場合(文献によっては 200 ~ 300 の時)は急性肺障害 ALI という。FiO は人工呼吸器を使用している場合は設定できるが、それ以外の酸素療法を行っている場合は計算が難しい。以下によく用いる酸素療法での FiO の概算の方法を纏める。これらは参考値であり実際にはFiOはさらに低値である。しかしそれを検出する方法は一般的ではない。重炭酸イオン濃度である。アシドーシスとアルカローシスの解析を行うのに重要な数値である。BE とは base excess のことである。これは採取した動脈血を "in vitro" で PaCO = 40 とした時の pH を測定して計算した HCO 濃度から計算した値である。BE がプラスなら代謝性アルカローシス(頻回の嘔吐、下痢など)、BE がマイナスなら代謝性アシドーシス(ショック、腎不全、糖尿病など)が疑われるが、HCO 濃度から計算した値に過ぎないので病態によって解釈が異なる。ここでは非常に大まかな方法論を述べる。またアシドーシスとアルカローシスの診断手順を纏める。これは混合性酸塩基異常を検出するための方法である。なお、通常は Δ 計算をおこなうときは HCO は 24、pCO は 40、AG は 12 を正常値として差分をとることが多い。PaCO の上昇する病態の存在が考えられる。これは肺胞低換気の病態に等しく、呼吸器疾患、神経筋肉疾患、循環器疾患、レスピレーターの調節不全で起こりえる。呼吸中枢から換気の指令が十分に行われない場合、これは延髄の呼吸中枢の障害や鎮静剤の抑制効果、代謝性アルカローシスによっておこる。呼吸中枢の命令に応じられない病態としては神経障害や横隔膜をはじめとする呼吸筋の障害や呼吸筋疲労が考えられる。また、肺のレベルで呼吸を行っていても、閉塞性無気肺など上気道閉塞が起こっているときも代謝性アシドーシスとなる。肺気腫、喘息でも同様の病態が生じる。この病態で低酸素血症を伴うとⅡ型呼吸不全となる。呼吸不全によって生じた呼吸性アシドーシスがみられたら緊急事態である。生命維持のためには気管挿管のうえ人工呼吸器を使用する必要がある。なお、単に酸素のみ投与すると、呼吸中枢が抑制されるためむしろ呼吸停止を来す(CO ナルコーシスと呼ばれる)おそれがあり危険である。PaCO の下降する病態の存在が考えられる。これは肺胞過換気の病態に等しく、中枢神経疾患、精神疾患、低酸素血症、薬剤、レスピレーターの調節不全で起こりえる。過換気症候群、ARDS などが代表的疾患である。低酸素血症を伴うとⅠ型呼吸不全となる。頭痛、運動機能・判断力の低下、頻脈、中心性チアノーゼ、血圧低下、血管拡張による四肢の温まりなどがある。低酸素血症の治療として酸素療法、人工呼吸器、呼吸促進剤といった治療法がある。呼吸促進剤は肺胞低換気となる疾患に用いられそうだが、呼吸筋障害や呼吸筋疲労の場合は使用禁忌である。PaCO が上昇しているⅡ型呼吸不全の患者に酸素投与を行うとき、換気抑制しないようにという意味で塩酸ドキサプラム(ドプラム)を 1.0 ~ 2.0 (mg/kg)/hour で静注することがある。また近年は睡眠時無呼吸症候群に対して NIPPV(非侵襲的陽圧換気療法)として nasalCPAP を用いることがある。代謝性アシドーシスにはアニオンギャップが増加するものとアニオンギャップが増加しない高クロール血性代謝性アシドーシスがある。AG の増加はそれだけで代謝性アシドーシスが存在するといえる重要な所見である。気をつけなければいけないこととして AG は低下する病態が存在することである。具体的には低アルブミン血症、IgG 多発性骨髄腫、ブロマイド中毒、高カルシウム血症、高マグネシウム血症、高カリウム血症が存在する。特に低アルブミン血症のため AG の増加がマスクされることはよくあり、アルブミンが 1 mg/dL 低下するごとに AG は 2.5 ~ 3 mEq/L 低下することが知られている。これはアルブミンがアニオンであるためである。もし AG が増加していたら補正重炭酸イオンを計算する。これは ΔAG = AG - 12 とし、"補正重炭酸イオン" = "重炭酸イオン" + ΔAG で計算され、これは代謝性アシドーシスを来たした陰イオンの増加分がなかったと仮定した場合の重炭酸イオンの値である。そしてその値をもとに代償性変化が予測範囲内にあるかどうかを検討し、予測範囲外ならばどうような病態が合併したのかを考える。AG の増加は不揮発酸の蓄積を示す。人間の身体は電気的に中性である。即ち、陽イオンの価数だけ陰イオンが存在する。陽イオンは主にナトリウムイオンであり陰イオンはクロールイオン、重炭酸イオン、有機酸である。よって AG を以下のように定義すると大雑把に有機酸がどれ位あるのかを把握することができる。AG = "ナトリウムイオン" - ("クロールイオン" + "重炭酸イオン") である。正常値は 12 ± 2 mEq/L である。カリウムイオンを考慮することもあるがその場合は正常値が 16 前後となる。特に外因性の AG 増加性代謝性アシドーシスを疑う場合は浸透圧ギャップを計算してみると明らかになることもある。AGが増加しない代謝性アシドーシスである。頻度としてはこちらの方が明らかに多い。重炭酸イオンの喪失、尿細管での水素イオン分泌障害、塩酸の投与といった原因によって起こる。呼吸性アルカローシスの代償もこの機序で起こる。アシドーシスは高カリウム血症を伴い、アルカローシスは低カリウム血症を伴う、とは臨床医学の格言の一つである。確かに代謝性アシドーシスを生じるような病態では組織、細胞傷害や腎機能の低下が生じていることが多く、高カリウム血症になりやすい。それに加えて、代謝性アシドーシスではカチオンバランスの維持のため細胞内から細胞外にカリウムが移動するといわれている。この機序では pH が 0.1 低下するごとに血清カリウム濃度が 0.6 mEq/L 上昇するといわれている。しかしこの細胞内からの移動に関してはメカニズムによって異なることが知られている。高クロール性代謝性アシドーシスではクロールイオンが細胞内に入りにくいため水素イオンが細胞内に入る代わりにカリウムが細胞外で排出されるが、AG 増加性代謝性アシドーシスでは水素イオンが細胞内に入る際、アニオンである有機酸も一緒に細胞内に入るため、カチオンバランスが崩れることがなく、カリウムの排出は起こらないといわれている。但し頻度としては圧倒的に高クロール性代謝性アシドーシスの方が多いため、格言は一概に誤りとは言えない。アシドーシスなのに低カリウム血症をきたす疾患としては下痢と尿細管性アシドーシスが知られている。アシデミアがあり血清重炭酸イオン濃度が低下しているような状態では代償機構として尿を酸性化し、体内をアルカリに保とうとする。腎機能障害がなければ尿 pH は 5 以下に低下するはずである。しかし尿の酸性化障害、尿細管アシドーシスがある場合はそのような代償機構が働かないとされている。腎臓の水素イオン排出力を調べるには尿アニオンギャップを計算すればよい。UAG = Na + K - Cl を定義する。正常値は 0 である。水素イオン排出が亢進しているとき、例えば下痢の時は UAG は -30 程度の負に傾くが遠位尿細管性アシドーシスなど水素イオン排出力が低下した病態では 25 程度に増加している。代謝性アルカローシスは一時的には血中 HCO 濃度を上げるような異常のプロセスが存在することである。しかし、HCO は本来は糸球体で濾過されて尿細管にて再吸収されるのだが再吸収量に域値があるため正常人では大量に HCO を摂取しても代謝性アルカローシスには陥らない。即ち代謝性アルカローシスをみたら、 HCO の産出機構の他に HCO を排出できない病態、即ち代謝性アルカローシス維持機構が存在していると考えなければならない。これらは血中 HCO 濃度を上昇させる因子である。代謝性アルカローシス維持機構が存在しなければ、これらの原因で代謝性アルカローシスが持続することは考えにくい。尿中の HCO 排出を抑制するものがアルカローシスの維持には必要である。頻度としては有効循環血漿量の低下によることが最も多い。腎機能が正常の場合は尿中のクロールイオン濃度を測定することで原因がわかることもある。尿中Cl濃度が 10 mEq/L 以下の場合は循環血漿量の低下が強く疑われる。このような代謝性アルカローシスの多くは生理食塩水の輸液によって改善が見込め、Cl 反応性アルカローシスといわれている。利尿薬を用いていないにもかかわらず、尿中 Cl 濃度が 20 mEq/L 以上である場合は生理食塩水の輸液では改善が見込めないため Cl 不応性アルカローシスといわれている。Cl 不応性アルカローシスの原因としては鉱質コルチコイド過剰であることが多い。嘔吐がおこり HCl が体内から失われると、細胞外液が減少し、脈拍の増加などの臨床所見がみられるにも拘わらず、尿中 Na 濃度は 20 mEq/L 以上である。通常は有効循環血液量が減少すると尿中 Na 濃度は 10 mEq 未満となるのだが、嘔吐ではこのような反応がマスクされる。これは HCO 排泄のために遠位尿細管で Na や K を分泌するためと考えられている。代わりに嘔吐では尿中 Cl 濃度が 10 mEq/L 以下となるのが特徴的である。嘔吐が止まると、HCO を排出しなくなるので、まずは Na の再吸収が正常に戻り、その結果水素イオンが分泌されるため、体内はアルカローシスにもかかわらず酸性尿が作られるようになる。この状態では尿中 Na 濃度は 10 mEq 以上となるが Cl は依然と低値のままである。有効循環血漿量が改善するとようやく代謝性アルカローシスが改善してくる。通常尿中 Cl の意義は尿中 Na と同様であるが、代謝性アルカローシスの場合は尿中 Na が体液量の指標にならず、尿中 Cl が指標となる。アルドステロン症ではアルドステロンの過剰のため、尿中の Na, K, Cl の量が極めて多くなり、また酸性尿が生成される。アルドステロン症の代謝性アルカローシスは低カリウム血症によるものと考えられている。カリウムの欠乏がなければ、アルドステロン症であっても代謝性アルカローシスが起こらないか、起こっても比較的軽度である。アルドステロン症による代謝性アルカローシスは Cl 不応性アルカローシスである。頻度としては高いのはループ利尿薬、フロセミドの乱用による代謝性アルカローシスである。このような状態では低カリウム血症にもかかわらず、尿中 K 濃度が比較的高い(10 mEq/L 以下ならば低値、こういったときは下剤の乱用も考える)のが特徴である。尿中 Cl 濃度が高ければ利尿薬乱用の可能性が高まる。しかしそうでなければ、かなり稀ではあるがバーター症候群の可能性がある。バーター症候群と似た臨床像を呈する疾患としてギッテルマン症候群がある。両者の鑑別には尿中 Ca 濃度を測定すればよい。バーター症候群では尿中の Ca 濃度が上昇していることが多い。フロセミドの乱用(偽性バーター症候群)、バーター症候群ともに尿中 Ca 濃度が上昇する。これは尿からのカルシウムイオンの排出が促進するからである。高カルシウム血症ではその効果を期待して、多尿であるにもかかわらずフロセミドを治療として用いる。利尿薬による代謝性アルカローシスはアセタゾラミドの投与で改善しうる。ダイアモックスを 250 ~ 500 mg/day 投与し、高アンモニア血症に注意する。代謝性アシドーシスの治療にはアルカリ剤の投与が行われる。HCO の不足を補うため炭酸水素ナトリウムの投与が行われることが多い。から計算され、まず半分量を投与し pH をみながら追加していく。メイロンで行う場合は単位換算が必要である。7% メイロン 20 mL では 17 mEq/L であり、8.4% メイロン 20 mL では 20 mEq/L で計算する。一過性に PaCO が上昇するため、十分な換気が確保された状態で行う。心肺蘇生時に必ず代謝性アシドーシスの補正は行うので、1 回の心肺停止でおよそ 10 mEq/L の炭酸水素ナトリウムが不足するため、50 kg の人ならば 7% メイロン 120mL が必要であるということは経験的わかっている。但し実際には 20 mL ずつ 10 分毎に投与といった方法で行う場合が多い。呼吸不全時の呼吸性アシドーシスが見られたときかつてはアシドーシスの補正のために重炭酸ナトリウム溶液を点滴するなどの処置がとられていたこともあったが、治療成績に変化はなく単なる補正の意義は小さいことが判明してきた。換気、酸素化の評価が必要な場合は動脈血液による血液ガス分析が必要であるが、酸塩基平衡を調べたい場合は静脈血による血液ガス分析で十分である。pH, PaCO, HCO に関しては動脈血と静脈血の相関係数は 0.9 以上とされている。平均誤差はpH 0.036 ± 0.006 (0.030 ~ 0.042), PaCO 6.0 ± 1.0 (5.0 ~ 7.0), HCO 1.5 ± 0.2 (1.3 ~ 1.7) とされている。() 内は 95% 信頼区間を併記した。pH は小さくなり、PaCO は大きくなり、HCO は大きくなるため簡便な方法としては静脈血は動脈血と比べて 0.01 ~ 0.05 小さくなり、PaCO は約 6 大きくなり、HCO は約 2 大きくなると考えることが多い。また代謝性アシドーシスでは代償性呼吸性アルカローシスで代償されるが、十分に代償されている場合は HCO に 15 を加えた値が PaCO となっており、pH の小数点以下 2 桁がそのまま PaCO となる。もし予想値より PaCO が高ければ呼吸性アシドーシスの合併、PaCO 低値ならば呼吸性アルカローシスが合併していると考えられる。
出典:wikipedia
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