独占(どくせん、)とは、ある財やサービスに係る市場において売り手(供給者)や買い手(需要者)が1人(1社)しか存在しない状態のこと。普通、法的に前者の売り手独占が問題とされる。完全競争市場においては、市場参加者はすべてプライステイカーで価格設定できない。このとき市場均衡価格は限界費用に一致するよう決定される。しかし独占企業はプライスメイカーとして自らの利益を最大限にするような価格設定を行うことができる。完全競争下での効率的規模とは限界費用が価格と一致するときの生産量であるが、プライスメイカーは利ざやを稼ぐために減産する。自由主義の国家では市場原理の阻害要因になるとして、いわゆる独占禁止法により規制することが多い。同法の規制においては、市場を少数の供給者が支配する複占・寡占も独占とみなされる。初期投資の規模が大きく自然独占な状態が最も効率的な産業においては、独占や寡占が認められる場合もある。電気・ガスや一部鉄道会社(特にJR北海道)などインフラ業界において多い。しかし、関東大震災などを契機に流れ込んだ外債、特に社債の歴史に照らすと、日本のインフラ業界は政治的に自然独占が演出されたことが分かる。独禁法の改正で不況カルテルなどが容認されたときも逆コースの途中であった。国際的には海運アライアンスが自然独占を主張する典型であるが、補助金が焼け太りになっている感は否めない。独占市場においては、独占企業のみが商品を販売しているので、完全競争と違い、独占企業が自由に価格を決定できる。従って独占企業は自身の利益を最大化する価格をつける。独占市場において、独占企業は完全競争下にあるときよりも高い価格をつける傾向がある。というのも完全競争下では、競争相手がより低い価格をつけて商品シェアを奪うかも知れないのに対し、独占市場ではその心配がないからである。また独占企業は完全競争下にあるときよりも少ない数しか市場に商品を出さない傾向がある。というのも商品を完全競争下なみに多く売るには、より多くの消費者に商品を買ってもらう為、完全競争下なみに価格を引き下げねばならなくなってしまうからである。従って価格を吊り上げて商品一個あたりの利益を増やす為に、完全競争のときよりも商品を出し惜しみする。しかし言うまでもなく売りさばく商品数が極端に少なければ逆に利益が減ってしまう。従って独占企業は、一個あたりの利益と売れ行きとのバランスをとり、利益を最大化する価格をつける事となる。利益を最大化する商品数および価格は以下のように決定される。今商品の価格をformula_1にしたとき、商品の需要がformula_2個である(=商品がformula_3個売れる)とする。formula_3の事をこの商品の需要曲線という。さて売れる商品の数formula_3は明らかにformula_1に対して単調減少であるので、formula_1をformula_3に関して解いて、逆関数formula_9を得る事ができる。今関数formula_10およびその逆関数formula_11が既知であるものとする。従って独占企業はformula_1さえ決めてしまえばformula_10に従って出荷する商品数を決める事ができる。よってformula_10は出荷商品数に等しい。さて、市場にformula_3個の商品を出したとき、総費用がformula_16円かかり、総収入がformula_17円となったとする。すると、独占企業の利益はformula_18円であるから、これを最大化するには、微分 formula_19 がformula_20になる数formula_3だけ、商品を出荷すればよい。formula_22、formula_23の事をそれぞれ限界費用、限界収入といい、それぞれ、formula_24、formula_25と書く。限界費用・限界収入は出荷商品数を1個増やしたときに増大する費用・収入を表している。上の議論より、独占企業はとなる数Qだけ商品を出荷し、formula_11円の価格をつければ利益が最大化される。さて、今全ての商品に同じ値段formula_3をつけているとすると、独占企業の収入formula_29は積formula_30に等しい。従って限界収入formula_24は積の微分法則より、が成立する。従ってformula_26とするには、formula_34とすればよい。なお一個出荷数を増やした際の収入formula_24が価格formula_1と等しくないのは、商品を一個多く売る為、他のformula_3個の商品も全て価格をformula_38円下げねばならない為である。従って独占市場では限界収入MCは価格pよりも少ない。これはformula_25がformula_1と等しくなる完全競争下(後述)とは対照的である。さて、独占企業は自身で商品を作るわけだから、限界費用MCがいくらになるのかを知っている。また我々は関数formula_11が既知である事を仮定していた。従って独占企業は連立方程式を解く事で利益を最大化する価格formula_1と商品数formula_3を決定できる。今限界費用MCが出荷数Qによらず一定であるとする。この状況下で需要曲線p=p(Q)が一次関数である場合と価格弾力性が一定になる曲線の場合とを考察する。需要曲線p=p(Q)が一次関数p=b-aQであるとき、限界収入はすなわち限界収入曲線MR=MR(Q)は需要曲線の二倍の傾きを持ち、需要曲線と同じ切片bを持つ。従って独占企業の利益を最大化する価格・商品数は連立方程式を解く事でである事がわかる。このとき独占企業の収入はである。次に需要曲線の価格弾力性formula_48がQによらず一定値Hである場合を考察する。微分方程式formula_49を解く事で、需要曲線がという形である事がわかる。ここでAは何らかの定数。今、である。よってMC=MRより、価格pをとすれば利益が最大化される事がわかる。一方p=AQなので、そのときの出荷量はである。独占企業の収入は独占市場の方が完全競争下よりも価格が高くなり、出荷数が減少する事を、適切な条件下で示す。完全競争下では、相手企業からシェアを奪う為に値下げ合戦がおこるので、損がでないぎりぎりの価格まで商品の値段が下がり、そこで均衡する。したがって完全競争下で各企業が出荷した商品数をQとし、そのときの価格をp=p(Q)とすると、総収入pQが総費用C=C(Q)と等しい。完全競争下ではいかなる企業も市場支配力をもたないので、均衡点では各企業が出荷した商品数は全商品数からみると無視できるほど小さく、従って各企業が出荷した商品数が価格に与える影響も無視できるほど小さい。従ってdp/dQ=0とみなしてよい。以上の議論により、完全競争化の均衡状態での限界費用MCはである。すなわち、完全競争化では価格pは限界費用MCと等しい。一方独占市場での価格p、出荷数Q=Q(p)、および限界費用MCはを満たしていた。今Q個の商品を作る総費用Cが、初期費用Cに一個あたりの費用cを加えた値C=cQ+Cであった場合、限界費用はを満たす。従って独占競争下での価格formula_55は完全競争下での価格formula_56よりformula_57だけ高くなる。(注:総費用Cは商品数Qに対して単調増大であるので、dC/dQは正である。従ってpの方がpより大きい。)また売れる商品数Q=Q(p)は価格に対して明らかに単調減少であるので、独占市場で出荷する商品数Q=Q(p)は完全競争下で出荷する商品数Q=Q(p)よりも少ない。ある独占企業が、異なる市場において需要弾力性が異なるため、同一製品であっても市場ごとに異なる価格を設定することを、価格差別 (price discrimination) という。その製品に対する需要の価格弾力性の小さい市場においては、大きい市場におけるよりも、価格は高く設定される。このような分断された市場での価格差別は、需要側を需要の価格弾力性の異なるグループに区別することが可能であり、供給側の独占が可能であり、裁定取引が不可能であることをその条件とする。
出典:wikipedia
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