緑(みどり、綠)は、寒色の一つ。植物の葉のような色で、黄色と青の中間色。光の三原色の一つは緑であり、1931年、国際照明委員会は546.1nmの波長を緑 (G) と規定した。500-570nmの波長の色相 () はおよそ緑である。色材においては例えば、シアンとイエローを混合して作ることができる。緑色(リョクショク、みどりいろ)は同義語。緑は(緑色の、特に新緑のころの)草・木、新芽・若葉、植物一般、転じて、森林、自然などを指す語としても用いられる。緑に相当する色はかなり広範に及ぶ色の総称であるが、それぞれの色には多く「柳色」や「モスグリーン」などの固有の色名が付いている。より黄色に近い色は黄緑として、より青に近い色は青緑として総称されることも多い。英語のグリーン(green)をはじめ欧米人が感じる対応する色名は、日本人にとっての緑よりも明るく鮮やかな色である傾向がある。緑はまた漢字で碧や翠とも表記されるが、この場合やや青みの強い色を表すことが多く、比較的藍緑色に近い色合いである。翠は本来、カワセミの羽根の色をさす名前である。詩的な、あるいは文語的な表現として、海の深く青い色や、艶やかな黒髪の色を表すのに、「緑」を使うことがある。「みどり」という語が登場するのは平安時代になってからであるが、これは本来「瑞々しさ」を表す意味であったらしい。それが転じて新芽の色を示すようになったといわれる。英語のグリーンも「草」(grass)や「育つ」(grow)と語源を同じくするといわれ、いずれにしても新鮮さのイメージを喚起する色である。緑(green)は光の三原色のひとつである。ウェブブラウザ等でgreenと名前で指定もできるが、その色はRGBで#008000であり純色ではない。純色(原色)の緑の名前はlimeで、そちらであれば#00FF00となる。具体的には「明るい緑」として感じられる色が表示される。緑の光源は、色合いとしては日常的に目にする緑色よりも明るく鮮やかに感じられる。JISの規格では緑およびグリーンがそれぞれ定義されている。この両者の色は微妙に異なる色として定義されている。天然に大量に存在する緑色は葉緑素で、化学的にはポルフィリン構造(ポルフィリン環)と呼ばれる特殊な有機構造を持つ分子の中心に金属元素(マグネシウム)を配位している。よく似た構造の鮮明な緑色顔料としてはフタロシアニングリーンがある。着色材料用途のポルフィリン系以外のピロール系化合物としては、ジケトピロロピロールがあり、橙から赤にかけての重要な顔料である。古くから顔料として使われたのは孔雀石の粉末で、銅の錆(緑青)と同じく、塩基性炭酸銅を主成分とする。無機顔料では有害性の低いビリジアン、酸化クロム(酸化クロム緑)がよく使われる。ピーコックと呼ばれるセラミック顔料も緑色無機顔料である。緑土は海緑石と灰緑石からなる。これら鉱物は水酸化鉄、水酸化マグネシウム、硅酸アルミニウム、カリウムなどからなる。硅酸錯塩と同様緑土の組成は様々である。色合いは鈍い黄緑色から淡緑灰色のものまで様々ある。このように発色する原因は2価の鉄(第一鉄)にあるが、大半の鉄は3価の鉄(第二鉄)として存在している。緑土は透明性が高く、着色力は強くない。イタリアの画家が好んでテンペラにおいて下層に用いた。太古よりヨーロッパで使用されて来た顔料で、比較的広範囲において産出するが、良質の顔料用途になるものの産地は限られる。レーキ顔料でない純然たる有機顔料で緑色のものの種類はそれ程豊富ではない。フタロシアニンの普及に伴い、緑色顔料の生産は大きく変化したと言える。葉緑素に似た化学構造を持つフタロシアニンは1933年、ICI(インペリアル ケミカル インダストリーズ)社のリンステッドたちがフタロシアニンと命名、1935年に工業化され、モナストラルブルーの名で商品顔料になった。アメリカでは、1936年に別の名で取引が始まる。鮮明で着色力が非常に強く、プロシア青の倍程の着色力がある。フタロシアニン緑はフタロシアニン青に続いて開発され、塩素化銅フタロシアニンは1838年に商品化された。Colour Index Generic NameにはPigment Green 7、臭素化塩素化フタロシアニンのPigment Green 36、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンのPigment Green 58が記載されている。液晶テレビを含む液晶ディスプレイのカラーフィルタの緑には、構成要素としてPigment Green 36が使われている。緑のほかに、緑青・ターコイズを呈する無金属フタロシアニン、鮮明な緑気味の青であるフタロシアニン青がある。いずれも化学的に安定な構造で、比較的安価に大量生産されている。ペリレン顔料は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の六員環を構成している酸素原子2個を脱落させた構造を有する顔料である。赤から紫、そして、緑(但し黒い緑)といった幅広い色相を持つ顔料グループであり、一般に着色力、堅牢性に優れる。緑色のペリレン顔料であるPigment Black 31は、緑味を呈する黒色顔料であるが、色相は濃度やバインダーなどの条件により相違する。緑色の染料およびレーキ顔料についてはここで述べる。顔料の世界では、アゾメチンの前駆体、特にイミンを構造中に有する顔料をアゾメチン顔料と称する。クロウメモドキ科の熟成した液果から抽出することが可能な緑色成分があり、これが本来の「サップグリーン」である。サップグリーンは、今日では専ら名称として残る。色素としてラムネチン やエモジン を含んでいる。前述のように、クロウメモドキ科の熟成した液果から抽出することが出来る成分のエモジンは、アントラキノン染料に数えられる。前述のように、クロウメモドキ科の熟成した液果から抽出することが出来る成分のラムネチンは、フラボン染料に数えられる。アゾメチン系の緑色顔料としては、緑色のニトロソ染料のナフトールグリーン のレーキ顔料(Pigment Green 8)がある。印象的な深い緑を呈する。堅牢であるが耐水性にやや劣るところがある。マラカイトグリーンは、カルボニウム系の塩基性染料である。このレーキは、安価な水性絵具などにも用いられる。現在使われている緑は、黄と青の物質を混合したものや併用したもの、黄と青緑の物質を混合したものや併用したものが多い。例としてカドミウム黄とウルトラマリンブルー、フタロシアニン緑、若しくはビリジアンの混合物であるカドミウムグリーン、かつて代表的だった例として黄鉛と紺青の混合物であるクロムグリーンがある。これらは顔料を混合しただけのものを用いるものあれば、共沈顔料と呼ばれる、複数の顔料を組み合わせた顔料を用いる場合もある。古代日本語の固有の色名は、アカ・クロ・シロ・アヲの四語のみだったとの説が存在する。緑が色名として明確に扱われてこなかったため、現在緑色と言われる色そのものは日本語では「青」によって表現されてきた。例えば、少なくとも過去において緑色と青色を明確に切り分けなかった言語は日本語に限らず非常に多く、東アジアの漢字文化圏、東南アジア、インド、アフリカ、マヤ語など中南米の言語にみられる。緑色(green)と青色(blue)とを分節しない語彙を表すため、しばしば言語学者はグルー(grue)という語を使用しており、こうした言語はグルー言語ともよばれる。さらにこのような言語では黒色とも区別されず、いわば「暗い色」として表されることがあり、これは特に赤道直下の言語に多い。言語ごとの色の分節の食い違いは、最も一般的には色の分け方に物理学的な根拠がなく、ソシュール言語学が主張するように最終的にはそれが文化によって分節されていることによる。しかし、グルー言語が熱帯をはじめ比較的温暖な地域に多いことから、これは野外活動により浴びる紫外線から網膜を保護するために加齢とともに水晶体が黄変して、青色のような短波長の感度が低下し、実際に区別が困難になるためであるとする学説もある (lens-brunescence hypothesis)。現代でも高齢者は白内障による視界の黄変化により白と黄色、青と黒、緑と青などの区別が困難となる。医療機関では、手術の際に緑色もしくは青色の手術着や敷布を使用する。血の赤色を長時間凝視し続けると補色残像という色の錯覚を引き起こし、赤の補色である青緑色の残像が視界全体に生じて手術の妨げになるため、赤の補色を多用することで補色残像の影響を緩和する効果を利用している。
出典:wikipedia
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