辰韓(しんかん、紀元前2世紀 - 356年)は、朝鮮半島南部にあった三韓の一つ。帯方郡の南、日本海に接し、後の新羅と重なる場所にあった地域である。その境は、南にある弁韓と接しており、入り組んでいた。もともと6国であったが、後に分かれて12国になった。そのうちの斯蘆が後の新羅になった。辰韓人は穀物と稲を育て、養蚕を生業としていた。『三国志』魏書弁辰伝によると、馬韓人とは言語が異なっていたが、弁韓人とは互いに雑居し、風俗や言語は似通っていたという。『後漢書』弁辰伝によれば辰韓とは城郭や衣服などは同じだが、言語と風俗は異なっていたという。『三国史記』と『三国遺事』によると、中国の王室の娘娑蘇が海を渡って辰韓に渡来して、新羅の初代王赫居世居西干と王后閼英を生んだとする。『後漢書』辰韓伝、『三国志』魏書辰韓伝、『晋書』辰韓伝によると、秦の始皇帝の労役から逃亡してきた秦人がおり、馬韓はその東の地を割いて、与え住まわせ辰韓人と名づけたという。そのため、その地の言葉には秦語(陝西方言。長安に都があった頃の標準語で、この亡民が秦代〜前漢代に渡来したことを物語る)が混じり、秦韓とも書いた。秦人は王にはならず、辰韓は常に馬韓人を主(あるじ)として用いており、これは代々相承(親から子へ受け継がれる)のものであった。そのため自立せず、辰韓人は明らかに流入し移って来た人であるため馬韓が全てを制していたと『晋書』は記している。水谷千秋は、辰韓の民の話す言語は秦の人に似ており、辰韓は秦韓とも呼ばれていたため、実際に中国からの移民と考えて間違いない、と述べている。3世紀以降に作成された『三国志』魏書辰韓伝に「名國為邦(訳:国を邦と言う)」とある。森博達や伊藤英人によると、辰韓(秦韓)の民は秦から亡命してきたと言うが、前漢の初代皇帝劉邦が諱を憚って「邦」を「国」と言い換え、漢代以後の漢語では「邦」のことを「国」と言うが、辰韓人(秦韓人)は「国」のことを「邦」と言っており、辰韓人(秦韓人)は秦語を使用していることが決定的だという。金両基は、「三韓の領域や国境は、、後世のように明確ではなく、おおざっぱであった。国境には、どちらの国からも干渉されない、緩衝地帯のようなものがあったらしい。そこに亡国の流民が三々五々集まって、一種の多文化圏を構成していた。異国文化や新しい文化がそこに集まり、そこから三韓へ伝わったのであろう。"辰韓は馬韓の東にある。そこの老人が語るところによれば、その昔、中国の秦国の苦役に服することを嫌って逃亡した流民たちが韓に渡ってきた。馬韓では東の国境地帯の土地を割いてかれらに与え、住まわせた。(『三国志』の「魏書」東夷傳 辰韓条)"そのような緩衝地帯にも、自然に流民を束ねる実力者が生まれる。王や君長の経歴をもったものが、そこで実力を争い、支配者となることは当然考えられる。衛満に王位を奪われた準王がそういう地位をえたと考えても、べつにおかしくはない。」と記している。上田篤は、「秦の始皇帝が天下を握った紀元前221年ごろには、秦以外のすべての国々は消滅した。すると、大陸内には、もはや亡命する国さえない。そこで、何万、何十万というかつての権力者とそれにつながる人たちの多くは、海外、あるいは漢民族の支配圏以外の国々への亡命の道を選んだのではないか。(中略)東アジアでも、『陳勝などの蜂起、天下の叛秦、燕・斉・趙の民が数万口で、朝鮮に逃避した。(魏志東夷伝)』と記されている。陳勝の農民一揆は、紀元前209年のことである。さらに、『辰韓は馬韓の東において、その耆老の伝世では、古くの亡人が秦を避ける時、馬韓がその東界の地を割いたと自言していた。(魏志東夷伝)』朝鮮では、国を割いてまで秦の亡民の建国を許している」と記している。『北史』新羅伝には、「新羅者、其先本辰韓種也。地在高麗東南、居漢時樂浪地。辰韓亦曰秦韓。相傳言秦世亡人避役來適、馬韓割其東界居之、以秦人、故名之曰秦韓。其言語名物、有似中國人。(新羅とは、その先はもとは辰韓の苗裔なり。領地は高麗の東南に在り、前漢時代の楽浪郡の故地に居を置く。辰韓または秦韓ともいう。相伝では、秦時に苦役を避けて到来した逃亡者であり、馬韓が東界を割譲し、ここに秦人を居住させた故に名を秦韓と言う。その言語や名称は中国人に似ている。)」との記述がある。 中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は、公式研究書で新羅に対して、「中国の秦の亡命者が樹立した政権」であり、「中国の藩属国として唐が管轄権を持っていた」と記述している。また、中国の歴史学者の李大龍は、新羅の前身である辰韓は秦韓とも呼ばれ、中国の秦の人が建てた国だから、新羅は中国民族が建てた国だと主張している。チャン・セユン成均館大学教授は「中国の教科書には古朝鮮の歴史についての言及がなく、馬韓,辰韓,弁韓に代表される三韓時代に関しては、中国が自国の影響を多く受けたと主張する辰韓を中心に叙述している」と指摘している。
出典:wikipedia
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