発車メロディ(はっしゃメロディ)は、主に鉄道駅において乗降中の利用者に列車が発車することを知らせる音楽あるいはそのシステムである。バス停留所やフェリーターミナルでも同様の目的・機能を果たすものが存在するほか、貨物駅でも入換・発車時に注意喚起の目的で同様のシステムが採用されることがある。なお、列車接近・通過時に列車が接近することを知らせる「接近メロディ」も本稿にて記述する。列車発車時に使用されるメロディ・チャイム・ブザーなどを一まとめにして発車ベルと言うこともある。実際、国鉄をはじめとして電子音が普及する前は、目覚まし時計のようにジリジリと音が鳴るベルを使っていた時期が長い。車両によっては、車両の車外に案内用スピーカーを搭載し、乗務員の押しボタン操作によって、発車メロディ(乗降促進音、乗降促進放送)を鳴らせるものもある(これについては乗車促進音を参照)。発車メロディの嚆矢については諸説あるが、1970年代には一部の大手私鉄で使用されていた(1971年8月より京阪電気鉄道で使用開始)。現在最も多くのメロディを使用する東日本旅客鉄道(JR東日本)では旧・日本国有鉄道(国鉄)時代の1970年代後半から電子音化したベル(「ピロピロピロ」という音)を使用していたが、多数の駅利用客から耳障りであるなどと不評であった。そのため1988年の千葉駅での発車ベル廃止を経て女性社員らが主導となりプロジェクトを立ち上げ音響機器・楽器メーカーとして知られるヤマハに新しい発車メロディ放送システムの開発を依頼、1989年3月11日に新宿駅と渋谷駅に導入した。この際にピアノや鈴、ハープといった音色と人の心を落ち着かせる雰囲気のメロディを採用した。現在、両駅は別のメロディを使用している。1990年代に入り初期の発車メロディが好評を博したことを受けて他駅でも導入の機運が高まったが、以後の導入に関してはコストダウンを図ったシステムが採用された。採用された代表的な会社が音響機器メーカーのUNI-PEX(ユニペックス)で、オカリナ奏者・宗次郎のメロディ「清流」や「雲を友として」などの他にオリジナル曲を採用した。これらのメロディは同社が製造した自動放送装置と合わせるようにしてコストダウンを図ったと思われる。なお、これらのメロディは東京近郊の駅で導入していたが宗次郎の曲は契約上の関係で同社横浜・八王子・東京・大宮支社管内の駅では2005年3月頃を皮切りに相次いで変更され、2014年3月の上越線高崎問屋町駅を最後に消滅した。1990年代後半から蒲田駅で「蒲田行進曲」が使われたり高田馬場駅や新座駅で『鉄腕アトム』のテーマ曲を使うなど、駅に関連する曲が使われる機会(いわゆる「ご当地発車メロディ」)が増えた。2010年7月からおよそ1か月の間、新橋駅の発車メロディが「ウイスキーが、お好きでしょ」に替わったが、これは発車メロディを使ったサントリーの広告という位置付けであり、JR東日本として初の試みであった。総じてJR東日本管内では関東エリアのほとんどの駅の在来線ホームと一部の駅の新幹線ホームが旧来の発車ベルから発車メロディへ変更されている(元々発車ベルがなかった駅を除く)。よって関東エリアの在来線ホームが未だに発車ベルのままとなっているのは少数に限られる。一方で、長野支社管内などでは元々発車メロディを採用していた駅が放送設備更新によりベル化したという事例もある。なお、JR東日本の支社では新潟支社のみ長らく発車メロディを導入していなかったが、2013年9月1日から白山駅で、2014年3月から村上駅で使用開始した。なお、JR東日本の一部の車両(E129系・E233系・E531系・E721系など)には、車両側に車外メロディが設置されており、主に関東や東北エリアの発車メロディ未設置駅、直通他社線(JR東海区間と小田急線内,東京メトロ千代田線)で使用されている(一時期、実験的に吉祥寺駅で、車外メロディのみ作動させていた)。仙台空港駅でアニメ「Wake Up, Girls!」のエンディング曲「言の葉青葉」が使用されている。それ以前はJR東日本でも使用されている櫻井音楽工房製の「twilight」が使用されていた。また、車両にも車外メロディ(Water Crown)が搭載されている。1991年に東武宇都宮駅に初めて導入された。2000年代までは一部の始発駅のみで使用していたが、2005年頃より中間駅でも発車メロディの使用を開始し、本線(館林駅・南栗橋駅以南)・野田線(全駅)・東上線(小川町駅以南)に導入を進めている。発車メロディ用のスピーカーは、一部の駅を除いて駅員放送用のスピーカーと別に設置されている。2014年以前は「発車案内メロディ」と称していたが、2015年以降は「発車メロディ」と称している。1994年から1998年頃は主に始発列車の設定のある駅のみで(田無駅、石神井公園駅、清瀬駅等、当駅始発の列車でしか流れない駅も存在した)50種類程用意されていたが、その当時の発車メロディが残るのは多摩湖線萩山駅1番ホーム、西武遊園地駅、西武秩父線西武秩父駅、多摩川線白糸台駅(当駅始発列車のみ)、是政駅のみとなっている。多摩川線武蔵境駅はかつて旧メロディを使っていたが、その後オリジナルのものになっている。他の駅は路線毎に統一されて6種類のみとなり、車掌の手笛を廃止の上従来使用していなかった各駅にも導入している。なお、一部駅を除き車掌が持つワイヤレスマイクに備えられたボタンを操作することでメロディが流れる仕組みになっているため、ワンマン運転列車の設定されている線区では新しいメロディは使用されていない。多くの路線では発足以来「営団ブザー」と通称されるブザーを使用してきた。その後、2008年に開業した副都心線を皮切りに各路線で発車メロディの導入を進めており、現在、下記の路線で導入されている。なお、東京メトロではこれを「発車サイン音」と称している。東京メトロでは今後、発車メロディを全線に導入する方針であるとしている。都営地下鉄三田線・東急目黒線・埼玉高速鉄道線は、東京メトロ南北線とシステムを統一するため、南北線の旧発車メロディ「音無川の流れ」を使用している。なお、都営三田線はワンマン運転開始直前の2000年8月から使用を開始している。なお浦和美園駅では2007年11月から埼玉スタジアム2002で浦和レッズの試合が開催される日に限り、浦和レッズの応援歌である「Keep On Rising」が発車メロディとして使用されている。東横線・みなとみらい線・田園都市線・大井町線の場合、基本は車掌のリモコン操作による発車ベルを流している。大井町線では、複々線化後、溝の口 - 二子玉川間で田園都市線との区別をつけるためにオリジナルの大井町線専用ベルを流している。ワンマン運転を行う路線については、目黒線では車両から東京メトロ南北線の旧発車メロディを流し、池上・多摩川線では車外ブザーを鳴らすのが基本である。東横線渋谷駅では向谷実作曲のオリジナル曲を使用している。2013年3月1日から同月15日までは廃止された地上ホームで「Final Approach」を接近メロディとして使用し、翌16日からは新たに使用開始した地下ホームで「Departing from New Shibuya Terminal」を発車メロディとして使用している。なお、2016年7月6日から9月12日までは、渋谷ヒカリエで行われる「ドラゴンクエストミュージアム」の開催を記念し、作曲者のすぎやまこういち監修の元、『ドラゴンクエストシリーズ』のオープニング曲「序曲」を発車メロディとして使用していた。等々力陸上競技場の最寄駅である東横線の駅では、川崎フロンターレの応援歌を発車メロディとして使用している。使用曲は新丸子駅(最寄駅)・元住吉駅が「FRONTALE RABBIT」、武蔵小杉駅が「轟け!青き魂」である。みなとみらい線は横浜駅を除いて上下線で異なる発車メロディを流しているが、日本大通り駅では2013年4月2日から横浜DeNAベイスターズの応援歌である「熱き星たちよ」のメロディを使用している。2000形の2次車以降、3000形・4000形には乗車促進メロディが搭載されている。2004年5月から車掌がPHSを操作して駅ホーム上のスピーカーからも流すようになった。ただし、鳴らさないことや放送の部分だけ流すことも多い。なお、2016年3月26日以降JR東日本E233系で運行される急行、準急および多摩急行ではE233系に搭載されている車外メロディを操作することがある。唐木田、本厚木方面(下り)ではWater Crown、代々木上原駅、綾瀬駅、および常磐緩行線我孫子駅、取手駅方面(上り)ではGota del Vientが主に使用されることが多い。全駅で使用されている。ただし開業以前の試運転時は現在使用しているのとは異なるメロディを使用していた。りんかい線では基本的にJR東日本で使用されているものと同じ東洋メディアリンクス製のメロディを使用している。JR東日本の接近放送(東海道型など)で使われているメロディが使用されている。2007年11月にブルーラインに導入された。導入から1ヶ月程は曲の頭の部分が欠けていた。グリーンラインは開通当初から使用している。2012年4月3日から、ブルーライン関内駅で横浜DeNAベイスターズ球団歌「熱き星たちよ」が使用されている。2014年7月10日から、ブルーライン新横浜駅で横浜F・マリノスサポーターズソング「We are F・Marinos」が使用されている。金沢シーサイドラインでは、2014年7月1日より開業25周年を記念して全駅の発車ベルと接近チャイムをメロディに変更した。童謡「うみ」、文部省唱歌「海」、「我は海の子」、横浜市金沢区出身である小田和正の「たしかなこと」、「言葉にできない」の5曲(2016年4月16日からはシーサイドラインのプロモーションソング「Seaside Line ~わたしのお気に入り~」が追加された)が採用され、駅ごとに異なるメロディが使用されている。高崎駅でテレサ・テンの「美酒加珈琲」をアレンジしたエンドレスのメロディが使用されている。2015年3月26日から河津駅で石川さゆりの「天城越え」が使用されている。大月駅・富士山駅・河口湖駅で文部省唱歌「ふじの山」が使用されている。屋代駅・戸倉駅・上田駅・小諸駅・軽井沢駅でJR東日本と同じものが使用されている(東洋メディアリンクス、GK、カンノ製作所製)。糸魚川駅で、糸魚川市出身の詩人・相馬御風が作詞した童謡「春よ来い」、「ふるさと」、「夏の雲」、「カチューシャの唄」が使用されており(JR大糸線は発車ベルのみ)、時期によって4曲をローテーションで使用している。高岡駅でお鈴のメロディが使用されている。過去には、JR北陸本線時代の富山駅で民謡「こきりこ節」のアレンジが使用されていたが、CTC導入を機に現在は他の自動放送導入駅と共通のメロディに統一されている。高岡駅停留場で列車入線時と発車時に「お鈴」のメロディが使用されている。なお、あいの風とやま鉄道高岡駅で使用されているものとはアレンジが異なる。福井駅で笠松泰洋作曲のハープを使用したメロディが使用されている。勝山永平寺線用と三国芦原線用の2種類がある。新浜松駅で遠鉄グループソング「街と生きる」が使用されている。以前は東武野田線と同じものが2回流れていた。瀬戸線を含む全線で車載のメロディを使用している(名古屋市交通局は上飯田線以外ベル。ただし、接近メロディを路線ごとに上下別で設定している)。列車運行管理システム(ADEC)の更新完了に伴い2007年6月から京阪本線・鴨東線・宇治線・交野線で、2008年10月からは中之島線で向谷実作曲による新メロディが導入されている。上下別に特急用の特急メロディ・それ以外の種別用の一般メロディで分かれており、京阪本線・鴨東線のメロディはつなげると1つの曲になるというユニークな試みがなされた。京阪本線・鴨東線では、特急用メロディが淀屋橋駅・天満橋駅・京橋駅・枚方市駅・樟葉駅・中書島駅・丹波橋駅・三条駅・出町柳駅に、一般用メロディが前述の駅と守口市駅・萱島駅・香里園駅・八幡市駅・淀駅・深草駅に導入されている(京阪本線はホームが「2面3線以上かつ連動駅」という条件を満たしている駅のみにメロディが導入されているが、条件を満たしていない1面2線の出町柳駅は始発駅のためメロディが導入されている)。土休日に運転される快速特急では、京橋駅で「朝靄の京橋で乗り換え」をアレンジしたものが、出町柳駅で「出町柳から」をアレンジしたものが使用される。この他、淀駅では臨時特急発車時に『フィガロの結婚』をアレンジしたもの(初代の特急用メロディ)が流れる。また、中之島駅、私市駅、宇治駅では京阪本線・鴨東線の発車メロディを基調とした専用の発車メロディを使用している。メロディの曲名は、上り特急用メロディは「MIYABI」、上り一般用メロディは「KIRAMEKI」、下り特急用メロディは「GENKI」、下り一般用メロディは「AKOGARE」である。ただし、京橋駅と天満橋駅の下り発車メロディは種別に関わらず、淀屋橋行きは「GENKI」、中之島行きは「AKOGARE」である。京橋駅以西は全種別が各駅に停車するため、行き先を区別するために淀屋橋行きと中之島行きで発車メロディを変えている。なお、2008年11月に京阪線の主要駅で向谷作曲の発車メロディを収録したCD『京阪電車発車メロディcollection』が発売された(現在は、京阪主要駅での購入は不可能だが京阪エージェンシーから通信販売がされている)。以前は特急発車の場合は京都にちなんで「牛若丸」、それ以外の場合はオリジナルメロディとなっており基本的には列車の始発駅にて流れていた(一部除く)。1995年12月まで使用された特急用のメロディは、1971年の初導入(「歴史」の節を参照)時に制作されたオリジナルであった。このメロディは、当時の村岡四郎社長の発案で導入されたもので、曲を制作したのは発車ベルの設備担当だった木村陸朗である。また、K特急→快速特急(初代)が運転されていた頃は京橋駅で「朝靄の京橋で乗り換え」を、出町柳駅で「出町柳から」を、私市駅では普通列車と異なる特急用のメロディを使用していた。なお、前者については臨時快速特急→快速特急(2代)運転開始の際に使用を再開している。出町柳駅で使用されている。かつては鞍馬線はメロディ、叡山本線はブザーと使い分けていたが、現在はメロディで統一されている。2008年4月から四条大宮駅・帷子ノ辻駅・嵐山駅・北野白梅町駅で岡野弘幹作曲のメロディが使用されている。1990年から使用されており、この時は西浦達雄が作曲していたが、2009年1月頃から向谷実作曲のものに変更された。接近時の音楽も西浦→向谷が制作している。和泉中央駅・光明池駅で使用されている。東西線で使用されている。古都・京都をイメージさせる三味線や鼓を用いた楽曲であり、制作は櫻井音楽工房である。なお、御陵駅では京阪京津線方面ホーム専用のメロディも存在する。長堀鶴見緑地線では開業時から採用しているが、現在流れているメロディとは異なるものである。その他の路線でも1990年頃から採用しているが、長堀鶴見緑地線のものとは違うタイプのものであり、同じリニア地下鉄でも今里筋線は通常の発車メロディである。千里中央駅で、発車放送の開始時に季節ごとに違うメロディ(4種類)が流れる。発車放送の後にベルまたはブザーが別途鳴る。海岸線で開業時から使用されている。2012年5月から、一部の主要駅で塩塚博作曲による発車メロディが導入されている。新白島駅を除く各駅で同じ曲が使用されている。但し本通駅では発車前の「○番乗り場の電車は○行きです。○までの各駅にお越しの方は○番乗り場の電車にお乗りください」の放送時に別のメロディが流れる。広島港電停、横川駅電停、広島駅電停で使われている。広島港電停はホームごとに異なるメロディで、広島駅電停・横川駅電停は同じものが使用されている。松山市駅・高浜駅・郡中港駅・横河原駅で伊予鉄道社長の清水一郎が作曲したメロディ「リズム」が使用されている。。那覇空港駅と首里駅で、沖縄民謡をモチーフにしたメロディが使用されている(その他は車内メロディになっている)。接近メロディ(せっきんメロディ)は、主に鉄道駅において利用者に列車が接近することを知らせる音楽あるいはそのシステムである。日本全国に普及しているほか、一部の国や地域でも採用されている。数音程度のシンプルなチャイムを使用している例が多い一方で、既存のよく知られた曲やご当地ソングをメロディとして使用している駅もある。大半の駅ではモーツァルトの「6つのレントラー舞曲」が流れる。2008年7月に主要16駅を対象に「京急駅メロディ大募集」としてそれぞれの駅にあったご当地ソングを一般公募、同年11月に決定し順次対象駅に導入されている。駅メロディの楽曲アレンジは基本的にスイッチの塩塚博が担当しているが、「赤い電車」はくるりの岸田繁が自らアレンジしている。駅メロディは以下の通り。発車メロディを鳴らすためのスイッチは駅ホーム上の利用客の目に付く場所に設置されている場合が多いがこれを鉄道係員以外が許可無く操作した場合、業務妨害で罰せられる(一部の駅にはその旨の注意書きがスイッチ付近に貼ってある)が、JRを含め、カバーがされていないのが現状である。
出典:wikipedia
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