カーナビゲーション()とは、電子的に自動車の走行時に現在位置や目的地への経路案内を行なう機能であり、また「カーナビゲーション・システム」と呼ばれる電子機器のことである。略して「カーナビ」と呼ばれることが多い。「ナビ」と略されることもあり、ナビという言葉自体がカーナビゲーションを表すようになってきている。本項では主に機器について記す。カーナビは、狭義には車載の固定式機器だけを指すが、広義にはカーナビから発展した携帯型ナビゲーション装置なども含まれており、本項目ではそれら各種を分類しながら以下で説明を行う。カーナビは、自車の位置を知ることと、自車の位置を基に目的地への道案内をするのが主な機能である。通常はこれらを表示画面上の地図上の表示で行う。道案内は音声による指示を併用することが多い。自車位置を知る仕組みとしては、GPS(全地球測位システム)衛星からの位置情報が基本であるが、GPSだけでは誤差があること、トンネルなどではGPSからの電波が受信できないことから、カーナビ内の加速度センサとジャイロ、タイヤの回転に伴う車速信号などの情報による自立航法と併用することが多い。経路案内は、詳細な道路情報を含んだ地図データを内蔵することにより、運転者に対して目的地までの進むべき道を示す。内蔵の地図は、多くがカラー化された液晶ディスプレイ上に表示され、加えて合成音声による進路の案内が行える。製品によっては渋滞情報や空き駐車場情報の提供や、目標物の擬似立体表示などの付加的機能が備わっているものもある。当初は自動車用の行き先案内を行う車載の固定式電子装置だけであったが、二輪車用も登場し、2005年からは採用されている技術の一般化や部品の低廉化、装置の小型化に伴ってPNDと呼ばれる車載用だけに限らない携帯可能な個人用ナビゲーション機器が現れている。その後、電子技術の向上に伴ってカーナビが提供する機能の多くが小型の電子部品で実現できるようになり、2009年からは専用機であったPNDから高機能な携帯電話やスマートフォンの1機能に含まれるようになっている。従来からある車載固定形式のカーナビはオンダッシュ型、インダッシュ型、AV一体型があり、その後、登場したポータブル型やPNDでは車に固定もできるようになっている形式が一般的である。新たに登場したスマートフォンなどは、固定方式を含めて未知数の部分が多い。オンダッシュ型はダッシュボードの上に表示部を持つ形式であり、視認性が良い。輸入車をはじめとする一部車種では、カーオーディオ類を取り付けるためのDINスペースが1段分しかなかったり、そもそもDIN規格ですらない場合もあり、インダッシュ型・AV一体型が取り付けられない車種や、2段DINスペースが確保されていてもインダッシュ型・AV一体型では視認性に難がある場合に用いられることが多い。特に助手席エアバッグのない車種だと取り付けても前方視界を妨げる可能性は低い。当初はカーナビゲーションのほとんどがオンダッシュ型であり、安価なため2DINスペースが存在する車種でも利用されてきたが、AV一体型タイプの普及、ポータブル型の性能向上によって衰退し、現在では輸入車などの取り付けに制限のある車種を考慮して一部メーカーが生産しているのみとなった。モニターをカーオーディオなどを収めるための1DINスペースに取り付ける形式である。性能はオンダッシュ型と同等。純正および市販のカーオーディオと組み合わせて使う。オンダッシュ型でもそうだが一部の機種では標準でFMモジュレーターを内蔵しており純正カーオーディオでCD/DVDなどの音声をFM電波で出力できるものもある。未使用時・駐車時はモニターを格納できるので、車上荒らしに遭いにくいといわれていたが、オンダッシュ型に比べて高価であったために狙われることも少なくなかった。アンプ内蔵のHDD方式のAV一体型ナビゲーションも一部メーカーで発売されたがオンダッシュ型と同様に、AV一体型の普及により下火となっている。AV一体型はカーナビにカーオーディオとテレビ機能が一体化した形式であり、音声と画像の機能が連携しており操作も統一されている。通常は2DINタイプのオーディオスペースを占めるので、設置できる自動車に制限がある。操作はパネルのボタンだけでなくタッチパネル式やリモコンを備えるものもあり、音声認識機能を持つ製品もある。上級機種などでは1DIN+1DIN形式もあり、一方の1DINを他の場所に置くことで1DIN規格の自動車にも対応できる。また、近年はテスラ・モーターズに代表されるようなスピードメーターやエアコンの制御画面と一体化して車内の情報処理を一括して担う機能をもたせたものが高級車標準搭載品を中心に増加している。(他に、レクサスやBMWのiDriveなどがある。)初期には、音楽用CDのドライブで地図データ用CD-ROMを読み込むために音楽を再生しながらカーナビ機能が使えない製品も存在したが、オプションのCDチェンジャーを利用したり、機器内に2つのCD/DVDドライブを持つものや、HDDやSDカードなど、別の記録媒体との併用により、こういった問題は解消されている。上位製品では、DVDソフトの動画を後席のモニタで再生しながら、前席ではカーナビ表示が行えるものも存在する。当初は高価であったためにあまり普及しなかったが、価格の下落や機能を割り切った安価な2DINメモリーナビの登場、自動車の2DINスペース仕様の強化もあってオンダッシュ型・インダッシュ型を駆逐している。メリットは収納的に優れていて画面が大きいため操作がしやすく、車内設置に特化しているため車の走行データを受け取ることで精度が高い点がある。弱点としては、値段が高い点と、特に日本国外において盗難に合いやすい点と、搭載データの更新が非常に高額(特にHDDタイプはHDDの取り外しを販売店で依頼すると更に高額となる)で頻度が少ない機種が多いこと、などがあげられる。また、純正品と呼ばれる新車注文時に取り付けるタイプのものは車を買い換えたときに取り外せないことが、あげられる。2011年には機能的には単なるモニター付きカーオーディオだが後述のスマートフォンを連携させるとカーナビゲーションとして利用できる機種もパイオニアなどから発売している。さらにパイオニアからは光学ドライブレス仕様も発売している。ポータブル型はカーナビ本体をスタンドから自由に取り外せる形式である。多くの機種がオンダッシュ型のディスプレイ同様にダッシュボード上のスタンドにカーナビ本体を設置する。CD-ROMだけを搭載した廉価機から、DVDとHDDの2つのドライブを搭載した上位機まで多様である。家庭用テレビに接続できるタイプも多く、DVDビデオ再生可能機種はDVDプレーヤーとしても利用できる。着脱が簡単で携帯性に優れており自宅や出先でのバッテリー動作や、また二輪車での利用も考慮されている製品もある。現在ではCD、DVD、HDDモデルの旧来の機種は全て生産終了されPNDの生産に切り替わっている。オンダッシュ型・インダッシュ型・AV一体型(据置型)と比べて安価であったため、「今いる場所が分かる地図」として使用するライトユーザーや、複数台自動車を所有し載せ替えて使用するユーザー、普及以前のレンタカー会社、元々地理に明るいタクシードライバーやトラックドライバーが使用するケースが多かった。かつてはほとんどの機種がGPS情報だけで測位・案内を行っていたため、ビル街等の空が見渡せない場所での表示誤差が非常に大きく、トンネル内では案内を中断してしまうこともあり、据置型との価格差以上の性能差があるとされたが、GPS信号を処理するコンピュータの性能向上、自立航法ユニットの内蔵や車速信号の入力端子を設けるなどして自車位置表示性能を向上させた。また近年ではポータブル型では不可能であった3D描写やドライバー目線の表示もできるようになった。防水耐震匡体、直射日光下でも見やすい反射型液晶、ヘルメットに内蔵可能なワイヤレスイヤホン、手袋をしたままでも操作しやすいボタン等を装備したオートバイ搭載用の機種も市販されている。一部大型車種やスクーターではメーカー純正オプションとしての装着も行われている。PND(Personal Navigation Device)と呼ばれる携帯が可能なナビゲーション用の装置が一定のシェアを獲得した時期があった。現在はスマートフォンの普及により独自の利点が少なくなり、シェアは縮小している。当初はGPSによる位置情報を得る低価格な携帯機器として登場したが、詳細な地図データと加速度センサやジャイロセンサを搭載することで高精度なナビゲーションが可能になった。車輌固定型のカーナビとは異なり、タイヤの回転に伴う車速信号を得るようにはなっていないものが多い。一般的には、地図情報の記憶媒体には内蔵のフラッシュメモリーかメモリーカードを採用し、液晶画面を小型化することで片手で持てる大きさの、アンテナや電池まで含んだ一体型の本体形状である。5型 - 7型のモニタサイズが主流であるが、3.5型といった小さなものもある。低廉な価格でPDAのようにオーディオ再生やカメラ撮影と画像再生機能まで含むものが一般的になってきており、従来の車載型カーナビの市場を奪う存在になっているが、近年はスマートフォンの普及による新しいタイプの機種との市場競争が激しくなりつつある。メリットは、ある程度安価で持ち運びが自由な点にあり、デメリットとしては、表示画面が小さいものが多く、画面が大きいものは設置場所に制約を受けるケースが多いことがあげられる。レーダー探知機にPND機能を一体化させたものや、気圧計を組み込み、精度を向上させている機種もある。欧米では以前から、防犯上の理由や日本ほど街路が入り組んでいないことから、PNDのような機器が販売されていたが、日本でも高機能を必要としない層への普及や、同時に使用しないセカンドカーやサードカーとの共用、オートバイ・自転車あるいは徒歩での利用などへの市場が拡大している。PNDを車載にする場合は、PND本体を直接ダッシュボードへ粘着テープで固定する形式と、車載用の固定スタンドによって脱着可能な形式がある。携帯電話やPHS、スマートフォンにGPS受信機を搭載し、アプリケーション・ソフトや通信契約によってナビゲーション機能を提供するものもある。高機能な携帯電話を含む携帯情報端末が、ナビゲーション専用機であるPNDの市場を奪いつつある。通信機能を持つ情報端末であれば、テレマティクスによる高度なナビゲーション機能が比較的容易に実現できるため、通信機能を持たない従来型のカーナビでは提供できなかったサービスが可能になると期待されている。メリットは、基本的に通信料のみで機能やデータ更新自体は無料か極めて廉価で提供されている点が挙げられ、デメリットは専用品でないが故に現在地などの取得方法がGPSに限定されているため精度が劣る点やスマートフォンの電池の消費が激しくなる点がある。NTTドコモやパイオニアはそれらの欠点を克服すべく、地図情報をストレージに搭載したスマートフォンにあわせ、充電機能やジャイロセンサーを搭載したクレードルや、最新の地図情報、位置情報の共有などができるドコモ ドライブネットというサービスを開始している。また、スマートフォン、一部のGPS内蔵タブレットでは、Google マップアプリにβ版のナビゲーション機能を搭載しており、音声ナビを含み無料で使用することができる。スマートフォンを車に接続して、車のナビゲーションシステムからスマートフォンのナビアプリを操作できるようにするタイプである。世にリリースされたものでは、アップルのCarPlayや、グーグルのAndroid オートがある。車に搭載されたGPSや車速センサーなどにアクセスできるため、スマートフォン単体に比べて非常に精度の高いナビゲーションが可能になる。これらを複合して測位・地図表示する事をハイブリッド測位と称する。開発初期には、自立航法のみを用いて自車の現在位置を割り出していたため、走行開始後一定の地点で走行する方角の微調整を要した。また、車輪の回転を検出して移動距離の情報とするため、カーフェリー乗船時などには実際の移動を全く反映せず、上陸時に再設定の必要があった。また、GPSの電波航法だけに頼る方式では、当時の米国の軍事上の理由から民間用では位置情報の誤差が100m程度までしか提供されず運用の保障もされていなかったことや、トンネル等の電波が届かない所ではそもそも利用できないなど問題があった。但しGPS方式では、船や列車での移動時も電波が届く所であれば位置情報は得られることになる。民生用のカーナビ製品は日本での普及が最初であった。民生用のカーナビが登場しはじめた頃には、GPSによる電波航法と自らのセンサー類に基づく自立航法が組み合わせられ、さらにCD-ROMに記録された道路地図情報を必要に応じて読み出し、自車走行経路の情報と照合する事で、正確に自車位置を特定するマップマッチングという方式も取られていた。その後、地図情報は記憶容量のより大きなDVDも採用されるようになり、米国製GPS衛星の安定運用への配慮と高精度サービスの開放、車載用TV受像機やカーステレオセットなどとの一体化などもあって、本格的に普及していった。その後は、「ディファレンシャルGPS」によって位置精度をさらに高める工夫や、道路交通情報通信システム (VICS) による渋滞情報や規制情報といった交通情報まで得られる製品も一般的になっている。近年では、DVDに代わりHDDやFlash SSDを搭載することにより動作の高速化・記憶容量の拡大が図られた製品や、テレマティクス による通信機能で地図情報などを更新できる製品や、ワンセグTV受像機、デジタルオーディオプレーヤー、インターネット接続といったデジタル機器類と融合した製品も登場している。日本が世界一のカーナビ大国であるといわれていた当時は、海外での車輌の航法システムは、軍事用や救急車両のような緊急車両用が主流であり、民生用としては趣味品あるいは一部の技術的趣向者むけとしての位置づけが強かった。その後現れた簡易型のカーナビともいえるPNDは、タクシー業者をはじめ個人でも普及しており、インダッシュ型のAV機能などの付加価値付きカーナビはもっぱら高級車に限定して普及している状況である。(BMWやレクサスの上位機種(レクサス・GS等)には全モデル標準装備され、エアコンやパワーシートの制御画面と一体化している。) 海外メーカーにはガーミンやLGフィリップス、TOMTOM、モトローラ、IBM、フィリップスなどがある。世界最大のメーカーであるガーミンの生産台数は、年間1000万台にものぼる。それに対する日本メーカーの生産台数は100万台以下であり、多機能化と高級化に傾注するあまり(ガラパゴス化と高額化が進み)、国際市場を得る機会を逃してしまった。ただし、2010年現在のカーナビゲーション市場においては日本メーカーの生産台数は1割以下だが、日米欧における金額上のシェアは3割以上のため、ハイエンドに特化した戦略とみなすことも可能であり、日本メーカーの取り組みも一概に否定はできない 事実、TOMTOMもインダッシュ型カーナビを作ってクライスラーにOEM供給している。なお、今後の市場予測としては、インダッシュ型は今後も増加傾向が続くが、PNDはスマートフォンカーナビへの移行、及びインダッシュ型カーナビの価格低下により市場が縮小する、とみなす調査報告もある。欧米各国でも日本と同様に、住所(英米で xxx street, フランスで rue de xxx, ドイツ圏でxxx Strasse(Straße), 北欧で xxx Vegen・xxxkatu など)を入力していって徐々に絞り込み検索が行われ、目的地を確定、そしてルートマップと音声案内機能でガイドすることは日本と変わらない。著名施設は大抵直接検索可能である。カーナビ用に用いられる電子地図の表示と案内のシステムは次の機能を持つのが一般的である。同じような地図データを見やすく表示しようと、メーカー各社が工夫している機能に次のようなものがある。日本では、1999年11月から、道路交通法第百二十条第一項第十一号において、「自動車に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視」する行為に罰則が設けられたが、カーナビは手に保持しない物のため、単純な注視は2004年11月以降の法改正後も依然罰則対象にはなっていない。しかしながらも、運転中のわき見による集中力の低下などを抑止するため、パーキングブレーキに取り付けたセンサーや本体の車速センサーと連動させることによって走行中の一部の操作が制限されたり、テレビの映像が表示されなくなる(音声のみとなる)機種が存在する。日本の企業は世界中でナビシステムを輸出しているが、日本で現在販売されているモデルだけにテレビ視聴用のチューナーが組み込まれている。自転車のカーナビゲーションであるサイクルナビゲーションも発売されている。専用の機種や、自動車用のポータブルナビゲーションにサイクリング機能を付加したものもある。専用機種には日本国外メーカーのものが多かったが、2011年にはパイオニアも参入した。
出典:wikipedia
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