現住建造物等放火罪(げんじゅうけんぞうぶつとうほうかざい)は、人が現に住居に使用しているか、または現に人のいる建造物等(建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑)を放火により焼損させることを内容とする犯罪である(刑法108条)。本罪では条文上、具体的な公共の危険の発生が要件になっておらず、既遂時点で公共の危険の発生が擬制されていることから、抽象的危険犯とされる。現住建造物等放火罪(刑法108条)の各要件の解釈については以下の通り。犯人以外の人が起臥寝食の場所として日常使用していることをいい、犯人のみがその建造物等に居住している場合は含まれない。本要件(現住性)については、非現住部分と現住部分が一体となった建造物の非現住部分に放火した場合にも本罪の客体に該当するかどうか、という問題がある。学説上は、非現住部分と現住部分に機能的な一体性または物理的な一体性を認めることができれば、生命・身体への危険が発生すると考えられるので、現住性を肯定できると考えられている。放火の際に、犯人以外の人がその場に居あわせることをいい、居住者全員を殺したうえで家屋に放火する場合には、放火については非現住建造物等放火罪が適用される。なお自動車や航空機など、軌道上を走行しない交通機関への本条適用については議論がある。 新宿西口バス放火事件#事件後を参照。本罪は条文上「焼損」をもって既遂に達する。「焼損」の意義については、保護法益との関係で以下のような学説の争いがある。なお、1989年7月7日の最高裁判所第2小法廷判決においては、エレベーターの壁約0.3平方メートルを焼損しただけでも、この犯罪の構成要件に該当すると判示された。現住建造物等放火罪の法定刑は死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役と規定されており、現行法上殺人罪(刑法199条)と全く同等の法定刑を有する重罪とされている。2004年の刑法改正以前には、当時の殺人罪の刑の下限が3年以上の有期懲役だったため、殺人以上の重罪だった。また、結果的に放火による死亡者が発生していなくとも死刑になる可能性が、理論的にはある。なお、このように現住建造物等放火罪が重く処罰されるのは、現実に当該建造物に居住している者を死に至らしめる危険性が極めて高く、延焼により不特定多数の国民の生命を危険にさらすおそれがあり、殺意を要件とする殺人罪を適用するには時に立証に困難が伴うが、その悪質性により傷害罪・傷害致死罪・重過失致死傷罪では量刑として不足であると考えるからである。また、江戸時代より日本の家屋は木製であり容易に延焼するため放火は死罪となっており、それが今日まで重処罰となっている。保険金詐欺目的に放火をして死者8人と重軽傷者6人を出した昭和郷アパート放火事件は殺人罪や致死罪が認定されずに現住建造物等放火罪で死刑が確定した戦後日本の刑事訴訟では唯一の例となっている。日本国外で罪を犯した日本国民にも適用される。(属人主義、刑法3条1号)現住建造物放火罪の未遂は刑法112条で処罰される。現住建造物等放火罪の予備についても刑法113条で処罰され、その法定刑は2年以下の懲役である。ただし予備罪については情状によりその刑を免除することができる。
出典:wikipedia
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