選挙権(せんきょけん)とは参政権のうちの1つであり、選挙人の資格すなわち選挙に参加できる資格もしくは地位を指す。これは選挙において投票する権利(投票権)のみならず、選挙人名簿への登録や選挙の公示を受ける権利などを含み、広義では被選挙権(選挙の候補者となる権利)を含める場合がある。また、選挙における議員定数に著しい不均衡が生じた場合に、選挙人がその是正のための立法措置を求める権利も含まれるとされている。今日では国民主権の原則から、国民は主権者としての主権行使の一環として選挙に参加できるとする選挙権権利説(せんきょけんけんりせつ)が有力であるが、古くは選挙人団(選挙人の集団)の一員としての公務の一環として選挙に参加する選挙権公務説(せんきょけんこうむせつ)も有力であった。前者の解釈をとった場合には全ての国民は主権者としてそれぞれが平等の権利を有するために普通選挙が原則となるが、後者の解釈をとった場合には公務を執行するにふさわしいと認定された者にのみ選挙権の付与を限定してもよいとする制限選挙の肯定を導き出すことも可能であった。日本においては、1889年に大日本帝国憲法及び衆議院議員選挙法が公布され、一定以上の財産を持つ25歳以上の男子に選挙権が与えられ、数度の改正を経て、1925年に25歳以上の男子全員に選挙権が与えられた。ただし、第二次世界大戦終戦前までは、女性、破産者、貧困により扶助を受けている者(例外として、軍事扶助法による扶助がある)、住居のない者、6年以上の懲役・禁錮に処せられた者、華族当主、現役軍人、応召軍人には選挙権は与えられていなかった。終戦後、1946年に日本国憲法が公布され、これを受けて新たに制定された公職選挙法で20歳以上の男女と定められた。以来、選挙権は20歳以上であったが、後述する公職選挙法の改正で、2016年6月22日以後に公示される選挙から18歳以上に変更された。選挙権年齢のデータがある192の国・地域のうち、170の国・地域が選挙権年齢が18歳以上となっている。世界・地域における選挙権年齢2007年6月にオーストリアが国政レベルの選挙権年齢を18歳から16歳に引き下げており、ドイツのように一部の州が地方選挙の選挙権年齢を先行的に16歳としている例もある。イギリスやドイツでは16歳への引き下げが議論されている。また韓国は選挙年齢を20歳から18歳に引き下げる段階的措置として、2005年6月に19歳に引き下げた。日本では2015年6月に改正公職選挙法が成立し2016年6月19日に施行されたことにより、同年の参議院議員選挙公示日(6月22日)以後に公示される選挙から選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられた。日本では例外的に選挙権を有しない者については、公職選挙法第11条1項・第252条、政治資金規正法第28条、電磁記録投票法第17条に規定がある。イギリスではかつてコモン・ローの下で知的障害者及び心神喪失者には選挙権が認められなかったが、2006年の選挙管理法73条でこれらの選挙権の欠格条項は全廃された。フランスでは、かつて成年被後見人は欠格条項とされていたが、2007年の法改正では後見措置を受けたり更新したりする場合に裁判所の判事が選挙権の維持・停止を判断することとなった。カナダでは、かつて選挙法で「精神疾患により行動の自由を制限されている者又は自己財産の管理を禁じられている者」が欠格要件となっていたが1993年に欠格条項は削除されている。オーストリアでは、1971年国民議会選挙法で行為能力を剝奪された者は選挙権を有しないと規定されていたが、1984年の代弁人制度導入により代弁人を付された者が欠格事由となっていた。しかし、1987年に憲法裁判所が欠格条項を憲法違反としたため1988年に削除された。オーストラリアでは1918年連邦選挙法で「精神疾患の状態にある者」が欠格要件とされていたが、1983年の法改正を経て、1989年の法改正で医師の証明書を添えることで異議を申し立てることができるようになった。日本でも2013年(平成25年)までは、成年被後見人も欠格者であったが、同年3月に東京地方裁判所で違憲判決が出されたことを受け、同年5月に改正公職選挙法が成立し、2013年(平成25年)7月1日から選挙権を回復した。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。