『アウトラン』 ("OUT RUN") は、1986年に発売されたセガ(後のセガ・インタラクティブ)のアーケードレースゲーム。セガが1986年当時に注力していた「体感ゲーム」の、『ハングオン』『スペースハリアー』『エンデューロレーサー』に続く第4弾として発表された。一連の体感ゲームシリーズの中でも『アフターバーナー』と並ぶ代表作である。真っ赤なボディに大きな画面とスピーカーを備え付けた可動筐体は多くの人の関心を集めた。美しい音楽と次々に変化する色彩豊かなステージや、当時の名車を髣髴とさせる姿で描かれた登場する車が大きな魅力のひとつである。自車はフェラーリ・テスタロッサをモチーフにしており、ゲーム上の最高速も当時のテスタロッサが公式発表していた293km/hであった。なお、コース上に登場する一般車両はフェラーリ・365GTS/4デイトナ、フェラーリ・288GTO、フォルクスワーゲン・ビートル、シボレー・コルベットなどに似たものが見られる。全部で4種類の筐体がある。可動筐体にはデラックス版とスタンダード版の2種類があり、ハンドル操作に合わせて筐体が左右に可動し、クラッシュやコースアウトの際にはガタガタ細かく揺れた。非可動タイプにはBOX型のコクピット版と、小型で立ってプレイするアップライト版があった。アップライト版は輸出用であるため、シフトノブが右に付いている。これは日本国内ではあまり見かけられなかった。ソフト面では新・旧2種類のバージョンが存在し、それぞれステージ構成が異なる。日本国内では、出荷時期の違いによって両方のバージョンが流通した。海外では新バージョンのみのため、旧バージョンは国内版、新バージョンは海外版とも呼ばれる。鈴木裕、石井洋児らは開発に先立ち、ヨーロッパで約2週間のロケハンを行なった。ドイツ・フランクフルトを出発し、ロマンティック街道を通り、アルプス山脈を越え、イタリア・ローマに到着するまでの行程をBMWで走行し、ルーフに取り付けたカメラで撮影した。この際、ドイツの高速道路アウトバーンで190キロ以上のスピードを出したが、メルセデス・ベンツにあっさり追い抜かれたという。ヨーロッパ各所を舞台にフェラーリ・テスタロッサを模したオープンカーを運転し、制限時間内に次のチェックポイントに到着する。全部で5ステージ。1 - 4ステージの後半には分かれ道が現れ、どちらかを選択するかによって、16通りのルートが選べる。(以下国内版のもの)このゲームにはハイスコア集計に影響を与えた裏技として「ギアガチャ」が存在する。これを利用して、通常ではあり得ない大胆なショートカットを行う走法が発見されると、それまでの全国集計ハイスコアランキングが一変した。そしてこの技が雑誌ゲーメストやマイコンBASICマガジンなどで紹介され、波打ち際や、コーナーイン側の障害物の更にイン側を最高速で走る衝撃的な画面写真と共に、全国のゲーマーの間に広まって行った。さらに、スタート直後とクラッシュからの再発進時に車両の回転数を合わせて発進と同時にアクセルを踏み込み、前述のギアガチャと絶妙なタイミングで組み合わせると最高速が294km/h(実際には推定300km/hを超えていると思われる)になるという裏技も発見され、これを行う事によってゴール時に残るタイムがそれまでのものと比べ物にならないほどとなり、比例してゴール時のタイムボーナスが加算された為にハイスコアがさらに塗り替えられた。この裏技は前述の「ギアガチャ」のようにグラベルに乗る手前と乗った後で行うだけでなく、ターマック上でもギアガチャを継続的に行う事で「294km/h」が維持できるという裏技であり、成功にはかなりシビアなタイミングが必要であったが裏技に成功したプレイヤーは事故を起こすかゴールするまでの間を常に「ギアガチャ」を行った。これらの裏技は「ギアガチャ」という特徴的な名前とその桁外れな効果によって広く知られたが、一方では手順を正しく理解しないまま挑戦しようとするプレイヤーが続出した。さらに、技のやり方を分かっていてもタイミングを合わせるのがそれなりに難しいことも相まって、闇雲にガチャガチャと何度も激しくギア操作してプレイする光景が各所で見られた。このことが原因でシフトレバーを破損する筐体も多く、やむを得ず「ギアガチャ」を禁止する店舗も見られた。また、ゲームに熱中しすぎて「ギアガチャ」を行う際にシフトレバーで指を挟むなどして怪我する人も多かった。 原典であるアーケードゲーム版BGM(ゲームミュージック) は「MAGICAL SOUND SHOWER」、「SPLASH WAVE」、「PASSING BREEZE」の3曲。レース開始前にカーラジオを模した表示画面で選択する。これらBGMの楽譜はマイコンBASICマガジンに掲載された他、アルファレコードのGMOレーベルから発売されたサントラLP「セガ・ゲームミュージック VOL.1」などに付属していた。また、セガサウンド部門関係者を中心に結成されたゲームミュージックバンド「S.S.T.BAND」によるアレンジ曲のCDも、後にGMO関係者がポニーキャニオンから立ち上げたサイトロンレーベルより多数リリースされている。なお、「PASSING BREEZE」のタイトルは最初は「PASSING WIND」で、これは「おなら」を意味する言葉と後でわかり変更を余儀なくされたというエピソードが存在する。さらに、本来「PASSING BREEZE」と「SPLASH WAVE」はタイトルが逆で、製品化段階の手違いで今の形に入れ替わった。なお、同社の「初音ミク -Project DIVA- Arcade」で、曲者Pが歌詞をつけた「MAGICAL SOUND SHOWER」がプレイできる。月刊誌『ゲーメスト』(新声社)誌上で行われていた「第1回ゲーメスト大賞」において総合4位を獲得、その他にベストエンディング賞で5位、ベストグラフィック賞で5位、プレイヤー人気で1位、大型筐体ゲームベストインカムで1位を獲得した。1991年にそれまで発売されていたアーケードゲーム全てを対象に行われたゲーメスト読者の人気投票によるゲーメストムック『ザ・ベストゲーム』では11位を獲得、同誌では「当時のプレイヤーをうならせたのは、やはりリアルなグラフィックから伝わってくるスピード感と爽快感だろう」、「グラフィックの美しさ、コースを選べるといったゲーム性の高さ、操作性の良さなどが加わって、マニアから一般客まで非常に広い層に受け入れられる大ロングヒットとなった」と評している。ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは7・6・8・5の合計26点(満40点)、「月刊PCエンジン」では85・70・70・80・80の平均77点(満100点)、「マル勝PCエンジン」では7・7・7・7の合計28点、「PC Engine FAN」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、20.96点(満30点)となっている。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で265位(485本中、1993年時点)となっている。続編に『ターボアウトラン』(1989年)、最大8人で競走できる『アウトランナーズ』(1992年)が登場した。『ターボアウトラン』は、フェラーリ F40に自車が変更になり、シフトレバーに付いているターボスイッチ(旧アウトラン筐体からのコンバージョンの場合はスタートボタン)を押すと、一定時間急加速できるようになったのが特徴。他にもライバル車の存在や、中間地点でのパーツ交換によるパワーアップ(ハイグリップタイヤ、ハイパワーエンジン、スペシャルターボを選択可)などの新要素がある。しかし、旧アウトランの特徴のルート分岐はなくなった。『アウトランナーズ』はこのシリーズで初めて対人対戦と、性能の違う複数の車から自車の選択が可能になった。ルート分岐も復活した。2003年、17年という非常に長い時を経て、正統続編として『アウトラン2』が発表された。フェラーリから正式にライセンスを取得して、実に8台もの歴代の名車を堂々と実名で使用している。コースの両脇にはフェラーリF1のスポンサーでもあるAMD、オリンパス、ボーダフォンとブリヂストンの看板が多数現れる。
出典:wikipedia
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