スイッチバック()とは、険しい斜面を登坂・降坂するため、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに敷かれた道路又は鉄道線路である。またそうしたスイッチバック設備(道路、鉄道線路)を走行する運転行為をスイッチバックと呼ぶことがある。さらに、勾配があるかどうかによらず、分岐器を設けて線路を鋭角的に接続し列車を2線路の接続点で折り返し運転するために設けられたスイッチバック式停車場(スイッチバック駅)と呼ぶことがある。Switchback stationの類語として折り返し駅 (reversing station) があるが、折り返し駅 (reversing station) の場合は「列車が継続して先に進むために敷設された、進行方向を反転しなければならない場所」を指す。スイッチバックとは、急斜面を登るために多数(または複数)の鋭角カーブを有するに敷かれた道路または鉄道線路、または上下(縦方向)にうねった軌道であり、主に米国で用いられる。北米英語でのswitchbackには、(180度の急カーブ)の意味もある。イギリス英語や旧語でのswitchbackは、を指す。いずれの場合も、switchbackを行為の表現で用いる場合は「(縦方向・横方向に係わらず)ジグザグに進む動作」である。日本語の主な国語辞書においても、「スイッチバック」はおおむね「急勾配を伴う地形における折り返し式(ジグザグ運転を伴う)鉄道線路」の意味が記載されている。日本の鉄道書籍においても同様の例が見られ、青木栄一は、自著の中で「スイッチバック線」「スイッチバック駅」を「後退と前進を伴うもの」としている。一方、停車場の分類としてスイッチバック停車場と折り返し停車場を別個に記載している例があるものの、勾配地の如何によらず分岐器を設けて線路を鋭角的に接続し列車を2線路の接続点で折り返し運転するために設けた停車場を「スイッチバック式停車場」と称する例もある。日本では世界でも屈指の勾配である箱根登山鉄道が有名で、車掌と運転手が交代する光景が見られる。また日本の鉄道趣味誌では、平地において線路敷設の経緯などから折り返しとなるような線路配置となったものを指して「都市形スイッチバック」や「平地形スイッチバック」などの語句の使用例もある。なお、日本の古書では、スイッチバックを「鋸歯軌道」と記載している鉄道工学書籍が見られる。スイッチバックの分類方法は、その構造や歴史的経緯などから様々である。大島登志彦は、スイッチバックを設置形態別に4種類に分類している。これ以外の分類方法として、例えば祖田圭介は、まず山岳スイッチバックと都市形スイッチバックに大別した上で、本線の単線・複線の別、折り返しの回数、通過の可否、設置上の特徴などでより細かく分類している。スイッチバックの長所としては、同じく勾配の克服技術であるループ線に比べて路線の距離を短縮でき、工費も工期も節約できるということが挙げられる。また、トンネルを建設することでも勾配を克服することができるが、古い時代の土木技術では長大トンネルの建設は困難であり、峠越えに際してはできるだけ峠を登って高い位置に短いトンネルを設けることが求められたため、スイッチバックが採用される理由となった。これは一方で、長大トンネル掘削技術の進歩に伴って、新たに採用されるスイッチバックが減少するという結果にもつながっている。スイッチバックの短所は、以下の様な多くの制限を受け得ることである。スイッチバック式停車場 (switchback station) は、急勾配の登坂目的で設置されたスイッチバック設備の途中に設けられた鉄道駅(停車場)のことである。このスイッチバック式停車場には、従来の勾配上の駅に設置されたスイッチバック式停車場の技術に準じ、勾配の有無によらず、分岐器を設けて線路を鋭角的に接続し列車を2線路の接続点で折り返し運転するために設けられた鉄道駅(停車場)も含めている。日本に現存するスイッチバックを、大島の4分類に分けて示す。この形態のスイッチバックは勾配に伴うものと、路線の形成経緯によるものがあり、後者の形成過程には様々な要因が存在する。例えば、飯能駅や会津若松駅のように市街地に駅をつくるためや、既設の駅に乗入れるための線形上(頭端式ホーム)などの要因、遠軽駅や新可児駅のように別々に形成された2路線が後に統合された例などがある。ヨーロッパの都市中央駅、ターミナル駅にはこのスタイルの駅が多い。塩尻駅は中央本線の中間駅であり、もともとは方向転換駅ではなかった。しかし東京側からの中央東線も名古屋側からの中央西線も、塩尻駅で分岐する篠ノ井線へ直通する流れとなっており、中央西線と篠ノ井線を直通する列車にとっては塩尻駅で折り返し運転となっていた。そこで1982年5月に塩尻駅を移転し線路を付け替えて、中央東線からも中央西線からも篠ノ井線へ直通運転できる配置とした。これに伴い、中央本線という路線としては塩尻駅で折り返す形態となった。スイッチバックに類似したものとして、「加速線」と呼ばれるものがある。停車場自体が勾配上にあるか、停車場の構内を出た直後から勾配が続く場合、停車した列車が十分な加速をする前に上り勾配にかかってしまい、登坂に必要な力が得られない場合がある。このような場合、停車場の下り勾配側に水平(ないしは駅・信号場に向かって若干の下り勾配)の引上線を設置することがあり、これを「加速線」と呼ぶ。停車場から上り勾配方へ進行する列車は、いったん加速線に待避し、加速線上で十分な速度を得てから上り勾配に向かう。停車場の下り勾配方のみに引上線があり、上り勾配方には引き込み線がないことが、スイッチバックとの構造上の違いである。また、その性質上、加速線を利用するのは勾配を上る列車だけで、下る列車は利用しない。第二次世界大戦中に、輸送力増強のために従来の建設規程を上回る勾配の場所にも行き違いのための信号場が増設される例が相次ぎ、その際にこの加速線を採用するところがあった。こうした信号場を戦時形信号場と呼ぶ。一般営業されている路線ではない鉄道で、富山県において砂防工事に使用されている国土交通省立山砂防工事専用軌道には、2006年時点で38か所のスイッチバックが存在している。特に樺平連絡所付近には連続18段という類を見ない規模のものである。
出典:wikipedia
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