気象庁地磁気観測所(きしょうちょうちじきかんそくじょ)は茨城県石岡市柿岡にある気象庁に所属する施設等機関である。地球磁気・地球電気に関する観測および調査を行う機関である。茨城県石岡市柿岡のほか、北海道網走郡大空町に女満別観測施設、鹿児島県鹿屋市に鹿屋観測施設、東京都小笠原村父島に無人の常時観測点を置く。柿岡以外は無人で観測を行っている。電線に電気を流すと常に磁気が発生する。磁気は「右ねじの法則」にしたがって発生するために直流だと常に一定方向の磁場を作り出すが、地磁気観測では直流電流から発生する磁気(ビオ・サバールの法則)により悪影響が出る。一方、交流電流の場合では周期的に極性が入れ替わるため磁場が互いに打ち消され地磁気観測への影響が少ない。そのため、東京で鉄道の直流電化が大きく進展しはじめたことが1913年に茨城県柿岡町(後に合併し石岡市に)へ移転した理由の一つでもある。戦後、電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準を定める省令」が施行された。これには地磁気観測所周辺での鉄道の電化について細かく規制されており、基本的に観測所を中心に半径30km以内で周囲電化する場合は、原則的に交流電化もしくは観測に影響を出さない対策を施した上での直流電化が義務づけられている。1949年には日本国有鉄道(国鉄→現・JR東日本)常磐線が取手まで直流電化された。取手以北の電化については当観測所に与える影響もありしばらくは進展のない状態であった。その後1961年に取手 - 勝田間が電化されたが直流電化では対策費用が莫大になることや技術的な問題から交流電化とし、取手 - 藤代間にデッドセクションが設けられた。引き続き1967年の同水戸線の全線電化でも交流電化とし、小山 - 小田林間にデッドセクションが設けられた。また首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスでは開業当初から茨城県内の大部分を交流電化とした。さらに関東鉄道常総線・竜ヶ崎線と鹿島臨海鉄道大洗鹿島線は設備費用の問題もあり非電化のままである。なお、本件については「交流電化」も参照のこと。なお、女満別出張所はJR北海道石北本線沿線となるが非電化。鹿屋出張所はかつて近隣を走っていた大隅線(廃線)は非電化で、現在の最寄駅がJR九州日南線の志布志駅・日豊本線の国分駅もしくは都城駅で、前者が非電化で後者が交流電化となっている上に3駅とも30km以上離れているため観測への影響は小さい。また父島観測点には鉄道がない。一方、千葉県君津市の鹿野山で当観測所同様に地磁気観測を行う国土地理院鹿野山測地観測所が存在する。こちらでは付近のJR東日本内房線(当時・国鉄房総西線)が1969年に直流電化されたが対策として通電区間を数km単位に細分化させ、それぞれの区間に1変電所を設置した上で絶縁する「直直デッドセクション」方式が採用された。地磁気観測には短周期観測と長周期観測の2種類があり、直流電流の影響を受けるのは短周期観測である。長周期観測では古いデータとの接続をするための補正法がないので観測所移転は困難であるが、直流電車が走行した際に発生させるノイズの許容限界が非常に大きいので直流電化しても問題は無い。短周期観測ではノイズの許容限界が非常に小さいため、1980年代以前までの見解では観測所移転の検討などの課題があった。1980年代に5年程度の比較観測したところ「新しい地点と古い地点のデータの接続ができる」ことで問題がないと判断された。このため短周期観測については必要な条件が整えば新しい観測地点へ移転できるという結論に達した。実際に短周期観測所移転の計画ならびに取手 - 土浦間の直流電化変更の許可も存在しているようである。その後、移転・直流電化への変更はされていない。また、この議論の後に開通したつくばエクスプレスでも守谷 - つくば間は交流電化で開業した。
出典:wikipedia
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