ウンウントリウム()は、原子番号113の元素。元素記号はUut。正式名称が決定していないため、IUPAC による系統名で呼ばれている。周期表で第13族元素に属し、タリウムの下に位置するため「エカタリウム」と呼ばれることもある。超ウラン元素では比較的長寿命とされ、Uutの平均寿命は2ミリ秒であることがわかっている。2003年8月、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所とアメリカのローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームがアメリシウムとカルシウムからウンウンペンチウムの元素合成に成功し、翌2004年2月、そのα崩壊の過程で0.48秒間、ウンウントリウムを観測したと発表したが、命名権は得られなかった。2004年9月28日に日本の理化学研究所は、森田浩介博士らの率いるグループが線形加速器を用いて光速の10%にまで加速したZnをBiに衝突させる事でウンウントリウムの合成に成功したと発表した。この実験は80日間にわたって、(1秒間に2.8兆個)の亜鉛原子核をビスマス原子核に約 照射した。生成したウンウントリウムの原子核は344マイクロ秒 () でα崩壊し、レントゲニウムの同位体となったのを、同年7月23日に検出している。2006年6月には、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームが、ネプツニウムとカルシウムからウンウントリウムの合成に成功したと発表している。2009年にはドゥブナ合同原子核研究所やアメリカのオークリッジ国立研究所などによるバークリウムとカルシウムからウンウンセプチウムを元素合成する共同研究において、その崩壊過程でウンウントリウムを検出している。2012年9月27日、理化学研究所は3個目の合成を発表した。Uutが6回のα崩壊を経てMdとなる崩壊系列の確認に初めて成功した。前回は4回目のα崩壊で生じるDbが自発核分裂してしまったが、今回はα崩壊(確率は2/3)し、次のLrもα崩壊でMdとなるのを観測できたため、合成した原子核がウンウントリウムだと証明できた。複数の発見者(命名権獲得)候補があったが、日本時間の2015年12月31日、IUPAC評議会は延期していた、発見報告のある118番までの未発見元素4つについて認定することを発表し、日本の理化学研究所の研究グループがウンウントリウム(113番元素)の命名権を獲得したと発表した。新元素の発見はアジア初の快挙である。同研究グループが既に名称案をIUPACに提出しており、早ければ1年後の2016年末〜2017年初め頃にも承認・決定される見通しである。2016年6月8日、IUPACはウンウントリウムのほか、ウンウンペンチウム(115番元素)、ウンウンセプチウム(117番元素)およびウンウンオクチウム(118番元素)の名称案を発表。ウンウントリウムの名称案は「nihonium(ニホニウム)」(元素記号:Nh)とされた。これは発見国であるにちなんだ名称である。これらの元素の名称案について約5ヶ月間、一般からの意見を公募しパブリックレビューを受けた上で正式決定する見通しとなっている。理化学研究所のチームが、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所およびアメリカのローレンス・リバモア国立研究所、オークリッジ国立研究所による合同研究チームと命名権を争うこととなり、その行方が注目されていた。理化学研究所のチームは2004年7月23日と2005年4月2日の2回の合成をもって2006年と2007年に合同作業部会に申請したが、認定は見送られている。同チームはその後2008年から2009年にかけての実験で、崩壊過程で生じるBhの存在をより確実にすることで証拠を補強した。しかし2011年1月に発表された、国際純正・応用化学連合 (IUPAC) と国際純粋・応用物理学連合 (IUPAP) の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書でも、113番元素の認定は見送られている。その一方で米露のグループは114番元素と116番元素の発見を認定されている。これは理化学研究所のような確実な証拠が無くとも充分な状況証拠があれば命名権が得られる前例となり、理化学研究所にとっては逆風となった。理化学研究所のチームは2012年の合同作業部会にも申請しており、その審議中の8月12日に3個目の生成に成功している。レントゲニウムは重イオン研究所が3個目の生成後に命名権を得ているため、命名権を獲得できる可能性が高まった。この年の申請は5月に締め切られており、追加の証拠という形で受理はされたものの、直ちに認定とはならなかった。さらに何回か生成と崩壊系列を確認すれば命名権がより確実になるものの、必要な設備は動かすのに数百万円から数十億円かかり、容易ではなかった。一方で翌年の2013年には米露のグループも状況証拠のみで命名権を満たす程度の充分なデータを揃えており、もし前年に理化学研究所が3例目の証拠を提出していなければこの時点で米露のグループが命名権を得ていた可能性が高かったと関係者は見ている。2015年8月のIUPAC評議会では認定および命名権の付与が検討されたものの決定が延期となっており、日本時間の同年12月31日にようやく認定に至った。114から118番元素まではいずれもアクチノイドをターゲットにした励起エネルギーの高い「熱い核融合」により、合成に成功したグループに命名権が与えられている。この手法は、重い原子核を材料とするため成功率は高いが、必然的に中性子を多く含むため自発核分裂を生じやすく、『崩壊系列が、既知の核種に到達すること』という発見の大原則を達成できず、状況証拠どまりとなりがちだった。一方、113番元素において理化学研究所は、中程度の重さの原子核同士を材料とする「冷たい核融合(コールドフュージョン)」により、自発核分裂を起こさず既知の核種に崩壊系列が繋がる、確実な証拠を得ることに成功した。理化学研究所の新元素合成実験は1990年代後半に「ジャポニウム計画」と名付けられ、以来実施されてきた経緯があり、113番元素の名称についても「ジャポニウム」(予定元素記号:Jp, Jn)が最有力とみられていたが、2016年6月8日には前述のとおり同研究所のチームがIUPACに提出した名称案は「ニホニウム」(予定元素記号:Nh)であることが公表された。ジャポニウム若しくはジャパニウムという名称が最有力とされながらも、最終的に候補から除外された背景には、母国語である日本語にこだわった点と、英語圏における日本人の蔑称である「ジャップ」を連想させるという懸念があったことなどの理由がある。なおこの他には、同研究所所在地の和光市からワコニウム、和光市の旧地名でもある大和町からヤマトニウム、物理学者の仁科芳雄にちなむニシナニウムなどの候補も挙がっていた。またニッポニウム(予定元素記号:Nm)は、43番元素として一度命名されたものの取り消された、レニウムを巡る過去の経緯から混乱を避けるため採用できないルールとなっており、除外されていた。イギリスの科学雑誌『ネイチャー』はブログ版「」で専門家による元素名の予想をオッズ付きで行なっており、このページでは上記の候補の他に、天照大神にちなんだ "Amaterasium" や煙々羅にちなんだ "Enenraium"、ゴジラにちなんだ "Godzillium" なども候補として挙がっていた。2016年6月8日、理化学研究所は113番元素の新名称として「ニホニウム(nihonium)」(元素記号:Nh)と命名する案を発表した。
出典:wikipedia
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