『サーキットの狼』(サーキットのおおかみ)は、漫画家の池沢さとしが1975年(昭和50年)から1979年(昭和54年)にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載した漫画作品。続編に『サーキットの狼II モデナの剣』、『21世紀の狼』がある。実写映画が1977年に製作・公開された。愛車ロータス・ヨーロッパを駆る主人公の風吹裕矢が、一匹狼の走り屋から始まり公道やサーキットを舞台にライバル達との競争を繰り広げ、プロレーサーへと成長していく物語である。ライバルとしてポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、日産・フェアレディZ、シボレー・コルベット、トヨタ・2000GTなど、世界中の著名なスポーツカーが多数、劇中に登場。いわゆるスーパーカーブームの火付け役となった。単行本の発行部数は1977年時点で1100万部を突破し、累計では1700万部を記録している。主人公・風吹のマシンと勝負イベントを中心にストーリーの概略を示す。ストーリー整理の便宜上、風吹のマシンが主にロータスヨーロッパである街道レーサー時代とプロレーサー時代で章を分けて紹介する。なお、作品上は特に『~編』という分類で発表されていない。一匹狼の走り屋、風吹裕矢は愛車ロータス・ヨーロッパを駆り、巷で「ロータスの狼」と呼ばれていた。デ・トマソ・パンテーラに乗った暴走族・極道連のスポンサー(栃木の農家の息子「通称ぼっちゃん」)からの誘いを受けているミキを咎めた風吹はパンテーラとのシグナルグランプリで勝負し、あっさりと勝利してしまう。極道連からの恨みを買った風吹は以降しつこく命を狙われる事になる。ロータスヨーロッパを駆る風吹とポルシェ911カレラRSを駆る早瀬の初バトル。新宿中央公園に集結していたポルシェの暴走族「ナチス軍」に喧嘩を売った風吹は総統である早瀬佐近と首都高速で勝負をすることになった。新宿ランプを起点に4号線~都心環状線~4号線と走り、新宿ランプがゴール。風吹はガードレールに足回りを強打しスタビライザーにダメージを負い、ゴール寸前で負けてしまうが早瀬は風吹のマシンの故障を理由として勝負はノーカウント(勝ちの証明である★マークを付けない)とした。二人はこのときからライバル関係となり、同時に友情も築いていくことになる。ある日風吹は交通機動隊のパトカーの隊員、沖田に声を掛けられる。風吹は車好きの沖田と意気投合し、ライバルとしての友情が芽生える。風吹は姉ローザの恋人で若手のホープと呼ばれるプロレーサー飛鳥ミノルと車趣味を通じ意気投合する。後日、飛鳥のミウラに同乗した風吹は沖田のパトカー(フェアレディ240ZG)に追いかけられるが、沖田は時速230キロから直角にコーナリングするという飛鳥のテクニックに翻弄されクラッシュしてしまう。沖田のZはフロントを激しく損傷し追跡不可能となってしまった。風吹は飛鳥の薦めで富士スピードウェイのスポーツ走行を体験する。そこには早瀬のポルシェの姿があった。飛鳥は早瀬の父の会社である早瀬電機からレースのスポンサードを受けており、早瀬にドライビングテクニックを教えているという間柄であった。風吹は首都高バトルでの早瀬のテクニックが飛鳥のレッスンで培われたものと知る。そして極道連とのシグナルグランプリで知り合ったミキも早瀬の見学に来ていた。ミキが早瀬の恋人であると疑う風吹。そこに突然現れた軟派な金髪ハーフの隼人ピーターソンがミキに声を掛けた。ピーターソンはミキとのデートの約束を賭けて風吹、早瀬との勝負に愛車トヨタ2000GTで挑む。富士スピードウェイのコース上では風吹のロータスは他の二台に比べパワーで劣り圧倒的に不利。しかし早瀬のポルシェとのバトルに熱くなったピーターソンは風吹にスリップストリームを許し、風吹はゴール直前でスリップを抜け出し一気に勝負に出る。ゴールラインで3台は横一線に並び、勝負つかず。その後、ホームストレート上で行うゼロヨン競争で再度勝負し、初めて勝利した風吹はミキとのデートを楽しむ。そこで風吹はミキが早瀬の妹であることを知る。富士スピードウェイでのバトルを見ていた車好きの実業家、谷田部行雄は風吹の走りに感銘を受ける。風吹はミキとのデート中に立ち寄った喫茶店で谷田部と遭遇した。谷田部は風吹に将来日本人F1ドライバーを育てる夢を熱く語る。そこに沖田が現れた。谷田部は既にスポンサーとして同郷(秋田県)で警官の沖田に目をつけており、風吹と沖田のどちらかをバックアップしていく事を誓う。沖田は谷田部の申し出を受け入れ、警官を辞める事を決意する。そして谷田部は沖田にディノ246GTを与え、沖田は公道グランプリに出場することになった。全国から腕自慢の街道レーサー達が集まる非合法イベント「公道グランプリ」に風吹は早瀬とともに参加することになった。前年勝者はピーターソンであり今回の優勝候補でもあった。谷田部からディノ246GTを提供された沖田は密かに参加するが、既に病魔(結核)に冒されていた。未明のスタートから間もなく多数の車を巻き込む大事故が発生する。被害者を気遣った風吹は序盤から大きく出遅れてしまう。風吹は中盤で上位に上り詰めるが沖田の体調を気遣い、再び下位に沈む。途中、極道連の罠がいくつも仕掛けられるが失敗。ついに極道連は風吹の右腕をナイフで刺し重傷を負わせる。オートバイでレースを見守っていたミキが風吹の異変に気づき、助手席に強引に乗り込む。ミキは風吹の右腕の代わりにシフトチェンジを行うことになった。一方、早瀬のポルシェはトラックから落ちてきた丸太が当たり、オイルパンを損傷。オイルを漏らしながら走り続けることになる。天候が霧、雪、嵐と悪化していく中で風吹は再び上位に浮上。ピーターソンは殺人的な攻撃を仕掛けつつトップ集団を走っていたが風吹と絡んだ挙句、海へ転落しリタイアした。瀕死の重傷を負ったピーターソンは風吹へ強い憎悪を持つようになる。沖田は病魔と闘いながら終盤トップに浮上。風吹のロータスは度重なるバトルで様々なダメージを負い、スタビライザーの損傷によりまともに走れる状態ではなくなっていた。ゴール直前で横転し逆さになったロータスは急にスローダウンした沖田のディノを抜きゴール。これで風吹が1位、沖田が2位。早瀬のポルシェもゴール直前でオイル切れによりエンジンブローしながらも惰性でゴールし3位となった。沖田はハンドルを握ったまま絶命していた。ロータスヨーロッパが公道グランプリのダメージを修理中で乗る車の無い風吹は谷田部の計らいで沖田のディノに乗っていた。風吹は富士スピードウェイでGCレースを観戦し、そこで飛鳥は5連勝目となる優勝を挙げた上でローザとの結婚を発表する。風吹は帰り途中の東名高速でまたもや極道連に狙われる。数々の戦いで圧倒的なテクニックを身につけた風吹は、その走りで極道連をぶっちぎる。格の違いを思い知らされた極道連総長は風吹を男として認め、今後は一介の走り屋出身のレーサーとしてさらに男を上げるようエールを送る。風吹はもはや暴走族で収まる器ではない男に成長していた。その後、風吹は飛鳥から腕前を披露してくれと言われ海岸の駐車場までの道のりを勝負することになる。二人は公道を時速200キロ以上で突っ走り、追走するパトカーをはるか後方へ追いやる。飛鳥のミウラは風吹にプロレーサーの腕を遺憾なく発揮し、限界を超えた風吹はコースアウトしてしまう。飛鳥の行動は風吹に公道の恐ろしさを教えるものであった。風吹は飛鳥に対しプロレーサーへの道を宣言する。そこにパトカーが到着。乗っていたのは沖田の同僚、土方であった。土方も沖田の遺志を継ぎ、プロレーサーになることを宣言する。沖田亡き後、風吹へのバックアップを決意した谷田部はロータス・ヨーロッパ用ターボチャージャー開発を行い、早速風吹のマシンに取り付ける。一方、早瀬は廃車となったカレラRSの代わりとしてポルシェ930ターボを手に入れていた。フェアレディZ432Rを駆るシュトコー戦闘隊・神風の魅死魔国友はホームである首都高速でのバトルを風吹と早瀬に挑む。戦いは早瀬、風吹、魅死魔の順で終わる。その中で風吹はターボ車の弱点(ターボラグ)をカバーする走りを見出した。風吹と早瀬は公道での走りを卒業することを決意し、レーサーへの道の第一歩として筑波サーキットでA級ライセンスの取得をする。そこで模擬レースを走る事になるが、新たなライバル達が風吹や早瀬を倒そうと意気揚々としていた。ターボで武装した風吹のロータスは以前に比べ飛躍的にパワーが増大したものの、早瀬のポルシェターボやフェラーリ、ランボルギーニといった高性能マシンの前には非力であり苦戦を強いられた。大クラッシュやオイルによるコース汚れが発生するなど波乱の展開となった。圧倒的な強さを誇った早瀬が1位となり、続いて風吹が2位でゴールするもロータスはエンジンブローしてしまった。風吹はこの戦いを終えダメージを負っている相棒ロータスへの感謝の意を表した。沖田のディノは流石島で行われるレースのためにレーシングカーとして大改造する事になった。そこに山岸みのりが新車のポルシェ930ターボで風吹の前に現れる。風吹はみのりのポルシェに乗り、早瀬のポルシェと合流する。風吹と早瀬は東名高速に現れてはスポーツカーを事故においこむ謎のGCカーの正体を探るべく、2台のポルシェで東名高速へ向かう。途中、マセラティ・ボーラの切替テツも加わった。風吹は新車でブレーキのあたりがついてないポルシェに苦戦するが、早瀬と謎のGCカーをテクニックを駆使して追い込み、勝負に熱くなったGCカーは無謀な突っ込みをしてクラッシュしてしまう。GCカーの正体は日頃からジグザグ走行のスポーツカーに悩まされる職業トラックドライバー達の恨みから始まったものだった。A級ライセンス取得後、風吹のデビューレースは瀬戸内海の孤島に新設された流石島サーキットレースであった。沖田の形見であるディノを大改造したディノRSで出場する風吹とヨーロッパレースの実戦車ポルシェRSRターボを取り寄せた早瀬は新たな戦いに挑む。旧来のライバルであるピーターソン (BMW3.0CSL)、土方(フォードカプリ2000GT)、魅死魔(リジェJS2)、ハマの黒ヒョウ(カウンタック)、切替テツ(マセラッティボーラ)、北海の龍(ストラトス)に加え、新たなに潮来のオックス(イオタ)、フェラーリの女豹 (308GTB)、四国の獅子(パンテーラ)、ジャック・シンカー(コルベット)、鈴木サトル(ヨーロッパ)が出場する。これに触発され飛鳥のミウラも参加が急遽決定した。スタートして間もなく早瀬、オックスらがトップグループを形成。風吹は復讐に燃えるピーターソンの攻撃で中盤に沈む。風吹は女豹とトラブルで出遅れた飛鳥と共に上位を目指し追い上げる。この中で風吹は幻の多角形コーナリングを開眼した。度重なるクラッシュにライバル達は次々と脱落していき、雨の予兆を感じ取った早瀬はレインタイヤにチェンジ。女豹とサトルも同時にレインに。狙い通り雨が降り出しペースダウンを強いられるスリックタイヤ勢を横目にレインの3台は1週30キロというコースの特性を生かしてリードを築き、悠々とトップ3を形成する。一方、四国の獅子の仲間は崖からコースめがけて多数の岩を落としレースのかく乱を狙う。コースに散らばった岩でトップグループは足どめを喰らい、再びレースは振り出しに戻る。風吹の命を狙うピーターソンは30度バンクの高速域で風吹をプッシュ。しかし止めに入った女豹がはじき出され308GTBは爆発炎上し命を落とす。怒りが頂点に達した風吹はピーターソンとの死闘を繰り広げクラッシュに追い込んで女豹の敵をとった。日が沈み、終盤にはいよいよ早瀬と風吹の一騎討ちとなったが接触により風吹はヘッドライトを失う。早瀬は足回りに異常をきたしたがトップで走行を続ける。最終ラップとなり緊急ピットインによりライトを取り戻した風吹はマシンの異常でペースダウンする早瀬に怒涛の追い上げを見せる。最終コーナーで並んだ2台はほぼ同時にチェッカーを受けるがわずかにリードした風吹は見事デビューウィンを飾った。しかし早瀬はゴールラインを越えピットウォールに激しく突っ込む大クラッシュを起こしてしまった。風吹は谷田部の薦めでTSサニーを駆り、富士フレッシュマンレースに出場する。練習走行ではコースレコードを記録する走りを披露。そして怪我で療養中の早瀬に代わり、強力なライバルとなる椿健太郎が現れた。レースは風吹と椿の一騎討ちとなり、第1コーナーのせめぎ合いでは椿が勝ち、風吹は下位に沈む。リードしていた椿のサニーは風吹の追い上げを意識しすぎて回し過ぎ、エンジンブロー。これで風吹は優勝となった。なお、風吹サニーのチューナーは「まつおか自動車」、椿サニーのチューナーは「土屋エンジニアリング」であり、ともにマイナーツーリングレースにて活躍していた実在のチューナーである。尚、土屋エンジニアリングは現在もレースサポートをしている。街に突然現れてはスポーツカーをクラッシュに追い込む2台のスーパーカー、フェラーリ512BBとランボルギーニ・カウンタックLP500Sが社会問題となっていた。ローザとドライブを楽しんでいた飛鳥のミウラも2台の襲撃を受け、相手がマシンだけでなく相当なテクニックを持つ男達である事を知る。谷田部は全国の暴走族トップクラスの走り屋を集めて対策を行う事を発案。そのリーダーに風吹を任命し、ランチャ・ストラトスを与えた。ホークス結成にあたり筑波サーキットでレースを行い、風吹は暴走族たちに圧倒的な実力を披露。これで風吹はリーダーとして認められた。ランボルギーニ・シルエットに乗る椿とポルシェ928に乗る京極さくらがサブリーダーとして任命された。さらに風吹の幼馴染であるフェアレディZの長岡五郎も加わった。街で512BBとLP500Sを見つけたホークスは風吹とともに2台を追い詰める。2台の正体は親の愛情に飢えた金持ちの若い兄弟であった。ツーリングカーレースの最高峰、シルエットフォーミュラのレースが日光市街地特設コースで開催される事になった。上位6名にはヨーロッパでのレース遠征をサポートする事も発表された。風吹はストラトスをシルエットフォーミュラに大改造しレースに挑む事が決定するが谷田部からはこれを最後にサポートを打ち切ると宣言される。谷田部が風吹に代わって選んだのは椿だった。早瀬も今回より復帰し、飛鳥は見守り役でなくライバルとして参加する事を宣言。かつてのライバル達も大挙して参加。さらに国内トップレーサーも加わり一大レースとなった。風吹のストラトスは富士スピードウェイで行われた予選でターボのトラブルにより低迷。早瀬のポルシェ935-77や飛鳥のGCカーのサポートで決勝出場権ぎりぎりの50位で予選を終える。決勝で最後尾スタートとなった風吹はあらゆるテクニックを駆使して上位へ追い上げる。早瀬はトップグループを走っていたがパンテーラと絡み、そのパンテーラはガードレールを突き破り崖底へ転落。早瀬はスピードに対する恐怖が突然芽生えスローダウンしてしまう。その後、激しいクラッシュで爆発炎上したカウンタックから運び出され、黒焦げとなったハマの黒豹の遺体を見た早瀬は恐怖により完全にスランプに陥る。もはやアクセルを踏むこともままならなくなり、リタイアしようとする早瀬に風吹は檄を飛ばし、2人はリハビリのように走り始める。やがて走りの勘を取り戻した早瀬はレース中に完全に立ち直る。そして風吹と早瀬はトップグループに再び加わったものの、風吹のストラトスはダメージを受けトラブルを抱えてしまう。トップで迎えたゴール手前でコースアウトし激しくクラッシュし、リタイアした風吹はヨーロッパ進出の夢を絶たれてしまう。ヨーロッパ行きの切符を手に入れた飛鳥、早瀬たちは風吹を日本に残し世界の舞台へと旅立っていった。早瀬、飛鳥がヨーロッパでF2を戦う中、日本に取り残された風吹は失意の日々を送っていた。みのりのポルシェを借りた風吹はミキとドライブに出掛け、興味本位で富士サーキットでカートレースを見学する。子どもの乗り物と馬鹿にする風吹に怒った全日本チャンピオンの鈴本は風吹と10周のレースを行う。久々にレースの楽しさを体で感じ取った風吹は自力でヨーロッパに飛び、レースをする事を誓う。姉のローザは弟の志を喜び、マンションを売り払って2人で渡欧する事を決意した。風吹はイギリスへ向かう飛行機でモータージャーナリストの大和と出会う。イギリスに着いた風吹は早瀬や飛鳥と久々に再会した。風吹はヨーロッパF2選手権で戦うかつての仲間たちの近況を聞くが、いまだに優勝した仲間がいないことに憤慨する。また、潮来のオックスが再起不能のクラッシュを起こしていたことも知る。風吹は飛鳥からヨーロッパのレースのレベルの高さを教えられるが不屈の精神で頂点を目指す事を誓う。そしてペイドライバーとしてF3チームへ。そこには大富豪のレーサー、ジョージ・プライスがいた。ファーストドライバーのプライスに対し、風吹は契約上あらゆる面でプライスを優先するという屈辱的な待遇のもと、セカンドドライバーとして戦うことになる。思うようにマシンを操ることができない風吹。コースサイドから走りを見ていた大和は風吹にアドバイスをする。そして風吹は大和を「大和先輩」と慕い、F3での走りに開眼する。初参戦のBPF3選手権ブランズハッチ戦ではプライスの圧倒的な速さに苦戦するが、それまでF3全戦優勝を誇っていたプライスはエンジンブローでリタイア。風吹はF3デビューウィンを飾る。その後F2チーム、マーチのテストドライブの機会を得た風吹はレギュラードライバーに匹敵する実力を披露し、注目を受けることになる。そこで日本人メカニック三次(さんじ)に出会い、以降サポートを受けることになった。マーチのテストドライブで高評価を得た風吹は現在のマーチF2レギュラードライバー2名に加え、サードカーでの参戦を約束される。しかしマーチからはF3での実戦結果を求められその課題レースはモナコグランプリでの成績。尚、今回のレースからはブランズハッチでの風吹の好成績によりフランスのオイルメーカー、エルフからのスポンサードを獲得した。各国のF3猛者たちがこぞって参戦するモナコグランプリに風吹はエントリーする。F2参戦中の早瀬もエントリーし、久々に宿敵との戦いとなる。既に強力なライバルとなったジョージ・プライスの他、悪評高い「クレイジー・フランケン」ことフランケン・ホフマン、紅一点のフランス人女性ドライバーの「バラのセシル」ことセシル・ラピエールも新たなライバルとして登場した。レースはプラクティス、予選レースのクオリファイ、予選レース、決勝という長丁場であり、予選のための予選まであることに風吹は驚く。F1関係者のスカウトの目が光る中、戦いの火蓋は切られた。午前のプラクティスを終え、休憩中、ホテルのプールでセシルの泳ぐ姿からインスピレーションを受けた風吹は新たなテクニック、ジャンピング・ターン・フラッシュのヒントを得る。偉大なるF1チャンピオン、ジャッキー・スチュワートも完成できなかったといわれるそのテクニックを駆使し、午後の予選レースのクオリファイでは見事ポールポジションを獲得。三次はジャンピング・ターン・フラッシュ向きのセットアップを施すことになった。しかし予選レースではジャンピング・ターン・フラッシュを重視するあまり、他のセッティングに手が行き届かずマシンは調子を崩し、ポジションを落としていく。決勝進出にぎりぎりに順位で何とかゴールした風吹はライバル達とともに決勝へ進む。決勝では狭いコース、多数が出走する参加車両に苦戦するものの優勝を目指し快走を重ねる。強引な運転で優勝を狙うプライスはクラッシュ後の不安定な状態の早瀬のマシンをプッシュ。早瀬のマシンは横転し、裏返しになった状態で炎上。風吹はマシンを止め、救出を試みるものの、助け出す事ができず、早瀬は絶命した。怒りに燃える風吹の執念に同調したセシルは周回遅れになりつつも果敢にプライスをブロック。風吹に復讐のチャンスを与えた。レース終盤、ジャンピング・ターン・フラッシュを武器に風吹は壮絶な戦いを繰り広るが、プライスとのドッグファイトでタイヤを酷使しフロントウィングを失った風吹は、もはや勝利を狙えない状態に陥る。風吹は勝負を諦めることなくプライスのタイヤに執拗にアタック。プライスのエアバルブを飛ばしてスローパンクチャーの状態に陥れ、両者のコンディションはイーブンに。最後に絞り出したジャンピング・ターン・フラッシュを決め、ついにトップチェッカーを受ける。しかし最大のライバルであり親友である早瀬を失ってしまった。ロータスF1のテストドライブの機会を得た風吹はコーリン・チャップマンからのラブコールを受けるが、あっさり断り、オールジャパン体制の新興F1チーム「神風」で戦うことを明言。ゼロ戦 007と名付けられたそのマシンはサッカー界のスーパースターからの転向という異色の経歴のレーサー、神藤速人が開発を担っていた。チーム神風は風吹と神藤の2台体制で1978年F1第7戦スペインGPへスポット参戦することになった。ハラマ・サーキットを舞台として鮮烈なデビューを飾ったチーム神風は好戦を展開、その戦いの最中、F3での雪辱を晴らすべくロータス78で参戦していたプライスが風吹と絡み空中へ舞い上がる。ファイアストーン・ブリッジにコックピットから激突。その後、風吹と神藤は突然のスローダウン。シャーシー剛性不足がトラブルの原因であった。新興チーム特有のマシン熟成不足による悔しいリタイア。この結果はマスコミにも酷評され、チーム神風は1戦限りでF1サーカスから姿を消した。水面下で熟成を重ねていたチーム神風はマシンをゼロ戦009へ進化させ、満を持して1979年F1第6戦ベルギーGPへスポット参戦。再び風吹、神藤でレースに臨む。戦いの舞台、ゾルダーサーキットには風吹の師匠であり義兄である飛鳥ミノルの姿があった。飛鳥は前年にヨーロッパF2選手権でブルーノ・ジャコメリと同ポイントでダブルチャンピオンとなり、ジャコメリはアルファロメオから、飛鳥はポルシェからF1デビューとなった。ポルシェチームはツーリングカーレースの参戦経験から満を持してターボF1マシンを引っ提げてシーズン途中からの新規参戦であった。マスコミの注目はこのポルシェ一点のみとなり、風吹たちのチーム神風は一切注目されることなくレースは幕を開ける。予選では風吹と飛鳥の戦いとなり、風吹が僅差でポールポジションを獲得した。決勝日はモナコF3以来、サーキットに足を運んでいなかったミキも訪れた。ミキはこのレースの優勝で風吹との結婚を誓う約束をした。決勝では風吹が少し出遅れるものの、最終的には風吹と飛鳥の一騎討ちとなった。トップ争いを繰り広げる二人。このままどちらが優勝しても日本人ドライバー初優勝となる。ファイナルラップの最終コーナーまでホイールトゥホイールの戦いを続けた2台は並んだままチェッカーを受けた。運命的な戦いを駆け抜けた2人はウィニングランへ…(作中ではどちらが優勝したのかは触れられていない)本作の大きな特徴は、「マッハGoGoGo」などそれまでの作品が架空の車種しか登場しないのに対し劇中に登場する車種を実際に存在するものにした点である。登場するスーパーカーは、作者である池沢さとしの愛車や、作者のクルマ仲間の愛車そのものであることが多く、ナンバーも実在のものである。主人公達が競争を行う箱根ターンパイクなどの道路や、主人公達がたむろする喫茶店も実在のものであった。また、星野一義などの実在の人物が実名で登場することも多かった。欧州製のスポーツカーが多数登場する一方で日本車・アメリカ車の扱いは非常に低く、殆どが暴走族の車等、端役扱いとなっていた。この当時の日本・アメリカの各メーカーはオイルショック後の排気ガス対策に追われ、スポーツカーを生産する余裕が無く、作中において活躍させるような車種がほとんど存在しなかった。本編で活躍が見られる数少ない日本車は、トヨタ・2000GTおよびS30型フェアレディZの240Z-G・432Rだが、前者は本作連載当時は既に生産を終了、後者も240Z-G・432Rは生産終了し排ガス規制に適合させた型のみ生産継続という状態であった。ブーム時に登場した国産スポーツカーとしては1978年の童夢-零とサバンナRX-7があるが、その時は既に本作の舞台が公道からサーキットへと移っており、作中で取り上げられる事が無かった。アメリカ車については後年作者が「当時興味がなかった」という理由で端役扱いしたことを述べている。本作はスーパーカーブームの火付け役となったが、当初はスポーツカーを主題とした内容に編集者は難色を示し、池沢の2年間の説得を経て連載となった。連載後も順調に人気を獲得するものの14、15週目で紙面リニューアルのため打ち切りが確定してしまうが、発売日の同週に行われた人気投票で爆発的な人気を獲得、急遽連載続行が決定した。その後も人気は伸び続け、「少年ジャンプ」の看板マンガとしての地位を確立した。タイトルに「サーキット」という言葉が入っているだけに、最終的にはサーキット(レース場)での本格的なレースが主題になっていくが、連載の終盤にはスーパーカーブームもF1レース人気も完全に下火となっていた。実在しないF1マシン(日本の複数の自動車メーカーが共同で製作したという設定)に乗り、どちらかひとりが日本人初のF1優勝者になるところで連載終了となったが、この最終回を迎えた頃の作品の人気はブームの頃と比べかなり低迷していた。なお、日本オリジナルF1マシンで参戦するというエピソードは1974年から1976年に活動していたマキF1をモチーフとしている。ブームから30年以上経つ現在も関連グッズの発売が続いており、2009年には当時の実車や漫画、スーパーカー消しゴム等のグッズを展示した「サーキットの狼ミュージアム」が茨城県神栖市にオープンした。初期の公道レース時代の登場人物の多くが作者にとって身近な自動車趣味仲間がモデルになっており、後半のモータースポーツ編では実在する世界的なレーシングドライバーたちが登場している。その一方、漫画作品では珍しく中堅クラスの登場人物でもフルネームが存在せず、苗字あるいは通称でしか呼ばれない人物も多い。複数のイベントに参加している登場人物は初登場の項に記す。その他の登場人物には以下のような人物がいる。流石島サーキットのツーリングカーレース。出場台数は60台。出場車両はFIAグループ4及びグループ5相当。ホークス結成の筑波レース。およびホークス活動である走り屋狩り2台(カウンタックLP500Sとフェラーリ512BB)の捕獲作戦。予選は富士スピードウェイ、決勝は日光市街地コース。出場車両はFIAグループ4(GTカー)、グループ5(シルエットフォーミュラ)、グループ6(プロトタイプ)相当の混走。当作品で登場する風吹たちの「チーム神風」は架空のチームであるが、マキF1やコジマF1といった日本チームの挑戦をモチーフとしている。また飛鳥のポルシェF1も架空である。その他の車両、ドライバーなどは実在のものがほとんどである。ホテル下のトンネルが有名。1977年8月6日、東映系公開MONDO21にて、池沢さとしが出演する実写版のクルマ番組『蘇れ!サーキットの狼』が2006年6月より放映中。
出典:wikipedia
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