『スペクトルマン』は、1971年(昭和46年)1月2日から1972年(昭和47年)3月25日にかけてフジテレビで土曜日19:00-19:30に全63話が放送された、ピー・プロダクションが企画、制作した特撮ヒーロー番組の題名。およびその番組に登場するヒーローの名称。番組開始当初の題名は悪役を冠にした『宇宙猿人ゴリ』であったが、その後『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』を経て、最終的に『スペクトルマン』へと改題された。第二次怪獣ブーム(または「変身ブーム」)の先駆けでもある。宇宙からの侵略者「宇宙猿人ゴリ」の送り出す怪獣対ネヴュラの星のヒーロー・スペクトルマンの戦いを描く。怪獣に対して主人公が変身して戦うことは他の特撮テレビ番組と同じだが、当初は悪役が主役、正義のヒーローが脇役という逆転の演出となっていた。また、スペクトルマンがネビュラ71遊星の指令により常にその行動を管理されていて、その指令がないとスペクトルマンに変身できず、地球防衛のためとはいえ非情な命令を下されて苦悩したり、さらに無敵のヒーローではなく強敵怪獣に圧倒されて敗北することも少なくないなど、独自の作品世界を決定付ける新機軸が盛り込まれていた。前後編がストーリーの基本とされ、1話完結は全63話中3回だけ(27話、52話、61話)である。1970年代前半の第二次怪獣ブームの先駆作品となった。裏番組が『巨人の星』であったため当初は視聴率で苦戦したが、次第に人気を得て1971年4月10日放送の第15話で視聴率を追い抜いている。企画としてはピー・プロダクションが1960年代に制作したパイロット作品『豹マン』を継承しており、金色のマスク・等身大ヒーローと巨大ヒーローを兼ねた部分はスペクトルマンに、動物マスクのキャラクターはゴリにそれぞれ引き継がれている。本作品は、その展開の変化とともに番組名が2回変更された。地上波再放送では第1話から『スペクトルマン』のタイトルで放送された。その際、以下のような変更が行われた。惑星Eから追放された悪の天才科学者・宇宙猿人ゴリは地球に到達した。美しい地球に魅せられるゴリだったが、公害による地球汚染を見て憤激、自分が人間にとって代わって地球の支配者になろうと考える。彼は公害などを利用して次々と侵略怪獣を送り出すが、ネビュラ71遊星の指令で地球に派遣されたエージェント、スペクトルマンがその前に立ちはだかる。人工遊星ネビュラ71からゴリ追跡・地球防衛の任を課せられた、ネビュラ人のサイボーグ・エージェント。地球への派遣に際し、地球人に模した姿が与えられている。普段は蒲生譲二(がもう じょうじ)と名乗り、政府機関である公害調査局第8分室・通称「公害Gメン」(後に再編成され、「怪獣Gメン」となった)に所属している。怪獣と戦う時は変身し、直線で構成された金色の頭部、胴体を覆う硬質皮革風プロテクター、金色の腕・脚を覆うスーツにブーツ・グローブ、シンボルマークを中央にすえたベルトの装着といった、独特の姿を持つヒーローと化す。この変身は蒲生の身体自体の変形ではなく、ネビュラの承認を受けて照射された光線を浴びることにより、転送されたマスクやスーツなどの装備が蒲生の全身に包まれ、装着・変身するというものである。第2話では、変身が解除されて昏倒している蒲生のかたわらに転がっているスペクトルマンの頭部を、ラーが分析のために持ち去る描写があり、この頭部がスペクトルマン自体の顔でなくマスクであることがわかる。このことからも、スペクトルマンの容姿があくまでも正体隠蔽、かつ戦闘用のための装備を装着した姿であることがうかがえる(このマスクは、ネビュラ側でゴリのもとから即刻奪還されている)。しかし、この設定は次第に曖昧な描写への変化を経て、最終的にスペクトルマンは蒲生の身体がが変化~変身した姿という雰囲気が作られていく。ただし、ゴリ討伐の任務を完遂して遊星へ帰還次第、蒲生としての容姿は抹消され、二度と彼の姿に戻ることは不可能となるらしい(最終回で蒲生が「この顔ともお別れか…」と呟く台詞による)。そのため、本来のネビュラ人サイボーグ・エージェントとしての「スペクトルマン」がスペクトルマンのままの姿なのか、またはまったく別の容姿を持つのかは明確に描かれていない。地球人にとっては「スペクトルマン」とは、一貫してあくまでも変身体のことを指すが、ネビュラ71にとっては変身体も蒲生譲二の状態も一貫して「スペクトルマン」であり、常にそう呼ばれる。あくまでも極秘の地球滞在での防衛活動のため、地球人にもゴリ側にも正体は絶対秘密であり、第1話ではネビュラに「正体が知られたら解体する」と厳命されている。しかし実際のところ、第62話でラーに知られた際(ラー配下のサイボーグに「痺れガス」を浴びせられたのにまったく反応しなかったことから判明)や、最終話で木戸口二郎や倉田室長に正体を知られても、ネビュラから実際に処罰されることはなかった。変身に際して特にアイテムを用いることはないが、独断での変身はできず、ネビュラからの許可をもらったうえでそこからの光線照射が必要である。一般的には右腕を斜め前方に突き出し、上空に見えるネビュラに変身許可を求めて承認を受けるか、逆にネビュラからの変身指令によって変身する。なお、ネビュラを目視できない場合の変身は不可能である。変身後は自在に(場合によってはこれもネビュラの指示により)巨大化できる。第20話では富士山よりも巨大化し、数個のガスタンクを火口に投げ込むという荒技を披露した。これは巨大化の限界に達してエネルギーが激しく消耗し、しばらく戦闘不能になる。怪獣に苦戦して引き分けるか、あるいは一度もしくは数度にわたり敗北するケースも多く、1エピソードの2話中に数回にわたって1体の怪獣と対戦し、やっと倒せることが多い。また、必殺技がスペクトルマンの体力を著しく消耗させ、怪獣を倒しても倒せなくても倒れ込んで行動不能になることが多い。蒲生譲二が所属した組織。第35話までは公害調査局第八分室、通称「公害Gメン」で、文字通り公害を調査する組織だったが、怪獣と関わる事件が多かったため、第36話から「怪獣Gメン」に変更、これに伴い、公害Gメン時は一貫して私服姿で、移動には一般乗用車だったのが、怪獣Gメン時は出撃の時はサファリルック風の隊員服と白色のヘルメット(女性隊員用は理由は不明だが、頭上にパトライトが装着されている)を着用する。移動にはジープや「ボントトルエカ」というヘリコプターを使用するようになった。Gメンは、蒲生・倉田を含めて都合9名が登場する。このうち男性Gメンは最終回まで変わらなかったが、女性Gメンは都合4名が入れ替わり登場した。その入隊・除隊理由は語られていない。Gメンの衣裳は、倉田室長役の大平透が、自身の行きつけのブティックとタイアップして全員分を用意した。超高度文明を誇るガイシテス太陽系第5惑星、通称「惑星E」に住む宇宙人。サルのような姿をしていることからそう呼ばれる。特記のない限りDVDBOX『スペクトルマン カスタムコンポジットボックス』封入解説書に基づく。特記のない限りDVDBOX『スペクトルマン カスタムコンポジットボックス』封入解説書に基づく。1970年夏頃に撮影されたパイロット版。制作はうしおそうじと的場徹による。制作費は80万円。基本設定は同じだが、スペクトルマンやゴリの姿は異なる。映像の一部は本編やオープニングに流用された。1996年のLD-BOX発売に際して円谷コミュニケーションズの円谷英明により「完成版」として編集され、その後のDVD-BOX・Blu-ray・BOXにも収録されている。パイロットフィルムに登場する蒲生譲二役の俳優は諸説あるが、うしおは一時、団時朗であると断言し、各種書籍でも、うしおの証言に倣って団時朗が演じたと紹介している。しかし団本人は京本政樹との対談の中で、京本が各種書籍で団がパイロット版で蒲生を演じていることが事実であるかのように書かれていることに触れると、「全然やった覚えはない。いくらなんでも、やっていたらそれくらいは覚えているはず」と出演していることを否定、各種書籍の編集者が団本人に確認を取っていなかったことを裏付けている。また、成川も団とは別人だと断言している。このパイロットフィルムはアミューズより発売されたDVDに収録されており、これにより団とは別人であることが確認できる。なお、演ずる俳優については不詳。成川自身は、「名前は失念したが、ジャニーズ系のモデルだったと記憶している」と自伝の中で語っている。後にキッズステーションで放映された「うしおそうじ物語」で、うしお本人が思い違いだったと発言している。パイロットフィルムでのゴリは、完成作品ではラーの着ぐるみとして使用された。またIQについては、「もともと50だったが、円盤内で万能椅子の操作を誤り下半身不随になるも、IQは300へアップする」というものだった。完成作品でゴリが円盤やエアカーで移動することが多いのは、その名残である。なお「敵首領が下半身不随」という設定は、『風雲ライオン丸』(1973年)のアグダーや『電人ザボーガー』(1974年)の悪之宮博士で活かされることとなった。一峰大二の作画で『週刊少年チャンピオン』と『冒険王』(ともに秋田書店)に連載された。テレビ版を基にしたエピソードと漫画オリジナルのエピソードが混在し、テレビ版を基にしたエピソードでも細部に独自の解釈が加えられた描写が多々見られる。また、テレビ版の最終話が1エピソードとして消化され、それとは全く異なる漫画版独自の最終話が描かれた。この最終話では、実写版で離れざるを得なかった公害問題が色濃く描かれた。漫画版では、スペクトルマンがエネルギーを使い果たしてTV版のようにうつ伏せに倒れてしまう描写はほとんどなく、怪獣を倒したり、スペクトルフラッシュでエネルギーを使い果たしたりすると、次第に透明化して消えて蒲生の姿に戻る、といった描写が多用されている。そのため、TV版初期と比べても「弱い」イメージは見られない。その代わり、TV版に比べて怪獣も強いような描写も見られ、敵の攻撃で全身ボロボロに傷ついたり、流血してピンチに陥るような頻度が高くなっている。また、頭の角が高熱で溶けて半ば欠損したり、自分の投げたカッターが戻ってきて胸元に刺さる場面もあるなど、戦闘場面は相対的にハードである。秋田書店の単行本(サンデーコミックス)はTV版と同様に、第1巻は『宇宙猿人ゴリ』、第2・3巻は『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』、第4〜7巻は『スペクトルマン』とタイトルが変化する。これには最終話を含め、幾つかの未収録エピソードが存在した。1999年、角川書店から全話収録を謳った単行本が発売された。しかし実際には、編集者のチェック漏れで1話分が未収録になっている。これは、その後発売された『快傑ライオン丸』の単行本で補完された。この角川版では、雑誌掲載時には意図的に最後の戦いを描いていなかった最終話に加筆が施され、ゴリとの戦いに明確に決着が付けられる形になった。また、2006年には『特撮エース』(角川書店)の最終号に後日談が掲載された。(●は漫画版オリジナル怪獣)この他、『たのしい幼稚園』に掲載された番外編には、火炎を武器とする怪獣「ファイヤーキング」や、人形が巨大怪獣化した「しょうきさま」が登場している。漫画版の怪獣は、実写版とかけ離れた姿のものが多かった。特に流星仮面、マーダラー兄弟、ゴルダ、コンピューター怪獣、キートットなど、終盤に近づくにつれてその差異が激しくなっている。
出典:wikipedia
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