山陽本線(さんようほんせん)は、兵庫県神戸市中央区の神戸駅から福岡県北九州市門司区の門司駅までを瀬戸内海に沿って結ぶ鉄道路線(幹線)である。本線のほか、通称「和田岬線」と呼ばれる兵庫駅 - 和田岬駅間の支線を持つ。神戸駅 - 下関駅間と和田岬線は西日本旅客鉄道(JR西日本)、下関駅 - 門司駅間は九州旅客鉄道(JR九州)の管轄である。一般的に山陽線と略される。なお、広義では山陽新幹線の新神戸駅から小倉駅までの区間も山陽本線に含める場合があるが、本項目では在来線としての山陽本線全般の概要や沿革などについて記す。新幹線については「山陽新幹線」を、また在来線の地域ごとの詳細については以下の記事も参照。神戸駅を終点とする東海道本線を西に延長する形で、神戸から岡山・福山・広島・山口・下関などの瀬戸内海沿いの各主要都市を経由し、北九州の門司に至る路線である。東海道本線とともに本州の大動脈としての役割を担っており、普通・快速・新快速・特急・貨物列車が直通運転していることから「東海道・山陽本線」とまとめて呼ばれることが多い。かつては東京や京阪神と中国地方・九州を結ぶ長距離旅客列車が運行されていたが、山陽新幹線の開業後は長距離旅客輸送の役割を新幹線に譲り、並行する山陽本線は地域輸送が中心となっており、全線を走行する定期旅客列車は存在せず、倉敷駅 - 門司駅間には特急列車は走行していない。一方、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車は全区間で運行されており、ほとんどの貨物列車が東海道本線と直通運転している。西半の区間にある「瀬野八」と呼ばれる瀬野駅 - 八本松駅間は、22.6‰の勾配と半径300mの急曲線が散在しているため、スピードアップの大きな障害となっている(沿線風景の三原駅 - 広島駅間も参照)。神戸駅 - 姫路駅間には、東海道本線の大阪駅 - 神戸駅間とともに「JR神戸線」の愛称がつけられている。また、神戸駅 - 相生駅間と和田岬線が旅客営業規則の定める「大阪近郊区間」、神戸駅 - 西明石駅間が「電車特定区間」に含まれる。電車特定区間は複々線となっており、主に新快速と特急・貨物列車が列車線を、快速列車と普通電車が電車線を走行する。一部の区間は、JR西日本のIC乗車カード「ICOCA」の利用エリア、及びJR九州のIC乗車カード「SUGOCA」の利用エリアとなっている。このうちICOCAの利用エリアは、神戸駅 - 相生駅間と和田岬線はICOCA近畿圏エリアに、和気駅 - 三原駅間は岡山・広島エリアの岡山・福山地区に、三原駅 - 南岩国駅間は岡山・広島エリアの広島地区に、それぞれ分けられている。ただし、近畿圏エリアの西端である相生駅と岡山・広島エリアの東端である和気駅の間にある有年駅・上郡駅・三石駅・吉永駅は「ICOCA」の利用エリアに含まれておらず、さらに、同区間をまたがっての利用(即ち、近畿圏エリアと岡山・広島エリアとをまたがっての利用)はできない。他方、下関駅 - 門司駅間がSUGOCAの福岡・佐賀・熊本・大分エリアに含まれている。ただし、ICOCAエリアとSUGOCAエリアとをIC乗車カードでまたがって利用することはできない。ラインカラーは、JR神戸線区間には「青」が設定されており、姫路駅以西には特に設定されていなかったが、公式サイトの近畿エリア路線図には、姫路駅 - 上郡駅間もJR神戸線と同じ青で表現されていた。岡山支社では「緑」、広島支社では「青」が、それぞれ自支社独自のラインカラーに設定されていたが、2014年度から路線記号の導入に合わせて広島支社エリアでもJR西日本としての公式なラインカラーが設定されることになり、ラインカラーと路線記号として、神戸駅 - 上郡駅間に青() A 、白市駅 - 広島駅間に緑() G 、広島駅 - 岩国駅間に赤() R がそれぞれ設定された。2016年3月26日からは岡山支社エリアでもラインカラーと路線記号として、三石駅 - 岡山駅間(既存の「A」区間との境界は上郡駅)に黄緑() S 、岡山駅 - 福山駅間に橙() W 、福山駅 - 糸崎駅間に空() X がそれぞれ設定された。このダイヤ改正後に更新された公式サイトの全域路線図や、岡山支社管内で運賃表を路線記号入りに更新した駅では、既存の「G」区間についても三原駅 - 入野駅間が包含され、三原駅 - 広島駅間(「X」区間との境界は糸崎駅)を設定範囲としており、「R」区間は広島地区導入段階から南岩国駅も含まれている。なお、公式サイトの広島エリアの路線図では、南岩国駅 - 下関駅間も赤で表現されており、2016年3月改正より各駅の駅掲示時刻表に表示されたシンボルの色もこの色に従っているが、これらの駅構内の旅客案内では白市駅 - 岩国駅間の各駅とは異なり、路線記号のアルファベットを抜いたカラーのみのシンボルを用いており、三原駅 - 入野駅間でも同改正時点では同様の対応となっている。支社および鉄道部の管轄は以下のように分かれている。上記のキロ数は柳井駅経由のものである。岩国駅 - 櫛ケ浜駅間を通過する場合の運賃・料金は最短経路である岩徳線経由として計算する(経路特定区間)。岩徳線の岩国駅 - 櫛ケ浜駅間は営業キロ43.7 km、換算キロ48.1 kmなので、神戸駅 - 門司駅間の運賃・料金計算に用いる営業キロは512.7 km、運賃計算キロは517.1 kmとなる。須磨駅 - 塩屋駅間、東尾道駅 - 三原駅間、宮島口駅近辺、岩国駅以西の山口県内で、静かな瀬戸内海が間近に迫る。最後は下関駅の先で海の下に潜って、再び地上に出るとそこは九州である。山陽本線の起点でもあり、東海道本線の終点でもある神戸駅は、3面5線の構造になっており、上り線は2面3線の構造になっている。神戸駅を出ると、東海道本線から引き続き方向別複々線で西へ進み、しばらくビル街のまん中を貫くように走る。次の兵庫駅では和田岬駅へ向かう支線の通称「和田岬線」が接続する。和田岬線は、工場地帯の通勤線であり、平日でも朝夕の時間帯しか運行されていない。ホームも1面1線の単線路線で、兵庫駅 - 和田岬駅間のピストン輸送となっている。兵庫駅 - 新長田駅間で方向別複々線が終わり、ここから先は線路別複々線となる。列車線が山側、電車線が海側になっており、列車線を新快速などの優等列車と貨物列車が走り、電車線を快速と普通が走っている。兵庫駅から明石駅まで列車線にホームはない。新長田駅は普通しか停車しないが、神戸市営地下鉄山手線と海岸線と連絡している。神戸貨物ターミナル駅が併設されている鷹取駅を出ると、列車線の上り線が合流して阪神高速3号神戸線を潜る。少し走ると須磨海浜公園駅へ。電車線のみにホームがあり、2面4線の橋上駅舎となっている須磨駅付近では海と山に挟まれた険しい地形の中を山陽電気鉄道・国道2号とともに並走する。国道2号が山陽本線を乗り越えて行くと塩屋駅に着く。垂水駅を出ると、舞子駅で明石海峡大橋の下を潜り、明石市に入ってすぐの朝霧駅まで海沿いを走り、やがて日本標準時子午線上にある時計台で知られる明石市立天文科学館を過ぎると、城下町である明石市の中心駅・明石駅である。この駅は2面4線の構造になっているが、線路別の構造になっているので同一ホーム上での緩急接続はできない。東海道本線の草津駅から続いた複々線は次の西明石駅で終わり、この先は複線となって真っ直ぐ北西方向を向いて走る。住宅やマンションが建て込む明石の市街地を走り、2面4線の大久保駅。さらに真っ直ぐ走り、左手から山陽新幹線が近づいてきて、それを見ながら2面2線の魚住駅。魚住駅を出ると山陽新幹線が左手に離れて行き、線路は真っ直ぐ北西方向に走り、明石市と播磨町に跨る2面3線の土山駅に着く。加古川市に入り、左手に加古川バイパスが並行するのを見て2面3線の東加古川駅、さらに真っ直ぐ北西方向を向いて走り、高架線を駆け上がり加古川の市街地を見て加古川駅に着く。加古川を出るとすぐに加古川を渡り宝殿駅。この駅は加古川市と高砂市の境にある。姫路バイパスが乗り越えて右にカーブしながら曽根駅。ここまでが高砂市で、この駅を出ると播磨地方の中心都市・姫路市に入る。ひめじ別所駅・姫路貨物駅、御着駅を過ぎると市川を渡り、東姫路駅を過ぎて市街地に入り姫路駅に至る。姫路駅は姫新線・播但線および播州赤穂や上郡・岡山方面との乗り換え駅となっている。また駅北側からは山陽網干・新開地方面へ向かう山陽電気鉄道が発着している。姫路駅を出て、真っ直ぐに南西方向に進んで、姫路バイパスを潜ると英賀保駅。はりま勝原駅を過ぎ、次の網干駅は姫路市の西端にあり、岡山方には網干総合車両所が広がっている。網干駅を出るとしばらく真っ直ぐ走り、左手に広大な車両所が広がるのを見て進む。なお、網干総合車両所の所在地は姫路市ではなく太子町となっている。車両所が途切れると林田川を渡り、山陽新幹線の高架が見えて、それを潜ると揖保川を渡る。揖保川を渡ってたつの市に入ると竜野駅であるが、たつの市の中心駅は姫新線の本竜野駅となっている。相生市に入って、山陽新幹線を潜ると相生駅、左手に単線の赤穂線が分かれていき、山陽本線は右にカーブして、再び山陽新幹線の高架と山陽自動車道を潜り、狭い山間を行く。国道2号と並行して進み、赤穂市に入って有年駅。有年駅を出ると右にカーブして進路を北にとる。国道2号とは離れて、国道373号と千種川に沿って進む。しばらくして上郡町に入り、千種川を渡り、智頭急行線が分岐する上郡駅に到着する。現在は京阪神・岡山から鳥取方面に向かう特急列車は智頭急行線を経由している。この先、兵庫県と岡山県の県境を有する上郡駅 - 三石駅間は、山陽本線内では和田岬線に次いで列車本数の少ない区間であり、。そのため、一部の列車で最大6 - 7両編成での運転も行っている。上郡駅を出て、上下線が智頭急行線の単線の線路を挟んで進み、左にカーブして智頭急行線が高架になり、それが山陽本線上り線を乗り越えて右手に分かれて行く。ここから先は軽い峠越えといった感じで山を周り込むように走り、船坂峠を船坂トンネルで抜けると岡山県に入る。国道2号と並行して走り、三石駅。次は備前市にある閑谷学校に近い吉永駅。吉永駅を出て、日笠川や金剛川を渡り和気駅。和気を出ると左手に山陽自動車道、右手に吉井川を見ながら進むと熊山駅、吉井川を渡ると岡山市に入り万富駅。万富駅からしばらく西南方向に走ると瀬戸駅で、しばらく南に向かって進み、山陽新幹線の高架を潜って、右にカーブして山陽新幹線に沿って西へ進んで上道駅に着く。東岡山駅で赤穂線と合流して高島駅を過ぎると、百間川を渡り西川原駅。旭川を渡るあたりで岡山城が見え始めると、津山線と合流し岡山駅に着く。岡山駅は津山線のほか、吉備線と宇野線の起点であると同時に、運転系統上は伯備線と赤穂線および瀬戸大橋線の列車も、ほとんどが岡山駅を始発・終着としている。また岡山電気軌道の路面電車との乗り換えも可能である。岡山駅を出て、広大な車両基地(JR貨物岡山機関区、JR西日本岡山電車区)を併設した岡山貨物ターミナル駅を過ぎると、北長瀬駅、庭瀬駅を通る。庭瀬駅を出ると家並みが途切れて田畑が目立つようになる。岡山県倉敷スポーツ公園野球場(マスカットスタジアム)の最寄駅でもある中庄駅を経て、右手に山陽自動車道の倉敷ジャンクションが見え、瀬戸中央自動車道を潜る。左にカーブして西南方向を向いて走り、伯備線への下り線が分岐し高架になって山陽本線を乗り越え、3線になってホーム3面5線の倉敷駅へ。岡山県第二の都市・倉敷市の中心駅である倉敷駅は伯備線が分岐し、駅の南西からは水島臨海鉄道が発着している。周辺には大原美術館や白壁の商家が並ぶ美観地区などの観光名所がある。次の西阿知駅の先で高梁川を渡ると、マスカットの産地である地域を通り、平地や山の斜面にもブドウ畑が作られているのを見ることができる。再び山陽新幹線が近付いてくると新倉敷駅である。金光教の本部がある金光駅、鴨方駅、そして里庄駅と、のどかな田園風景の後に、笠岡市に入って、しばらく工場や商業施設などが国道2号沿いに並んでいるのを見ながら走り、左手に笠岡港が見えると笠岡駅である。次の大門駅から広島県に入る。貨物ターミナル併設の東福山駅を過ぎ、3階を新幹線、2階部分を在来線が走行する二重高架区間となり福山城が迫ると広島県東部の拠点都市である福山市の中心駅福山駅に到着する。福山駅は山陽新幹線との乗り換え駅で、福塩線が分岐するほか、井原鉄道の一部列車も乗り入れる。芦田川を渡り市街地をしばらく進むと、周辺の景色は田園地帯になり、山陽新幹線が福山トンネルに入るあたりで備後赤坂駅を経て、1966年まで存在した旧松永市の中心駅・松永駅へ。しばらく宅地化の進む中を走って東尾道駅を過ぎる。三原駅までは海の見える区間が長く続き、中でも尾道市にある急斜面の石段と伝統的な街並みに、しまなみ海道の橋梁を望む情景は、。尾道の市街地が途切れて三原市に入る。糸崎港が見えてくると糸崎駅である。糸崎駅は運転上の要衝で、岡山方面や広島方面からの列車が折り返す。次の三原駅では呉線が分岐する。本郷駅を過ぎるとその後は山岳路線となり、緩やかな上りカーブが連続する。東広島市に入り、椋梨川を渡ると河内駅。駅前には国道432号が通り、駅南側の山の上には広島空港がある。入野駅を過ぎ、白市駅からは広島シティネットワーク区間に入る。この駅から先はしばらく平坦な路盤になり、学生の多い西高屋駅、「酒都・西条」また東広島市の中心地にあり、広島大学への連絡口ともなっている西条駅を経て、八本松駅へ。山陽本線は山陽鉄道の時代から、なるべく路線の勾配を抑えることに重点を置いて建設されたが、三原駅以西のルートを決めるにあたり、工費のかかるトンネルを避けつつ、最も経済的な最短経路を選んだ結果、広島県内の八本松駅 - 瀬野駅間に「瀬野八」と呼ばれる22.6‰の急勾配区間が生じた。上り貨物列車は広島貨物ターミナル駅 - 西条駅間で、最後尾に補助機関車(補機)を連結して後押ししてもらっている。瀬野八を下っていき、広島市に入り、瀬野川と国道2号に沿いながら瀬野駅へ。この駅からはスカイレールが北に延びているのが見える。瀬野駅の先も広島平野に流れる瀬野川に沿って坂が続き、中野東駅に至る。この辺りから徐々に平地が多くなり、次の安芸中野駅を出る頃には広島平野が広がる。海田町に入ってすぐ、山陽新幹線を潜り、呉線と合流すると海田市駅。海田市を出るとすぐに再び広島市に入り、呉線の線路を潜りて、複々線となって進む。この先、広島駅までは複々線区間で、旅客列車を外側2線に、貨物列車を内側2線に振り分けることで、広島都市圏の輸送量に対応している。府中町に入って向洋駅。この駅付近にはマツダが本社を構える。再度広島市に入り、天神川駅を通り、芸備線の線路が見えた後、グラウンドが垣間見えるMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(広島市民球場)の横を通過するとまもなく広島駅に到着する。広島駅では山陽新幹線のほかに芸備線、運転系統上は可部線や呉線の列車が発着しており、それらと接続している。また駅前からは広島電鉄(広電)が発着しており、紙屋町・八丁堀など広島市中心部へのアクセスとなっている。広島駅を出発するとまもなく、2015年に開業した新白島駅に着く。可部線大町駅と共にアストラムラインとの乗換駅として、広島市北部の住宅地や紙屋町・本通など繁華街へ向かう新たなルートの起点として期待される。横川駅で可部線と分岐し、太田川放水路を渡って左にカーブして、山陽新幹線とは別れ南西を向いて太田川放水路沿いに進む。そのまま太田川放水路沿いに進んで西広島駅。ここから先、宮島口駅までは広電と並行する。草津沼田道路を潜りて、広電の商工センター入口駅が併設されている新井口駅で、八幡川を渡ると、広電の広電五日市駅が併設されている五日市駅、廿日市駅、宮内串戸駅を過ぎ、左手に広電、その向こうに国道2号、さらに向こうに海を見て南下していく。国道2号バイパスが乗り越えて海側を走る国道2号と合流し、しばらく走り阿品駅に着く。市街地と郊外の住宅地の風景が続くが、次第に海沿いの区間となり、車窓に世界遺産で日本三景の一つである安芸の宮島が見えると宮島口駅。宮島口駅を出ると国道2号と並行して海沿いを進む。前空駅を過ぎ、右にカーブして内陸に入って大野浦駅。広島県西端の工業都市・大竹市に入り玖波駅を過ぎ、コンビナート群が近付いてくると大竹駅に着く。小瀬川を渡ると山口県である。2008年3月15日和木町に開業した和木駅を過ぎ、岩国市の中心駅・岩国駅に到着。この駅は岩徳線との分岐駅で、この線に直通する錦川鉄道の車両も見られる。岩国駅から櫛ケ浜駅まで、岩徳線は山岳路線として山中を短絡するのに対し、山陽本線は海岸沿いを遠回りして走る。。徳山駅から先はカーブをくり返す線形を取る区間が多い。宇部駅を出ると厚狭駅までカーブを多く渡りながら新幹線と合流。山陽小野田市の中心地を過ぎていくと一旦住宅地を抜け、再び街が構成され小月駅に到着。長府駅を出ると瀬戸内海と別れ、山陽新幹線と垂直に交差する新下関駅を過ぎ、日本海側を経由してきた山陰本線と合流。同線との接続駅である幡生駅は、車両工場である下関総合車両所が隣接し、駅南側にはJR貨物幡生機関区が広がる。住宅地を進み、本州側最後の駅である下関駅に至る。下関駅 - 門司駅間はJR九州区間となる。下関駅を出ると車両基地である下関総合車両所運用検修センターと貨物駅に挟まれる形で進み、運河を渡った先の彦島で関門トンネルに入り関門海峡の下を通過する。トンネルを出ると本州から九州に入って北九州市となり、鹿児島本線の上下線の間に出て同線と合流し、山陽本線の終点である門司駅に至る。関門トンネルの門司側の出入り口にはデッドセクションがあり、直流・交流の転換を行う(「運行形態」の節も参照)。なお貨物線は坂道での停止を防ぐため、営業線より小倉側にデッドセクションが設置されている。東海道本線と同じく、山陽新幹線開業以後は都市間輸送鉄道としての役割は新幹線に譲っている。寝台特急などの夜行列車が全線を通して運転されていたが、2009年3月14日のダイヤ改正で寝台特急「富士」「はやぶさ」(山陽本線内では併結運転)が廃止されたのを最後に山陽本線の全区間を直通運行する定期旅客列車は全廃された。2011年9月現在、山陽本線内のみを運行する優等列車は無く、線内を走る優等列車は、すべて山陰方面や四国へ直通する列車である。以下の列車が運転されている。下記に示す区間は山陽本線内での区間である。全運行区間など各列車の詳細については当該列車の記事を参照。過去の列車は「山陽本線優等列車沿革」を参照。長大路線であり、沿線に複数の拠点都市を有していることもあって、現在は姫路駅・相生駅・岡山駅・福山駅・三原駅(または糸崎駅)・広島駅・岩国駅・新山口駅・下関駅で運転系統が分かれている。かつては、車両運用上の都合によりこれらの複数の運転系統にわたって運転される長距離列車が終日にわたって設定されていた(列車の多くは広島駅、徳山駅で系統分割され列車番号が変更になって運転されていた)。しかし2009年3月14日ダイヤ改正以降はダイヤが整理され、昼間時の快速列車の廃止や列車本数の削減が行われたほか、岡山地区 - 山口地区相互間の長距離列車も大幅に削減された。2016年3月26日ダイヤ改正時点では、岡山駅から下関駅までを走行する列車が下りに1本のみ存在し、これが日本で最長の距離を走行する普通列車となっている。姫路駅 - 相生駅間と東岡山駅 - 岡山駅間では赤穂線、岡山駅 - 倉敷駅間では伯備線、海田市駅 - 広島間では呉線、広島駅 - 横川駅間では可部線、櫛ケ浜駅 - 徳山駅間では岩徳線、幡生駅 - 下関駅間では山陰本線にそれぞれ直通する列車が乗り入れる。これらについては各路線の記事を参照。ダイヤの構成上、次の6つの区間に大きく分けられる。この区間は近畿圏に含まれている。神戸駅 - 姫路駅間はアーバンネットワークの一角であり、東海道本線大阪駅 - 神戸駅間ともにJR神戸線の愛称が付けられている。並行する私鉄(山陽電気鉄道・神戸高速鉄道)と競合しているため、新快速を運転し高速都市間輸送を行っている。日中時間帯は1時間あたり新快速が神戸駅 - 姫路駅間で4本、快速(明石駅 - 姫路駅・網干駅間は普通)が神戸駅 - 加古川駅間で4本、加古川駅 - 姫路駅・網干駅間で2本運転されている。これらは片側3扉車の6両 - 12両編成で運転される。姫路駅以東を12両編成で運転する赤穂線直通列車は、赤穂線西相生駅・坂越駅・播州赤穂駅のホーム有効長が最大8両編成に制限されているため、姫路駅もしくは網干駅で一部の車両が増解結される(本線の有年駅・上郡駅は12両対応している)。西明石駅以東の複々線区間では片側4扉の通勤型車両を使用した普通(緩行電車)が運転されている。日中時間帯は1時間あたり神戸駅 - 須磨駅間で8本、須磨駅 - 西明石駅間で4本運転されている。神戸駅以東の東海道本線とは一体的に運転されており、神戸駅が始発になる列車は早朝5時台の西明石行きのみである(客扱い列車での神戸駅止まりの設定はない)。姫路駅 - 上郡駅間では本数は少なくなるが、1時間あたり姫路駅 - 網干駅間で4本、網干駅 - 上郡駅間(相生駅で乗り換え)で2本運転されており、朝夕には網干駅発着の列車が多く設定されている。この区間は新快速も含めてすべて各駅に停車する。JR神戸線からの列車は大半が相生駅から赤穂線に乗り入れ播州赤穂駅まで運転されている。始発・最終を含めた朝晩に限り京都・大阪方面から上郡駅まで行く列車も設定されている。支線である和田岬線は、朝夕のラッシュ時のみの運転であり、専用の車両による支線内の往復運転となっている。相生駅 - 岡山駅間を直通する列車は、反対の福山方面と比べると本数が少なく、日中は1時間あたり1本の運転である。日中は相生駅で赤穂線播州赤穂駅 - 姫路駅間運転の列車と接続している。日中のこの区間は区間列車も含めて、相生駅 - 上郡駅間と和気駅 - 岡山駅間では1時間あたり2本運転されている。朝晩は姫路駅 - 岡山駅間直通が10往復ある。また、姫路駅 - 上郡駅間、岡山駅 - 瀬戸駅・万富駅(朝のみ)・吉永駅・三石駅間の区間列車もある。相生駅 - 東岡山駅間の夜間滞泊は、3本が上郡駅で、2本が三石駅で行っている。この区間は3・4両編成を基本に、ラッシュ時は6両・7両(午前のみ)編成で運行される(西川原駅が7両しか停まれないため。他駅は8両以上)。新幹線博多開業に伴う1975年3月10日のダイヤ改正から1980年9月30日までの間、姫路駅 - 岡山駅間でも快速が定期列車として数本運転され、相生駅・上郡駅・三石駅・和気駅・瀬戸駅に停車していた。また、1988年3月12日まではこの区間から東海道本線大阪駅までの直通列車(須磨駅・垂水駅は通過)が1往復あり、2002年3月22日までは西明石駅発着の設定があった。また、1994年4月3日から同年12月18日までの日曜日には、平安遷都1200年祭に関連して全車座席指定席の臨時快速「サンデー三都号」が岡山駅 - 京都駅間で117系・213系を使用して運転され、1997年の京都駅ビル開業直後の日曜・祝日には新快速を臨時延長して早朝に岡山発京都行き、夕方に京都発岡山行きの「ストレート快速京都号」として数か月間運転されたが、末期は夕方の岡山行の設定がなかった。沿線の町内会等を中心とした「JR快速電車導入促進期成会」は「東備・西播地区の交流促進などに快速導入が必要」と訴え、2008年4月30日、JR西日本岡山支社に運転実現を求める要望書を提出した。JR西日本岡山支社は「車両や運転手の数も限られ検討が必要」としている。また、2010年3月10日には、井戸敏三兵庫県知事と石井正弘岡山県知事が会談し、岡山駅 - 姫路駅間の増便と新快速の運転を要望することで両知事が合意し、さらに同区間の増便と姫新線・赤穂線の利便性向上に向けた取り組みを沿線市町等と進めることも決めた。岡山駅 - 三原駅間では、普通が1時間あたり3本運転されている。朝夕ラッシュ時は6・7・8両での運転もあるが、日中は115系電車3・4両編成での運転が主体となる。また、快速「マリンライナー」から転用された213系電車も使用される。一部列車は広島方面に直通する。岡山駅 - 福山駅間には117系電車による快速「サンライナー」が運転されている。1999年12月4日からワンマン運転を開始し、4両編成で運転されている。2009年3月ダイヤ改正以降は朝夕を中心に運転されている。岡山駅 - 倉敷駅間では伯備線からの直通列車が毎時2本程度運転されており、こちらもワンマン運転を行う列車がある。広島地区では国鉄時代末期の1982年に「ひろしまシティ電車」として普通列車が大増発され、JR発足後も「広島シティネットワーク」を構成する一路線として広島空港連絡の白市駅折り返し列車などが運転されるなど、都市圏輸送の充実が図られてきた。2015年3月14日現在、日中には普通が1時間あたり4本運転されている。朝夕を中心に白市駅 - 岩国駅間で快速「通勤ライナー」が1時間に1 - 2本運転されている。2010年3月改正以前は快速「シティライナー」も運転されていた。2012年3月のダイヤ改正により、「通勤ライナー」は西条駅 - 広島駅間で早朝に3本(下りのみ)、岩国駅 - 広島駅間で早朝に2本(上りのみ)に削減された。快速「シティライナー」は、2016年3月26日のダイヤ改正より土休日のみに再び設定され、西条駅 - 広島駅間で西条発10時台に下りのみ2本、広島駅 - 岩国駅間で日中に上下とも1時間あたり2本が運転される。227系電車が運用の中心だが、115系電車・113系電車も充当される。また、ラッシュ時は8両編成の運用が見られる。この区間では、本数は1時間あたり1 - 2本程度である。かつては広島方面から徳山駅まで快速「シティライナー」が設定されていた(ただし岩国駅 - 徳山駅は各駅停車)が現在は普通列車のみの運転であり、2012年3月以降は広島地区からの直通列車も削減された。朝夕ラッシュ時には、下関市内の小月駅 - 下関駅間のみを運転する列車が設定されており、徳山・新山口方面 - 下関間を直通する列車と合わせて1時間に3 - 4本の運行となる。115系電車での運転が中心となっている。関門トンネルを含むこの区間はJR九州の管轄区間となる。かつては本区間から新山口方面や山陰本線との直通列車が存在していたが、2005年10月のダイヤ改正でこれらの直通列車は全廃され(これにより、関門トンネルを通過する気動車列車も消滅)、運転系統が分断された。下関駅では原則として同一ホームでの対面乗り換えとして利便性を維持している。運転本数はおおむね1時間あたり3本であり、ほとんどの列車は門司駅から鹿児島本線小倉駅までの運転だが、一部は小倉駅から鹿児島本線博多方面または日豊本線行橋方面と直通する。本州と関門トンネル内は直流電化だが、関門トンネルの九州側の門司駅構内で交流電化になる。そのため、関門トンネルを通過する下関駅 - 門司駅間は気動車と交直両用電車・機関車のみが走行できる。普通列車にはJR九州の415系交直流電車が使用され、門司駅構内のデッドセクションで直流・交流の切り替えを行っている。毎週水曜日(多客期や祝日と重なる場合などをのぞく)は保守点検の時間を確保するため、以下の区間・時間帯でおよそ1時間は運休している(2015年3月14日現在)。山口地区では、保守点検に伴い、列車を区間運休する日がある。その場合は運休区間で代行バスを運行している。2001年より2005年まで、主に、広島駅 - 下関駅間で下関地域鉄道部のキハ181系気動車を用いた気動車快速列車が運行されていた。列車名は時期により異なり、主に「フグの旬の時季」とされる冬季では「下関ふくフク号」、夏季では「関門・海峡物語号」などの列車愛称を与えられ運行された。これには、基本的には山陰本線特急「いそかぜ」に使用されていた下関地域鉄道部(現在の下関総合車両所に相当)所属の同車両が3両編成2本と最低限の車両しか配備されていなかったためであるが、運用時には全車両座席指定席で運用するなど特色がある運用がなされたと言われる。なお、2003年の夏期には、NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」の舞台ともなった巌流島が関門海峡上にあることから、同ドラマの主人公であった七代目市川新之助(現在の十一代目市川海老蔵)演ずる宮本武蔵のラッピングなどを施した「関門・MUSASHI号」が運行された。また、2015年には、大河ドラマ「花燃ゆ」の放映を記念して、三石駅 - 下関駅間で、ラッピング列車が運行された。ただし、これらキハ181系気動車を用いた気動車快速列車では同車両が不調または定期検査などの理由により、時折宮原総合運転所または岡山電車区の117系電車や岡山電車区の213系電車による電車列車により代替運行が行われていた。このほかふくフク号にはSLやまぐち号用のレトロ客車が使われたり、きのくにシーサイド用の客車が使われたこともある。2005年の春の運行では、「あさかぜ」の運用を離脱したばかりの下関地域鉄道部下関車両管理室所属の24系客車が使用された。2001年3月3日に「山陽シティライナー」が運転を開始して以来、運転区間を年々拡大し、かつては下関発三石行きの普通列車があり、運行距離が 425.7km で、普通列車では日本最長であった(下関駅の西隣は福岡県の門司駅で、三石駅の東隣りは兵庫県の上郡駅であるため、九州(福岡県)の少し先から関西(兵庫県)の一歩手前まで走行していたことになる)。三石駅直通列車が廃止されてから2009年3月までは、下関駅 - 岡山駅間を運行する列車が普通列車では日本最長の 384.7km になった。以後は新山口までの 315.8kmと短縮し、2015年3月14日のダイヤ改正でさらに徳山まで区間短縮となりこの時点で最長距離普通列車の座を根室本線の「滝川発釧路行普通列車」に譲ったが、2016年3月26日のダイヤ改正で再び岡山発下関行きの普通列車が復活し最長距離普通列車となった。和田岬線をのぞく全線で多くの貨物列車が運行されている。大半がコンテナ車で編成された高速貨物列車で、タンク車などを連結可能な専用貨物列車は一部区間で臨時列車として運行されているのみである。牽引機は、幡生操車場以東では直流用電気機関車のEF66形、EF200形、EF210形。これらは東海道本線と直通している。幡生操車場以西では交流直流両用電気機関車のEH500形。なお幡生操車場駅 - 下関駅間の貨物列車は直流用電気機関車またはDE10形ディーゼル機関車が牽引する。広島貨物ターミナル駅→西条駅間では、急勾配(瀬野八)登坂用にEF67形電気機関車を連結する。2013年初頭より、瀬野八登坂用に新造されたEF210形300番台での登坂も開始された。また神戸駅 - 伯備線間はEF64形電気機関車、岡山貨物ターミナル駅 - 水島臨海鉄道間はDE10形・DE70形(水島臨海鉄道所有)ディーゼル機関車が牽引する。かつて運転されていた山口線 - 美祢線直通列車はDD51形ディーゼル機関車が、宇部線 - 美祢線直通列車はDE10形ディーゼル機関車が牽引していた。これらについては直通先各線におけるJR貨物の第二種鉄道事業が2014年4月1日限りで廃止されたため、現在は乗り入れていない。山陽線の貨物列車発着のある駅は、神戸貨物ターミナル駅・姫路貨物駅・岡山貨物ターミナル駅・東福山駅・広島貨物ターミナル駅・大竹駅・岩国駅・新南陽駅・宇部駅・下関駅である。他線への直通車両は当該路線の記事を参照。以下に示す車両はすべて電車である。なお、網干車とは網干総合車両所所属車、岡山車とは岡山電車区所属車、広島車とは下関総合車両所広島支所所属車、下関車とは下関総合車両所運用検修センター所属車のことである。神戸駅から下関駅までは、私鉄の山陽鉄道の手により開通した。1888年に兵庫駅 - 明石駅間が開業し、翌年に神戸駅・竜野駅まで開通。以後順次西へと路線が延びて、1901年に馬関駅(現在の下関駅)まで開通した。山陽鉄道は1906年、鉄道国有法により国有化され、官営鉄道山陽本線となった。現在の岩徳線が1934年に全通。距離の短い現岩徳線が山陽本線に編入され柳井経由の従来線は柳井線となった。しかし現岩徳線には当時の蒸気機関車牽引では運転上の障害となる長大トンネル(欽明路トンネル・3149m)が存在したことから、複線化は長大トンネルをもう1本掘るより工期的にも有利な柳井経由で進められた。1944年に柳井線を含む神戸駅 - 下関駅間全線の複線化が完成すると、柳井線を山陽本線に再編入し、岩国駅 - 周防高森駅 - 櫛ケ浜駅間は岩徳線となった。下関駅から九州へは山陽鉄道時代から鉄道連絡船で連絡していたが、1942年に世界初の海底トンネルである関門トンネルが開通し、山陽本線は門司駅まで延長された。和田岬線を除く全線の電化が1964年に完成、同年に開通した東海道新幹線に接続して西日本各地へ向かう特急列車・急行列車が頻繁に運転されるようになった。その後、山陽新幹線が1972年に岡山駅まで、1975年に博多駅まで開業し、山陽本線を走っていたほとんどの優等列車が廃止された。以後、貨物列車と寝台特急のほかは、地域内輸送が主となっている。これに伴い、中線や副本線などの待避設備を廃止(架線や一部のポイントを撤去し保線用車両等のみ使用できる状態としたものもある)した途中駅もある。また、貨物列車のために宇部駅 - 厚狭駅間が3線化され本線をオーバークロスする珍しい線形が採用されたが貨物列車衰退により複線に戻されており、コンクリートの橋梁と枕木のみが遺構として残っている。そのほか、新山口駅 - 下関駅間では送り込みもかねた気動車列車もあったが2006年に廃止となった。(貨):貨物専用駅、◆・◇・■:貨物取扱駅(貨物専用駅を除く。◇印は定期貨物列車の発着なし、■印はオフレールステーション)ここでは駅名と主要駅のキロ程のみを記す。接続路線・快速停車駅などの詳細についてはJR神戸線#駅一覧および和田岬線#駅一覧を参照。( ) 内は起点からの営業キロ上記以外の駅はJR西日本の直営駅である。ここでは駅名と主要駅のキロ程のみを記す。接続路線・快速停車駅などの詳細については山陽本線 (広島地区)#駅一覧を参照。( ) 内は起点からの営業キロ上記以外の駅はジェイアール西日本広島メンテックによる業務委託駅である。便宜上、ほぼ全ての列車が直通する鹿児島本線小倉駅までをあわせて記載する。( )内は起点からの営業キロ。( )内は神戸駅起点の営業キロ。廃止区間や和田岬線のものをのぞく。
出典:wikipedia
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