スッポン(鼈、")は、爬虫綱カメ目スッポン科キョクトウスッポン属に分類されるカメ。「キョクトウスッポン」「シナスッポン」の名で呼ばれることもある。中国・日本・台湾・韓国・北朝鮮・ロシア南東部・東南アジア。日本では本州以南に生息するが養殖場から逃亡した個体に由来する個体群と自然個体群の両方が生息するため、正確な自然分布については不明な点が多い。日本国内に生息している個体群は、本州、四国、九州のものは主として在来個体群に起源すると考えられているが、南西諸島の個体群は、過去に中国など海外から人為的に持ちこまれたものが起源と考えられ、その由来の追跡研究も現在行われている。なお、日本国内の個体を亜種"P. s. japonicus"とする説もある。最大甲長は38.5cm。ごく稀に60cmになる。他のカメと異なり、甲羅表面は角質化していないので軟らかく、英訳のSoft-shelled turtle(柔らかい甲羅を持つカメ)もこのことに由来する。この甲羅の性質のため、他のカメよりもかなり体重が軽い。幼体は腹甲が赤みがかり黒い斑紋がある。成体の腹甲は白やクリーム色。噛みつく力は強く、すっぽんの体に触った場合は自己防衛の為食いつこうとする。「雷が鳴っても離さない」という譬えがある、噛みついたすっぽんは首を甲の内側に引っ込める。噛まれた場合動かさず10秒程度で噛みを止める。噛み付かれても大抵の場合は水に戻せばそのまま泳いで逃げる。古くは物事をしつこく探求する者を「スッポンの何某」と呼ぶこともあった。生息環境はクサガメやイシガメと似通っているが、水中生活により適応しており水中で長時間活動でき、普段は水底で自らの体色に似た泥や砂に伏せたり、柔らかい甲羅を活かして岩の隙間に隠れたりしている。これは喉の部分の毛細血管が極度に発達していてある程度水中の溶存酸素を取り入れることができるためで、大きく発達した水かきと軽量な甲羅による身軽さ、殺傷力の高い顎とすぐ噛み付く性格ともあわせ、甲羅による防御に頼らない繁栄戦略をとった彼らの特色といえる。このことに加え、鼻と首が長く鼻先をシュノーケルのように水上へ出すことで呼吸できるため、上陸して歩行することは滅多に無いが、皮膚病に弱いため、あまり頻繁ではないものの護岸などで甲羅干しをしている姿も時折見かける。また水中だけでなく、陸上でも非常に素早い動きを見せる。食性は動物食の強い雑食で魚類、両生類、甲殻類、貝類、稀に水草等を食べる。繁殖形態は卵生で、1回に10-50個の卵を産む。すっぽんは日本や中国では、古くから食されていたようである。日本列島においては滋賀県に所在する栗津湖底遺跡において縄文時代中期のスッポンが出土しているが、縄文時代にカメ類を含む爬虫類の利用は哺乳類・鳥類に比べて少ない。弥生時代にはスッポンの出土事例が増加する。すっぽんは主に西日本の食文化であったが近世には関東地方へももたらされ、東京都葛飾区青戸の葛西城跡では中世末期から近世初頭の多数のすっぽんが出土している。美味しい出汁がでるため、日本酒とすっぽんで拵えた「スープ」や雑炊、吸い物は日本料理の中では高級料理とされる。甲羅や爪、膀胱以外はすべて食べられることが特徴である。すっぽんの形状が丸いため「まる」ともよばれる。解体することを専門用語では「四つ解き」などとも言う。専門店や知識のある店では食前酒として、すっぽんの活血を日本酒等のアルコールで割ったものを供す、ワイン等で割った血を供す店もある。全体を乾燥して粉末化した健康食品に用いられることも多い。また、古代中国の書『周礼』によれば、周代にはすっぽんを調理する鼈人という官職があり、宮廷で古くからすっぽん料理が食されていたようである。現在も安徽料理のポピュラーな食材として用いられている。韓国では、サムゲタンに高級食材を加えた龍鳳湯の食材に用いられることがある。滋養強壮の食材とされているが、肉には水分が多い。蛋白質、脂質が少なくカロリーは低い。ビタミンA、ビタミンB1は多い。日本国内で食用とされるのは臭みが無い天然個体で、養殖個体は餌の臭いが強く臭く感じる。食用のカメの養殖のことを、養鼈(ようべつ)という。養鼈は多くの他府県などでさかんである。養殖の手法には、野生のスッポンと同様に冬眠させて行う露地養殖と、工場の排熱や温泉などを利用した加温養殖がある。神経質でかつ日光浴を好むスッポンには静寂で日照のある環境が重要であるため、山間部や一年を通してのビニールハウス養殖は適さない。スッポン科で大型のコブクビスッポン(" )やマルスッポンなどは中国では食用として珍重されていたが、養殖が進まず、絶滅が危惧されている。甲羅を乾燥させたものを土鼈甲(どべっこう)といい粉末にして精力剤とされるほか、市販の栄養ドリンクや健康食品の原材料に用いられることも多い。スッポン食に関係する諺(ことわざ)として、「鼈人を食わんとして却って人に食わる」がある。また前近代の中国人は、漁業で生活する異民族を「魚鼈(ぎょべつ)にまみれる」と表現した。かつて日本ではキツネやタヌキといった動物と同様、土地によってはスッポンも妖怪視され、人間の子供をさらったり血を吸ったりするといわれていた。また「食いついて離さない」と喩えられたことから大変執念深い性格で、あまりスッポン料理を食べ過ぎると幽霊になって祟るともいわれた。江戸時代には、ある大繁盛していたスッポン屋の夫婦が寝床で無数のスッポンの霊に苦しめられる話が北陸地方の奇談集『北越奇談』にある他、名古屋でいつもスッポンを食べていた男がこの霊に取り憑かれ、顔や手足がスッポンのような形になってしまったという話が残されている。また古書『怪談旅之曙』によれば、ある百姓がスッポンを売って生活していたところ、執念深いスッポンの怨霊が身長十丈の妖怪・高入道となって現れ、そればかりかその百姓のもとに生まれた子は、スッポンのように上唇が尖り、目が丸く鋭く、手足に水かきがあり、ミミズを常食したという。他の淡水系の生物と同様、生息地の破壊により野生個体数が減少していると思われるが、もっぱら養殖産業の面だけに注意が向けられ、野生個体についてはほとんど調査が行なわれていない。野生絶滅の危険があるのかも含めて不明である。
出典:wikipedia
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