魔法瓶(まほうびん、、)とは、食卓用の液体つぎのうち保温機能を有するものである。保温性の高い容器の構造になっており中に入れたものを長時間にわたり保温できる。保温用熱源を付加しているものもある。水筒やポット、鍋などの形状で、主にスープやお茶などの食品、飲料を保温するのに用いられる。持ち運び用の水筒型と据え置き用のポット型がある。前者は耐衝撃性能を向上させたアウトドア用品、後者は湯沸かし機能を付けた電気ポットがある。また魔法瓶の構造をマグカップに応用して、冷めにくくした製品もある。持ち運びできる水筒は温かいお茶やスープ、氷水などを入れて行楽に用いる。これを応用して、ご飯を暖かいままにできる弁当容器も作られている。湯と生卵を魔法瓶にいれておくことで温泉卵を作ったり、小豆などの豆類と湯を入れることでふやかして下ごしらえしたりすることもできる。この使い方がもととなり、保温調理鍋が生まれた。英語で、バキュームフラスク(Vacuum flask、真空フラスコ)または、商標に由来する俗称としてサーモス (Thermos)と呼ばれる。水筒型は、バキュームボトル(Vacuum bottle、真空瓶)、水注型は、バキュームジャグ(、真空ジャグ)と呼ばれる。魔法瓶は二重構造になっており、内層と外層との間の空間が真空になっている。ガラス製の場合、真空側の面はメッキが施されており鏡面になっている。容器の中に入れたものの温度が変化するのは、熱伝導によって内容物の熱が触れている容器の内壁に移動し、そこから容器の外壁を通して容器の外に逃げるからである。また熱放射により熱が電磁波として容器に吸収されたり、外へ逃げてしまうことも原因である。この2点を防ぐために、工夫が凝らされたものが魔法瓶である。真空技術に関しては同じく真空が重要となる白熱電球の製造と共通する点があり、初期の魔法瓶開発には電球の技術者が携わっていた。据え置き型のポットなど容量の大きい物は特に水中のカルシウム分が沈積しやすいので、定期的に落とす必要がある。物理的にこすって落とそうとするとガラスまで傷つけて破損しやすくなるので、クエン酸などを主成分とする洗浄剤や酢酸を使って落とす方が良い。1881年、ドイツのアドルフ・フェルディナント・ヴァインホルトが液化ガスの保存用に製作した壁間の空気を抜いた二重壁のガラス瓶がその原型である。また1891年、イギリスのデュワーは液体酸素保存用に金属製の二重壁容器を製作、次いで内側に銀メッキを施した二重壁ガラス瓶を製作した。これは彼の名をとってデュワー瓶()と呼ばれる。1904年には、ドイツのテルモス社が商品化に成功し、商品名は「テルモス」(サーモス)である。日本での「魔法瓶」という単語は一説には、狩猟を行う人物が新聞社の取材を受けた際、便利な道具として「魔法瓶」という呼び方をし、それが1907年10月22日の新聞に文章として掲載され、世に広まっていったと推定されている。あるいは、アメリカの魔法瓶メーカーで『アラジンと魔法のランプ』に由来する社名のアラジン社に関連があるという推測も別に存在する。1909年、日本に初めて魔法瓶が輸入された。これは当時びんに栓をするだけの単純な構造だった。1911年、大阪の日本電球が国産品第1号を開発し、同社が商標登録した魔法瓶という名称が、一般に用いられる。1978年、日本の産業ガス大手の日本酸素株式会社(現大陽日酸)により、ステンレス製の真空断熱魔法瓶が開発される。これが後のサーモスとなり、現在の主流となるまでに至る。これ以前にアメリカで開発されていたステンレス製の魔法瓶は、粉末の断熱材を使用していた。日本での主なメーカーは象印マホービン、タイガー魔法瓶、ピーコック魔法瓶工業など。これらはいずれも大阪府に本拠地を置き、その他部品メーカーも大阪府に多くあるなど地場産業となっている。また魔法瓶関連会社の工業組合である全国魔法瓶工業組合も大阪市北区に事務所を置いている。前項の「サーモス」のブランド名を世界各国で展開しているサーモス社()のイギリス・アメリカ・カナダのサーモス各社は1989年に大陽日酸(当時の日本酸素)によって買収されている。日本工業規格に携帯用および卓上用魔法瓶が規定されている(JIS S 2006 まほうびん)。また、家庭用の一定の構造を持つ魔法瓶は雑貨工業品として家庭用品品質表示法の適用対象となっており、国産・輸入を問わず国内で販売される製品の外装等には、「保温効力 ○○度以上(6時間)」など、性能や品質など定められた項目の表示をしなければならないことになっている。
出典:wikipedia
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