京王電鉄バス株式会社(けいおうでんてつバス、英称:"Keio Dentetsu Bus Co.,Ltd.")は、2002年2月1日に設立(京王バスとしては1997年から)され、同年8月1日に京王電鉄自動車事業部の事業一切を継承して営業を開始した京王グループの中核バス会社である。京王バス東、京王バス南、京王バス中央、京王バス小金井の4つの子会社を持ち、これらを加えた5社から京王電鉄バスグループを形成している(本稿では各子会社についても扱う)。本社は5社とも東京都府中市晴見町2-22、京王府中晴見町ビルに所在する。ただし、登記上の本店は東京都多摩市関戸一丁目9番地1の京王電鉄本社にある。一般路線バスの営業エリアは、東京都多摩地域を中心とし、子会社各社への管理委託路線も含めると京王電鉄沿線のほぼ全域に及ぶ。そのほとんどが東京都内完結路線であるが、神奈川県に乗り入れる路線もある。また、バスタ新宿をターミナルに山梨県、長野県、岐阜県、愛知県への中央高速バス、長野市への関越道経由の高速バス、静岡県への東名高速経由の高速バス、大阪府、兵庫県、宮城県への長距離高速バスを運行。さらに、京王線沿線およびJR中央線沿線から羽田空港、成田空港への空港連絡バスも運行している。加えて、新宿駅西口、渋谷駅西口から京王線沿線およびJR中央線沿線方面への深夜中距離バスや深夜急行バスも充実している。「京王電鉄バス」の名称は、本来は1997年4月1日に京王バス(現・京王バス東)が設立された際、当時の京王帝都電鉄が運営していたバス事業をこれと区別するために付けられたものである。京王のバスの歴史は1913年4月15日、京王電気軌道が鉄道未成区間の新宿駅〜笹塚駅間および調布駅〜府中〜国分寺駅間に乗合バスを開業したことに始まる。これらは東京における最初のバス営業であるが、暫定的な輸送手段の色合いが濃く、1914年に調布駅〜国分寺駅間を運休(のち廃止)、1915年には新宿駅〜笹塚駅間も鉄道開業に伴い廃止され、いずれも短期間で幕を下ろしている。京王が再びバス事業に乗り出すのは、昭和初期のことである。大正の末から、萬歳自動車という会社が甲州街道の新宿三丁目〜新町〜代々幡間、新町〜青山四丁目間にバスを運行していた。同社は1924年7月に社名を甲州街道乗合自動車に改称し、路線を烏山・調布を経て多磨村東京市営公園墓地(現・多磨霊園)まで延長していったが、甲州街道に並行して軌道線をもつ京王電軌はこれを脅威と感じ、1927年5月に同社の持株の過半数以上を取得、関連会社とした。さらに京王電軌は、1937年に甲州街道乗合を完全買収して事業の一切を吸収、さらに同日高尾遊覧自動車も買収した。これにより自動車課および同課笹塚営業所が設置され、現在の京王電鉄バスグループにつながる直営のバス事業が再開された。なお、甲州街道乗合は買収までに山之手乗合自動車ならびに小金井乗合自動車を合併しており、路線は甲州街道沿いだけでなく東京市内の音羽や武蔵小金井駅北側など、広範囲にわたっていた。その後も多摩地域における周辺事業者の買収を積極的に進めていく。1938年には、武蔵中央電気鉄道傘下にあった八王子市街自動車を買収し、八王子営業所を開設した。また、同年に高幡乗合を、翌1939年に由木乗合自動車を買収し、事業を吸収している。こうした矢先、太平洋戦争が開戦し、1942年2月1日には陸上交通事業調整法に基づく戦時統合のため、山手線以内の路線が3区間東京市へ譲渡された。譲渡路線は、新町〜青山四丁目(のちの都営バス東72の一部→1977年廃線)、原宿駅〜千駄ヶ谷駅(現在は同早81の一部)、新宿駅〜音羽九丁目(現在は同白61の一部)である。また、1944年5月31日、京王電軌は東京急行電鉄に合併されるに至った。京王電軌が運行していたバス路線は概ね甲州街道上または新宿区十二社周辺、及び現在の多摩地区であり、現在の京王バス東が運行する大部分の路線は、東京横浜電鉄傘下の東横乗合が中野・杉並両区の事業者を統合して運行していたものである。このうち、現在の三鷹線(鷹64)の原型路線は1935年に帝都電鉄(井の頭線の前身)に譲渡され、帝都電鉄バスとして運行されていた。東急バスの項を参照のこと。京王では、バス事業の抜本的な経営効率化を図るため、京王帝都電鉄時代の1997年4月に京王バス株式会社を設立して以来、段階的分社方式により、地域ごとに子会社への路線移管を進めている。バス事業が完全に電鉄会社から切り離された現在、これらの会社は京王電鉄バスの子会社に位置づけられており、独自の路線のほか、京王電鉄バスからの委託路線も運行する。以下の4社が営業している。京王バス東(けいおうばすひがし)は、1997年4月に京王バスとして設立された最初の分離バス子会社であり、同年10月より調布営業所の一部路線を当時の京王帝都電鉄から譲渡されて営業を開始した。その後、都区内の永福町営業所・中野営業所の路線の譲渡・委託を受け、現在はこれら3営業所の全運営業務をおこなっている。杉並区、調布市、渋谷区、新宿区、三鷹市においてコミュニティバスの運行を受託している。2003年10月に現社名に変更された。世田谷営業所は高速バス、深夜急行バスのみを担当する。京王バス南(けいおうばすみなみ)は、多摩ニュータウン南大沢地区における旅客サービスの向上を図るべく、2001年12月に南大沢京王バスの社名で設立され、翌2002年4月1日に営業を開始した。その後、営業地域の拡大と子会社間の社名整合化のため2003年10月に現社名に変更されている。管轄営業所は当初南大沢営業所のみであったが、2008年8月1日に多摩営業所、2014年4月14日に寺田支所が営業を開始した。京王バス中央(けいおうばすちゅうおう)は、府中地区を担当する子会社であり、府中営業所のみを有する。2003年5月に設立され、同年10月に営業を開始した。コミュニティバスとして、ちゅうバス(府中市)、CoCoバス(小金井市)、ぶんバス(国分寺市)の運行も担当する。京王バス小金井(けいおうばすこがねい)は、2004年11月に設立された子会社4社の中では最も新しい会社である。翌05年11月に京王電鉄バスの小金井地区における路線の一部を移管されて営業を開始した。営業所は、小金井営業所のみである。京王電鉄バスグループの営業所は、以下の通りである。営業所毎に識別記号が与えられ、車番の頭に付加される(世田谷営業所は高速バスのみのため独自の記号はなく、貸切・高速車に与えられる「K」が便宜的に割り当てられている)。京王電鉄バスグループは、主に中央自動車道を経由して山梨・長野方面への昼行高速バスネットワークを有する。京王は昭和30年代初頭から富士方面への路線拡張に積極的で、1956年10月6日に富士山麓電気鉄道(現在の富士急行)と乗り入れ協定を結び、新宿駅 - 山中湖・河口湖間(季節運行。1965年7月から毎日運行に変更)、1959年7月5日に富士山麓電気鉄道・山梨交通との3社共同運行で新宿駅 - 昇仙峡間定期急行バスをそれぞれ運行開始した。これらの急行路線を中央道の開通後、高速道路経由に変更したのが、現在の中央高速バスである。同社が運行する昼行高速路線は以下の通りである。1999年10月1日に京王電鉄より諏訪岡谷線の移管を受けて以来、一部の高速バス路線の運行を行っている。2006年7月14日には、富士急シティバスと共同で裾野・沼津線の運行を開始した。同社が運行する昼行高速路線は以下の通りである。同社はこれまで空港連絡路線は運行していたが、高速路線は運行していなかった。2011年3月19日から中央高速バス多摩 - 河口湖線を土曜日・休日・学校の長期休暇期間に運行している。2013年11月22日からは中央高速バス立川 - 飯田線を運行している。夜行高速バスは、1989年10月14日に新宿駅西口 - 高松駅線、1990年10月12日に日本最長の路線である新宿駅西口 - 西鉄天神バスセンター(現・西鉄天神高速バスターミナル)線「はかた号」(西日本鉄道との共同運行)を開業するなど、一時は4路線を運行していた。しかし、運用効率の悪さや、他の交通機関との競争から拡張には至らず、1996年10月1日に福岡線以外の夜行路線をグループ会社の西東京バスに移管(2003年9月から2008年9月までは、さらに同社子会社の多摩バスに移管)、さらに1999年1月18日に福岡線の運行も終了(西日本鉄道が単独で運行へ)し、一時は夜行路線から撤退した。尚車齢の若い車両は座席を4列シートに改造の上中央高速バスへ転用された。しかし、2000年代に入り、子会社の京王バス(現・京王バス東)が2003年7月18日に阪急バスと共同で新宿駅西口 - 大阪梅田線を、同年12月には神姫バスと共同で新宿駅西口 - 三ノ宮駅 - 姫路駅線を相次いで開業、2006年3月31日には、京王電鉄バスが新宿駅西口 - 仙台駅 - 石巻駅間の夜行路線を開業し、夜行バスは再開の兆しを見せている。大阪線は一旦撤退したのち(前述のとおり、西東京バス→多摩バス→西東京バスに移管)相手の会社を変えて「復活」したため、「ねじれ」を生じている。また、神戸・姫路線は神姫バスが単独で渋谷 - 三ノ宮・姫路に路線を持っていたが、ツアーバスの進出による競争激化で輸送力過剰となり結局は京王・神姫担当系統を渋谷経由に変更し統合された(もとは東急バスと共同だったが、同社が撤退したため単独化)。京王電鉄バスグループが運行する夜行路線は以下の通りである。なお、既述の通り名古屋線にも夜行便がある。はかた号・高遠線・下呂温泉線以外は西東京バスへ移管された。該当する3路線の現況については、西東京バス#高速バス路線を参照。空港連絡路線は、計7路線ある。羽田多摩センター線は2007年6月1日に、成田多摩センター線は、2006年3月16日に南大沢駅発着に変わり、それに伴い、京王バス東から京王バス南に移管された。深夜急行は6路線を運行している。京王電鉄バスグループでは、2016年8月現在はいすゞ自動車、日野自動車、日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)、三菱ふそうトラック・バス の4メーカーより導入した車両を保有している。一般路線車はこれら4メーカー全てから導入しているが、日産ディーゼル製車両の割合がやや高い。これは1995年以降車両の低床化を進めるに当たり、同社より狭幅・長尺のワンステップ車両(JP)を一括購入したこと、および同社と共同で小型車両(RN)を開発し、1996年より多数導入したことによる。最後に導入された日産ディーゼル製は2008年の日産ディーゼル・スペースランナーJPと日産ディーゼル・スペースランナーRAであり、2009年はJPのOEM供給であるAJを導入している。特徴的な仕様としては、深夜急行バス用車両や高尾駅発着の山間路線で使用する極一部の車両を除き、メーカーへの特別注文によりフォグランプを非装着としている点で、かつては東京都内の東急バスや関東バスでもフォグランプ非装着仕様のバスが導入されていたが、現在日本国内のバス事業者で、フォグランプ非装着仕様の新車を導入しているのは京王電鉄バスグループのみである。高速路線車は三菱ふそうトラック・バス、日野自動車の両社製車両を導入している。なお、いすゞ車は2000年にエルガミオが2両導入されて以来、しばらく導入されず、2012年11月までに全て置き換えられたことで配置がなくなったが、2013年8月に永福町営業所にエルガハイブリッドが納車され、いすゞ車の配置が復活し、2016年現在、永福町以外に桜ヶ丘、府中、多摩、寺田等にもいすゞ車が配置されている。日産ディーゼルも2011年3月までにバスの製造販売を終了したため、以降は一般路線車も全て三菱ふそうトラック・バスや日野自動車から導入されている。一般路線車両のカラーリングは、京王帝都電鉄の発足直後から黄・赤・白の3色を用いたカラー(現在の西東京バスとほぼ同じ)が使われてきたが、1975年に黄・赤の2色に簡略化されたのち、1990年6月のコーポレート・アイデンティティ(CI)導入により、アイボリーを基調に青・ローズピンクのアクセントを加えた京王グループ共通の塗装となった。また、1997年に設立された京王バス株式会社の車両は、これとは異なる青色を基調としたものが採用された。現在では、原則として京王電鉄バスの車両がアイボリーを基調とした塗装、子会社の京王バス4社の車両が青色を基調とした塗装となっているが、実際には京王電鉄バスが所有し京王バス各社に管理を委託している車両の中に青色塗装のものがあるほか、塗装変更されないまま京王電鉄バスから京王バス各社に譲渡された車両もあり、外見から所属会社を見分けることは困難である。2013年に入り、京王電鉄創業100周年を記念して、京王帝都電鉄発足(いわゆる大東急解体)の1940年代から現塗色になる1990年代までの旧塗装を復刻したエアロスターが11台導入された。その後、2015年に日野・ブルーリボンIIで復刻塗装車が登場している。過去の特徴的な車両としては、高速・路線兼用車「ワンロマ」が挙げられる。詳細は中央高速バス#高速・路線兼用車「ワンロマ」を参照のこと。高速バスでは2010年から、一般路線バスでは2012年からWi2 300(ワイヤ・アンド・ワイヤレス)の公衆無線LANアクセスポイントを車両に搭載している。一般路線についてはau Wi-Fi SPOTやdocomo Wi-Fiも利用できる。京王電鉄バス(系列の西東京バスを含む)で役目を終えた車両は全国の地方事業者に譲渡されているが、以前は東急バスや小田急バスなどのようにあまり広範囲には広まっていなかった。しかし、2000年以降に東京都を含む首都圏が自動車NOx・PM法による特定区域に指定されたことなどから近年は少しずつではあるが増加している。最近では1995年以降に購入した日産ディーゼル・JPおよびRNワンステップなどが地方の事業者に移籍し始めているほか、系列の西東京バスでも前者を中心に地方事業者への譲渡が増加している。また、一部の車両はミャンマーなど海外へも輸出されている。所属営業所を表す英字1字と5桁の数字で表している。数字の一万の位はメーカー及び車両の用途、千の位と百の位は購入年度(西暦下2桁)、十の位と一の位が整理番号となる。例えば、社番がD30601であれば、を表す。なお、同じく京王グループの西東京バス(2006年より)・多摩バスが、これに似た附番方法を採用している。西東京バス#社番、多摩バス#社番も参照のこと。
出典:wikipedia
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