『宇宙刑事シャイダー』(うちゅうけいじシャイダー)は、1984年(昭和59年)3月2日から1985年(昭和60年)3月8日まで、テレビ朝日系列で毎週金曜日19時30分から20時00分に全49話が放送された、東映製作の特撮テレビ番組、およびそれに登場したヒーローの名前。本作は『宇宙刑事ギャバン』に始まる「宇宙刑事シリーズ」三部作の第3弾であり、現在では「メタルヒーローシリーズ」の第3弾とされる。企画段階での名称案は「ジェンサー」、「シャーロン」などがあった他、初期には主人公・沢村大が塾の講師をしているという設定も存在していた。正式に採用されたシャイダーの名前の由来は映画『ジョーズ』などに出演した俳優ロイ・シャイダーから。過去の2作品は主演にJACのアクション俳優を起用していたが、『宇宙刑事シャイダー』では前二作と変化をつけるべくパートナーの女宇宙刑事をJACから抜擢することになった。主演のシャイダー=沢村大には円谷プロダクション芸能部からの売り込みで主演オーディションに参加していた円谷浩が、メインライターの上原正三が強く推薦したこともあって選ばれた。円谷プロで脚本家デビューを果たした上原にとって、円谷プロの社長を務めていた円谷一は恩人でもあり、息子の浩を主演へと推薦することで円谷一の恩に報いたかったのが、最大の推薦理由でもあったという。特撮監督を務めていた矢島信男は、松竹の社員時代における円谷英二や、『ミラーマン』などにおける円谷一、そして本作における円谷浩との出会いを指して、「親子三代に渡る不思議な縁ですね」と当時の感想を述べていた。円谷浩を主役に推薦したことも手伝って、上原は東映のスタッフに対し『宇宙刑事シャイダー』における全話の脚本を、一人で執筆してみせることすら約束した。そして上原は、同時期に開始された『星雲仮面マシンマン』や『ビデオ戦士レザリオン』『北斗の拳』の脚本も兼ねながら、本作における全49話を一人で執筆し続けることで、東映と円谷への恩返しをも同時に果たしている。アクション俳優ではないことを逆手に取って「訓練学校を卒業したばかりの、未熟な戦士の成長物語」を課せられた円谷浩も、一年間に渡る過酷な撮影生活を全うすることで、俳優として更なる成長を遂げた。一方でパートナーであるアニー役の森永奈緒美によるミニスカート姿でのアクションも人気となった。パイロット監督は前作までの小林義明に代わって吉川進プロデューサーの意向により澤井信一郎が登板している。小林と同じく東映の社員監督であった澤井だがこれまで特撮番組に携わった事がなかったため、最初は依頼を固辞した。しかし、前作『宇宙刑事シャリバン』の完成度の高さに感心し、参加を決意したという。「不気味」ではなく「不思議」な世界観作りに拘った澤井監督の意向は、不思議ソングや神官ポーといったイメージやキャラクターにも強く反映され、宇宙刑事シリーズにまた違った新風を吹き込んだ。同時期の『星雲仮面マシンマン』終了後は日笠淳がプロデューサー補として参加。ナレーターは前2作までの政宗一成から、『シャイダー』開始と時同じくして終了した『科学戦隊ダイナマン』まで「スーパー戦隊シリーズ」のナレーションを連続して務めた大平透を起用。本作の特徴として、敵組織である不思議界フーマが、人間の心を支配することで侵略を進める戦略をとったことが挙げられる。「地球を傷つけずに征服するため直接的な武力に訴えない」という説得力ある理由づけがなされていたが、このため衣食住や娯楽、教育などが侵略作戦に利用され、身近なところにまで魔手を伸ばし人間の心の闇をえぐるフーマの魔性が強調された。「百点源太の正体」をはじめ、高い社会風刺性を持ったエピソードも多い。また、作戦の性質上しばしば子どもがターゲットとされるため、子どもが絡んだエピソードも増えた。商業的には前作の『シャリバン』に引き続き巨大ロボがメインアイテムである。本作の巨大ロボ、バビロスは前作のグランドバースにはなかった三段変形が可能で、巨大ロボ形態のプロポーションも問題のあったグランドバースより大きく改善された。このため大ヒットし、本作が放映された年はタカトクトイスの倒産によるラインナップの不足やファミコンブームの影響などで男児を対象とした商品にとって厳しい市場環境の年であるにもかかわらず、シャイダー関連の玩具はシャリバン対比で306%と驚異的な伸びを達成した。前2作の様に先輩宇宙刑事の救援はなかったが、最終話のEDで三人が揃い踏みし、宇宙刑事三部作の締めとなった。沢村大は地球人の考古学者。銀河連邦警察にスカウトされた彼は、バード星の宇宙刑事養成所で訓練を受けていた。そんなある日、不思議界フーマによって銀河中の星が次々と消滅させられ、銀河連邦警察は急遽訓練生をも動員して各惑星の警備にあたらせる。そしてフーマが地球に狙いを定めたことを知ったコム長官は、大に「シャイダー」のコードネームを与え、地球担当宇宙刑事に任命した。大はフーマによって故郷マウント惑星を消滅させられてしまった同じ訓練生のアニーと共に、超次元戦闘母艦バビロスで故郷地球へ向かった。宇宙犯罪組織マドー壊滅後に現れた、暗黒宇宙最大にして最悪の宇宙犯罪組織。不思議時空という異次元空間に浮かぶ不思議宮殿を本拠地とし、前作の宇宙犯罪組織マクー・マドーを遥かに凌ぐ大軍団で全銀河の征服を企む。全銀河規模で侵攻を図るほどの戦力を有ており、その規模は銀河連邦警察をも凌ぐ。マウント惑星のように直接的な武力行使によって壊滅させた星も数多いが、その星の住人を怠け者にして堕落・退化させたり、不思議ソング病を蔓延させて住人同士を闘争させ自滅に追いやるなど、間接侵略によるアプローチも得意。特に地球に対してはこれを傷付けず、美しいまま乗っ取るため、人間の心を闇で覆い、内面から支配する方法を基本戦略として採用。衣食住や娯楽、教育などを利用して大衆洗脳を図った。地球を特別扱いするのは、1万2千年前、彼らが地球に植民地ムー帝国を築いていたからでもある。典型的なエゴイストの集団で幹部同士の内紛さえ見られたマクー・マドーと異なり、フーマの構成員たちの忠誠は厚く、使命のためなら命を投げ打つことも厭わない。首領である大帝王クビライを全知全能の神として崇める宗教的な雰囲気を持つ組織であり、その求心力は非常に高い。そのため番組の終盤では銀河各地へ大規模な侵攻を繰り広げ、圧倒的な優位に立っていたにもかかわらず、最終話でクビライがシャイダーに倒され、その情報が銀河全域に伝わると、全軍の士気は崩壊して形勢は突如として逆転し、またたく間に壊滅した。沢村大がコード「焼結」を発すると、母艦バビロス号よりプラズマ・ブルーエネルギーが放射され、これによって構成された特殊軽合金グラニュームα製のコンバットスーツによりシャイダーへと変身する。装着に要する時間はシャリバン同様、わずか1ミリ秒(千分の1秒)である。両腕両脚部には小型の高性能サーボコンピュータが配されており、戦闘経験の浅い大をサポートする。胸のディメンションコントローラーにより、異次元や宇宙空間でも活動可能。音声によるコード認識が出来ない場合は、アニーが手動操作で焼結を起動させることも可能。焼結時の身長:210cm / 体重:90kg / ジャンプ力:250mNGデザインでは手脚も青く塗られたものもあったが、寒色の青一色では暗く重く見えることから手脚は銀で塗られた。また、それまでの肘・膝関節がジャバラだったのに対し、エルボーパッド・ニーパッドを付けたデザインになっている。これは玩具としてはジャバラ表現として関節に仕込むスプリングの手間とコスト削減、劇中のスーツではジャバラ部が一本一本剥がれる毎のメンテナンスの煩わしさ等を解消するためであった。メッキ仕様の超アップ用スーツでは、シリーズで初めてブーツもメッキを施したものが製作された。歩くのは困難なため、屋内での写真撮影や、当時のショーで販売していた色紙の写真等での使用にとどまる。ギャバン、シャリバンに比べ、固有名称のついた技が少ないことが特徴としてあげられる。そのため、不思議界突入前から抜刀する事が多く、ギャバン、シャリバンがマクー空間、幻夢界に突入するまでほとんど抜刀しないことと対照的に描かれている。オープニングテーマとエンディングテーマには『バトルフィーバーJ』や『大戦隊ゴーグルファイブ』で見送られてきた女声コーラスを採用したアレンジ手法を用いている。ビデオリサーチ調べ、関東地区上記どちらもテレビシリーズのDVD(LDには収録された)には収録されなかったが、2007年12月7日に発売された『東映特撮ヒーロー THE MOVIE BOX』及び2009年11月21日の「東映特撮ヒーロー THE MOVIE Vol.5」には収録された。本作より劇伴の「音楽集」と主題歌・挿入歌の「ヒット曲集」の2枚が発売されるようになる。番組放送中に発売されたサウンドトラックのLP「宇宙刑事シャイダー 音楽集」(コロムビアレコード)では、前作「シャリバン」と同様、ステレオ音源で収録された。2004年にも再発売されている。2006年に発売のサウンドトラックのCD「宇宙刑事シャイダー オリジナルサウンドトラック」は、アイキャッチ音楽と主題歌のメロオケ曲・挿入歌のカラオケ曲を除く大半の楽曲はモノラル編集で収録されている。前作『シャリバン』の商品「プラデラシャリバン」同様、本作もクロスアップタイプの「プラデラシャイダー」が発売されている(ただし、シャイダーはマスクが固定式であり、外すのは不可能)。メタルヒーローシリーズとしては、この後『世界忍者戦ジライヤ』(マグネクロスシリーズ、なお当初のジライヤは「DX磁気ジライヤ」)、『特警ウインスペクター』(着化指令シリーズ)や『特捜エクシードラフト』(トライジャケットシリーズ&バトルジャケット(シンクレッダー))、『ブルースワット』(コンバットクロスシリーズ)などのクロス系のアクションフィギュアが発売されている。2006年には、それまで仮面ライダーシリーズ中心に展開されていたハイターゲット向けアイテム「装着変身」シリーズに、ギャバン・シャリバンとともにラインナップされた。2007年11月からアクションワークスより宇宙刑事三部作の主役3人のアクションフィギュアが商品化された。それぞれ箱に付いている応募券3枚による懸賞品(ギャバンのレーザーブレード(発光状態)、シャリバンのゴーグル、シャイダーのビッグマグナム)が期間限定の応募賞品となった。後楽園ゆうえんちの『スーパーヒーロー大集合』では、同じ宇宙刑事であるギャバンとシャリバンの競演はなく、その後シャイダーは1987年の公演まで、メタルヒーロー作品の『時空戦士スピルバン』や『超人機メタルダー』、スーパー戦隊、仮面ライダーの作品といった競演が描かれている。本作放送中の7月11日(水)に同局の単発番組『水曜スペシャル』で放送された『夏休みマンガ祭り』内で、同時期のスーパー戦隊シリーズ『超電子バイオマン』と競演した。この特番では後楽園ゆうえんちで撮影を行い、バイオマンとシャイダーが悪と戦う演出が描かれている。なお、バイオマンとは競演が多い『チェンジマン』から『マスクマン』の「スーパーヒーロー大集合」(登場キャラクターのレッドワン(1985年.1986年)とグリーンツー(1985年‐1987年(単独))の他、同年の夏に『バイオマン』ショーの「戦え!!5人戦士+2」では、同じ東映制作の『星雲仮面マシンマン』と共に競演を果たす。3月28日に『水曜スペシャル』内で放送された恒例期首特番『オールスター番組対抗ボウリング大会』では、『バイオマン』が出場しなかったため、『痛快! あばれはっちゃく』との連合チームで出場、特撮では初めてブロック戦を突破した。なおこの後の『巨獣特捜ジャスピオン』と『時空戦士スピルバン』は『ボウリング大会』に出場しないため、次に『メタルヒーローシリーズ』が『ボウリング大会』に出場するのは、1987年春(最終放送)の『超人機メタルダー』(『マスクマン』と連合)である。上記のゲーム『宇宙刑事魂』において、暗黒銀河女王の手で復活したドン・ホラー、魔王サイコ、大帝王クビライの揃い踏みが見られる(Bパートのみ)。主人公・沢村大の選考に最後まで残ったのは円谷と、本編では神官ポーを演じた吉田淳だった。これは放送当時ファンロードのインタビュー(マンガレポートという形で掲載された)で円谷自身が明らかにしていて、もし大役に吉田が選ばれていたらポーは円谷が演じていた可能性もあったという。36話で偽シャイダーが登場するが、これは予備のシャイダーのスーツではなく、なぜかギャバンのアクション用スーツを改造したものである。不思議獣デザインは(第30話を除いて)野口竜によるものだが、第8話登場の不思議獣ケロケロについては神田正宏のラフデザイン、第11話の不思議獣ゲトゲトは渡部昌彦のラフデザインをそれぞれ元にしている。なお第30話の不思議獣ブヨブヨのみ野口竜ではなく渡部昌彦が担当した。読売新聞の連載漫画『コボちゃん』で、コボの父が「スパルタ教育をする」と発言した時、コボがスパルタを怪人の名前と勘違いし、「じゃあ、僕は『宇宙刑事シャイダー』だ」と受け応えする場面がある。
出典:wikipedia
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