ミサイル()は、誘導ミサイル()誘導ミサイルは目標に向かって誘導を受けるか自立誘導によって自ら進路を変えながら、やはり自らの推進装置によって飛翔していく軍事兵器のことである。ミサイルは推進装置と誘導装置を持ち、推進装置だけで誘導装置を持たないロケット弾や、推進装置を持たず誘導装置だけを持つ誘導爆弾や誘導砲弾とは区別される。一般の爆弾や砲弾は推進装置も誘導装置も有しない。推進装置は一般に固形ロケットを使用するが、大陸間弾道弾には液体ロケットを使用するもの、巡航ミサイルには燃費の良いジェットエンジンを使用するものがある。軍用航空機は空を飛ぶことで目標を攻撃するが、自ら目標に向かって失われることは想定されておらず、砲弾と大砲の関係のように、別の投射体を放つためのプラットフォームとなっている兵器である。「ミサイル」とは、原義では投射体、飛び道具、投石を指すが、現代で「ミサイル」と呼ぶ場合は主に推進システムと誘導システムを持つ兵器を指し、近代以前の投射武器(投石、矢、焙烙玉など)を指すことは少ない。語源はラテン語の動詞 (投げる)から派生した形容詞 (投げられるもの)であり、ローマ時代では“ミッシレ”と呼ばれていた。語としては、語源のラテン語を綴りをそのまま自言語の読みにしたもの(:英語-ミッスル、フランス語-ミシール、イタリア語-ミシーレ、等)の他に、ラテン語の発音を自言語の綴りに直したもの(、、等)、近代兵器としての概念を訳したもの(、-直訳すると「操縦(される)飛行体」及び「操縦(される)ロケット(弾)」、中国語:(繁体字:、)等。後述の日本語の「誘導弾」「誘導飛翔体」もこれに含まれる)、がある。また、ロシア語やポーランド語では総じて「(ラケータ、ロケットのロシア語表記/読み)」、「(直訳すると「噴射弾」)」と呼称され、無誘導の「ロケット弾」および航空宇宙用語としての「ロケット」と区別されないことがあるが、後者二つも含めて世界的に俗称、公称共にラテン語綴りの「」及び英語風発音の「ミサイル」で通じることがほとんどである。正式な軍事用語として「ミサイル」が登場するのは、1947年にアメリカ空軍が発足した際に航空兵器全般の正式な命名規則を制定し、それまでは定まった名称がなかった誘導ロケット系や飛行爆弾系の兵器をあらたな定義である「ミサイル」に一括分類したときである。なお、具体的な由来や命名者は不明である。日本での訳語としては「誘導弾(ゆうどうだん)」という呼称が用いられており、これは公式な名称として自衛隊を始めとして用いられているが、「誘導飛翔体(ゆうどう-ひしょうたい)」という語が用いられることもある。現代では「誘導弾」「誘導飛翔体」の呼称は防衛省の公的呼称以外にはあまり使われておらず、英語風のカタカナ表記である「ミサイル」が特に解説を要しない名詞として用いられていることが多い。「ロケット弾」の和訳語が「」であることから、「」という用語もある。尚、各種のミサイルのうち、弾道ミサイルのみは「弾道弾(だんどう-だん)」の呼称が和訳語として用いられており、“弾道誘導弾”とは呼称されない。以下にミサイルの分類を示す。必ずしもすべてのミサイルが下記の内の1種類に分類される訳ではなく、空対地ミサイル (ASM) が同時に対戦車ミサイル (ATM) や巡航ミサイルであるなど、同時に複数に分類できるものがある。(詳細は「ミサイル一覧」参照)対地ミサイルは地上の目標を攻撃するミサイルである。1人で扱う小型のものから巨大なICBMまでさまざまな種類がある。巡航ミサイル (CM)は発射プラットフォームにかかわらず大気圏内を目標まで水平に動力飛行するミサイルのうち、特に射程が長いミサイルである。長距離を飛翔するために固定翼航空機と同等に、主翼とジェットエンジンを備えることが多く、長い航続距離を得る代わりに音速以下での揚力による飛行を行うものが多い。破壊対象は地上目標もしくは艦船であり、長距離の対地ミサイルや対艦ミサイルの別称といえる。航空機同様に撃墜を避けるために低空飛行を行うことが求められ、地表高度に沿いながら防空レーダー網を左右に避けながら複雑な飛行ルートを行うなどの、高度な誘導装置を備えることで知られている。核弾頭を積んだ戦略ミサイルと通常弾頭を積んだ戦術ミサイルがある。ステルス性能の向上と並んで超音速巡航能力が求められており、2008年現在はいくつかの超音速巡航ミサイルの配備が始まっているとされている。対艦ミサイルは水上艦船を攻撃するミサイルである。艦船の移動速度は車両と同等のため、対艦ミサイルを対地ミサイルの一部として扱う事がある。この場合の略号は ではなく を用いる。洋上は彼我共に探知範囲が大きくなるため対艦ミサイルは一般的な対地ミサイルより射程が長く、中には弾道ミサイルに匹敵する射程を持つミサイルもあり、これらは対艦用の巡航ミサイルとも呼べる。対潜ミサイルは水中の潜水艦を攻撃するミサイルで、その多くが弾頭相当として短魚雷を備えて着水時に分離する。ミサイルであると共に対潜兵器でもある。対空ミサイルは空中の目標を攻撃するミサイルである。多くのミサイルは、飛翔体の他にも外部での誘導や発射にさまざまな装置を必要とする。以下に主要なミサイル・システムの構成要素を示す。簡易な肩撃ち式の対戦車ミサイルでは、射撃統制に複雑な装置は必要とせず、追尾レーダーも飛翔体に内蔵したものだけで済ますミサイルもある。ミサイルの飛翔体は、ほぼ同じような構造から成り立っており、構成する装置類を頭部から後部に向かって順に示す。モジュール化構造を備えた飛翔体では、筐体となる外殻と特にそのモジュール同士の接続部に高い強度が求められる。目標を捜索、発見・識別するシステム。索敵装置にはレーダー、ソナーなどの捜索システムと発見した目標の識別を行う敵味方識別装置(IFF)が含まれる。赤外線誘導ミサイルや長射程のミサイル、対地ミサイルの場合、ミサイル本体に搭載されていることも多く、英語ではこれをシーカーと呼ぶ。誘導装置はミサイルの先端付近に取り付けられ、目標を追跡し目標の現在位置とミサイル自身の進行方向とのずれを随時計算して操縦装置へ進路補正を指示する。英語ではガイダンス・システム、ホーミング・システムと呼ぶ。ミサイルには複数種類の誘導装置が搭載される事があり、それぞれ使用される時点に応じて中間誘導装置、終末誘導装置と呼ばれる。一種類しか搭載されていない場合は単に誘導装置と呼ばれる。弾頭は誘導装置の直後に置かれる事が多く、ミサイルが目標を破壊するために必要な装置である。英語ではウォーヘッドと呼ぶ。弾頭を起爆するための装置で、弾頭に組み込まれて使用される。英語ではフューズという。基本的には以下の種類があり、多くの高性能信管では設定によって複数の基本的な機能を組み合わせて起爆できるようになっている。ミサイルの推進燃料を収めている区画であり、ミサイル後部で大きな位置を占める。円筒形のロケット形態を採る限りは、電気配線などが燃料区画をまたいで上下をつなぐのにエレガントな解決策がなく、外部側面に張り付いている場合が多い。ミサイルの飛行方向を制御するには以下の方式がある。操向用の操舵翼とは別に安定翼(=固定翼)によって飛翔の安定性を高めるのが通常である。主翼とも呼ばれる。固定式と展張式のものがある。展張式安定翼では、ミサイル内に格納されているものと、ミサイルの周囲を囲むように折り畳まれているものがある。多くがスプリングによって発射直後に展張する。操舵翼も展張式のものがある。ミサイルを飛翔させる主エンジンには以下の種類がある。固体燃料ロケットは「ロケットモーター」であり、液体燃料ロケットは「ロケットエンジン」とする名称の使い分けも存在するが、定着した使われかたであるかは不明である。ミサイルの有効性を計る数値にSSKPとSSHPがある。SSKPは主として対空ミサイルの評価に使用される。SSHPは主として対艦ミサイルや対戦車ミサイルの評価に使用される。発射地点から攻撃可能な目標地点までの最大距離が射程である。地対空ミサイルや艦対空ミサイルでは重力に逆らって上昇するのに推進力が消費されるため、水平距離だけでなく高さも含めて表現されることが多い。小型ミサイルでは多くの場合、弾頭部の種類別にミサイルの型名が付けられているため、射程も一意に決まるが、大型ミサイルでは弾頭を変更可能な場合、重い弾頭を運搬する場合と軽い弾頭を運搬する場合では射程が異なることがある。すべてのミサイルは発射時には爆発しないように作られており、その多くが安全装置や誘導装置の動作手順の都合によって、最短有効距離や最小有効射程などと呼ばれる攻撃に使用しても動作が保証されない距離が設定されている。ミサイルの発射には複数の方式がある。無人で放たれた後は短時間の1度限りの使用であるため、高熱や振動・圧力に起因する強度低下や再使用の整備は考慮せずに済み、比較的新しい技術を導入しやすい。排気煙の視認を避けるため、白煙の元となるアルミニウム粉を用いない固体推進剤、さらに排気炎を出さないものが研究されている。外殻を金属からプラスチックへ変更し、ステルス性を高める研究が行われている。主に艦船から発射されるミサイルでは、戦闘による被弾時や平時の火災時の誘爆を回避できないか検討されている。固体推進剤は通常、爆燃せずに燃焼するのみであるが、火災で長時間加熱を受けると、ミサイル内部の推進剤全体が自己発火寸前の状態(スロークックオフ)となり、やがて何らかのきっかけで爆轟することが知られ(英駆逐艦シェフィールドの沈没原因)ている。艦船用ミサイルの推進剤に限らず、同様のリスクを低減するための弾薬はLOVA(低脆弱性弾薬)とも呼ばれ、研究が進められている。1988年から米国防省は三軍共同で、熱や衝撃によっても予定外には爆発しない弾薬類とその周辺システムの開発を目指した、IM(不感弾薬)プロジェクトを開始した。例えば、固体推進剤を納めた外殻をらせん状の薄い鋼板3-4層で構成し、火災による過熱や被弾による衝撃でらせんが解けるように製造する。固体推進剤が燃える場合でも閉鎖されたモーターケース内部で爆燃や爆轟せずに、開放環境で燃焼するようなものが開発されている。スロークックオフへの対策として、コンポジット推進剤の基材では主流となる過塩素酸アンモニウム (AP) の中に自己発火点がAPより100度程度低い硝酸アンモニウム (AN) を少量加えることで、APより先にANに発火させ爆轟以前に燃焼で済ます工夫が行われている。同様に、推進剤に固体と液体の2種類を使うハイブリッド・ロケットエンジンは、燃焼に必要な燃料と酸化剤がミサイル内でも離れて収められているために、火災や衝撃によってもそれほど急速に両者が反応せず、比較的安全が保たれると期待されている。液体の酸化剤もゲル化できないか検討されている。自動車競技に用いられる自動車で、損傷覚悟の練習/走行会専用車両のことをミサイルと呼ぶことがある。ロケット花火のうち、安定翼を模したものが取り付けられているタイプの製品には「ミサイル花火」「台付きミサイル」等の商品名がつけられているものがある。ファンタジー創作物のうち、魔法が登場する作品には、「マジックミサイル()」と呼ばれる、魔法による攻撃手段が登場する作品が、アメリカのロールプレイングゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を始めとしていくつか存在する。
出典:wikipedia
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