『大鉄人17』(だいてつじん ワンセブン)は、1977年(昭和52年)3月18日から同年11月11日まで、TBS系で毎週金曜19:00 - 19:30 (JST) に放送された石森章太郎原作、毎日放送・東映製作の特撮テレビ番組、および作中に登場する架空の巨大ロボットの名称。全35話。前番組『宇宙鉄人キョーダイン』に続く、石森章太郎原作の特撮作品。数多くの東映特撮作品の原作を手がけてきた石森にとって初めての、東映としても『ジャイアントロボ』以来となる巨大ロボットものである。巨大ロボットものの起用はスポンサー側の要請によるものであった。「巨大ロボットアニメ」が活況を呈していた1976年夏に企画が始まり、都合3冊作られた企画書の冒頭には企画意図として「アニメーションより実在感において勝る実写の質感と重量感を重視する」旨が語られ、リアルな特撮を駆使した決定版を制作することが強く意図されていた。本作以降、『スパイダーマン』(東映版)や戦隊シリーズなどで、巨大ロボットの登場が定番化していく。17のデザインは、石ノ森章太郎のラフデザインを、ポピーの村上克司がクリンナップし、変型機構を加えたものである。村上は「これは屈伸による上半身の引き起こしで、敵に飛び掛っていくライオンのような仕組みで、石ノ森先生のデザインをほとんど改変することなく組み込めた」と語っている 。石ノ森は『THE 超合金』(講談社・1988年)のインタビューで、本作のキャラクターデザインについて「あれはまだ中間だった。あの作品あたりからメーカーと作家の力が均衡して共同作業のようになり始めた。そういう意味ではエポックメイキングだったと思う」と語っている。1997年7月に東映ビデオから発売された本作のLD最終巻におけるインタビューでは「この作品で初めて図面を引いた」とも証言している。ただし、本作以降のデザインワークはスポンサー主導に転じており、それに伴って増えた鋭角的なデザインに対し、前述の『THE 超合金』で石ノ森は「子供が触って遊ぶんだから、やっぱりおもちゃには曲面がほしいなあと思う」と苦言を呈している。第15話まではミリタリー要素を強調したシリアスでハードな内容だったが、第16話からコメディリリーフである岩山鉄五郎の登場を筆頭に話や登場人物がコメディ調になり、ワンセブンの弟ロボット・ワンエイトのドラマなど、低年齢層を意識した内容に路線変更された。ただし、中盤から終盤まで布石を打ち完成させた「第二ブレイン(ビッグエンゼル)」とブレインとの対決など、最終盤ではハードな展開も見られた。主役の巨大ロボット・17(ワンセブン)は、それまでの巨大ロボットヒーローと違い自らの意思で動く巨大ロボットであり、人間的な感情をもち、第18話から人語を話すようになる。これにより人間とロボットやロボット同士のドラマが描かれ、従来の巨大ロボットヒーローとの差別化が図られた。初期の企画段階での名称は「メガロ17」。NGとなったデザインは胸の数字ロゴのみを変更して、そのままワンエイトのデザインに流用された。「セブンティーン」ではなく「ワンセブン」と呼ばれるのは、体内に使用している「オートダイオードワンセブン」に由来する。17という数字は「『鉄人28号』へのオマージュで、28から十の位と一の位を1ずつ減らした」とのこと。本放送時には次週予告の前に、科学技術や自然現象の原理などを子供向けに説明する、「ワンセブンものしりコーナー」という15秒間のミニコーナーが付け加えられていた。国際平和部隊・科学研究所の佐原博士があらゆる災害から人類を守り地球環境を保全すべく建造した、超コンピューター「ブレイン」。だが、次第に自我と、スプーンから宇宙ロケットに至るまで何でも製造できる「超生産能力」を持つようになったブレインは、遂には「人類こそが地球を滅ぼす。人類は地球に有害」という結論をはじき出した。「地球にとって最大の災害」である人類を抹殺すべく、ブレインは開発者の1人であるハスラー教授とともに行方をくらまし、アジトを構えて秘密裏に巨大ロボットを何体も建造する。しかし、その17番目にしてやはり自我を持つ「ワンセブン」はブレインと正反対に「人類だけが地球を救える。人類は地球に有益」と結論をはじき出した。ブレインは自分に逆らいかねない危険なワンセブンを封印すると、巨大ロボットを操って破壊活動を開始し、人類抹殺に向けて動き出す。だが、ブレインの巨大ロボットの襲撃で家族を失った主人公の少年・南三郎に偶然発見されたワンセブンは、自分を解放してくれた三郎をパートナーとし、ブレインの攻撃から人類を守るべく戦うことになる。こうしてワンセブンとブレインによる数々の戦いが繰り広げられた後、科学研究所は人類に刃向かったブレインに代え、巨大コンピューター「ビッグエンゼル」を新しく作り上げる。ビッグエンゼルの計算により、ブレインを倒すにはその超生産能力でも対処できない強い打撃を加えなければならず、その鍵になるのは三郎であることが分かった。ブレインの周囲2キロメートル以内のコンピューターを支配下に置く「ブレインエリア」の影響を避けるため、三郎の操縦により自我を抑えて唯のロボットになったワンセブンは、ブレインへの特攻を図る。しかし、最終的に自我を取り戻したワンセブンは三郎を射出座席で脱出させ、自分だけで特攻する。ブレインはワンセブンと共に爆発四散し、戦いは終わった。据え付け型の超コンピュータである自分の代理、自由に動ける分身を作ろうとして、ブレインが自分に使われている「オートダイオードワンセブン」を初めて活用したロボット。ブレインに劣らぬ“超生産能力”と思考力を持つ。超生産能力とは内蔵小型ロボット「ロボター」を使うもので、大抵の損傷や故障なら自分で直せる(高等生物の回復力に相当する)ほか、自己改良を行って性能向上を図ることも可能で(人間の努力と技能獲得に相当する)、作中では会話能力の獲得やグラビトン発射のインターバル短縮などを行なっている。サブマシンなどのメカもこの超生産能力で製造されたものである。メカ以外にも、ケーキやジュース、巨大ソフトクリームなども作れる。当初は意思の疎通に、ワンセブンが作った特殊なヘルメットが必要だった。このヘルメットは三郎にしか使えず、その上ワンセブンは眼のシグナルによる「イエス」「ノー」以外の意思表示はできなかった(「ウオーン」という応答音とともに青く発光させれば「イエス」、赤で「ノー」)。第19話からは自身を改良して普通に会話できるようになった。また、他の作品と違ってワンセブンは自我を持つロボットであるため、普段はどこにいて何をしているかは三郎にも把握できない(劇中では突如現われ、敵のロボットを倒すとどこかへと立ち去っていく)。内部には人が乗り込めるコントロールルームがあり、上記のケーキなどで三郎たちをもてなした。のちに操縦席が超生産力で作られ、最終話では、ブレインエリアの影響を恐れて活動を停止したワンセブンを三郎が操縦した。必殺技は腹部を開いて撃ち出す光球で、目標を強大な力で圧潰、爆破する「グラビトン攻撃」(または単に「グラビトン」と呼ばれる)。なお、グラビトンとは重力子を意味する言葉だが、この技で重力子がどのように働くのかについての科学的な設定は語られていない(発射の際は初期は前述の応答音、後半は「グラビトーン!」と発声する)。ブレインによれば「グラビトン」は一度発射すると、重力子蓄積のため、15時間のインターバルを要する。そのため、攻撃ロボを2台用意しての二段攻撃が仕掛けられたが、自己改良により蓄積時間を短縮し、この欠点を克服していた。当初3タイプ、後に4タイプの形態を持ち、それぞれ「要塞ワンセブン」「戦闘ワンセブン」「飛行ワンセブン」「戦闘飛行ワンセブン」と呼ばれている。ワンセブンに搭載されているマシン。いずれも自動操縦で行動する。ワンセブンの「弟」ロボット。身長52メートル、体重210トン。全身は鋼鉄色。ワンセブン同様「心」を持つが、内蔵された「サタン回路」のため、ブレインの命令に逆らえず、ワンセブンと対決する。最高飛行速度はマッハ7で、戦闘飛行ワンセブンを後方から追跡し撃墜したこともある。胸の赤い文字で「1」「8」と書かれた装甲部は観音開きになっており、内蔵されている「超グラビトン」で攻撃する。なお、ワンセブンが三郎と交流するのと同様、ワンエイトも三郎の級友・矢崎勇には心を開いていた。また内部にはワンセブン同様、人が乗り込めるコントロールルームが存在する。佐原博士によってサタン回路を除去された後はワンセブンの味方となる。しかし、敵の奸計にはまりピンチを招いたこともある。第26話では、グラビトン攻撃を防ぐ盾と高い敏捷性を持つ強敵、ハーケンキラーに苦戦するワンセブンの危機を救うため、一度は裏切ったふりをして油断させ、身を挺して敵を押さえ込み、その身を犠牲にしてワンセブンの放ったグラビトンにより、ハーケンキラーを倒す事が出来たものの自らの動力炉を損傷し爆発してしまった。元は佐原博士率いる科学者チームが作り上げた超高性能コンピューター。一つ眼の本体から何本ものパイプが宙に伸び、更にこのパイプにいくつもの球体をぶら下げたような形状をしている。自我と、「オートダイオードワンセブン」により完全自衛システムを保有。更にあらゆる物体を生み出せる超生産能力で、重さ2000トンの巨体を誇る巨人頭脳へと成長したが、これが仇となり、科学者チームの中でも狡猾で野心家だったハスラー教授の策略で、人類を地球にとって邪魔な存在と見なし、人類を全滅させるべく幾多のロボットを作り上げ征服に乗り出した。さらに世界中の刑務所から囚人を集めブレイン党を結成し、レッドマフラー隊に戦いを挑んだ。またハスラー教授から主導権を奪って「私のことはミスター(・ブレイン)と呼びたまえ」と告げると同時に、ハスラーのことは「ハスラー君」と呼んで奴隷扱いし、自らブレイン党のトップとして君臨した。第12話で佐原博士によって破壊されたが、超生産能力で瞬時に再生した。自分を中心に半径2キロ以内のコンピュータを支配下に置く能力もあり、この影響を及ぼせる区域は「ブレインエリア」と呼ばれる。そのためワンセブンはうかつにブレインに近づくことはできなかったが、最終話で三郎がワンセブンを手動操縦することでブレインと対抗した。物語終盤で佐原博士が建造した巨大コンピューター。ブレイン打倒の大きな鍵となった。最終話でブレインとワンセブンが相打ちになったと同時に、オーバーヒートにより爆発、その機能を停止した。国際平和部隊所属の軍事組織。隊員たちが全員首に赤いスカーフを付けていることからこの名がついた。当初は部外者がブレインに接触しないようにする警備活動を行なっていたが、ブレインの反乱によって敵対関係となり、携行火器(M1カービン・M20バズーカなど)やF-104・F-4戦闘機でブレインの巨大ロボットに立ち向かった。服装は陸上自衛隊の作業服(66式鉄帽など。いずれも国際平和部隊のロゴが入っている)と同じで、巨大ロボットとの戦闘シーンやエンディング映像では自衛隊の記録映像がふんだんに用いられている。なお、作中で登場する「隊長」は、レッドマフラー隊の総指揮官ではなく、隊内のさらに小部隊の指揮官である。第3話以降は、剣持隊長が率いる部隊がレギュラーメンバーとなり、「剣持隊」と通称されている。ワンセブンと対決するために戦力増強が必要との判断を下したブレインが、ハリケーンロボットなどを使って世界中の刑務所を襲撃し、脱獄させた犯罪者をスカウトして結成した組織。ナチス・ドイツ時代のドイツ国防軍に似たヘルメットとジャケットを着込んでおり(参考)、レッドマフラー隊との白兵戦を展開した。なお、キャプテンゴメスとチーフキッドも鉤十字が付いた親衛隊員の服装に似た服を着ている(肩章の部分が異なり、ブレイン党独自の徽章が追加されている)が、これらの制服はブレイン党結成以前(ブレインがハスラー教授から主導権を奪う前)のメンバーも着用しており、ブレイン党結成時の新制服ではない。両組織とも当時のヒーローものでは珍しく、純軍隊然とした組織であるのが特徴であった。レッドマフラー隊が敵ロボットを攻撃する際も、特に特殊な兵器で攻撃する訳ではなく、レッドマフラーが擁する戦車隊(自衛隊の74式戦車・61式戦車)や戦闘機隊(F-4戦闘機・F-104戦闘機)などの現用兵器で対抗するという当時の巨大ヒーローものとしては異例の演出がみられた。いずれも東映まんがまつりの一編として公開された。DVD『大鉄人17』Vol.1、Vol.3の映像特典や、2007年12月7日に発売された『東映特撮ヒーロー THE MOVIE BOX』および2009年11月21日発売の『東映特撮ヒーロー THE MOVIE Vol.4』に収録されている。すべて東映ビデオより発売。
出典:wikipedia
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