防衛大学校(ぼうえいだいがっこう、英語:National Defense Academy of Japan)は、神奈川県横須賀市走水1-10-20に本部を置く日本の省庁大学校である。1952年に創立、1954年に現校名になった。略称は防大または防衛大。防衛大学校は防衛省施設等機関として、自衛隊の幹部自衛官を養成する教育・訓練施設である。諸外国における士官学校に位置づけされ、幹部自衛官の教育と育成を目的としている。教育課程は学校教育法上の大学でいう学部に相当する課程として「本科」、大学院相当として「理工学研究科」「総合安全保障研究科」の3科が設置されている。一般的に「防衛大学校」は「本科」のみを指すことも多い。平成23年度入校(第59期)一般採用試験の募集人員は人文・社会科学専攻が約65名(うち女子約5名)、理工学専攻が約285名(うち女子約25名)だった。平成23年度予算額は約147億円。防衛大学校の本科卒業式は内閣総理大臣や防衛大臣の出席、訓示が慣例となっている。本科学生は、幹部自衛官となるべき者の教育を前提にしており、卒業後は陸上・海上・航空自衛官(幹部候補生たる曹長)に任官(任命)し、原則各幹部候補生学校(陸上・海上・航空)へ入校する。卒業後に3尉に任官し一般部隊・術科学校等に配属される。学生の身分は特別職国家公務員たる「自衛隊員」であるが、「自衛官」ではなく階級は指定されない。防衛大学校は一般大学と同じように入校試験に合格する必要があるが、一般の大学入試とは異なり、入校すると国家公務員としての『課業(業務)』となるため、入学試験ではなく「採用試験」が正式な呼称である。学生が受ける講義や訓練は課業であるため学費は徴収されす、「学生手当」という名目の給与が支給される。応募条件には年齢や日本国民であることなど自衛官となる条件を満たしていることが必要であり、一般的な大学の出願条件とは異なる。かつては応募条件に男子であることが求められていたが、現在は女子も応募が可能となっている。募集は専攻単位で行われる。平成24年度入試(25年度入学生)から、これまでの一般採用試験、推薦採用試験のほか、総合選抜採用試験(いわゆるAO入試)を導入。また、一般採用試験も前期と後期に分けて実施するようになった。一般採用試験(前期日程)は、防衛医科大学校と同様に秋頃、日本各地で行われる。1次試験は3教科(理工学専攻は英語・数学・物理or化学、人文・社会科学専攻は英語・国語・地歴or公民or数学)の学科試験がマークセンス・記述方式で実施されるほか、小論文試験も課せられる。1次試験に合格すると2次試験では身長・体重・視力・尿検査等の身体検査、及び口述試験(面接)が科される。「採用試験」のため受験料は無料である。採用後は国家公務員となるため、給与や被服が支給されており、平成24年(2012年)4月1日現在、学生手当は月額108,300円、賞与(6月と12月)が年額319,000円となっている。職務専念義務によりアルバイトなどの副業は禁止されている。防衛大学校学生は、自衛隊法第五十三条及び自衛隊法施行規則第四十条に則り、入隊時に以下のような宣誓書に署名捺印をする事が義務付けられている。これは防衛医科大学校学生又は陸上自衛隊高等工科学校生徒と同様である。2015年度の任官拒否の意向を示しているのは47人、過去4番目に高い値。創設以来防衛医科大学校にあるような卒業後一定の年限を経ずに退官した者に対する学費返還制度を設けていなかったが、2011年9月、防衛大臣指示に基づき「防衛大学校改革に関する検討委員会」が設置され、計8回の審議の後、2011年6月、償還金制度導入を含む報告書がまとめられた。その後の2012年1月、防衛省は同制度を盛り込んだ防衛省設置法の改正法案を第180回国会に提出したが、衆議院において審議未了、廃案となった。同法案では、学費返還の対象となるのは平成26年度(2014年4月)からの入校生としており、最大の徴収額は卒業時の任官辞退者で国公立大学4年在学間の授業料・入学金に相当する約250万円を、また、卒業後6年以内に退官する場合にも一定割合を減じた額を徴収するとしていた(防衛医科大学校は卒業後9年以内に退官する場合が返還の対象)。なお、防衛省は総人件費改革の一環として平成22年度から採用を開始した自衛官候補生制度についても初任期の中途退職者に対する手当の償還義務を設けている。なお、この制度については平成28年度以降の入学者のうち、奨学金を受けた学生が任官拒否をした場合に適用されることとなった。第二次世界大戦以前の日本において、陸軍の現役兵科将校と海軍の現役兵科将校(士官)の教育は、それぞれ別個の陸軍士官学校・陸軍航空士官学校と海軍兵学校で行われていた。この様に軍種によって士官学校を分別する事は、19世紀の古くから欧米の近代的な軍隊においては一般的であり、21世紀の現在においても米英を筆頭に世界各国において不変である。しかしながら、戦前の日本においては陸海軍相互においての人事交流が少なく、一体となって総力戦を遂行すべき太平洋戦争(大東亜戦争)期においても、相互の不信から不協和音が生じることが少なくなかった。その反省に鑑み、第二次大戦敗戦による陸海軍解体を経た再軍備(警察予備隊/保安隊・海上警備隊/警備隊)の過程において、士官学校相当の教育機関は陸海に分別する事はせず、同じ学校の学生とするものとなり、1952年(昭和27年)8月1日に保安庁の新設と共に保安大学校が設置された。なお、個別の専門教育は卒業後に総隊学校/普通科学校・術科学校(のちの陸海の幹部候補生学校)で行われた。1954年(昭和29年)7月1日、保安庁・保安隊・警備隊は防衛庁・自衛隊へと改編され、保安大学校は防衛大学校に改名し現在に至る。なお、旧陸海軍においては選抜された大尉・少佐級を対象とする高級将校養成・教育機関として、陸軍大学校と海軍大学校が存在しともに大学校を称するが、自衛隊においては幹部学校(陸上・海上・航空)がこれに相当する(さらに陸海空が共同で運用する自衛隊の最高教育機関として、統合幕僚学校が設置されている)。1953年(昭和28年)4月1日に入校した本科第1期学生は、在校中に保安庁から防衛庁への改編を経て、新たに宣誓を行うなどの体験を経ながら4年後の1957年(昭和32年)に卒業した。また、設立からの教育の特徴としては、戦前の精神力至上主義への反省とともに、近代戦を遂行するには作戦、管理、兵站部門等も含めて数理的素養及び知識が絶対的に必要であることから理科系重視となっている。防衛大学校には、学校長(防衛教官、現職は国分良成)の下に、副校長2人(防衛事務官1人、防衛教官1人)及び幹事1人(陸将である自衛官)、その他総務部や学群等が置かれている。副校長及び幹事は、学校長の命を受け、学校長を助け、主として、それぞれ特定の事項を整理する職として置かれており、教官をもって充てる副校長は教務部に関する事項を、幹事は訓練部に関する事項を、防衛事務官をもって充てる副校長はそれらの事項以外の事項をそれぞれ整理するものとされている。幹事には、主に、師団長経験者が充てられ、大学校職員である自衛官の中では最も高位である。また、一般の大学のように教授会も置かれているが、教授会は、防衛大学校長、教官をもって充てる副校長、幹事及び教授をもって組織されている。訓練部長は将補があたる。総括首席指導教官の下には、首席指導教官(各大隊に1人計4人、主に2佐)がおり、さらにその下に指導教官がいる。防衛大学校の教育は、教育課程と訓練課程からなる。文部科学省の定める大学設置基準に準拠し、教養教育、外国語、体育、専門基礎の科目と、専門科目(人文・社会科学専攻及び理工学専攻)を一般大学と同じように教育するとともに、防衛大学校独自の防衛学(防衛に関する学術分野)の教育を行う。教養教育では、「文理交差教育」が行われ、人文・社会科学専攻学生には「数学」、「物理学」、「化学」などの理工系教育、理工学専攻学生には「思想と文化」、「歴史学」、「心理学」、「政治学」、「経済学」、「法学」などの人社系教育が行われる。本科学生は、専門区分や要員区分(陸上、海上、航空の各自衛隊要員別)に関わらず、原則として共通した内容の防衛学を履修する。ただし、要員別の科目や選択科目もある。なお、2年次に陸上、海上、航空へと要員配分が行われる。個別の科目としては、以下のとおり。※以上、「防衛大学校規則」を参照防衛学は、一般に軍事学と呼ばれているものに相当し、その具体的内容の一端は、防衛学の教官を中心にしたグループの著作『軍事学入門』により知ることができる。なお、過去、防衛学は陸上防衛学、海上防衛学、航空防衛学の三つに区分され各要員別の履修となっていた。その内容は、現行の防衛学と同様のもののほかに、それぞれ個別の内容(例えば陸上防衛学では築城、通信、戦術等、海上防衛学では航海学、機関学、運用学等、航空防衛学では警備、整備、搭乗等)が相当程度含まれていた。現行の要員共通の防衛学を導入するに当たって、これらの要員別の教科内容は、防大の訓練課程及び防大卒業後の幹部候補生学校に振り替えられた。人社系・理工系にまたがり、学科・学群を横断する柔軟な履修を可能とする教育プログラムが、2012年度から導入された。「危機管理」(公共政策学科、国際関係学科対象)、「安全科学」(理工学専攻の全学科対象)、「生命科学」(応用化学科対象)、「国際交流」(全学科対象)の4プログラムがあり、プログラム履修生は、専攻に所属しつつ、プログラムごとに指定された講義科目群の中から必要な授業科目を、2-4年次の3年間、継続して履修する。所属する学科での学士号のほかにプログラム修了証書を受け取ることができる。各学年全員が同じ訓練を行う共通訓練と、陸上・海上・航空要員に指定された後に行う専門(要員)訓練に区分される。訓練は、毎週2時間程度実施される課程訓練と、年間を通じ集中して実施される定期訓練(1ヶ月の訓練を1回、1週間の訓練を2回程度)がある。防衛大学校本科は「大学の学部に相当する教育課程」として認定されており、卒業に際してはそれぞれの専攻に応じて、「学士」の学位が独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から文部科学省所管の大学と同様に授与される。実践的な面での能力を身に付けるため、大学相当のカリキュラムに加え各種訓練も行われる。授与される学位は次のとおり。なお、学位授与機構の定める単位を4年間で確保するために、課業終了後においても「自習」が義務付けられている時間がある。研究科として、理工学研究科及び総合安全保障研究科が置かれている。これは、学校教育法上の大学院に相当するものである。修了後、大学改革支援・学位授与機構の審査に合格すると学位が授与される。原則として自衛隊員の内部選抜者が入学するが、自衛隊員以外の者も入学することがある。現在は隊員以外は「特別研究員」として若干名募集され、身分は非常勤職員の自衛隊員として扱われる。在籍中は時給制で給与が支払われる。学費は無料。専攻は理工学と安全保障学の2種類で、区分は研究補助(RA、修士課程に相当)と教育補助(TA、博士後期課程に相当)がある。授与される学位の種類は以下の6種。本科学生全員(2000人弱)で連隊規模の「学生隊」を編成する。学生隊は4個大隊からなり、大隊は4個中隊、中隊は3個小隊、小隊は約30~40名からなる(分隊・班はない)。それぞれに学生長が置かれる。2004年(平成16年)度までは1個中隊に1~4学年までが混合で所属していたが、2005年(平成17年)度から1学年が1個小隊を組むようになった。ただし、学生長は4学年が務める。卒業式では時の内閣総理大臣が訓示を述べ、閉式直後に本科卒業生総代である後期学生隊学生長の「"n"期学生隊解散」の号令とともに、本科卒業生一同が一斉に制帽を宙に放り投げ、講堂から飛び出して行く光景が、例年テレビ放送され有名。もっとも第2次安倍内閣より、任官拒否者は卒業式への出席が許されず、退官手続き完了と共に私服姿で大学裏門から帰宅させられている。制帽は官給品であり、在校生によって回収され学校に返納されるが、私物として購入することができるので、記念として手元に残しておく者も多い。本科の学生は、必ず体育系の校友会に入部することとなっている。特筆すべきは吹奏楽部が体育系の扱いを受けていることである。これは、観閲式や開校記念祭での行進曲等の演奏その他、学校の顔として大きな役割を果たしており、それゆえ、練習時間を確保する必要があるからである。その他、特徴のある校友会は以下の通りである。毎年11月に学園祭として開校記念祭が開催される。そこで行われる競技の中に、棒倒しがあり第一回開校祭から途絶えることなく続いている伝統のプログラムである。1990年には、アイドルタレントの渡辺満里奈が訪れた。地下1階・地上4階の建物に学生生活に必要な物品・サービスを販売する売店が入店している。地上1階の売店では文房具、スポーツ用品、パソコン・オーディオ機器、日用品、生活用品などを販売しており、学生生活に必要な物品やサービスを販売している。2010年から「ファミリーマート 防衛大学校店」が入店し、通常コンビニ業務の他、「防衛大学校グッズ」も販売している。一部の防衛大学校グッズはファミマ・ドット・コムでも購入可能。学生は防衛省共済組合員になることから地上2階に入居する「厚生課事務室」で貯金業務を受けることができる。ATMが設置されており現金の預入・引出も可能。防衛省職員は自動車購入資金・住宅購入資金・学資金などの貸付業務を受けることができる。敷地内に学生舎がある。人材獲得の競争力を失わないための魅力化施策として、8人部屋から4人部屋を経て2人部屋へと移行したことがあったが、規律の緩みを招いたため、4人部屋を経て8人部屋(各学年2人ずつ)に戻っている。自炊も可能な設備があり、簡単な食事なども寮の中で作れる。全寮制である。寮は1年生から4年生までが同室で生活する。1年生は、冠婚葬祭など特別の理由がない限り、外泊出来ない。航空要員訓練のためグライダー(ASK 21、SZD-51 Junior)が配備されているが、自衛隊のパイロット訓練生(航空学生、陸曹航空操縦学生)は最初から固定翼機(T-5、T-7)やヘリコプター(TH-480)に搭乗し滑空機も配備していないため、自衛隊でグライダーに搭乗できるのは防衛大学校のみである。防衛大学校は外国軍から長期留学生を受け入れている。長期留学生を派遣したことのある国は以下の通りである。平成23年度(2011年度)現在は、タイ5名・フィリピン2名・インドネシア4名・アメリカ5名・フランス7名・ベトナム5名・韓国6名・モンゴル4名・カンボジア2名・東ティモール2名の全42名を受け入れている。
出典:wikipedia
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