東京湾アクアライン(とうきょうわんアクアライン)・東京湾アクアライン連絡道(とうきょうわんアクアラインれんらくどう)は、神奈川県川崎市から東京湾を横断して千葉県木更津市へ至る高速道路である。東京湾横断道路・東京湾横断道路連絡道として地域高規格道路の計画路線に指定されている。東京湾横断道路の建設に関する特別措置法では、川崎市と木更津市との間で東京湾を横断する一般国道を東京湾横断道路と定義しており、また、旧日本道路公団による有料管理を前提としていわゆる民活の手法が具体化されていた。一般国道409号が指定されており、自動車専用道路に指定されている。東京湾を横断する川崎側の9.6km区間が東京湾アクアトンネルと呼ばれるトンネル、木更津側の4.4km区間がアクアブリッジと呼ばれる橋で構成され、その境の人工島に海ほたるパーキングエリア(PA)が設けられ、海ほたるPA内で川崎・木更津両方向共にUターンが可能である。アクアブリッジは、日本第1位の長さ(全長4384m)の橋梁、東京湾アクアトンネルは、山手トンネル・関越トンネル・飛騨トンネルに次ぐ日本第4位の長さ(全長9610m、海底道路トンネルとしては日本最長。)の道路トンネルである。またアクアトンネル内は、一般国道の中でも日本一標高が低い位置(海面下60m)を通る場所で知られる。1997年12月18日に開通。日本道路公団が一般有料道路として管理していたが、2000年7月3日の事業計画変更に伴い、2013年4月27日に開通した首都圏中央連絡自動車道の東金ジャンクション(JCT) - 木更津JCTを含め東京湾横断・木更津東金道路と有料道路事業の道路名を変更。同時に京葉道路・千葉東金道路で構成されていた料金プール制(通称:千葉プール)に組み込まれた。2005年10月1日の道路公団分割民営化により現在は東日本高速道路管理の全国路線網となっている。1988年11月には川崎人工島(風の塔)と木更津人工島(海ほたるパーキングエリア)の間のトンネル部分に警察管轄区域の管轄区分線を設定し、区分線西側を神奈川県警、区分線東側を千葉県警が管轄している。また、1997年10月には関係自治体の千葉県・東京都・神奈川県・木更津市・川崎市が管轄区分線と同様に協定し、境界線を定めた。夜景スポットの魅力を高めるため、150メートル間隔に設置していたポール型照明を撤去し、省電力LED照明計285灯を新たに取り付ける工事を2013年11月から着工し、2014年8月に完成した。川崎と木更津とを結ぶアクアラインは、川崎側はシールドトンネル、木更津側は橋梁を採用している。この構造は当初構想された工法・構造から一大転換されて採用されたものである。1971年頃の構想では、川崎側と木更津側の両側を橋梁構造とし、中央部をシールドトンネルではなく沈埋トンネルとするものであった。トンネルを採用したのは、船舶および航空機という東京湾の海上および上空の既存の交通との兼ね合いである。つまり、全ての区間で橋梁構造を採用すると大型船舶の航行に支障をきたす。だからといって、橋梁で大型船舶を通過させるだけの高度を確保すると羽田空港を離着陸する航空機の障害となる。そのため、大型船舶を航行可能とするトンネル部分を設ける必要があったのである。実はこの構想段階では二つの案が含まれており、一方(A案)は当時のトンネル換気技術に基づいて中央部に3kmの沈埋トンネルを建設し、盛り土構造の2つの人工島で橋梁と接続するものであった。他方(B案)も中央部のみを沈埋トンネルとする点は変わらないが、トンネル中央部にも換気用の人工島を設置して2本の沈埋トンネルを接続し合計5kmをトンネル構造とする案であった。そして工費の優位性からA案が詳細に検討され、1975年に建設省が中央部をトンネル構造とする案を発表して、以降はA案を前提として事業の調査が進められた。1981年頃には換気技術の進歩を反映させ、1本の沈埋トンネルにおいて中央部5kmとする案に変更されたが、中央部を1本の沈埋トンネルとするA案の構造に変わりはなかった。1985年度になると、中央部を沈埋トンネルとする構造から、川崎側の10km全てをトンネルの構造とし、そのトンネルの工法もシールド工法とするように計画変更がなされた。その理由は、川崎側は船舶の航行が多く、実際に建設予定地には1日に1,300隻もの船舶が通過しているとされたが、全体の約7割が川崎側の橋梁予定部分に集中していたためである。また。川崎側を橋梁からトンネルにし、さらに中央部も含めてトンネルの工法を沈埋工法からシールド工法に変更すれば建設時・供用開始後の航行する船舶への影響を少なくできるとされた。構想当初においてはシールド工法は発展途上であり、小口径のトンネルのみに採用され大口径の海底トンネルに採用された事例は無かったが、シールド工法は構想中にも進歩し続けていたので技術的に実現可能に至ったという経緯からである。さらに施工費用の面では、川崎側をトンネル構造に変更したとしても、軟弱な地盤に下部工の施工費用をかけて橋梁とするものと大差無いことも判明したため、現在の構造が採用されるに至った。シールドトンネル(東京湾アクアトンネル)と橋梁(アクアブリッジ)は、長さ約650m、幅約100mの木更津人工島(海ほたるPA)で結ばれており、アクアブリッジの橋げたは、小型船舶が航行する部分が高くなっている。東京湾アクアトンネルの掘削は、浮島、川崎人工島(風の塔)、および木更津人工島の3か所から発進した合計8機のシールドマシンによって進められた。川崎人工島は、トンネルの中間地点に位置するドーナツ型の縦穴基地であり、シールドマシンを発進させるため最初に木更津人工島とともに建設された。川崎人工島は供用開始後換気塔のためにも使用され、その中心には排気ガスと新鮮な空気を入れ替える設備がある。東京湾に吹く風を利用して換気するため、換気塔の傾斜などは、季節ごとに変わる風の向きや強さを全て空気力学的に計算された結果である。川崎人工島の構造物の素材には、羽田空港を離着陸する飛行機が発するレーダー波を乱反射しないものが使用されている。トンネルの換気塔は川崎側にも設置され、浮島換気口として機能している(その後羽田空港D滑走路供用開始時には換気口上部が航路の障害となったため、上部を取り払う改修工事が行われた。)。シールド工法の断面は円状であるため、東京湾アクアトンネルの車道下側に、緊急車両などが通る管理用道路や光ファイバーなどの通信ケーブルが設置されている。この車道下側は避難路としても機能するように、火災発生時には気圧を高めて煙の侵入を防ぎ、車道からスロープで降りられるようになっている。総工費は約1兆4,409億円だが、開通時の利用は推定交通量を大幅に下回り、その費用対効果の面で批判がある。これは、通行料金が高速道路全国プール制に組み込まれず、アクアライン単独償還で非常に高額なためで、普通車の海上部は通常料金で1km当たり198.68円であり、同様に高額な料金の本州四国連絡道路より若干低い。その結果、採算性に重大な問題が生じているが、これは元々の推定交通量の見通しが出鱈目だったという指摘がある(開通20年後には上下線合わせて一日64,000台、すなわち片側2車線上を24時間休みなしに2.7秒に1台の車が通過するという交通量が推定されていた)。通行料金の設定については、数回の料金改定を経て、普通車料金で開通当時は4,000円であったものが3,000円まで引き下げられた経緯を持つ。さらにアクアライン開通前に遡れば、消費税5%増税で普通車料金で5,050円を予定していたが、当時の建設大臣亀井静香の鶴の一声で、償還期間を30年から40年に延長して値下げが決定された。建設の目的の一つとして、東京湾環状道路を構成し、また圏央道とともに3環状道路の一番外側の環状道路の一部を担い、首都高速湾岸線等の渋滞緩和に役立つことが期待されていたが、高額な通行料金のため、アクアラインに利用転換する車両がごく僅かで、目立った成果はなかった。しかし、館山自動車道の全線開通もあり、東京から南房総までの所要時間が約1時間前後短縮された。また、2013年4月に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が東金JCTまでが開通し、房総半島山間部を横断することにより、茂原市・夷隅郡など外房北部地域への到達時間も短縮された。2009年からの社会実験による引き下げ(前述)により、アクアラインを利用するタクシーが増加する一方、競合する東京湾フェリーの輸送台数が2008年度に比べて約3割減少したり、特急さざなみ・わかしお利用者が木更津駅・茂原駅以南で減少し、後のダイヤ改正で区間の短縮や本数の大幅削減を強いられるなどの悪影響も現れている。また、社会実験として実施した料金引き下げにより増加した車両数は、料金の引き下げ幅よりも大幅に少なく、結果として社会実験前よりも減収となっており、台数の増加が値下げ分を補填できていない。アクアラインに鉄道を開通させようという意見もある 。2008年に東京新聞紙面にてアクアラインのコースを用いて、千葉県木更津から羽田空港を経て東京都新宿区を在来線規格にて直通させるという案が報じられ、一部テレビの報道番組等でも紙面が取り上げられるなどした。しかし、今のところ実現に向けた具体的な事業案や行政的な動き、および大規模な市民運動等も起こっておらず、現実性は皆無に等しい。東京湾アクアトンネルは長さが約10kmに及ぶ長大な水底トンネルであるため、浮島JCT - 海ほたるPA間は危険物積載車両の通行が禁止されている。該当車両は東関東道や京葉道路などへ大きく迂回しなければならないが、接続する首都高速湾岸線には川崎航路トンネル・東京港トンネル・空港北トンネル・多摩川トンネル、更には湾岸線に並行する首都高速1号羽田線の羽田トンネルも危険物積載車両の通行が禁止されており、一般道路を経由するか東名高速などへ迂回する必要がある。なお、規制区間の手前である上り線の袖ヶ浦ICと木更津金田ICの手前には該当車両の退出を促す注意標識が設置されている。木更津金田IC - 木更津JCT間は「東京湾アクアライン連絡道(アクア連絡道)」区間として、東京湾アクアラインとは別料金となっている。木更津西JCT - 木更津JCT間(1.5km)は高速自動車国道である東関東自動車道千葉富津線に含まれ、高速自動車国道普通区間の料金が適用される。アクアライン特別割引(割引率約23%)は、2002年7月19日から実施していた社会実験が 2006年4月1日から恒久化されたものである。その後もETC車を対象にした社会実験割引が相次いで実施され、2007年8月20日に通勤割引を開始、同年9月25日からは特定区間割引が実施されていた。2009年3月、生活対策に基づく高速道路料金の引き下げ開始と同時に、各種時間帯割引が本格的に開始された。まず、3月20日から休日特別割引(上限1,000円)がアクアラインで先行実施され、3月28日には深夜割引・通勤割引、3月30日には平日夜間割引・平日昼間割引も開始された。2009年千葉県知事選挙で、森田健作がETC無線走行に限り普通車800円へ引き下げると公約し当選した。これにより、内閣総理大臣麻生太郎と会談が行われ、麻生政権下の国土交通省(日本国政府)と千葉県が必要費用を負担する社会実験として、2009年8月1日から通行料金を毎日終日800円(普通車)へ大幅に引き下げた。当初予定は2011年3月末までであったが、さらに3年間延長された。整備重視の料金から利用重視の料金への転換という方針のもと、伊勢湾岸道路と同等の108.1円/kmに料金水準が引き下げられた。ただし、債務の返済状況やETC車の割合が増え料金徴収コスト差が拡大している現状を考慮し、ETC限定で当面10年間実施とされた。ETC普通車800円は、消費税率が8%となる2014年度以降も、千葉県が引き続き費用の一部を負担することを前提としてそのままの額で継続されることになり、財源は平成25年度補正予算により手当された。割引期間は、10年間という報道もあるが、NEXCOのプレスリリースでは「当分の間」、事業許可においては「東日本高速道路株式会社が別に定める日まで」とされている。千葉県も補助を継続する方針で、2015年度千葉県当初予算案で、東京湾アクアライン料金割引事業として5億円が計上されている。2009年8月からの料金引き下げ社会実験(ETC割引800円)を開始してからは交通量が2008年度比で1.5倍前後に伸び、2012年度は4月に開業した三井アウトレットパーク 木更津による波及効果が大きく2008年度全日比で約1.8倍、2005年度道路交通センサス平日24時間交通量比では約3倍と通行量が増大した。平日24時間交通量開通当初は、高額な通行料金による通行量の少なさから自然渋滞は発生しなかったが、通行料の値下げ施策により次第に交通量が増加したことで、通勤時間帯やゴールデンウィークなどピーク期に東京湾アクアトンネルの両端にあたる川崎浮島ジャンクション(上り線)と海ほたるPA入口(下り線)付近で速度低下による1km程度の混雑が日常的に見られるようになった。休日の日中は海ほたるPAへの入庫待ちのために分岐手前付近で渋滞を起こす事もある。また、トンネルや連絡橋の坂道とほぼ直線という線形から、追突事故や故障車が発生し易く、車線規制による事故渋滞を生ずることもある。交通量が飛躍的に増加した2012年以降は、週末・休日の夕方に上り線川崎浮島JCTからアクア連絡道の木更津JCTまで全線に亘る渋滞が頻繁に発生するようになった(並行ルートの京葉道路や東関東道でも同時間帯は渋滞している場合が多い)。主に川崎・東京方面から房総へレジャーで向かったマイカーがUターンラッシュを生じさせるものであり、木更津JCTから川崎浮島JCTまでが90分以上になることもある。これは川崎浮島JCTの接続道路となる首都高湾岸線と異なり片側2車線である上、アクア連絡道と木更津金田ICが合流する木更津本線料金所手前と川崎浮島JCT手前の登坂速度低下がボトルネックとなっており、交通容量の逼迫から発生するものである。また、下り線においては週末・休日の朝から昼にかけて海ほたるPA手前や木更津金田IC付近を先頭とする渋滞が接続する湾岸線両方向にも伸び、大型連休時などは大井JCTから海ほたるPAまで数時間費やすこともある。2013年4月27日から、上り線のアクアトンネル終点(浮島側)手前の登坂部分の壁側面に速度低下を防ぐ効果がある「ペースメーカーライト」を設置している。東京湾横断道路株式会社(とうきょうわんおうだんどうろ、)は、1986年10月に設立された第三セクター企業である。1987年7月13日、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法に基づき日本道路公団と建設協定を締結し、東京湾横断道路建設事業者となった。開通前日の1997年12月17日、改めて公団と管理協定を締結し、日常的管理業務をおこなっている。本社は東京都品川区大井1丁目20番6号住友大井町ビル北館5階。交通量が想定を下回る一方、運賃が比較的安価な高速バスの路線は開通時から設定され、木更津駅から横浜駅・新宿駅・品川駅・川崎駅・羽田空港など、あるいは東京駅から木更津駅・君津駅・茂原駅・安房鴨川駅・勝浦駅・館山駅など房総半島各地への路線が運行され充実している。また、アクアライン開通後、パークアンドライドを想定した木更津金田バスターミナル、袖ケ浦バスターミナル、君津バスターミナル、市原バスターミナル、市原鶴舞バスターミナルも設置された。なお、羽田空港・横浜方面および新富士駅から成田空港へのリムジンバスは、通常ルートである首都高速湾岸線が大渋滞や通行止めになった際にアクアラインへ迂回する場合がある。
出典:wikipedia
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