特別急行券(とくべつきゅうこうけん)とは、特急券(とっきゅうけん)ともいい、特別急行列車(特急)に乗車する際に乗車券の他に必要となる券である。旧国鉄及びJR各社の場合、原則として特急列車の場合、急行列車と異なり、座席指定制を原則としていた。1972年にエル特急が設定されて以降自由席を設置した列車が増えたことや、1985年に設定された新特急などのように自由席を中心とした列車が設定されたことによりその意義が薄れているが、JR東日本の「はやぶさ」・「はやて」・「こまち」・「成田エクスプレス」などのように全車両指定席としている列車やその他の基幹的な列車の場合には現在も基本的には指定席制を採用している。そのため単に「特急券」と称する場合は、列車およびその座席かつ乗車区間がともに指定されたもの、いわゆる「指定席特急券」を指し、券面に記載されている列車・区間にのみ有効である。注意しないといけないのは、券面に記載されている発駅から乗車しなかった場合、効力を失うケースがあることである。これは旅客営業規則の下記の規定による。ここで説明されているのは、自由席特急券で乗車した乗客が、着席されていない指定席に対して車内で車掌に差額を支払い、指定席特急券を発券してもらうようなケースである(列車の発車前のマルスシステムでは排他制御が働くため、別の乗客に区間の重複する指定券を発券することは通常はない)。たとえば東海道新幹線に東京からの指定券を用意して品川から乗車するような未乗車区間が短い例ではこのようなケースは現実にはまず起こり得ない(条文を見てもわかるとおり、着席しなければ必ず別の乗客に発券するという趣旨ではなく、職員の判断に委ねられる)。乗り遅れた場合には払い戻しはできないが、同区間を運行するその日の後続列車に自由席がある場合には自由席に乗車することが可能である。ただし、全車指定席の列車でも後続列車への乗車を認めている場合があり、「はやぶさ」「はやて」「こまち」「かがやき」では立席の利用が、「ひたち・ときわ」「成田エクスプレス」「スワローあかぎ」では空席の利用が、それぞれ可能である。それ以外の列車では後続の全車指定席の列車への乗車はできないが、同経路の自由席のある列車の自由席には乗車できる(例:「スーパービュー踊り子」に乗り遅れた場合は、「踊り子」の自由席に乗車できる)。なお、接続する列車の運休・遅延により乗り継げなかった場合は後続列車への振替を請求できる。また、近年では近距離での利用促進を計るため自由席を中心に新幹線を含めた一部の列車では定期乗車券での利用が認められており、一部の特急列車では定期券にこれを追加する事で乗車可能ととしている。しかし、もともとは長距離利用を前提としていたため、寝台特急などでは定期乗車券での利用を認めておらず、特急券等のほか普通乗車券も必要である。基本的に該当列車の発車日(始発駅基準)の1ヶ月前の午前10時から発売され、のりばへの移動時間を考慮し、発車時刻のおよそ5~10分前に終了する。例えば、1月1日の21時26分に高松駅を出る寝台特急「サンライズ瀬戸」の指定券は、12月1日の10時ちょうどに発売開始となる。なお、この列車に1月2日の0時40分発車となる大阪駅から乗車する場合でも、発売開始日は12月1日である。また、一部のみどりの窓口や旅行代理店では、「予約」と称し1ヶ月前より以前から指定席の申込を受け付けている場合があるが、指定席には予約という制度は無く、あくまで対象の窓口で発売日の10時に発券処理を実施してもらう権利の予約である。指定制である特急券の額は乗車する日によって料金が変わる。期間等は以下のとおり。JR東日本の全車指定席の列車において、乗車日と乗車区間のみを指定したもの。旅客営業規則では「未指定特急券」、券面上では「特急券(座席未指定)」と称する。乗車する列車・座席は別途指定することができ(購入時の指定も可能)、指定しないままでも車内の空席を利用できる。座席指定の有無によらず料金は同一である。2015年3月14日のダイヤ改正より、常磐線特急「ひたち・ときわ」の全列車、「スワローあかぎ」、「成田エクスプレス」で導入した。「ひたち・ときわ」「スワローあかぎ」は、特急料金が通年同額となり、料金も通常の指定席より安価に設定される(自由席料金よりは高い)。また、車内購入時の料金が事前購入時の260円増しとなる。「スワローあかぎ」は前年の2014年3月15日の改正時から導入していたが、この時は専用の「スワローあかぎ料金券」の場合に適用され、車内で購入する場合は通常の指定席料金が適用された(料金券を使用せず、通常の指定席券で購入することも可能であった)。なお、指定席料金は通常のB特急指定料金だった。高崎支社ではこの方式を(現在の方式も含め)「スワローサービス」と称している。「成田エクスプレス」は、満席の場合のみ発売となっていた「立席特急券」(次項参照)に代わって導入したもので、座席未指定料金は通常の指定席料金(A特急料金)と同額である。「はやぶさ」・「こまち」など一部の全車座席指定制列車では、自由席特急券もしくは特定特急券に相当する額で座席指定を受けない条件で利用することができる立席特急券(りっせきとっきゅうけん)を発行する場合がある。この特急券は、「乗車する列車・区間が指定された自由席特急券」という位置づけである。座席の指定を受けないという点では自由席特急券と同じであるが、異なるところは乗車する列車が指定されている点にある。自由席特急券では有効の期間・区間内であれば一回に限りどの列車の自由席に乗ってもよいとされているため、この立席特急券は指定席特急券の一種として扱われている。読みについては、旅客営業規則上は現在でも「リッセキトッキュウケン」と記されているのだが(223条3号様式裏面)、職員が口頭で案内等をする際には「たちせきとっきゅうけん」と言うこともある。なお、かつて運行されていた寝台特急でも、B寝台の一部を座席車として利用できる区間を設けていたものがあった(ただし利用できる号車、発売席数は限定された)。大阪行き「日本海」のように指定席とした区間もあったが、殆どの寝台特急では自由席扱い(立席)としていた。下りでは出発日翌朝に停車する駅より終点までの区間で、上りでは始発から出発日当日夜間の停車駅までの区間で、それぞれ利用可能としたケースが多く、寝台特急でこの立席特急券の制度を最後まで採用していたのが「あけぼの」であった。「寝台券」のページも参照のこと。特別急行列車で自由席車がある場合には乗車する際に自由席特急券を発行する。一般に、(通常期の)特急券から指定席料金(520円)を引いた額に相当する金額である(通年同額)。一部の特急列車では定期券にこれを追加する事で乗車可能となる。列車の指定は無く、指定日当日に出発するどの在来線特急列車にも乗車できる。原則として1枚で乗れるのは1列車に限られ、特急列車を乗り継ぐ際にはそれぞれに特急券が必要であるが、例外的に乗り継ぎが認められる区間が存在する(→乗り継ぎ料金制度)。特急料金の体系としては、基本であるA特急料金と、安価に設定されているB特急料金の2つがある。B特急料金は特定の区間で定められておりその区間内だけを利用する場合はB特急料金となるが、他の区間にまたがって乗車する場合には乗車する全区間にわたってA特急料金が必要となる。なおB特急料金の料金自体は旧国鉄では全国一律であったが、JR分立化によってJR各社が旧運輸大臣・国土交通大臣への届出による事から少しずつ崩れてきており、短区間の利用促進のため区間を限って安価な料金区分を設定するケースも見られる。また、B特急料金区間であっても「成田エクスプレス」や「スーパービュー踊り子」のようにA特急料金が適用される列車もある。新幹線の場合、三角表と称される駅間から料金を割り出す方式を採っている。なお、特定特急券では区間により金額が異なる。新幹線・在来線の特に限定された列車や乗車区間において、発売される。料金は特別に定められる。一般には自由席を利用する際に設定されるが、一部、指定席でも設定されている場合がある。在来線の場合には特急列車に格上げする形で急行列車を全廃した線区が多い。なお、B特急料金はこの「特定特急券」と同じ経緯で設定されたものである。なお、新幹線においては以下のものが特定特急券として扱われている。また、新幹線の回送線を活用した在来線区間(上越線の越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅間、博多南線の博多駅 - 博多南駅間)では、全列車が特急扱いとされており、新幹線区間とは別に100円として特定特急料金が設定されている。新幹線用は新幹線特急券と称する。在来線特急用は特急券(特別急行券)と称するが、これは、新幹線と在来線とは特別急行列車の料金体系が異なるためで、例えば、山陽新幹線新大阪駅 - 姫路駅間のように併走する在来線にも特急列車(この区間では、「スーパーはくと」・「はまかぜ」)が走っている場合では、新幹線特急券を有する場合には新幹線を利用し、「スーパーはくと」の特急券を有している場合には「スーパーはくと」を利用することができる。新幹線の場合には、目的地まで有効である新幹線特急券を持っている場合では、新幹線の列車を乗り換えても新幹線改札を出ない限り有効である。詳しくは、新幹線特急料金の通算を参照のこと。グリーン車に乗車するにはグリーン券が、寝台車に乗車するには寝台券がそれぞれ別に必要である。ただし、これらの料金には座席指定料金に相当する額がそれぞれの料金に含まれているとみなされるため、特急料金としては特急券より座席指定料金に相当する額を減額した額に加算して計算される。基本的には自由席特急料金と同額となる。特に定められた条件で、特急列車を乗り継ぐ場合、一方の列車の特急料金が半額となるなどの割引制度や通し計算になる制度が存在する。これについては「乗り継ぎ料金制度」の項目を参照されたい。特急列車を利用するには特急料金が必要だが、特例として乗車券だけで特急列車に乗車できる区間がある。これらは普通列車が全く運転されていない区間、あるいはごく短区間の利用者に対して配慮されたものである。在来線の指定区間内に限り、普通乗車券のみで特急の普通車自由席を利用できる制度である。この特例は、「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」などの「普通列車に限って利用可能」という特別企画乗車券(以下「普通列車専用券」)でも同様に適用され、指定された区間のみであれば普通車自由席のみ利用することができる。次の場合には特例が適用されず、実際に乗車した全区間の特急料金が必要となる。この場合、上記の普通列車専用券は使用できないため、別途運賃も必要となる。いずれも、遠方とを結ぶターミナル - 市街地間のアクセスを考慮している。新青森駅 - 青森駅間の特例について「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」に適用されなかったのは、いずれのきっぷも新幹線が利用できず、遠方とを結ぶターミナル(新青森駅) - 市街地間(青森駅)のアクセスという建前にそぐわないためであった。JRにおいて、以下の特殊な事情について規定を定めている。私鉄においても、特急あるいはそれに準じる名称の速達列車を運行している場合があるが、列車の性格ないしは、会社の判断により特急料金を徴する場合と徴しない場合がある。なお、本項目では冒頭にもある通り有料列車における基本的に目的地への速達サービスに対するものを中心に挙げる。たいていの場合、速達サービスと着席サービスが一体であり、それが分離されているものは少数にとどまっている。私鉄の場合、JRとの乗入れ列車を含む有料特急を走らせている場合には特急券が必要である。この場合、多くは速達サービスと着席サービスが一体であり、列車予約が早い段階から行われ、発券される(JRにおいては乗車1ヶ月前からであるが、大体2ヶ月前から3日前程度)。そのため、乗車当日になると目的の列車の座席が無い場合もあり得る。なお、以下の鉄道会社では「指定券」としての特性を生かし、以下のサービスを行っている。東武鉄道では、特急料金を列車の運行する時間帯による割引を実施している。共に詳細はスペーシア・「りょうもう」も参照されたい。基本的には、以下の通りであるが、列車指定となっている。近畿日本鉄道、北近畿タンゴ鉄道では、両者とも乗り継ぎ料金制度を採用している。具体的な内容は当該項目を参照されたい。特急列車に自由席車と指定席車が併結されているケースとして、以下のものが挙げられる。自由席車が料金不要で乗車券のみで利用できるのに対し指定席車に料金が必要な列車では、速達サービスに対する料金ではないため、特急券ではなく、座席指定券・着席整理券・特別車両券等として発行される。自由席・指定席ともに特急料金が必要な列車では、指定席車利用では特急券に座席指定券等を追加する必要がある。京浜急行電鉄が運行する京急ウィング号の場合、始発駅である品川駅でのみ、着席整理券の購入が必要となっている。しかし、それ以後の上大岡駅以南の停車駅間では、着席整理券が不要であり、他の快特と同じく料金不要で利用可能である。従って、純然たる全席座席指定列車とは言えない。京成電鉄では、有料特急であるスカイライナー、シティライナーおよびモーニングライナー・イブニングライナーを利用する場合において、特急券が必要である。京成電鉄では通勤形車両を使用した特急、および特急より速達の快速特急(ともに料金不要)を運転しているため、最も速達であるスカイライナーの券は「スカイライナー券」となっているが、駅の案内および放送では「特急券」とも案内されている。名古屋鉄道の「快速特急」・「特急」の1・2号車(上り先頭の1・2両目)ないしは中部国際空港発着の「ミュースカイ」全車両に設定されている特別車「μ」の座席は、座席指定制としている特別車両券「ミュー(μ)チケット」として、名鉄の主要駅や旅行会社で1乗車360円で発券される。また、特定駅での特定方面同士の乗り継ぎの場合、同時購入する場合に限って1乗車と同額の「乗継ミューチケット」が発売される。南海電気鉄道の場合、南海本線特急「サザン」のみが10000系専用車両に「自由席」の通勤型車両を併結した“一部座席指定”制となっており、座席指定券の扱いを行っている。なお、高野線特急「こうや」、「りんかん」や空港特急「ラピート」については運行当初より“全車座席指定”制を採っており、これらの列車の指定券は「特別急行券」と区別する。先述の通り、富山地方鉄道の特急・富士急行の「フジサン特急」の乗車には、指定席、展望車、個室、自由席のいずれも、乗車券のほか特急券を要するが、富山地方鉄道特急指定席ではさらに座席指定券、「フジサン特急」の展望車または個室利用には、さらに着席整理券または一種の特別席利用券である個室利用券を必要とする。アメリカでは20世紀の初頭、インターアーバン電車に食堂車やパーラーカーを連結した、LIMITEDと称する急行列車を運転し、乗客からは特別料金を徴収した。この列車から日本の特急列車の英訳語がLIMITED EXPRESSとなった。ヨーロッパでは、特別の客車で編成された豪華列車に別料金を徴収して乗客を乗せることは19世紀から存在したが、これもアメリカの例と同様に速度に対する対価より、豪華な空間提供の対価である要素が強い。日本の特急に近い物としては、TEE列車の特急券がその代表的な物であった。TEEの特急券は距離により金額が決められていた。
出典:wikipedia
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