E653系電車(E653けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流両用特急形電車である。常磐線特急「ひたち」のうち、停車駅の少ない「ひたち」で運用されていた485系電車の老朽置換えを名目として1988年(昭和63年)から651系電車の投入が行われたが、停車駅の多い「ひたち」では依然として485系電車での運用が継続した。このため「ひたち」用485系電車置換え目的と構造ならびにシステムを従来形特急車両から一新した今後のJR東日本特急形電車のスタンダードとして開発が行われ、デザイン開発はGKインダストリアルデザインが、製造は日立製作所・近畿車輛・東急車輛製造の3社が担当したのが本系列である。1997年(平成9年)に1次車、1998年に2次車、2005年2月に3次車が製造され、総数は7両基本編成8本・4両付属編成4本の72両である。1998年度財団法人日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞受賞。※本項では落成時の仕様について解説を行い、後天的な改造による仕様変更等は別項で後述する。耐寒耐雪構造とした車体は、アルミニウム合金の大形中空押出型材を用いたダブルスキン構造を営業用鉄道車両としては初めて採用し、軽量化と構体構造の簡素化を図った。また編成毎に異なるイメージカラーを塗装したほか、車体の裾絞りを上部下部とも最小限に抑えることにより客室空間を拡張させた。床下には機器の取付・取外が可能な機器取付用レールを設置し、製造・整備・仕様変更にともなう機器換装等を容易なものとした。また車両状況自己診断プログラムを搭載するなど車両整備に際しての利便性向上にも重点が置かれた。製造時は普通車のみで組成され、グリーン車は未設定とした。シートピッチは定員確保を考慮して485系電車と同一の910mmとしたが、座席スライド機構の採用・背面部やフレームのスリム化・座席下部の空間に足を伸ばせる構造とするなど居住性の向上が図られた。客用扉は上野方制御車のクハE652形のみ片側2扉だが、それ以外は1扉である。国鉄分割民営化後に設計・開発された交直流両用電車は、広域転配をすることがないため交流電源の商用電源周波数は50Hz(651系電車など)か60Hz(681系・683系電車など)のどちらかだけに対応させていたが、本系列はJR発足後初の50/60Hz両用対応とした。これは485系電車に代わる汎用特急車として、将来常磐線以外でも運用することをあらかじめ考慮したものである。デッドセクションでの主回路切替はE501系電車と同一仕様で、ATS-P地上子を使用した自動切替である。車内照明は直流電源方式で、デッドセクション通過時には蓄電池からの供給に切り替わるため基本的に消灯しない。主変換装置は素子にIGBTを用いるCI8形を搭載。コンバータ部とインバータ部から構成され、交流電化区間ではコンバータによりいったん直流に変換後、インバータにより三相交流に変換する。直流電化区間ではインバータ駆動のみとし、本装置1基で1時間定格出力145kWのMT72形かご形三相誘導主電動機4基を一括制御する。また営業運転時の最高速度は651系電車と同一の130km/hであるが、全速度域で651系電車を上回る加速力を有する。集電装置はPS32形交流直流両用シングルアームパンタグラフを搭載する。構造的にはバネ上昇・空気下降式で集電舟は651系と共通である。本機はE351系に搭載される直流用PS31形をベースに交流区間対応の絶縁碍子を装備する。また中央本線などの狭小トンネル通過には対応していない。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを装備し、発電ブレーキを準備工事とした。系統は常用ブレーキ・非常ブレーキ・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキの5系統とし、付随車のブレーキ力を電動車で負担する遅れ込め制御を行う。車体側面の行先表示器は3色LED式で行先・愛称のほか号車番号を表示する。2010年12月には、2012年3月ダイヤ改正で上野 - いわき間「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の全列車に置換え用としてE657系電車を導入。本系列は当時定期運用が行われていなかったいわき - 仙台間に新設される特急列車に転用される計画が発表された。しかし2011年3月11日に発生した東日本大震災により、いわき - 仙台間の一部で壊滅的な被害を受けたほか、福島県内の双葉郡広野町から南相馬市にかけてが東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域に含まれることから不通となり、いわき - 仙台間の特急運転計画は休止ののちに白紙撤回された。その後2012年9月に2013年より羽越本線特急「いなほ」で運用される485系置換えにE657系置換えで余剰となった本系列を転用予定であると報道され、新潟支社も2013年6月26日に同年秋から順次投入するプレスリリースを発表した。このため本系列は郡山総合車両センターで以下の改番を伴う仕様変更改造工事が施工された。2013年6月29日に竣工第1弾のU-101編成が所属となる新潟車両センターへ配車回送され、各種試験運転を実施。同年9月28日のダイヤ改正で「いなほ7号・8号」の1往復へ充当され定期運用を開始した。その後も基本7両編成8本中7本と基本編成の一部車両を組み込んだ付属編成1本に転用改造を施工し、順次新潟車両センターへ転出。2014年7月12日に「いなほ」全定期列車と「らくらくトレイン村上」の置換えを完了した。車両番号推移上述転用完了後の同年8月に北陸新幹線金沢延伸開業に伴う2015年3月14日ダイヤ改正で新潟 - 直江津 - 上越妙高・新井間を信越本線・えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン経由で運転する特急「しらゆき」を新設。同列車には付属4両編成3本とMM'ユニットとサハE653形1両を抜いた基本編成1本へ転用改造を施工し番台区分を1100番台にした上で充当することが発表された。改造施工は1000番台同様に郡山総合車両センターであり、耐寒耐雪構造強化などの基本メニューも同一であるが、以下の相違点が存在する。車両番号推移1997年10月1日のダイヤ改正で勝田電車区(当時)に配置された7両基本編成4本計28両で営業運転を開始した。1998年には、2次車として7両基本編成4本・4両付属編成3本の計40両が増備され、同年12月8日のダイヤ改正で485系電車の全面置換えを完了した。2005年に4両付属編成1本を増備。2007年3月18日から全車両が禁煙となったほか、同年10月からは「フレッシュひたち」運転開始10周年を記念し暫くの間側面に特製ステッカーを貼付した。2008年3月31日をもって清涼飲料水自動販売機の営業が中止となり、座席裏案内シールの貼り変えを実施。2010年12月には2012年3月ダイヤ改正で上野 - いわき間「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の全列車に置換え用としてE657系電車を導入することが発表されたが、東日本大震災の影響により2012年ダイヤ改正時には上野 - いわき間で一部の「フレッシュひたち」をE657系へ置換えたに過ぎず、本系列は引き続き運用された。また改正直後の同月31日をもって列車公衆電話サービスが終了したことに伴い座席裏の案内シールにその旨が追加された。2013年3月16日ダイヤ改正で「スーパーひたち」「フレッシュひたち」全定期列車をE657系へ置換え。このため同月15日の上野発高萩行「フレッシュひたち67号」で定期運用を終了。その後は、上述した新潟車両センター転用改造と並行しながら多客期の臨時「フレッシュひたち」など常磐線・武蔵野線・水戸線臨時列車のほか、同センター所属波動輸送対応用485系K60・K40編成が同年1月に廃車されたため「ぶらり鎌倉号」「ぶらり高尾散策号」「足利大藤まつり号」などへも充当された。しかし未改造編成も転用改造へ入場するために2014年8月17日の「フレッシュひたち92号」で本系列による同センターでの臨時運用もすべて終了し、転用工事施工後に全車新潟車両センターへ転出した。臨時・団体・修学旅行の各不定期運用では、団体専用列車として磐越西線会津若松・上越線水上・東海道本線熱海・中央本線高尾・成田線成田までの入線実績がある。なお同センター所属時には基本編成ならびに付属編成の上野方先頭車では電気連結器の、付属編成いわき方先頭車では密着連結器のカバーに編成番号が記載されていたほか、編成ごとで異なる水戸支社管内常磐線沿線の名所に由来したイメージカラーが塗装された。また始発駅の上野駅16・17番線特急発着ホームには基本編成となるK301 - K308編成のシンボルマークが描かれた。上述した転用改造により72両全車が工事を施工され新潟車両センターへ順次転入した。2015年3月14日現在では以下の定期列車に充当されるが、H編成の運用は全区間直流電化で交流電化区間は存在しない。なお臨時運用では、1000番台で以下の実績がある。
出典:wikipedia
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