『およげ!たいやきくん』は、1975年にフジテレビの子供向けの番組『ひらけ!ポンキッキ』のオリジナルナンバーとして発表された童謡。作詞は高田ひろお、作曲・編曲は佐瀬寿一、ディレクターは小島豊美。子門真人が歌ったバージョンは、2016年1月現在、日本で売り上げ枚数が最も多いシングル盤(フィジカル・シングル)とされている。本項では、この曲も収録された同名のLPも扱う。オリジナル盤シングルジャケットのキャラクターデザイナーは「バボちゃん」などを手がけた田島司。ちなみにレコード・CD等でのタイトル表記は「およげ!たいやきくん」だが、『ひらけ!ポンキッキ』で放送された同曲のアニメ映像内でのタイトル表記では「!(感嘆符)」がついていない。1975年10月5日(10月21日とも)に『ひらけ!ポンキッキ』で初めて流され、その後リクエストカードやフジテレビへのレコード発売の問い合わせが殺到した。この曲は当初生田敬太郎が『ひらけ!ポンキッキ』の番組内で歌っていたものだが、生田がテイチクと専属契約を結んだことで『ひらけ!ポンキッキ』関連のレコードを発売していたキャニオン・レコード(現・ポニーキャニオン)からのレコード発売ができなかった関係で、生田の歌での放送は11月27日を最後に終了し、12月9日から子門真人へ交代して放送を再開。当初1976年1月に発売予定だったが前倒しされて、1975年12月25日にオリジナルのシングル盤(キャニオン CX-102)がキャニオン・レコードから子門の歌唱で発売された。発売前の予約だけで30万枚に達し、翌年1月10日時点で出荷枚数150万枚・予約待ち50万枚、オリコン史上初のシングルチャート初登場1位・11週連続1位となり、現在までにオリコン調べで454万枚以上(オリコンにカウントされない売り上げを含めると、実際は500万枚以上ともいわれる)のレコード・CDを売り上げている。日本におけるシングル盤の売上記録としては未だに破られていない(2016年3月現在)。『不二家歌謡ベストテン』では1976年1月18日から13週連続1位となり、この記録は番組終了まで破られなかった。1976年の第9回全日本有線放送大賞特別賞、第5回FNS歌謡祭最優秀ヒット賞を受賞。1976年2月16日には、キャニオン・レコードが『およげ!たいやきくん』の370万枚達成(プレス枚数または出荷枚数)を発表する記者会見を行った。ちなみに、『ひらけ!ポンキッキ』から市販されたシングルとしては2枚目である(1枚目はガチャピンの『たべちゃうぞ』)。ヒットの要因としては情緒に訴えかけるメロディや、シングル付属の塗り絵を求めて買われたという意見がある。また明確に裏付ける資料はないが、成人層にアピールした以下のような理由がヒット当時から俗説として語られることがある。同名のLP(キャニオン E-1025)も1976年2月10日に発売されオリコンチャート6週連続1位、売上50万枚を記録し、「THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜名探偵コナン テーマ曲集〜」に抜かれるまでは、アニメ・子供番組のコンピレーションアルバム売上記録歴代1位であった。なお、オリジナル盤シングルのB面(LPのB面1曲目)はなぎら健壱(なぎらけんいち名義)の「いっぽんでもニンジン」(作詞:前田利博、作曲・編曲:佐瀬寿一)であった。当時子供たちにはむしろこちらの方が流行ったという説もある。オリジナル盤シングルは両面ジャケットのため、両A面という見方もできる。本シングルの発売以前に、1975年にキングレコードから発売されたLP『ひらけ!ポンキッキ』(SKM(H)2229)で三浦けんいちの歌で収録されている(曲名は「いっぽんでもにんじん」)。こちらでも作曲者の佐瀬寿一が編曲したことになっているが、佐瀬寿一は自身のインタビューで、SKM(H)2229収録の音源は自分の編曲したものではないと否定している。1992年7月1日にシングルCD化(ポニーキャニオン PCDG-00041)された(当時のプレス枚数は5000枚)。1999年3月25日には「だんご3兄弟」のヒットに追随して5万枚が追加出荷され、23年ぶりにオリコンにチャートインした。2006年にはこの曲の主人公である「たいやきくん」をかたどった変形アナログレコード(シェイプレコード)として再発された。これはオリジナル盤シングル同様「いっぽんでもニンジン」をB面としている。2007年末、クレーンゲームの景品として「たいやきくん」のぬいぐるみが投入されると、2008年3月までに約30万個が獲得されるヒットとなり、ポニーキャニオンにCD発売の問い合わせが殺到した。これを受けて2008年3月5日、「『ギネス世界記録』に日本で最も売れたシングルとして掲載された記念」としてオリジナル盤シングル同様「いっぽんでもニンジン」をB面にしたマキシシングル(ポニーキャニオン PCCG-00888)を発売した。同CDには『ひらけ!ポンキッキ』で放送された同曲のアニメ映像を収めたDVDが付属する。2008年版のDVD付きCDは約5万枚、携帯電話・パソコンの音楽配信では約5万ダウンロードを売り上げた。また、子門の歌でレコードが大ヒットした後(一時期)、生田は「およげ!たいやきくん」に関するインタビューには一切応じなくなったという。生田はテイチクとの専属契約を解いた後の1978年に『ひらけ!ポンキッキ』で「おとなもなやみがあるんだな」を歌っている。さらに時を経た2011年2月14日には、生田による「およげ!たいやきくん」の再録音マキシシングルが発売された。2012年4月18日、『およげ!たいやきくん by AGC38 feat.東京ブラススタイル』がリリースされた。たいやきくんに、あんこちゃんというガールフレンドができた記念として発売されるシングル。AGC38の12人の女子がアップテンポにアレンジされたスカ・バージョンにのせて歌う、従来の哀愁漂う楽曲とは一線を画した仕上がりになっている。シングルの印税は子門・なぎら共に買い取り契約だったため、売上げに応じた歌唱印税は支払われず、子門は5万円、なぎらは3万円の吹込料の支払いにとどまった。吹き込み当時、アルバイトで曲を吹き込んだ子門はこの曲がメガヒットになるとは思わなかったため、レコード会社から「歩合と買取どちらが良いか」聞かれた際に軽い気持ちで「買取で」と答えている。子門には後にヒット記念としてレコード会社から100万円と白いギターが1本贈られたとされる。また、品川税務署でレコード発売の5日前に区分として童謡の指導を受けており物品税(1989年4月1日に廃止)を申告していなかったが、「成人層に脱サラの歌として売れた」ことにより物品税法上、課税対象の歌謡曲扱いか、非課税の童謡扱いかで騒動になった。しかし、1976年2月23日に国税局により童謡であるとの正式判断が出されたため物品税は免除された。このため、著作権印税を除いた売上(卸価格)の多くはキャニオン・レコード(発売元)、フジポニー(原盤制作)、フジ音楽出版(現・フジパシフィック音楽出版)(音楽出版社)の3社の利益となり、キャニオン・レコードが「およげ!たいやきくん」のヒット後に建てた新社屋(後にニッポン放送グループだった一口坂スタジオが2012年3月の会社清算まで使用していた。)は「たいやきビル」の異名を取っている。これに関してもなぎらは「あの玄関は俺(に本来回ってくるはず)の印税で建てた」とネタにしている。行進曲に編曲された「およげ!たいやきくんのマーチ」もシングル盤(キャニオン CX-104)で発売された。番組とは直接関係のないキャニオン第三制作部の独自企画とされ、小島豊美によれば高校野球連盟からの要望で作成されたという。演奏はキャニオン・オーケストラ。B面はキャニオン・ブラス・オーケストラの「そらとぶさんりんしゃのマーチ」。「およげ!たいやきくんのマーチ」は長くCD化されなかったが、2008年5月9日にポニーキャニオンから発売されるオムニバスCD『およげ!たいやきくんのマーチ~たのしい運動会マーチ ベストセレクション~』に収録された。2000年6月21日には音頭に編曲された「正調 およげ!たいやきくん音頭」がシングルCDで発売。歌手は福本恵美。『ひらけ!ポンキッキ』の後継番組である『ポンキッキーズ』『ポンキッキーズ21』においては、2000年7月1日に発売されたアルバム「P-kies 20th Century New Trax」にピストン西沢のリミックスによるレゲエバージョンが収録されている。2001年3月1日にパラパラP-kies名義で「およげ!たいやきくん〜パラパラ2001〜」というユーロビートバージョンが発売された。その他、らがカバーしている。童謡集などでは、水木一郎(日本コロムビア)、宮内良、池田鴻(キングレコード)、杉江秀(サンリオ/日本コロムビア)なども歌っている。「およげ!たいやきくん〜パラパラ2001〜」のカバーとしては、日本コロムビアから発売された童謡集CDにMoJoの歌うものが収録されている。2007年9月26日に発売された「ガチャピン・ムックとアイドリング!!!」名義のシングル「ポンキッキ・メドレー2007」にも収録された。サイプレス上野とロベルト吉野の「GET MONE¥(借)」で、「およげ!たいやきくん」をサンプリングしている(2006年に限定版7インチシングルとして発売され、2007年1月26日発売のアルバム『ドリーム』にも収録)。2010年には辻希美がカバーした。アルバム『みんなハッピー!ママのうた』に収録されている。。2015年には稲垣潤一が竹内美宥とデュエットしてカバーした。アルバム『男と女5』に収録されている。藤井フミヤによるリメイク版が「およげ! たいやきくん2015」として、NHK BSプレミアムの子ども向け番組『ワラッチャオ!』で放送された。「およげ!たいやきくん」がヒットした1976年には、児童向け楽曲のヒット曲が連発した。テレビ番組からのヒットが多く、主な曲だけでも、「およげ!たいやきくん」と同じ『ひらけ!ポンキッキ』からは「パタパタママ」(歌:のこいのこ)、NHK『みんなのうた』からは「山口さんちのツトム君」(歌:川橋啓史、斎藤こず恵、その他)、TBSの『8時だョ!全員集合』からは「全員集合東村山音頭」(歌:ザ・ドリフターズ)らが次々とオリコンチャートの上位にランクインした。さらにはこうした流れからか、愛唱歌の「四季の歌」(この曲も競作だったが、芹洋子のものがダントツで売れた)も大ヒットした。当時の子供向けレコード市場は日本コロムビアのシェアが圧倒的だったが、キャニオンが「およげ!たいやきくん」をヒットさせたことで市場規模自体が拡大し、日本コロムビアの売上も伸びたという。藤子・F・不二雄原作の漫画『ドラえもん』では、ジャイアンのリサイタルで、山口百恵の「横須賀ストーリー」と一緒にこの曲を歌うシーンが見られた。一部の地域では曲にちなみ学校給食にたい焼きを出すところも現れた(但し歌詞のように鉄板で焼いたものではなく揚げ物や冷凍食品であったりもした)。千葉県の銚子電気鉄道では、この曲のヒットにあやかって1976年2月10日から観音駅で、鯛焼きの販売を始めたところ大ヒットとなり、現在でも人気商品になっている。他には、たい焼き屋に行列ができる、たい焼き用の鉄板が売れるなどの社会的影響があった。また、各種キャラクター商品も発売された。中にスポンジが入ったたいやきくんの塩ビ(ソフビ)人形は大ヒットし、子供だけではなく大人にも売れた。SMAPの木村拓哉は『およげ!たいやきくん』のブームでたい焼きの売り上げが伸びているという記事が「サンケイ新聞」夕刊に掲載された際に駄菓子屋の前でたい焼きを受け取る少年としてその写真が紙面に載ったエピソードがある。1976年、現ピーター・ブルック・カンパニー土取利行と当時東京芸大大学院生だった坂本龍一は、竹田賢一のプロデュースの元、限定500枚のレコードを制作するが「およげ!たいやきくん」のヒットによりプレス工場(東洋化成)の生産が追いつかず、リリースが半年遅れた。坂本龍一の幻の1stレコーディング作として後に発掘され『ディスアポイントメント - ハテルマ』というタイトルで2005年にCD化されている。小島豊美によると、「およげ!たいやきくん」は莫大なプレスオーダーをかけたため、当時のキャニオン営業部長の津澤正次の尽力で、東洋化成だけではなく同業他社のソニーのプレス工場などにまで協力を仰いで追加プレスを依頼したという。関東(東日本)と関西(西日本)でブームのピーク時期がずれたおかげで、ほぼ完売することができたと語っている。A面B面
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