線型代数学における内積(ないせき、)は、(実または複素)ベクトル空間上で定義される非退化かつ正定値のエルミート半双線型形式(実係数の場合には対称双線型形式)のことである。二つのベクトルに対してある数(スカラー)を定める演算であるためスカラー積(スカラーせき、)ともいう。内積を備えるベクトル空間は内積空間と呼ばれ、内積の定める計量を持つ幾何学的な空間と見做される。エルミート半双線型形式の意味での内積はしばしば、エルミート内積またはユニタリ内積と呼ばれる。複素数体 上のベクトル空間 上で定義された二変数の写像 が内積あるいはエルミート内積であるとは、 および を任意としてを満たすことを言う(ここで上付きのバー は複素共役を表す)。すなわち、複素ベクトル空間上の内積は非退化正定値のエルミート形式である。実ベクトル空間の場合も同様で、実ベクトル空間 上の二変数の写像 が内積であるとは、それが非退化正定値の対称双線型形式であるときに言う。文献によっては、エルミート内積および半双線型形式は第二引数に関して線型、従って第一引数に関して共軛線型とするもの(特に物理学や行列環に関するもの)と、それとは逆に第一引数に関して線型、第二引数に関して共軛線型とするものがある。前者の分野においては、上記の内積 を(量子力学におけるブラケット記法で) と書いたり、(点乗積を行ベクトル と列ベクトル との行列の積 と見て) などと書くことも多い。ここでは、ケットベクトルと列ベクトルはベクトル空間 のベクトルと同一視され、ブラベクトルと行ベクトルは双対空間 の あるいは線型汎函数と同一視され、複素共軛は双対性と関連付けられる。また現在ではより抽象的な文脈においてもこの が( に関してではなく) に関して共軛線型とする定義を採用するものが時折みられる。また、いくつかの文献で妥協点として と を両方使い、それぞれどちらの引数に関して共軛線型なのかを区別するものとして扱うものがある。場合によっては、非負の「半定値」半双線型形式を考える必要があることがある。つまり、 は非負であることのみが要求され、非退化でないものも考えるということである(後述)。エルミート対称性に注意すれば、任意の に対して ゆえ、これは実数値である。さらに半双線型性によりが成り立つ。線型性により、「 ならば 」が成り立ち、また非退化性はその逆「 ならば 」を言うものであるから、これらを合わせて、 を得る。内積の半双線型性を用いれば、平方展開が成り立ち、特に係数体が の場合には内積は対称だから、を得る。また線型性においてスカラーについて特に考えないときが成り立つが、これは分配性あるいは加法性(双加法性)とも呼ばれる。一つのベクトル空間に定義される内積は 一つとは限らない。また、ある内積 に対してと定めると、1 つのノルム が定義できる(これを内積が定めるノルムと呼ぶ)。ノルムは与えられた内積ではかった "ベクトルの大きさ" であり、とおくことで、二つのベクトルのなす角が定められる。この意味で内積はベクトル空間に計量 (metric) を定めるという。こうして定義されたノルムについては、次の幾何学的な性質を表す中線定理が成り立つ。また、さらに内積で定めたノルムと内積について、次の関係式が成り立つ。実数体R上の内積空間の元"x
出典:wikipedia
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