西武2000系電車(せいぶ2000けいでんしゃ)は、1977年(昭和52年)に登場した西武鉄道の通勤形電車。2008年現在、多摩川線・西武有楽町線と新交通システムを採用しているレオライナー山口線を除く全線で使用されており、西武では製造車両数が最も多い(436両)系列である。1977年(昭和52年)に登場した車両と1988年(昭和63年)に登場した車両ではそれぞれ外観が異なっているが、電装品などは共通である。本項では前者を「2000系」、後者を「新2000系」として記述する。両車ともに新宿線の主力車両であり、西武を代表する車両でもある。西武鉄道ではそれまで主に3扉車を投入していたが、駅間距離の短い新宿線用として乗降時分を短縮できる4扉車での製造となった。以前には国鉄63系譲渡車の初代401系が4両存在していたが、それ以来の4扉車の登場となった。先頭車の前面形状は、従来製造されていた湘南スタイルや切妻スタイルではなく、非常用貫通扉を設置した。これは当時計画されていた国鉄新宿駅への乗り入れのため、地下区間でも適合する規格を、ということで採用されたという説がある。また、西武鉄道では初めて界磁チョッパ制御(日立製作所製)、回生ブレーキ併用全電気指令式ブレーキ(HRD-1R)を採用した。このように、登場当時は西武鉄道の標準から外れた異端的な存在であった。ドアエンジンは1996年のリニューアル工事で交換が順次行われ、101系同様の原型ドアエンジン最終編成だった2001年の2007F更新終了以降、全車両3000系と同じものを使用している。客室側窓は下段上昇・上段下降の2段式で、上段はフリーストップ式。車側表示灯も従来の横2列から縦2段となる。この構造は新101系にも採用された。主電動機出力は130kW。制御器と歯車比 (1:5.31) は自然冷却式主電動機の東京急行電鉄8000系・8500系と共通する。台車は電動車は101系・5000系の住友金属工業製空気バネ台車 FS372 を改良した FS372A、付随車(制御車)は前記2系列と同一の FS072 である。主制御器はMMC-HTR-20D(弱め界磁起動1段、直列13段、並列11段、弱め界磁無段階)である。勾配抑速ブレーキは備えていない。当初は耐雪ブレーキの設備はなかったが、後述の田無事故を受け、全編成で備えられた。電動発電機(MG)は1977年当時の西武標準の日立製作所製を採用。6・8両編成用のものと2両編成用で異なる。6両編成に関しては1987年と1988年製造の2031F・2033Fでは、3000系で本格採用された新しいMGへ変更され、前者は新2000系でも採用の東洋電機製、後者はこちらも新2000系でも採用の新日立製のものへ変更されている。本グループは1977年から1979年にかけて、一部の駅プラットホームの有効長が十分ではなかった新宿線用として6両編成17本(102両)が新製された。その状況は次のとおりで、製造はすべて西武所沢車両工場である。編成は、西武新宿方からの4M2Tで、モハ2101形は百の位が同一奇数・偶数でMM'ユニットを組んでいる。例えば2001編成の車号は、次のとおりとなる。モハ2101形奇数車には主制御器とパンタグラフ2個、モハ2101形偶数車には電動発電機 (MG) と空気圧縮機 (CP) を搭載している。1983年には、新宿線の一部の駅のホーム有効長が延伸された関係で8両編成でも運転できるよう、末尾2編成(2031編成・2033編成)の編成を解除し、電動車は6両編成4本(2001編成 - 2007編成)のM2とM3の間に組み込んで8両編成(M3-M4・モハ2101形2301 - 2308として組み込み)とした。8両編成の状況は、次のとおりである("この書体"は、増結車)。なお、3000系や新2000系の8両編成とは車両番号の百位の配列が異なるが、編成中の機器配置は同一である。この際、M4車となった4両は MG, CP を撤去されている。制御車は半数を方向転換してクハ2401形 (2031 → 2410 / 2032 → 2412 / 2033 → 2414 / 2034 → 2416) とした上で、新製の制御電動車クモハ2401形 (2409, 2411, 2413, 2415) と2両編成4本(2409編成 - 2415編成)を組成した。同時に2両編成4本(2401編成 - 2407編成)が新製されている。この2両編成の電装品は 1C4M 構成である点以外はモハ2101形のMM'ユニットと同様であり、クハ2401形にMG, CPが装備されている。またクハ2401形のうち新製車の2402, 2404, 2406, 2408 の台車は電動車と同一のFS372A形であり、編入車も1985年に3000系のクハ3001 - 3004から転用したFS372Aに交換されている。1986年には田無事故により2017編成・2023編成・2407編成・2415編成が被災し、2017編成中の2017, 2117, 2118, 2217、2023編成中の2224, 2024、2415編成 (2415, 2416) の8両が廃車となった。1989年、2017編成のうち残った2両 (2218, 2018) が2代目の2224, 2024と改番の上で2023編成の残存車と新2023編成を組成し、運用に復帰した。また、1987年には田無事故の代替車として6両編成2本(2031編成・2033編成。いずれも2代目)、翌1988年には2両編成2本(2417編成・2419編成)が新製されている。これらは、通風器が押し込み式に変更(従来車はグローブ式)されるなど、設計変更が行われている。2000系が初めて池袋線で運転されたのは1990年(平成2年)1月である。編成は2011編成6両と2405編成2両を連結した8両が使用され、池袋線では初めての新2000系2065編成の導入(後述)を前に、データ収集のため一か月程度ダイヤ限定で池袋 - 小手指 (ダイヤ乱れで飯能へも入線)間で運転された。以降池袋線での定期運転実績はなく、臨時列車としても1997年(平成9年)10月の横瀬車両基地での車両展示・撮影会の際に池袋 - 西武秩父間を運転された列車の一部(8両中2両)に使用された以外、運転されることは皆無であったが、2009年11月23日に定期運転では19年ぶり、臨時列車では12年ぶりに池袋線で運転された。使用されたのは2005編成であった。2012年以降は2両編成がごく短期間ずつながら度々池袋線に貸し出され、運用されることがある。2両の増結編成や組み替え、1986年(昭和61年)の田無事故での事故廃車、さらに2015年から30000系による置き換えにより、廃車が発生しており、2015年12月現在、8両編成4本(32両)・6両編成7本(42両)・2両編成9本(18両)の計92両が在籍し、全車が新宿線に配置されている。1988年度から1991年度にかけては新2000系の登場に伴い仕様統一のため、全車に側面行先表示器を設置した。同時に前面表示器の字幕を白地黒文字から黒地白文字へ順次交換した。さらに表示窓ガラスを支持するHゴムについては、新2000系登場前の1985年から新2000系登場後である1991年まで約4年間かけて劣化防止のため、白色から黒色への交換が行われている。また、新2000系と併結可能にするため、先頭車両連結器の自動連結対応器へ交換・分割運用列車使用時の車内放送の分割放送対応工事を施した。つり革に関しても、1983年から1992年頃までにかけて、いわゆる「おにぎり型つり革」と称されたオリジナルの三角形のつり革から、3000系同様の丸いつり革への交換を実施している。1985年には、田無事故の教訓から、西武鉄道全形式に耐雪ブレーキを装備した。当2000系も緊急装備された。車両更新工事は1996年から2015編成を最初に、2006年まで10年間かけて実施された。外観では前面下部への排障器(スカート)の取り付け、パンタグラフの削減、2000年以降実施された車両は行先・種別表示器を20000系と同様のLED式へ取り替えた。旧2000系の未更新車は、2419編成が2006年12月に更新入場(翌2007年3月に出場)したことにより消滅した。2006年2月に車齢の若い田無事故代替新造車のトップを切って2031編成が車体更新工事を受けて出場した。工事の主な内容は以下の通り。2004年以降の施工車と同様のもの2000系では初めて施工されたものまた、ドアチャイムを設置した更新車については視力弱者にドアの位置を知らせるため約3秒おきに「ポーン」というチャイムが鳴るようになっていて、同様の装備が10000系、新2000系のリニューアル車と新101系のワンマン仕様車にある。なお、今回の工事では補助電源については電動発電機 (MG) を存置した。その後同様の更新メニューで2417編成、2033編成、2419編成が順に出場した。2015年12月10日現在の状況は次のとおりである。太字は全車クーラー取り替え1988年(昭和63年)には、2000系の車体に変更を加えた車両が登場した。これらは新2000系や2000N系と呼ばれることもある。これらが増備されるまで、西武の通勤車は前面の湘南スタイル・非貫通構造、3扉車が主流で、前面貫通扉を持つ4扉車の2000系は一部線区の異端車といった存在だったが、新2000系の大量新造で一気に西武のフラッグシップ的存在となった。最初に製造されたのは従来車には存在しない4両編成だった。そして池袋線の4扉化を推進するため、同線にも大量に投入され、1992年(平成4年)6月までの短期間に314両が製造された。新宿線系統へ初めて導入されたのは4両編成の2501編成(1988年)、池袋線系統へ初めて導入されたのは8両編成の2065編成(1990年)である。そのうち、2097編成の一部車両(モハ2197・モハ2198)は、三菱電機製のGTO素子によるVVVFインバータ制御とされた。新2000系は製造時期によって仕様が若干異なり、大別すると前期形、中期形、後期形の3タイプとなる。前期形(2501編成 - 2529編成、2051編成 - 2057編成、2451編成・2453編成)は側扉窓と戸袋窓が角の丸い小型で、製造当初ではドア付近のつり革が増設されていなかったため、今後の更新工事において随時増設される。この中で最初期の2501編成 - 2519編成、2051編成、2451編成は前面の貫通扉窓も小型とされた。この前期形は全車新宿線系統に新製配置されたが、後に2451編成・2453編成が池袋線に転属している。中期形(2531編成 - 2545編成、2059編成 - 2067編成)は側扉窓が角ばった大型、戸袋窓が角の丸い大型となり、そのうち2531編成 - 2539編成・2545編成は(後に2541編成・2543編成も)2004年2月に検査出場した2545編成を皮切りに、約1年ほどでそれら各編成の補助電源装置を静止形インバータ (SIV) に換装され、電動空気圧縮機もレシプロ駆動からスクリュー駆動に換装された。8両編成では、行先表示器のLED化やパンタグラフの削減工事が実施された車両もある。後期形(2047編成・2049編成・2055編成・2069編成 - 2097編成、2455編成 - 2465編成)は側扉窓が角の丸い小型に戻り、戸袋窓が角の丸い大型となっていて、このタイプは全車両の補助電源装置が静止形インバータとなり、またドアエンジンは4000系で採用された従来と同じ空気式ではあるが、客室床上の座席内部に搭載するタイプからドア上部の鴨居部に搭載するDP45ST形に変更され、開閉動作にも違いが見られる。2055編成・2097編成はベンチレーターがステンレス製になっている。中期形と同様に、8両編成では行先表示器のLED化やパンタグラフの削減工事が実施された車両もある。1989年(平成元年)1月に製造された2055編成(初代、6両編成)は、8両固定編成車両の増備による番号枯渇を回避するために1991年(平成3年)9月に車両番号が-10され2045編成となり、新たに8両編成の2055編成(2代目)が1992年(平成4年)12月 - 1993年3月にかけて製造された。この2代目2055編成は数字上からは分からないが、2097編成より後に製造されており、これが新2000系の最終編成となっている。配置数の多い新宿線では、新旧の2000系が2・4・6・8両を組み合わせて4・6・8・10両編成で運行され、新宿線に乗ればまず見掛ける存在である。西武園線東村山 - 西武園の4両編成運用列車には自ずと新2000系が使用される。なお、多摩湖線の4両編成での運用は多摩湖線国分寺 - 西武遊園地の全区間がワンマン運転化されて消滅したが、入線する場合もある(1996年・2005年、後者は新101系更新入場による処置)。ちなみに萩山での分割・併合に関しては2013年3月16日改正をもって終了しており、駅構内での分割・併合はみられない。また、池袋線所属車であっても抑速ブレーキを装備しないことや回生ブレーキの特性上による問題点から、通常の営業運転は池袋 - 飯能間および豊島線・狭山線に限定され、基本的に飯能 - 吾野間と西武秩父線には入線していなかったが、2007年12月2日に吾野変電所および正丸変電所に環境配慮型蓄電装置が導入されたことでその問題は解決され、2010年3月のダイヤ改正からは土曜・休日の池袋 - 西武秩父間直通の快速急行に充当された。ただし、ダイヤ改正以前も毎年12月3日に埼玉県秩父市で開催される秩父夜祭や同市にある羊山公園の芝桜が見頃になる4月上旬 - 5月上旬には臨時列車として入線していた。2015年4月6日から、2075編成に『暗殺教室』のラッピングが施され、『殺せんせーラッピング電車』として池袋線系統で運転されている。4両編成のクモハ2401形(2500番台奇数車)はパンタグラフを2個装備していたが、後に全編成とも撤去され、編成中のクモハ2401形-モハ2101形(2500番台偶数車)のユニットはモハ2101形(2600番台奇数車)から受電する方式に変更されている。2012年以降、2463編成を皮切りに屋根上のベンチレータ撤去工事が行なわれ、2016年7月現在は2451、2453、2461-2465編成、2501-2519、2523、2525、2529、2531-2535編成に施工している。なお、2531編成・2533編成は、行先・種別表示器のLED化とクモハ2401形のパンタグラフ跡完全撤去も併せて行なわれた。2533編成は施工後しばらく新宿線車両所に在籍したが、2531編成の工事完了と同時に新101系の代替を目的として池袋線車両所へ転出した。2002年から8両編成でパンタグラフの削減(モハ2101形奇数車の池袋・本川越寄りのものを撤去、2089編成、2095編成、2097編成を除く)と行先・種別表示器のLED化が実施されている。なお、中期車の8両編成は2006年3月の2059編成を皮切りに2063編成を除く4本に、前期車の8両編成である2057編成も2059編成とほぼ同時期に施工されている。2003年度から前期車と中期車の4両編成車については空気圧縮機をスクリュー式又はスクロール式に、電動発電機を静止形インバータに換装が施工された。2006年に2531編成が空気圧縮機・電動発電機の換装工事を施工している。2003年から2004年にかけて転落防止外幌が全車の連結面に装備された。2005年度からはドア付近へのつり革増設が実施されている。2007年2月に検査出場した2505編成では、各部の改良が行なわれた。この工事の内容は、以前から実施されているつり手増設工事の他、スタンションポールの設置・ドア付近の床への警戒色の追加・非常通報装置の交換・消火器の床下→室内への移設・優先席部分のつり革の低位置化・本川越方先頭車スカートへの連結面注意放送用スピーカーの設置などで、引き続き2007年度には2507編成・2509編成にも施工された。2008年3月には、2045編成の行先・種別表示器がフルカラーLED式に交換された。この工事は2016年現在、後述する東急車輛でのリニューアル施工車のほか、8両編成はほとんどの編成で施工されている。なお、2008年4月頃から2008年6月14日のダイヤ改正に備えて幕式・LED式両方に種別・行先にローマ字表記を追加し、各駅停車の種別表示が「普通」から「各停」に変更がされているが、フルカラーLED改造1号編成となった2045編成と後述の2047編成では、交換時から「各停」表示にされている。新2000系においても、経年20年に達する車両より車内のリニューアル工事とバリアフリー化、車体劣化部の補修などの改造工事を開始した。最初の施工となる2047編成は2007年12月に東急車輛に入場し、翌2008年3月出場した。全体的には30000系に準じたリニューアル内容とされている。工事内容については以下に示す。 なお、この工事は東急車輛で引き続き以下の編成にも施工されている。台車の試用クモハ2529・モハ2530は2001年4月に、モハ2158は同年11月に本来のFS372A(クハ2401形2462・2464・2466からの転用品)に戻されている。シングルアームパンタグラフの試用田無事故で廃車となった車両の台車は、クハ2017・2024(初代)のものがクハ2059・2060に、モハ2117・2118のものがモハ2161・2162に、モハ2217・2224(初代)のものがモハ2159・2160に、2415編成のものがモハ2540・2254に、それぞれ新造に際し転用されている。また上記台車の試用に際し、2529編成のクモハ2529・モハ2530、2057編成のモハ2157の台車が換装されているが、この時に発生した台車はモハ2261・2262・2361に転用されている。2055編成・2057編成・2061編成 - 2097編成(2073編成・2085編成を除く)、2531編成 - 2545編成のクハ2001形の台車は、701系クハ1701形からの廃車発生品が転用されている。また、クハ2462・2464・2466は上記台車試用終了に際し台車を供出しており、代替品には101系クハ1101形からの廃車発生品が転用されている。2016年3月8日現在の状況は、次のとおりである。太字は全車クーラー取り替え前期形はSIVへの取り替えと同時にコンプレッサーのスクロール化を実施した。西武鉄道からの正式な発表はないが、一部鉄道雑誌では2015年度の6両編成5本(30両)を皮切りに新型車両(30000系・40000系)に置き換える予定で、先述の田無事故を除く廃車では初めて廃車が開始された。2015年10月より6両編成で廃車が発生し、2023Fが廃車第1号となった。続いて2009F、11月には2013Fが、12月には2029F及び2025Fが廃車解体となった。
出典:wikipedia
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