カルシウム(、)は原子番号 20、原子量 40.08 の金属元素である。元素記号は Ca。第2族元素に属し、アルカリ土類金属の一種で、ヒトを含む動物や植物の代表的なミネラル(必須元素)である。日本(主に保健分野)では、特定の商標にちなんで「カルシューム」と転訛することがある。酸化数は僅かな例外を除き、常に+IIとなる。比重1.55の非常に柔らかい金属で、融点は840-850 ℃、沸点は1480-1490 ℃(異なる実験値あり)。標準状態での結晶構造は面心立方格子構造 。単体を空気中で放置すると酸素・水・二酸化炭素と反応して腐食するため、不活性ガスを充填した状態で販売される。鉱油中で保存することもある。空気中で加熱すると炎をあげて燃焼する。水に加えると容易に反応して水素を発生する。生成した水酸化カルシウム水溶液は石灰水と呼ぶ。石灰水に二酸化炭素を通すと炭酸カルシウムの白い沈殿を生じる。この状態から過剰に二酸化炭素を加えると沈殿は溶けて溶液となる。この反応は可逆的であり、加熱すると再び炭酸カルシウムの沈殿を生じる。ハロゲンとは気相中で直接反応し、ハロゲン化物を生成する。アルコールに溶解してカルシウムアルコキシド (CHOCa)、液体アンモニアに溶解してヘキサアンミンカルシウム ([Ca(NH)]) となる。水と容易に反応して水素を発生するため、アルカリ土類金属として、危険物第3類(禁水性物質)に指定されている。カルシウムは古代ローマ時代からカルックス (calx) という名前で知られ、化学的な性質を化合物の形で利用されていた。ラボアジエの33元素にもライム(酸化カルシウム)が含まれている。石灰(炭酸カルシウム)を主成分とする石灰岩や大理石は耐久性と加工性のバランスがよく、ピラミッドやパルテノン神殿などで石材として利用されている。しかし、カルシウムの化学的性質を活用した最初の例としてはセメントの発明をあげるべきだろう。人類最初のセメントとして9000年前のイスラエルで使われていた「気硬性セメント」が知られている。これは、砕いた石灰岩を熱して酸化カルシウムを生成させ、施工後にこれが空気中の水分や炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなる事を利用して硬化させる。現在に近い水を加え水酸化カルシウムを生成させる「水硬性セメント」は、5000年前の中国や4000年前の古代ローマで利用され、同じ頃にピラミッド建設には焼石膏(硫酸カルシウム)の水和反応を利用する漆喰(註:日本の漆喰とは異なる)が用いられた。この様にカルシウムは広く利用され身近な物質だったが、金属として単離するには電気分解の登場を待つ必要があった。1808年、ハンフリー・デービーが生石灰を酸化水銀とともに溶融電解し、金属カルシウムを得ることに成功した。calcium の名は、石を意味するラテン語の calx から転じ石灰を意味した calcsis に由来する。ちなみに、優れた実験化学者でもあったラボアジエが著作『化学原論』で近代元素観を確立したのは1789年で、11年後に電気分解が発明された時にはフランス革命により処刑された後だった。セメント・モルタルなど、建設・建築用資材として多用され、現在でも使用量の大部分をコンクリート製品が占める。日本の生コン生産量は、ピーク時(1990年)には約2億立方メートルに達している。 多くの用途があるが、金属元素としての需要はマグネシウムに劣る。カルシウムの原子番号20番は陽子の魔法数であり、安定同位体が4種と多い。さらに、中性子も魔法数である二重魔法数の同位体を2つ (Ca, Ca) 持っている。Ca は安定核種の列から外れた位置にあるにも関わらず、天然存在率が約97 %と著しく高い。一方の Ca も周囲を短寿命核種に囲まれながら、半減期430京年と極端に安定していて、存在率も Ca の数十倍である。カルシウムは真核細胞生物にとって必須元素であり、植物にとっても肥料として必要である。筋肉細胞では、収縮に関わるタンパク質(トロポニン)に結合することが不可欠である。植物細胞では、乾燥重あたり1.8%程度のカルシウムを含む。植物においてカルシウムはイオンとして存在し、主に細胞壁、細胞膜外、液胞、小胞体に多く分布する一方、サイトゾル内の濃度は低く保たれている。植物細胞におけるカルシウムの生理作用は以下の4点である。カルシウムは便や尿として体外に排泄されるため、これを補う最低必要摂取量として、日本の厚生労働省は1日に700mg(骨粗鬆症予防には800 mgを推奨)をあげている。健常者では体液内濃度は平衡に保たれ、妊娠期の女性も食物からの吸収能力が自然に増すため、偏った食生活でなければ追加摂取は必要ない。一方、過剰摂取は高カルシウム血症や腎結石、ミルクアルカリ症候群の原因となるため、一日摂取許容量上限として2300 mgが示されている。。もし血中濃度が正常範囲を外れているならば、骨からの出し入れ量を調節する副甲状腺機能の異常などが疑われる。カルシウムは必須元素として以上の効果を期待され、幾つもの疫学調査が行われている。
出典:wikipedia
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