XF5Uは、アメリカ海軍の依頼でヴォート社とその技師が設計・試作した艦上戦闘機である。その円盤状の形状から'(フライング・パンケーキ)または'(フライング・フラップジャック)の愛称がつけられている。円盤翼機は翼面積が広く、高い揚力を得られるために失速し難く、広い速度範囲で飛行できるという特性があることに着目したヴォート社は、独自に研究を進め、アメリカ海軍の支援を得て1942年11月に80馬力のエンジン2基を動力とする社内実験機「V173」の初飛行に成功し、エンジンの馬力不足に悩まされつつも高い性能を示した。試験飛行中のV173は、その機体形状から未確認飛行物体(UFO)と誤認された記録があるとされる。これを受けて実用機が計画され、1944年7月15日に米海軍は「XF5U-1」の名称で試作機2機の発注を行った。高い速度性能と機動性能・短距離離着陸(STOL)性能を持つ機体として開発が進められていたが、初飛行が行われないままに開発は中止された。本機の開発が中止になった理由としては、第二次世界大戦の終結とジェットエンジンの進歩によって、どれだけ高性能であってもレシプロエンジン搭載の戦闘機を開発する必要性がなくなったことと、機体の構造上、前方にはプロペラの回転範囲外になる部分がほとんど無いため、改修後の大型プロペラを装備した状態ではロケット弾などの前方に投射する兵器を装備することができない、という点が大きな難点とされた。アメリカ海軍からの発注を受けてXF5Uの開発には高い優先度が与えられたが、革新的な設計の機体だったために試作機の製作は難航し、更にヴォート社はF4U コルセアの生産と改良、TBU シーウルフといった他の新型機の開発・生産で手一杯であったこともあって、試作機の完成は第二次世界大戦終了後の1945年8月のことであった。しかし、機体は完成したもののSTOL性能の向上を目的とした新型の大型4翅プロペラの開発が遅れたため、完成した試作機は応急処置としてF4Uのプロペラを装着している。代用のプロペラでは設計通りの性能を発揮し得ないとして初飛行は行われず、その後は地上での試験が続けられていたが、1947年に新型プロペラがようやく完成し、完全状態となったのは機体の完成から2年後のことであった。しかし、同年の3月に米海軍はXF5U計画を中止することを決定し、試作1号機は飛行することなく開発中止決定の直後にスクラップ処分とされた。なお、円盤翼機の利点でもある強固な機体構造のため、通常の航空機をスクラップ処分する際に用いる手法では破壊することができず、機体形状のメリットを思わぬ形で実証した結果となっている。XF5Uは"フライング・パンケーキ"の名の通り円盤型の主翼を持ち、1,600馬力のレシプロエンジン2基を機体中央部を挟んで左右に搭載している。エンジンはターボ過給機付で高空性能を確保している。操縦席は機体中心軸上にあり、主翼よりやや前方に突き出した形状にすることにより必要な視界を確保している。双垂直尾翼であり、主翼後部の左右に水平尾翼も備えている。プロペラは、STOL性能を向上させる特殊なブレードを装着することになっていたが、この開発に手間取り、試作機には当初F4U コルセアのプロペラが装着されていた。3枚翅のプロペラを装着した機体の写真は、この時期に撮影されたものである。
出典:wikipedia
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