『蒼き流星SPTレイズナー』(あおきりゅうせい SPT レイズナー)は、1985年(昭和60年)10月3日から1986年(昭和61年)6月26日まで日本テレビほかで木曜 17:30 - 18:00に全38話が放送された、日本サンライズ(現・サンライズ)製作のSFアニメ(ロボットアニメ)である。完結編は1986年10月21日にOVAで発売された。主題歌のサビ部分に入る前に本編のハイライトシーンが挿入されるという放送当時は斬新な演出が行われた。多くのロボットアニメを手がけてきた高橋良輔にとって、仕事の一区切りがついた作品である。そのため締めくくりとして、同ジャンルの原点というべき『鉄腕アトム』の要素である意思と人格のあるロボットの登場が試みられている。とはいえリアルな作風に合わせて、はじめから主人公の相棒となるロボットが出てくることは避けられており、序盤では主人公「エイジ」の乗るロボット「レイズナー」に搭載されたコンピュータ「レイ」は機械的な応答しかしない。中盤でレイの背後に潜んでいたシステム「フォロン」が現れ、人命よりも使命を優先させる非情さを露にしたとき、それに怒ったエイジはフォロンと対峙する。最終的にエイジに説き伏せられたフォロンはレイズナーの全てを彼に委ねることを決めて退き、再び表に出てきたレイがエイジの指令に軽快に応える。こうした過程でエイジの相棒キャラクターとしてのレイの存在が確立するようになっている。時代設定は1996年と放送当時からそう遠くない未来が舞台となっており、現実において当時続いていたアメリカ対ソ連の冷戦が宇宙規模にまで拡大している。ストーリーは2部構成となっており、主人公らの火星でのグラドス軍との初接触から、本格的な地球侵略までを第1部とし、第2部ではそれから3年後のグラドスの支配下に置かれた荒廃した地球が舞台となっている。1996年、人類は地球を飛び出し火星へ進出したが、アメリカとソ連の冷戦もまた火星にまで拡大していた。同年10月3日、国連主催のコズミック・カルチャー・クラブ(宇宙体験教室)に選ばれた少年少女達は、火星に到着して間もなく、突如現われた謎の機動兵器・SPTによる攻撃に晒される。窮地に陥った彼らを救ったのは、蒼いSPTレイズナーを駆る少年アルバトロ・ナル・エイジ・アスカだった。彼はグラドス星によって地球が狙われていること、そして自分が地球とグラドスの混血であることを告げる。コズミック・カルチャー・クラブの少年少女達は、エイジに不信の眼差しを向けながらも、戦いの中で徐々に絆を深めていく。そして共に地球へ帰るため、彼らは火星を脱出し苦しい旅に出発する。そして3年後の1999年、地球はグラドス軍に占領支配され、自然も都市も、そして文化までもがいいように破壊され続けていた。その中で少年少女たちは敵味方に分かれて戦い続けるが、そこへ死んだと思われていたエイジがレイズナーとともに帰ってくる。地球制圧以前と以後では、世界設定やキャラクターデザインにかなりの差異が生じている(制圧以後は、当時人気だった『北斗の拳』の影響が極めて強い)。末尾のアルファベットのXは試作機、Uは特殊機、Cは量産機を表す。本作に登場する人間が搭乗する人型ロボットは、SPT(Super Powered Tracer / スーパー・パワード・トレーサー)と呼ばれている。頭部にコックピットがあるのが外見的な特徴で、透明かそれに類するハッチ・カバーを持つため、有視界戦闘も可能。異星の調査や開発用に作られた装甲強化服から発展した兵器で、その由来ゆえ用途を選ばない高い汎用性とを持つ。劇中に登場する機体群の中ではもっとも旧式で低スペックとされるブレイバーですら特殊な装備無しで大気圏に突入し、その後機体に支障をきたすこともなく戦闘を継続、あまつさえそのまま単独で大気圏を離脱することが可能という強靭さ・推力・機動性を併せ持っている。登場するSPTはほとんどがグラドス製だが、終盤では地球製のSPTも登場する。宇宙空間でのSPTは方向転換時に頭部を中心にして胴部・脚部を高速で回転させる機動を行う。胸部の装甲は概して厚く、レイズナーは10両前後の戦車に一斉に至近距離で砲撃されてもほぼ無傷である。ただしブレイバークラスの頭部、つまりキャノピー部の装甲はさほどのものではなく、グラドス軍標準装備の肩撃ち式ロケットランチャーならば一発で小破、米軍の宇宙用ミサイルならば同じく大破させることが出来る(最新型であるレイズナーでは傷一つつかない)。SPTは元来汎用性を持つ兵器であるが、状況に応じてさまざまな武器やバックパック等を装備して任務ごとに性能を特化することが出来る。バックパックは規格が保たれており、別機種間でも使いまわすことが可能。戦闘用の装備としては主に、自由電子レーザー砲「レーザード・ライフル」と、拳に備え付けられている電磁破砕装置「ナックル・ショット」を用いる。動力源は燃料電池。電力は胸部バッテリーから供給され、機体駆動時には脚部パワージェネレーターより充電される。燃料タンクは脚部にあり、燃料の注入は踵部から行う。またバックパックにも予備タンクがある。しかし、劇中では「少年少女たちが、孤立したまま敵と戦いながら逃避行を続ける」というストーリーの都合上、本来孤立していては難しい補給や修理はあまり描写されなかった。SPTの操縦管制は、統合型コンピューターによって行われる。高性能センサーと状況分析能力を有しており、音声での状況伝達から注意の喚起、場合によっては戦術の提案まで行う。また、音声入力による機体の操作も可能であるため、初心者でも簡単にSPTを動かすことができる。大河原邦男のデザイン画では、身長10メートル弱のSPTの頭部に人間の乗るコクピットを収めているため胴体に比べて頭部が巨大なアンバランスな体型となっているが、実際の作画では頭が小さい通常の体型で描かれることが多かった。なお、もともとは地球人の宇宙進出に脅威を感じたグラドス人が地球制圧用に開発した人型兵器である。SPTから汎用性を省き、用途を特化して造られた機体をマルチ・フォーム(Multi Form)と呼ぶ。地球侵攻にも、局地専用にカスタマイズされた機体が投入されていた。バックパックシステムを廃しており、可変型の機体もある。無人機。量産型メカ。テラー・ストライカー(Terror Striker)の略称。「V-MAX(ブイ・マックス)」とは、第2世代SPTより付与された特殊自己防衛プログラム及びそれに伴う非常時高速戦闘システムの名称である。元々は、戦域から緊急離脱し、自機の安全を確保することを第一の目的に開発された特殊機能だった。発動時には全身のスラスターのアフターバーナーが点火し推進力が最大値まで引き上げられるため、通常機動の3.57倍の速度になり機体の出力が格段に跳ね上がる。レーザード・ガンを至近距離で撃たれてから避けるなど瞬間移動のような急加速や、レイズナーが発射したカーフ・ミサイルを自ら追い抜き、手前のスカルガンナーを頭部へのキックで排除した後、奥のスカルガンナーにミサイルを命中させるといった、離れ業とも言える高機動戦闘も可能となる。また、胸部のマグネチック・フィールド・ジェネレーターが始動し機体周囲に強力な電磁界を形成し、そのフィールド内にLCMパウダーを散布するため、半径1km以内(レンジ1)に展開する敵機のセンサーを無効化させる。また自由電子式レーザー兵器はフィールドに阻まれ直撃弾を回避することができるため、それを生かした体当たり攻撃などを行うことも出来た。作中の描写では、原理は不明であるがフィールド内に取り込んだ人間を優しく支えたり、激しい機動を伴わない空中浮遊も行っている。驚異的な機体性能を発揮する反面、莫大なエネルギーを使用するため発熱量が非常に高く、機体に過剰な負荷を強いるため、オーバーロードによる機体の破壊を防ぐために発動時間を制限するリミッターが設けられている。また、発動終了後、機体は強制的に放熱体勢に入るため、約10分間は全く身動きが取れない。そのため敵機が残存すると回避運動も取れず危険であり、大気圏内上空では失速して墜落という場合も考えられる。物語当初は実験段階であり、一部の次期発展型の試作機に試験的に搭載されており、レイズナーがその搭載第1号機である。常識を超えた機動にパイロットが対応できずシミュレーションや搭乗訓練段階での死亡あるいは負傷事故が続出したため、その機構は凍結され、レイにもその存在を認識されていなかった。だが、ゴステロやゲイルの攻撃から自機を守るため、フォロンの手により閉鎖回路が解除され強制的に発動。その際パイロットのエイジは加速と機動に耐え切れず失神してしまう。その後、真相を知ったエイジがフォロンと対決・和解した後、フォロンからレイに機能が委ねられ、エイジの自由意志で発動させることが可能となる。V-MAXは推進系に特殊な強化剤を加えることにより、従来より15%以上出力を向上させ機動性能の向上を図ることが可能である。これはスーパーチャージ(レッドパワー)と呼ばれ、ル・カインがザカールで運用している。ただし、その分パイロットと機体への負担も増大するのでノーマルのV-MAXより限界発動時間は短くなっている。劇中未登場のレイズナーMk.IIのV-MAX機能「V-MAXIMUM」も同じく強化型V-MAXではあるが性格は大きく異なり、こちらは強電磁界の磁束密度を上げることで対弾性の向上を実現したもので、速度ではレッドパワーが勝り、攻撃&防御力ではV-MAXIMUMが上であると設定されていた。V-MAXには機体内蔵型とバックパックタイプがある。ル・カインは当初からバックパック方式に疑問を持っている。バックパックタイプはいかなる機種にも後付けできる利点はあるものの内蔵型と比較して本体との追随性が悪く、本来その欠点を補う調整ユニットの追加装備を必要とする。しかし、MFガッシュランへの装備を命じられたDr.ニゾンは調整とパイロットの訓練のために最低2日を要求したが容れられず、調整ユニット未装着・訓練抜きで出撃させる。結果、初のV-MAX搭載機同士の戦闘となったレイズナーとガッシュランの戦闘ではパワーでは若干勝るもののレスポンスに問題を残し、パイロットも訓練されていないためにバックパックタイプを搭載するガッシュランが内蔵型のレイズナーとV-MAX運用のベテランであるエイジに苦戦を余儀なくされる。Dr.ニゾンは訓練抜き・調整ユニットなしではレイズナーには勝てないことを予期しており、ガッシュランにレイズナーに取り付いた後足のかぎ爪のロックを解除不能にして、自爆するよう細工を施していたが、レイズナーが最大出力による高加速で爆弾が搭載された上半身を引きちぎって脱出してしまったため無駄に終わる。以後(放映短縮もあり)、バックパックタイプV-MAXは登場していない。また、高橋は『B-CLUB』インタビューで「ロボットものに常に新要素を入れなければならないと思っていたものの、そういうネタが無くなり、V-MAXはもう末期症状のようなもの。」と応えている。主題歌は放送当時、全てキングレコードからリリースされていた。東芝映像ソフトからVHS、ベータマックス、VHDで発売(LDは創美企画から発売)。いずれもVAPから発売。10%前後という高い平均視聴率を記録していた。しかし、1985年末から1986年初頭にかけて発覚したサンヨー石油ファンヒーター一酸化炭素中毒事故により、2クールをもって三洋電機(現・パナソニック)がスポンサーを降板。さらにタイアップのプラモデルの売れ行きが不振だったことも重なり、メインスポンサーのバンダイの意向で、第38話で急遽打ち切りとなった。公式には「元々2クールで完了の予定を4クールに延長したが、最終的には3クールまでの延長となった。従って打ち切りではない」と説明されている。なお、遅れネットした系列局では番組販売扱いで三洋電機・バンダイともスポンサーに就かなかった局もあった。放送上の最終回である第38話は、打ち切り決定が最終話放送日の2週間前という急遽の決定ということもあり、途中の回を省略していきなり最終回に話が飛んだような苦肉の内容で制作された。そのため直前の37話と話の内容がつながらず、第37話で大破したはずのレイズナーは修復・改造強化されザカールと互角の戦闘を繰り広げ、開発途上だった地球側SPTも既に量産されてグラドス軍と戦闘するなどしている。放映終了後、東芝映像ソフト(現・ショウゲート)からOVA全3巻が発売された。1巻は第1・第2クール、2巻は第3クール(第37話まで)のテレビ放映分の総集編であるが、第3巻ではテレビで放送されなかった第37話と第38話の間を埋める部分(大破したレイズナーに代わる強化型レイズナーの登場など)やラストシーンの追加(刻印から排除されたエイジのその後)などが映像化されており、「打ち切りがなされなかった場合における、第4クールの総集編」といった体裁になっている。高橋良輔、植田益朗は、打ち切り直後にラジオ番組『スターチャイルド』にゲスト出演し、「重労働が終わって楽にはなったけど、マラソンと同じで完走したかったですね」と無念を語っていた。また高橋は、放映終了後のインタビューで、放送での最終回以降の、本来予定していた最終回までの展開の構想を語っている。その内容は、刻印発動後の地球でのグラドス人差別を憂慮したエイジが、レイズナーMk.IIを駆ってグラドス本星に戻り、グラドス人と地球人のルーツが同じであるという確かな証拠を求めて奔走、同時にその証拠をもってグラドス本星政府の支配体制から市民を解放するというものだった。このストーリーは全52話版と全47話版と、制作当時は微妙に展開と結末が異なる2パターンが用意されており、本作のLD-BOXが発売された際、高橋監修の下で竹田裕一郎が『蒼き流星の行方』というタイトルで、高橋のインタビュー回答内容とは別の、全52話版をダイジェスト小説として書きおろしている。なお、このグラドスと地球人にまつわる真相は、『銀河漂流バイファム』の企画段階に存在するククト人と地球人における裏設定をほぼ転用したものであり、少年少女たちによる宇宙漂流ものというジャンルを含めて、前前年度制作の『バイファム』を色濃く踏襲した作品であった。当時ありふれていたこの企画転用手法で、レイズナーの作風が『ドラグナー』に転用され、『ドラグナー』の作風の一部は『ワタル』に転用されている。なお、『バイファム』も『機動戦士ガンダム』の企画段階での構想が転用された作品である。文章:伊東恒久、挿絵:谷口守泰による、OVA版のACT-III「刻印2000」のノベライズ版が、徳間書店よりアニメージュ文庫として出版された。『サンライズ英雄譚』及び『A.C.E』シリーズでは、ル・カイン役の塩沢兼人が亡くなっているため、加瀬康之がル・カイン役を務めている。『スーパーロボット大戦』シリーズでは、塩沢が生前に『新スーパーロボット大戦』で音声を収録していたため、『スーパーロボット大戦GC(XO)』ではその音声が久々に再使用された。また、2005年11月ごろ、秋葉原のゲームショップにて、「レイズナーのゲームが出たら買いますか?」などのアンケートをバンダイが取っており、『レイズナー』のTVゲーム化が企画されていたようである。ボードウォー・シミュレーションゲーム(ツクダホビー製)放映当時、バンダイから1/72、1/100スケールで発売され、接着剤を用いない「スナップフィット」の採用や透明パーツの使用など、バンダイの技術の蓄積も披露された。特筆事項として1/72モデルには当時としては珍しいダイカスト製の一部完成済みレーザード・ライフルが付属していた。ゼータガンダムと並行したためかキットの出来が不評で、小さい方の1/100は安価ではあるがポリキャップではなく、脚部に大穴が空いた成形など手抜きが目立った。当時はファミコンブームによりテレビを見ない子供が増えてきており(ビデオレコーダーやセカンドテレビの普及前だったため)、本作以降のリアルロボット玩具は低迷の一途を辿り、客層の低年齢化に主眼を置いたワタルの商業的ヒットまで厳しい状況が続いた。HCM(ハイコンプリートモデル)シリーズからも企画検討されていたが、番組打ち切りのため幻の商品となった。放映直後の1986年からムサシヤ、WAVEから1/72スケールで各種ガレージキットが発売された。後にコトブキヤからも1/72スケールで発売されている。2006年になってバンダイから「リアルロボットレボリューション」(通称 R3)のシリーズ第1弾として1/48スケールの新作キットが発売され、続けてニューレイズナーもキット化された。BEE-CRAFTによって現代風にプロポーションがアップデートされ、ギミックと可動範囲が増え、V-MAX発動後のハッチオープン(強制冷却)モードの再現など、ガンプラで培った同社の最新技術が注ぎ込まれている。同年からはメガハウスからパームアクションシリーズが発売開始。その第1弾としてレイズナーとザカールがラインナップされた。全長が90ミリほどの小さなモデルであるが、各関節可動、バックパックの交換が可能で、キャノピーの開閉などのギミックを備えている。その後も死鬼隊のMFやグライムカイザルなどが発売され、順調にラインナップを増やしていた。続いて2007年2月下旬にはバンダイから魂SPECシリーズでレイズナーが発売された。このモデルはノーマルのレイズナーとニューレイズナーを装甲の換装によって再現している。また、レイズナーのコンピュータである「レイ」の新たに収録された音声や効果音などが収録されたコンソール風のスタンドが付属。同年にはサンライズロボットセレクションでパームアクションと同サイズのレイズナーが登場。計5種類の中で2バージョン出て、それぞれに劇中未登場のオプション(フライトユニットかフレイムスローワー)も付属している。その他、同時期にコトブキヤからも塗装済み可動フィギュアが発売された。こちらは、約130ミリの大きさで、オプションとして、グレネードランチャーと劇中未登場のフライトユニットが付属している。2013年8月31日 - 9月1日に幕張メッセで開催された「キャラホビ C3×HOBBY」で「サンライズ80'sロボ商品化プロジェクト」の一環としてバンダイからダイキャスト製可動アクションフィギュア「魂SPECシリーズ」のラインアップでレイズナーMk.IIが商品化(立体化)されることが決定した(商品名「XS14 レイズナーMk-II」、ノンスケール)なお、この可動アクションフィギュアは基本形となる人型形態のほか、設定通りパーツの差し替えなしで戦闘機形態に変形させることが可能となっている。プレミアムバンダイ(魂ウェブ商店)限定で2014年9月発売。
出典:wikipedia
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