文化庁(ぶんかちょう、英語:Agency for Cultural Affairs)は、日本の文部科学省の外局の一つで、文化の振興及び国際文化交流の振興を図るとともに、宗教に関する行政事務を適切に行うことを任務とする(文部科学省設置法第18条)。上記の文部科学省設置法に示された任務を達成するため、芸術創作活動の振興、文化財の保護、著作権等の保護、国語の改善・普及・施策、国際文化交流の振興、宗教に関する事務を所掌する。国家行政組織法および文部科学省設置法により文部科学省の外局として設置されている。文化庁長官を長とし、内部部局として長官官房、文化部、文化財部を本庁に置くほか、審議会として文化審議会および宗教法人審議会を、特別の機関として日本芸術院をおく。定期刊行の広報誌として『文化庁月報』および『月刊文化財』をそれぞれ月刊で発行している。『月刊文化財』の発行主体は第一法規株式会社であり、文化庁は監修に携わっている。また、宗務行政については文化部宗務課から『宗務時報』が、国内宗教の調査報告として『宗教年鑑』が発行されている。庁舎は中央合同庁舎第7号館旧文部省庁舎の5、6階にある。2004年1月から2008年1月にかけては、中央合同庁舎第7号館建設整備事業のため、千代田区丸の内の旧三菱重工ビルに仮移転していた。庁舎表札の「文化庁」の文字は、書道家の成瀬映山が揮毫したものである。文化庁の中軸組織の前身は文部省ではなく、戦前の日本で出版・著作権行政を所管していた内務省警保局である。その編成は書記室、警務課、保安課(庶務係・文書係・右翼係・労働農民係・左翼係・内鮮係・外事係)、図書課(庶務係・著作権出版権登録係・検閲係・企画係・納本係・保安係・調査室)となっており、出版・著作権行政が検閲行政と一体に処理されていた。太平洋戦争での日本の敗戦により、連合国による占領統治が始まると、1945年10月4日に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は人権指令を発令し、特別高等警察と共に出版警察も廃止されることになった。早くも1945年10月13日には、内務省警保局検閲課(旧図書課)検閲係が廃止されることになり、1947年6月10日の内務省官制の一部改正(政令第39号)により、内務省官制第1条に規定する同省の権限から「出版、著作権に関する事務」を削り、同権限を文部省に移管することが決定した。これによって内務省警保局検閲課(旧図書課)は、業務から検閲が取り除かれて、文部省社会教育局文化課(後の著作権課)として再出発することになった。1966年5月1日、文部省の調査局が廃止され、旧調査局の国語課、宗務課、国際文化課と、社会教育局の芸術課、著作権課を統合して、文部省の内部部局として文化局が設置された。1968年6月、当時の文部省の内部部局であった文化局と外局の文化財保護委員会を統合し、文部省外局として文化庁が発足した。2001年の中央省庁再編により文部科学省の外局となると共に、施設等機関であった国立博物館や国立美術館などを独立行政法人として分離した。文部科学省設置法第28条は同法第4条に文部科学省の所掌として掲げられた全97号にわたる事務のうち、文化庁は合計21号の事務をつかさどる。具体的には以下に関することなどがある。文化庁の事務の主要部分である文化芸術の振興については、「文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項」を定めた「文化芸術振興基本法(平成十三年十二月七日法律第百四十八号)」が根本基準である。文化芸術振興基本法は、「国が、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずる」(第8条)ことを定めている。また、映画,漫画,アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術)についても、その振興を図るため、製作、上映等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする(第9条)。これらの規定を受けて、文化庁はその具体的な施策として、文化庁芸術祭、芸術選奨、国民文化祭、全国高等学校総合文化祭、文化庁メディア芸術祭、文化庁映画賞および文化庁映画週間といった芸術祭や顕彰を主催している。文化庁芸術祭は、優れた芸術の鑑賞の機会を広く一般にするために開催される諸芸術の祭典である。1946年に文部省主催ではじまって以来、毎年秋に行われている。現在は文化庁文化部芸術文化課・文化庁芸術祭執行委員会が企画している。「主催公演」、「協賛公演」、「参加公演」および「参加作品」の4区分から成る。参加公演および参加作品は、参加を希望する公演・作品の中から執行委員会が芸術祭にふさわしい内容と認めたものである。参加公演は演劇、音楽、舞踊、大衆芸能の4部門、参加作品はテレビ・ドラマ、テレビ・ドキュメンタリー、ラジオ、レコードの4部門に分かれ、各部門における審査委員会の審査をもとに文部科学大臣賞が贈られる。芸術選奨は各芸術分野において、前年に優れた業績をあげた者に文部科学大臣から贈られる賞である。芸術選奨文部科学大臣賞および芸術選奨新人賞の2種類がある。1951年に文化庁芸術祭から分離される形で「芸能選奨」として始まり、1956年、現在の名称に改められた。文化庁メディア芸術祭は1997年から始まったメディア芸術作品の顕彰と鑑賞機会の提供を目的とした芸術祭である。アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門から成る。2007年度(第11回)からは国立新美術館で実施されているほか、2002年度からは地方展も開催されている。文化芸術振興基本法は、国際文化交流における国の役割について、「文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進を図ることにより、我が国の文化芸術活動の発展を図るとともに、世界の文化芸術活動の発展に資するため、文化芸術活動を行う者の国際的な交流及び文化芸術に係る国際的な催しの開催又はこれへの参加への支援、海外の文化遺産の修復等に関する協力その他の必要な施策を講ずる」と規定する(第15条)。この国際文化交流の振興に関する事務は文部科学省設置法の上規定により文化庁の管轄である。これらの規定により、文化庁国際文化フォーラムの開催や文化庁文化交流使制度の運用、国際交流年事業、国際芸術交流支援事業などが行われている。明治以降の日本の優れた文学作品を英語、フランス語、ドイツ語などに翻訳し、それぞれの国で出版する「現代日本文学の翻訳・普及事業」(JLPP)を2002年に立ち上げた。2010年現在、121作品が翻訳対象に選定され、86点が出版されている。文化庁所掌の受託事業であり、2009年4月からは凸版印刷株式会社が受託し事務局を運営している。文化芸術振興基本法は、国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする(第18条)。また、文部科学省設置法は「国語の改善及びその普及」を文化庁の所掌としている(第85号)。これをうけて、文化庁は国語の調査研究のために国語問題研究協議会や国語施策懇談会を運営し、一般社団法人中央調査社に委託して「国語に関する世論調査」を実施・公表している。同調査は1995年から毎年行われ、マスコミでも話題にされる。文化芸術振興基本法は、国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発その他の必要な施策を講ずるものとする(第19条)。また文部科学省設置法も「外国人に対する日本語教育に関すること(外交政策に係るものを除く。)」を文化庁の所掌とする。文化庁の組織は基本的に、法律の文部科学省設置法、政令の文部科学省組織令および省令の組織規則が階層的に規定している。文化庁が主務局となっている独立行政法人は国立美術館、国立文化財機構、日本芸術文化振興会の3法人である。各法人が運営する文教施設は下記の通り。2012年度(平成24年度)一般会計当初予算における文化庁所管予算は約1032億円である。文部科学省所管の一般会計予算(5兆4127億5300万円)の約1.91%を占める。科目別の内訳は文化庁共通費が25億8700万円(対庁予算比2.5%)、文化振興費が165億1100万円(16%)、日本芸術院が4億9900万円(0.48%)、独立行政法人国立美術館運営費が77億8400万円(7.5%)、独立行政法人国立美術館施設整備費が53億4700万円(5.2%)、独立行政法人日本芸術文化振興会運営費が100億6200万円(9.8%)、独立行政法人日本芸術文化振興会施設整備費が1億1400万円(0.11%)、文化財保存事業費が421億6400万円(41%)、文化財保存施設整備費が6億6800万円(0.65%)、独立行政法人国立文化財機構運営費が76億200万円(7.4%)、独立行政法人国立文化財機構施設整備費が68億8400万円(6.8%)、国際文化交流推進費が21億1700万円(2.1%)、文化振興基盤整備費が8億6200万円(0.84%)となっている。一般職の在職者数は2011年1月15日現在、文化庁全体で245人(うち、女性59人)である。文部科学省の全在職者数2247人(447人)のうち約10.9%(13.2%)を占める。定員は省令の文部科学省定員規則において、2012年4月現在、236人と定められている。給与にかんしては一般職給与法が適用され、俸給表は行政職俸給表ないし指定職俸給表が適用される。文化庁職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。2011年3月31日現在、人事院に登録された職員団体は存在しない。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。