佐世保線(させぼせん)は、佐賀県杵島郡江北町の肥前山口駅から長崎県佐世保市の佐世保駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。肥前山口駅で長崎本線から分岐し、長崎県北部の佐世保駅まで伸びる路線。佐世保市と佐賀市や福岡市を結ぶルートの一部となっており、山陽新幹線に接続する福岡市の鹿児島本線博多駅から、佐世保駅や大村線ハウステンボス駅へ直通する特急列車が走っている。ほとんどの区間で国道34号・国道35号と並走している。また、肥前山口方面と佐世保方面とを行き来する列車は早岐駅で構内配線の都合上スイッチバックする。佐賀平野や早岐駅周辺は軟弱地帯で、この区間は路盤が非常に悪いために単線用の架線柱の多くが、両側支持の門型の物になっている。肥前山口駅付近(起点から1.5km地点まで)はJR九州本社鉄道事業本部直轄、大町駅 - 佐世保駅間が同社長崎支社の管轄である。全区間に博多駅 - 佐世保駅間の特急「みどり」が16往復運行されている。「みどり」のうち平日5往復、土曜・休日8または9往復は、博多駅 - 肥前山口駅 - 早岐駅間で大村線ハウステンボス駅発着の特急「ハウステンボス」を併結している。「ハウステンボス」は通常は全列車「みどり」に併結されるが、ピーク期やハウステンボスでのイベント時には全区間単独運転の列車が設定される場合がある。また朝の上り列車、夕方以降の下り列車を中心に、「ハウステンボス」編成を連結する「みどり」も4 - 5往復設定されている。佐世保線を運行する優等列車は特に鹿児島本線博多駅 - 鳥栖駅間の線路容量の関係から、後述する本州直通列車を含めて多くの列車が肥前山口駅で長崎駅発着の列車と分割・併合する多層建て列車として運行されてきたが、2011年(平成23年)3月12日の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に伴い「かもめ」と「みどり(・ハウステンボス)」の併結が終了したのを最後に、肥前山口駅で分割・併合を行う優等列車はなくなった。その後も「みどり」の1往復が肥前山口駅で「ハウステンボス」編成の増解結を行っていたが、2016年3月26日のダイヤ改正で全編成佐世保駅発着に変更され(同時に早岐駅で「ハウステンボス」編成を切り離していた下り1本も全編成佐世保駅行きに変更)、肥前山口駅での優等列車の分割・併合は完全に姿を消した。戦後、1954年(昭和29年)に進駐軍専用列車「デキシー・リミテッド (Dixie Limited)」が日本に返還されて急行「西海」と改名のうえ東京駅 - 佐世保駅間を結んだのを皮切りに、東海道本線・山陽本線から佐世保線へ直通する急行列車が多数設定された。その後、1964年(昭和39年)に大阪駅発着の急行「平戸」(のちに2代目「西海」に改名)、1965年(昭和40年)に東京駅発着の寝台特急「さくら」、新大阪駅発着のディーゼル特急「みどり」(後に「いそかぜ」→「かもめ」に変更)、1967年(昭和42年)に新大阪駅発着の寝台特急「あかつき」が運行を開始した。1975年(昭和50年)3月10日の山陽新幹線全線開通後も夜行列車の「西海」「さくら」「あかつき」は存続したが、その後の交通体系の変化に伴い夜行列車の利用客は減少の一途をたどり、1980年(昭和55年)10月1日に「西海」が廃止された。次いで、1999年(平成11年)12月4日に「さくら」が「はやぶさ」との併結化に伴い「さくら」の佐世保駅発着列車が廃止された。そして2000年(平成12年)3月11日に「彗星」との併結化に伴い「あかつき」の佐世保駅発着列車が廃止されたのを最後に、佐世保線と本州を直通する優等列車、および佐世保線に乗り入れる夜行列車は消滅した。また、1999年3月13日から2003年(平成15年)3月14日までは、早岐駅 - 佐世保駅間に佐世保駅 - 長崎駅間(大村線経由)の特急「シーボルト」が運行されていたが、利用不振により廃止された。佐世保線内は基本的に特急「みどり」・「ハウステンボス」以外の列車は、快速「シーサイドライナー」も含めてすべての列車が各駅に停車する。ただし毎年ゴールデンウィークの有田陶器市期間中に運行される臨時快速「有田陶器市号」のみは佐世保線内でも快速運転を行っている。線内の停車駅はこの期間特急も臨時停車する上有田駅を含めて、特急の停車駅に準じている。全区間を通して運行される普通列車が下り8本・上り9本あるほか、肥前山口駅 - 早岐駅間および早岐駅 - 佐世保駅間に区間列車が運行されている。肥前山口駅 - 早岐駅・佐世保駅間の列車の一部は長崎本線に乗り入れて鳥栖駅まで直通している。1往復のみ鳥栖駅からさらに鹿児島本線に直通する列車も設定されている(下りは吉塚駅→早岐駅間、上りは早岐駅→門司港駅間で運行)。吉塚駅始発の列車は2012年3月までは山陽本線下関駅始発で運行されていたが、同年3月17日のダイヤ改正で門司港駅始発に変更され、2014年3月15日のダイヤ改正から現行の運行区間となっている。また早岐駅発着の普通列車のうち1往復は、肥前山口駅で長崎本線肥前大浦駅発着の普通列車と分割・併合を行っており、「かもめ」と「みどり」の併結運転終了以降は、肥前山口駅で分割・併合を行う唯一の多層建て列車となっている。肥前山口駅 - 早岐駅間は1 - 2時間に1本程度運行されている。有田駅 - 三河内駅間で佐賀県と長崎県の県境を越えるため特に有田駅での乗客の入れ替わりが大きいが、長崎本線の肥前大浦駅 - 湯江駅間のように前後の区間に比べて本数が減らされることはない。そのため普通列車で長崎本線肥前山口駅以東(鳥栖方面)と諫早駅以西(長崎方面)を行き来する場合、時間帯によっては、運賃は割高になるが早岐駅経由の方が目的地に早く着ける場合もある。早岐駅 - 佐世保駅間は佐世保線の列車に加えて「シーサイドライナー」などの大村線の列車も乗り入れているため、1時間に2・3本の普通・快速列車が運行されている。普通列車の補完のために快速列車もこの区間では各駅に停車している。なお大村線に乗り入れる列車はほとんどが長崎本線長崎駅まで直通している。全線で車内収受式ワンマン運転を実施しているため、佐世保線内では主にワンマン運転対応の817系電車が使用されることが多く、ラッシュ時など車掌が乗務する列車には813系電車や415系電車が使用されている。大村線から乗り入れる列車にはワンマン運転対応のキハ66・67系気動車やキハ200系気動車が使用されている。気動車は早岐駅 - 佐世保駅間の区間列車の一部にも充当されている。2009年3月14日から、松浦鉄道直通運転列車の運行が再開された。2015年6月1日現在の運行区間は佐々発早岐行き・早岐発伊万里行きで、松浦鉄道の車両(MR-600形気動車)が使用されている。以前は松浦鉄道の列車が佐世保駅から早岐駅まで、JR大村線の快速「シーサイドライナー」の一部が佐世保駅から松浦鉄道佐々駅やたびら平戸口駅まで直通運転していたが、2006年3月18日のダイヤ改正から中止されていた。JRの車両はキハ66・67系気動車が使用されていた。有田陶器市期間中には福岡・熊本方面から臨時列車や団体列車が運行される。これには811系電車やキハ185系気動車など通常佐世保線には乗り入れない車両も使用される。肥前山口駅 - 有田駅間はJR貨物の第二種鉄道事業区間となっているが、1996年(平成8年)に貨物列車の運行は廃止されトラック輸送に切り替えられた。現在は1日17.5往復のトラック便が有田駅と長崎本線鍋島駅との間で運行されている(鍋島駅発が18本、有田駅発が17本)。2006年(平成18年)よりJR貨物としての有田駅は「有田オフレールステーション」の名称を用いている。毎週土曜日に、クルーズトレイン「ななつ星in九州」が(長崎本線→)肥前山口駅→早岐駅→佐世保駅→早岐駅(→大村線)のルートで運行されている。運行開始当初は(大村線→)早岐駅→肥前山口駅(→長崎本線)のルートで線内での客扱い停車は行っていなかったが、2015年3月22日運行分より現行のルートとなり有田駅と佐世保駅で客扱いを開始した。なお、早岐駅(佐世保駅に向かう時のみ)と佐世保駅ではスイッチバックが必要なため、機関車の機回しが行われている。仮に、九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)が開業すると、当線の肥前山口駅 - 武雄温泉駅間が組み込まれる。佐賀県の説明によると同区間は複線化・路盤強化が行われ最高速度が130km/hに引き上げられる。この対応にかかる費用はJR九州の試算によれば約120億円となり、国からの複線化補助金が約30億円、残り約90億円を佐賀県とJR九州で分担するとしており、佐賀県によれば県の負担は国とほぼ同額の「30億円プラスマイナスα」にしたい、とされている(ただし佐賀県とJR九州の費用分担の協議はまだ行われていない)。また、長崎県・佐賀県ならびにJR九州はこの区間の複線化を「整備新幹線扱い」にするよう国に要望するとしている。実現すれば佐賀県の負担は約22億円に軽減されるほか、JR九州は受益の範囲内で線路使用料を支払うことになり、両者にとって都合の良い案であるが、前例がないほか、国の財源がないため財務省のガードは固い模様。九州新幹線長崎ルート・武雄温泉 - 諫早間は2007年(平成19年)12月のいわゆる「三者合意」により江北町と鹿島市の長崎本線のJR九州からの経営分離への同意が不要とされ、2008年(平成20年)3月に国土交通大臣による着工認可が下り、4月に着工された。ただし佐世保線の区間の複線化工事の具体的な概要はまだ明らかにされていない(ただ、用地買収開始から工事完了までの期間は5年程度、という見解がJR九州から示されている、と佐賀県は説明している)。また、新幹線の区間に組み込まれることによりこの区間の列車本数が増加することにより踏切の閉鎖時間が増えることが予想されるため大町町からこの区間の高架化を求めるとの要望が出ているが、佐賀県は「高架化が必要なほどの道路交通量はない」として否定的見解を示している。2010年4月5日に鉄道・運輸機構は肥前山口駅 - 武雄温泉駅間の複線化・路盤強化費用が約175億円となる、という試算結果を発表した。JR九州の試算と異なり、高橋駅 - 武雄温泉駅間については腹付線増ではなく新たに複線を新設するため費用が膨らんだ、としている。そのため、佐賀県の負担額は約47億円に増大することになるため、佐賀県知事の古川康は改めて同区間の複線化事業の早期着工と「整備新幹線扱い」の適用を求めた。2011年12月26日に政府は長崎ルートの諫早駅 - 長崎駅間の新規着工並びに肥前山口駅 - 武雄温泉駅間の複線化事業を「整備新幹線扱い」にすることを決定した。これについて佐賀県知事の古川康は歓迎する見解を示した。しかし、大町町長の武村弘正は町内に踏切が8か所あることで渋滞や事故の危険性、町内南北の往来に支障が出るとして改めて町内区間の高架化を求める意向を示した。佐世保線の大半は、九州鉄道が鳥栖と長崎を結ぶ幹線鉄道(長崎線)の一部として建設したもので、建設当初は早岐から分岐する支線区間のみが佐世保線であった。1907年に九州鉄道は鉄道国有法により買収、国有化され、1912年に鳥栖 - 早岐 - 長崎間が長崎本線、早岐 - 佐世保間が佐世保線となったが現在の長崎本線(有明線)のルートが開通した1934年に(旧)長崎本線の肥前山口 - 早岐間を分離・編入して現行の佐世保線となった。また、現在松浦鉄道西九州線の一部となっている旧国鉄松浦線の佐世保 - 北佐世保間も、当初は佐世保線として開業している。当初、九州鉄道は武雄 - 大村間を嬉野を通るルート(九州新幹線長崎ルートや長崎自動車道に類似)で計画していたが、嬉野温泉の客が素通りするとの沿線住民の反対により、誘致運動が起きた有田へ向かうルートに変更された。JR九州の直営駅は肥前山口駅・武雄温泉駅・早岐駅・佐世保駅、JR九州鉄道営業による業務委託駅は有田駅で、そのほかの駅は簡易委託駅または無人駅である。線内で運行されるワンマン列車(2両編成・3ドア)に関しては、直営駅(有田駅を含む)ではすべてのドアから乗り降りが可能(精算は駅で行う)。簡易委託駅・無人駅では1両目中央と2両目のドアは開かず、乗車時には1両目の後ろのドアから整理券を取って乗車し、降車時には運転士に運賃または乗車券を渡して1両目の前のドアから降りることになる。
出典:wikipedia
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