リンゴ(林檎、学名:)は、バラ科リンゴ属の落葉高木樹。またはその果実のこと。植物学上はセイヨウリンゴと呼ぶ。栽培種には という学名がある。主に、栽培種が複数の野生種の雑種であるという立場から使われる。日本では漢字で主に「林檎」と書くが、この語は本来、同属別種の野生種ワリンゴの漢名である。また、「檎」を「ご」と読むのは慣用音で、本来の読みは「きん」(漢音)である。リンゴ(セイヨウリンゴ)の漢名は「苹果」である。「りんご」とも読むが当て字で、本来の読みは「へいか」である。英語の"apple"はしばしばリンゴではなく果物全般を指す。たとえばパイナップル("pineapple")は「松の果実」という意味であり、リンゴとは直接の関係がない。原産地はカザフスタン南部、キルギスタン、タジキスタンとされており、ここからヨーロッパやアジアルートで日本にも広まったと考えられている。現在日本で栽培されているものは、明治時代以降に導入されたものであり、日本において、病害抵抗性、食味、収量などの点から品種改良が加えられた。人口比で比較しても日本の青森における生産量は多く、日本ブランド名で(元々の日本リンゴ農家などから商標に関する係争があり)中国でも多量に生産されている。現在は7500以上の品種が栽培されており、亜寒帯、亜熱帯及び温帯で栽培可能であるが、暑さに弱いため熱帯での栽培は難しい。リンゴの木は、落葉高木で晩春頃に白い5弁花が開花する。リンゴの果実は直径約3-15 cm、重さ約35-1000 g。外皮の色は赤や黄緑または黄色をしている。熟するとヘプタコサンを含んだ蝋状の分泌物に覆われる。果肉は淡黄色-白色の品種が多いが、外皮近くが赤-ピンク色になる赤肉系の品種もあるが果肉の渋みが強く、通常は食用にはならない。リンゴの蜜は比重が大きいため、水の中に入れると沈む。他の果実の部分は比重が小さいため水に浮かぶ。リンゴに限らず商品価値の高い果実を収穫するためには、開花直前から開花時期に優位な花を残す「花摘み」、結実後30日程度を目安に実を間引く「摘果」作業が必要である。リンゴには果実に袋をかける有袋栽培とかけない無袋栽培がある。無袋の方が日光が多くあたり糖度も上がるが、ふじ等の一部の品種は果実の色を鮮やかにし商品価値を上げるため有袋栽培を行う。また、有袋栽培には貯蔵性が向上する効果もあり、さび防止のためには遮光度の弱い袋を使用し、着色向上のためには遮光度の強い新聞紙や二重袋などを使用する。名称の頭に「サン」が付くリンゴは無袋で栽培されたことを示し、見栄えは悪いが甘く美味しいリンゴが収穫される。着色には太陽光が大きな役割を果たすため、果実の日当たりをよくするため摘葉および玉まわし(着色ぐあいを均一にするため、樹上の果実を回転させること)、太陽光を反射させるためのシートの敷設などが行われる(参考画像参照)。なお、これらの作業は農家にとって大きな負担となるため、近年では着色促進剤が使われることもあるが、着色系と呼ぶ色付きの優れた選抜亜種への更新も行われる。省作業になる「葉とらずリンゴ」は摘葉を行わない。樹形は矮性が主流となっている。近年は花粉を媒介する昆虫の減少から人手による人工授粉も広く行われている。または摘花の省力化目的でギ酸カルシウム剤を散布する場合もある。日本にリンゴ栽培が伝えられた頃と同様な伝統的な樹形で栽培する場合、台木は、マルバカイドウ、エゾノコリンゴ (Malus baccata)、ズミ(ミツバカイドウ)が用いられる。矮性栽培法は、1975年頃より普及が始まった樹高を低くし矮性栽培を行う方法で、台木はM26、M9、JM7等を使用する 。矮性栽培により生産者の肉体的負担の軽減や農薬散布の機械化に大きく貢献した。日本の農林水産省に登録されている品種は177種で、うち品種登録が維持されているものは85種。多くの有名品種は誕生年が古く、品種登録されていない。世界中では数千から1万以上の品種が存在するとみられている。「ふじ」は、1962年に青森県藤崎町で誕生した日本で最も一般的に栽培される品種で、日本国外にもさかんに輸出され、名前も日本語発音同様「Fuji」の名で親しまれている。中国・韓国・北アメリカ・オーストラリアなどでの栽培も多く、世界的にも最も生産量の多い品種であることが2001年に米国人学者達による調査によって確認された。無袋で日光を十分に浴びさせて栽培したものは「サンふじ」の名で出荷される(「サンふじ」はJA全農長野の登録商標)。早い時期に市場に出回る早生(わせ)ふじは同じ糖度の果実であっても甘みや酸味にばらつきがある。見た目は赤く色づいていてもふじらしい食味がないことがある。ふじを品種改良をしたものは、小玉のふじ「姫ふじ(ひめふじ)」の他、「千秋」、「こうこう」、「シナノスイート」、「北斗」、「こうたろう」、「ハックナイン」など多数である。クラブリンゴ類(クラブ・アップル:Crab apple)とは果実の小さいリンゴ属植物の総称。日本では小玉リンゴや姫リンゴといった総称で知られる。特徴として一般的なリンゴに比べて果実が小さく、直径は2,3cmから大きくても約5cm程度、重さはわずか数グラムのものから大きくても約150gほどにしかならない。果実の食味は一般的な林檎に比べて劣っていることから縁日のりんご飴や果実酒など主に加工用として用いられている。樹勢も小振りなことから街路樹や庭木や鉢植えでの観賞用としても用いられる。加工用として用いられる代表的な品種には「アルプス乙女」「姫小町」「あおもり乙女(ミニふじ)」「彦根りんご」「ワリンゴ」「ドルゴクラブ」などがある。観賞用として用いられる代表的な品種には「エゾノコリンゴ」「ズミ」などがあり、「ヒメリンゴ」の別名を持つ「イヌリンゴ」も観賞用に用いられている。また「フラワーリング・クラブ・アップル」(Flowering crab apple)という種類は、花の観賞用として品種改良されたクラブリンゴ類である。リンゴ属であるためリンゴに似た1,2cmくらいの赤い小さな実をつけることもあるが、結実しないことも多く、食用には不向き。代表的な品種として「ハナカイドウ」「長崎りんご(ミカイドウ)」「ウケザキカイドウ」「ノカイドウ」などのカイドウ類が知られており、これらは別名「ハナリンゴ」とも称されている。2012年現在世界では年間約6千万tのリンゴが栽培されている。生産量は中国がトップでアメリカ合衆国、トルコなどが続く。低温倉庫または低温加湿倉庫で保存する。長期保存の場合、低温低酸素高二酸化炭素雰囲気で行われる。水分の蒸発を抑えるため、出来るだけ密閉し冷蔵庫の野菜室などで。トルコで紀元前6000年頃の炭化したリンゴが発見されている。スイスでは遺跡から紀元前2000年頃のリンゴの化石が見つかっており、これらが天然物を採取したのか、栽培されていたものかは判断できないが、その時点で既にリンゴは栽培されていたとする研究・説がある。16 - 17世紀頃になるとヨーロッパでリンゴの栽培が盛んになり、17世紀前半にはヨーロッパからアメリカへ持ち込まれた。中国の書物『本草綱目』に「"」(林檎(りんきん)の果は味が甘く能く多くの禽(鳥の意)をその林に来らしむ。故、来禽(らいきん)の別名がある)との記述がある。日本へは中国から最初に持ち込まれたと推定されるが、西洋から西洋リンゴが持ち込まれると日本でも西洋リンゴの方が一般的になり、それまでの種は「和リンゴ」などと呼ばれて区別された。平安時代中頃の書物『和名類聚抄』には「利宇古宇(りうこう、りうごう)」としてリンゴが記述されており、これが訛って「りんご」になったと考えられている。地域によっては「リンキ」という古名も伝わる。江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の絵にその花が描かれるなど、実よりはどちらかといえば花が珍重されていたこともあったが、およそ食用として各地域に伝承されていた。また、仏前の供え物として多用された。近江国(現在の滋賀県)の戦国大名であった浅井長政は、領内の木之本の寺から届けられたリンゴに対する礼状を同寺に届けており、この書面は現存している。他にも、安土桃山時代の出羽国(現在の山形県)の大名であった最上義光の家臣の北楯利長が、主君の義光に鮭とリンゴを贈ったことが、義光から北楯への文書(礼状)から判明している。江戸時代の天明7年6月7日 (1787年7月21日)に発生した、御所千度参りと呼ばれる事件の際、京都市中に溢れ返った3万から7万人ともされる人数に対し、後桜町上皇からは3万個のリンゴが下賜配布された記録がある。当時、権力の中枢とは言えず、裕福でもなかった皇室が即座に3万個ものリンゴを放出した記録により、基本的に食用ではなく仏事用であるとしても、大規模な栽培・集荷・流通が行われていたことがわかる。後に和リンゴの栽培・流通は極少数となったが、例えば長野県上水内郡飯綱町では、わずかな農家が栽培してその姿を伝えている。この和リンゴの実は大きさ直径3-4cm、重さは30gぐらい。熟すると赤くなり、収穫適期はお盆前である。2003年より「彦根りんごを復活する会」が、全国に残存する和リンゴや野生種を調査し数十種類の木(数百本)を育て、収穫した果実はお盆に各地の寺社に奉納している。同じ滋賀県で前述の浅井長政ゆかりの木之本などでも復活保存の動きがある。初めて西洋リンゴが栽培された例としては、文久2年(1862年)、元越前福井藩主で幕府政事総裁職であった松平春嶽がアメリカ産のりんごの苗木を入手し、それが江戸郊外巣鴨の福井藩下屋敷にて栽培されていたと残る記録が有名である。またそれより先、安政1年(1854年)に、アメリカからもたらされた「アッフル」が加賀藩下屋敷(板橋宿)にて栽培され、翌年に実をつけたために食用とされたことが、当時の加賀藩士の記録に残っている。藩主(前田斉泰)から「小さな餅に塗って食べるように」と言われて近習らはそのようにしていることから、ジャムにして食したものと思われる。これらの栽培は、当然ながら藩主直接の手によるものではなく、栽培の能力を持った家臣や屋敷近隣の農家や植木屋が関わっていた。板橋と巣鴨は近隣であり、双方での栽培に関わった人物間のなんらかの交流や情報交換があったとも推測され、また福井藩下屋敷では接ぎ木により100本以上の樹が生えていたとされ、当時既にりんごの株分け・接ぎ木のノウハウがあったとも推測される。また、この福井藩下屋敷の株を、藩と直接関係のない人物が藩邸出入りの植木屋を通して入手した話が伝わることなどから、これら2箇所の藩邸だけにとどまらず、もっと広く栽培されていた可能性がある。この両藩邸のリンゴの株の導入経路はどちらも「アメリカから」と伝わるが、正確な入手経路や品種などは明確になっていない。明治4年(1871年)に明治政府の命を受けた北海道開拓使次官の黒田清隆は、アメリカから75品種の苗木を持ち帰り渡島国亀田郡七重村(現・北海道七飯町)の七重官園に植栽した。それが広がり出したのは明治7年(1874年)、内務省による配布が始まってからになる。現在の日本国内の主なリンゴ産地のほとんどは、七重官園にその起源を求めることができる。これらの生産がようやく軌道に乗ったのは明治20年代とされ、各産地でのその間の栽培定着の苦労を推測することができる。表面には薄い皮があり、皮に付着する農薬等の問題や、食べやすさの点から、皮をむいて食べられることが多いが、便秘の改善のため、皮ごと食されることもある。皮むきにはナイフや包丁などが用いられるが、回転式のアップルピーラーが用いられることもある。また、リンゴを放射状に切り分けるアップルカッターが用いられることもある。味は酸味と甘みが強い。日本におけるリンゴの収穫は品種によるが9月中旬から11月中旬である。各品種とも収穫期間は約1ヵ月程度と短いが、リンゴは高湿度低酸素状態で冷蔵保存することにより長期の貯蔵(およそ9ヶ月間)が可能である。このため、リンゴの出荷は9月 - 翌年7月ごろまで約10ヶ月間行われほぼ一年中食べることができる。リンゴの果実は空気に触れると変色する(褐変)。これはリンゴに含まれるポリフェノールが空気中の酸素と結合するために起こる現象である。これを防ぐために古くから知られているのが塩水に晒す方法である。これは塩素イオンが、ポリフェノールを酸化する際に働く酵素を阻害する作用を持つことを利用したものである。もっとも効果的に変色を防ぐにはレモン汁に晒すとよい。レモン汁に含まれるビタミンCが酸素と結びつき、ポリフェノールと結合した酸素をも奪うため、変色したリンゴも元の状態へと戻すことができる。生のまま食用にするほか、ジュース(リンゴジュース)やアップルパイ、ジャム、焼きリンゴ、リンゴ酒(シードル、カルヴァドスなど)などにする。リンゴのスライスやプレザーブは製菓・製パン材料ともなる。また、まるごと飴で覆ったリンゴ飴が、縁日の出店などで売られている。ドライフルーツにも加工される。また、サイダー(リンゴ酒、シードル)には、サイダー用の栽培品種があり、サイダーアップル()と呼ばれている(例:'Kingston Black', 'Stoke Red', and 'Dymock Red')。このほか、りんごを用いた果実酢としてりんご酢がある。リンゴの「蜜」は、ソルビトールである。バラ科の植物は、光合成産物のデンプンを篩管を通じて転流するときに、デンプンの加水分解で生じたグルコースをソルビトールに変換する。スターキングデリシャスなど、リンゴの品種の一部では、果実内に転流してきたソルビトールを、グルコースやフルクトースといった糖に変換する代謝系が果実の成熟に伴って停止しても、果実内へのソルビトールの転流は継続する。そのため、果実内の維管束周辺にソルビトールが蓄積していわゆるリンゴの「蜜」と呼ばれる半透明部分を形成し、果実の成熟の指標となる。成熟の過程で蜜が生成されるもので、蜜(=ソルビトール)そのものが特に甘いわけではない。また、蜜が多くても、その実が甘いとは限らない。「ゴールデンデリシャス」「つがる」は蜜ができにくく、「ふじ」「スターキング」は蜜ができやすい。近年市場では蜜入りが好まれるが、長期保管したものは蜜が褐色に変化しやすいので注意を要する。シラカバ花粉症を持つ人のうち一定割合の人がリンゴやモモなどバラ科の果物を食べた際に舌や咽喉(のど)にアレルギー症状を起こすことが知られている。加工製品では、保存中に生じるカビが生産する毒素のパツリンに汚染されている可能性がある事から、2003年にりんご果汁について50 μg/kgの基準値を設定された。食物繊維やビタミンC、ミネラル、カリウムが豊富。1日1個のリンゴは医者を遠ざける("An apple a day keeps the doctor away.")という諺があるように、リンゴは栄養価が高い果実として食されてきた。リンゴに含まれるリンゴポリフェノールには脂肪の蓄積を抑制する効果があるともいわれる。生産者の間では広く知られているが、「5月〜6月に摘果した直径3cm程度の未熟果の一部は、秋まで土の上で腐らず残っている。」この成分はポリフェノールの一種が関係していることが研究の結果明らかになった。『本草綱目』第30巻においては、小児の閃癖(せんへき)によいとされていた。リンゴはそれ自身が熟成するにつれてエチレンガスを多く発生する。そのためエチレンガスを必要とする実験によく使われる。1835年、リンゴの木の樹皮からフロリジンが発見されている。同じく木の樹皮から抽出されるキニーネのように、フロリジンは当初解熱薬や抗炎症薬、抗マラリア薬として使用されていたが、後に腎臓の近位尿細管からのブドウ糖再吸収を阻害する作用を持つことが分かった。SGLT受容体の阻害作用による効果であるが、フロリジンはSGLT2選択性が低く医薬品とすることは出来なかった。フロリジンの分子構造を改良してSGLT2選択性を高め、副作用を低減した薬剤が糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬として2013年3月にFDAに認可された。日本では2014年から初のSGLT2阻害薬としてイプラグリフロジンの販売が始まり、2016年までに6種類の薬剤が流通している。なお、リンゴの果実には血糖を下げる効果は無い。
出典:wikipedia
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