から揚げ(からあげ、空揚(げ)、唐揚(げ))とは、食材に何も付けず、または小麦粉、片栗粉、プレミックス(調整粉)のから揚げ粉をまぶして油で揚げた料理・調理である。下味の有無は問わない。家庭料理・中食(外で買って家で食べることを前提とした販売形態)・各種外食産業など幅広い場で食べられる日本で主要な惣菜料理の一つである。英語では「fry」(フライ)で、料理名ではフライドチキン、フライドポテトなど「fried~」となる。中国語では何もつけず揚げるから揚げは「清炸」(チンチャ)、衣をつけるのは「乾炸」(カヌチャ)。食材に衣を付けずに揚げる料理・調理は素揚げとも言い、鎌倉時代などには精進料理の揚物として(米粉など衣を付けて揚げることもあった)、江戸時代には油揚とも呼ばれた。食材に小麦粉等をまぶして揚げる調理は衣揚げとも言い、江戸時代には「てんぷら」や「衣かけ」と呼んだが、江戸時代は揚げ物はまだ経験不十分で、固定した言葉もなかった。現代のてんぷらは衣をつける際に卵を使うため、その意味で衣が異なる。食材を醤油等で下味をつけて小麦粉や片栗粉をまぶして揚げた調理は「竜田揚げ」ともいう。これらは異なる歴史を持つ調理であるが、現在はどれもから揚げと付けられていることがある。現在単にからあげとだけいう場合は鶏肉のものを指していることが多いが、本来は食材は問わない。漢字表記では、「空揚げ」(または空揚)や「唐揚げ」(または唐揚)と書かれる。漢字表記自体は『和漢精進料理抄』(1697年)や『普茶料理抄』(1772年)において「空揚」よりも「唐揚」の方が先に出現している。空揚げは虚揚げと書かれることもある。本項では固有名詞(団体名等)や引用元のあるものを除き「空」「唐」を問わず「から揚げ」と記述する。「空揚」という呼び名は江戸時代にはなかったが、空揚げそのものは当時からあった。17世紀後半、もしくはそれ以前の文献とされる「南蛮料理書」には「魚の料理。何魚なりとも脊切り、麦の粉をつけ、油にて揚げ、その後、丁字の粉、にんにく磨りかけ、汁よき様にして煮〆申也」とある。また、1747年の「料理歌仙の組糸」には「てんぷらは何魚にても、うどんの粉まぶして油にて揚げるなり」、「菊の葉てんぷら又は牛蒡蓮根長いも其外何にてもてんぷらにせん時は、うどんの粉を水醤油ときぬりつけて揚るなり」とあり、衣揚げの初見とされる。これらは食材に小麦をまぶして揚げる調理で、川上行蔵は現代における空揚げと位置付けており、清水桂一も同様である。また、小麦粉を水と醤油でといた衣をつけて揚げる竜田揚げの衣揚げもみられる。その後、一時「衣かけ」とも呼ばれていた。これは1793年の「魚鳥献立集」や1805年の「素人庖丁」に見られる。1889年「言海」や、1908年「国史大辞典」といった辞典でも「からあげ」の記載は見られないが、1915年「大日本国語辞典」や 1921年「言泉」で登場し始め「空揚げ」として、「揚げ物に衣をつけず揚げること、もしくはその揚げたるもの」として見られるようになるものの、 1928年「軍隊調理法」では豚肉に澱粉をまぶして揚げたものを空揚げと表現しており、 1937年「団体家庭基本料理法」では下味をつけてから揚げたものを空揚げとしており、素揚げ以外を含む調理として見られるようになっていく。 以後、1970年代の初版の日本国語大辞典や第二版の広辞苑といった辞典などにおいても空揚げと記載され、唐揚げの表記はほぼ使われていない。衣が無いか少ないなど衣が「空」であることから「空揚」と表記され説明される。一方、1932年に現・三笠会館の支店で、中国の鶏の揚げ物をヒントに考案された「若鶏の唐揚」が、日本の外食メニュー初のから揚げ登場とされ、「からあげ専門店発祥の地」を掲げる大分県宇佐市は、戦後まもなく「若鶏の唐揚げ」を提供した中華料理店・来々軒をからあげ専門店発祥の起源としており、これらの店と料理は人気を博した。現代では唐揚げという表記が一般化しており、店や商品等での使用も多い。現在新聞協会は、なぜ空揚げ表記に決定したのか正確にはわからないとしつつ中国由来の食べ物ではなくその連想を避けるため(拘束力もないゆるいルールであるが)空揚げで統一しているが、実際の新聞記事では唐揚げも用例がある。NHKでは、戦後のテレビ放送では最初は「から揚げ」という書き方のみ認めていたが、「当用漢字音訓表」の改定により「空揚げ」が認められ、後にその方が自然と感じる人が多数という実態により「唐揚げ」も許容するようになった。「唐揚げ」表記は『普茶料理抄』(1772)や『日常実験料理』(1942)にも登場するが(『日本料理由来事典』)、前者は豆腐を小さく切り油で揚げ、さらに醤油と酒で煮たもの、後者は小麦粉もしくは片栗粉をまぶして揚げてから、あんをかけたもので、中華料理として紹介されている。「唐揚げ」という表記は中国大陸の調理が持ち込まれたものであるか中華風のものと説明されることもある。下味をつけてから衣をつけ揚げる調理法としては前述のとおり江戸時代から既にみられるものであるが、20世紀初頭としても、帝国陸軍薬剤官の石塚左玄が主体となって発行された雑誌で調理紙である「科学的食養雑誌 114回」(1917)には「鶏肉の揚げ物」(鳥の肉を薄く切り、しばらく醤油に漬けよく醤油をふき取り、衣粉に包みて揚げるのである。」)、「蛸衣掛揚物」(蛸の足をぶつ切りにし、醤油でざっと煮て衣粉にまぶして揚げる)など、鶏肉を含む食材に下味をつけ衣をつけ揚げる調理が見られる。また、1924年の『食物調理之秘訣』においてには切り分けた鶏肉、豚肉などの肉類を、味醂に醤油等で味付けをし衣をつけて揚げた料理を「立田揚」として名称がみられるようになり、続いて戦後においても鯨の竜田揚げなど、醤油等で下味をつけてから衣をつけ揚げる料理としてのから揚げも国内で一般的にみられてきた調理法である。から揚げがどのように日本に広まっていったのかについて、郷土料理・伝承料理研究家の奥村彪生によれば、室町時代には中国の精進料理の揚げるという技術が伝わっており、安土桃山時代には小麦粉をまぶして揚げる料理がポルトガルから伝わり(南蛮料理)、江戸時代中期以降には天ぷらが庶民の間で流行し、明治時代には主に粉をつけない素揚げが空揚と呼称され、戦後(1950年代以降)には一般の主婦が読む料理書に唐揚が記載されるようになったもので、「それまでの揚げ物と大きく違ったのは下味をつけるということ。中国料理から取り入れられた技術なので唐揚になったというのが通説のようです。ちょうど餃子の普及と同時期ぐらいのことです」と述べている。「食の文化話題事典」(1993年)には、もともと中国から伝来された揚げる技法に日本の調理法が加味されたとある。また料理評論家・料理学校長の服部幸應によれば、唐揚げは一般的に小麦粉や片栗粉をまぶした食材を油で揚げた料理を指し、日本にやってきたのは、戦後中国から引き揚げてきた人たちが大陸の調理方法を持ち込んだのが始まりと言われていると著している。戦前から先述の外食レストラン初の三笠会館の「若鶏の唐揚」はあったが、一般料理として外食店や家庭に広く普及したのは戦後からで、戦後の食糧難に対応するため九州等で養鶏場が作られアメリカのブロイラー技術が輸入されて増産されてからである。食肉用ブロイラーが生産されるようになると、ローストチキンやフライドチキン、唐揚げなどに調理され、高度経済成長期以降の1970年代からは、アメリカのケンタッキーフライドチキンが日本にも紹介されて普及し、香辛料の効いたフライドチキンも外食メニューの1つになっていき、醤油味をベースにした唐揚げ販売店も人気となっていった。2010年ごろには先述の宇佐や中津のからあげ専門店が東京に進出したことで、新規専門店も誕生するなど増えていき、からあげブームのようになったこともあった。江戸時代初期に中国から伝来した普茶料理(精進料理の一種)が記載されている『普茶料理抄』(1772年)に「唐揚」(「からあげ」または「とうあげ」)の語が見られ、「空揚」が見られるようになった時代よりも古い。もっとも、これは豆腐を小さく切って油で揚げた後に醤油と酒で煮たものであり、関係を疑問視する説もある。1898年に当時の日本の料理法を網羅した「日本料理法大全」にはからあげはないが、「続 日本料理法大全」(1970年)ではからあげの項目がありこの普茶料理の唐揚のみ記されており、1923年の「日本料理法大成」でも「カラアゲ(唐揚)」として是は普茶料理の一品なりと記載されている。1929年の「日本支那西洋料理大辞典」でも同様である。江戸時代の料理書「素人庖丁」(1803年)などでは、魚介類や野菜類の素揚や小麦をまぶして揚げたものを「煎出(いりだし)」「衣かけ」と呼んでいた。から揚げにする食材により下処理として使用するまぶし粉には違いがある。一般的には小麦粉(薄力粉)や片栗粉(スターチ)がベースになる。食材によりあるいは各店舗や家庭のレシピによりスパイスや食塩などを加えたものを使用する。鶏のから揚げの場合はベーキングパウダーや米粉を加えることでクリスプ(さくさく)感を表現することもある。外食店や専門店では衣の付け方(順序)や下処理に独自の工夫が見られるが、家庭向けには鶏のから揚げを想定したプレミックス粉(から揚げ粉)が販売されている。天麩羅は鶏卵と薄力粉を用いて溶き衣を作る点がフライ料理は鶏卵とパン粉を使用する点が一般的な違いとなる。卵白を用いたり溶き衣を用いるから揚げもあり、レシピは各店や家庭での工夫次第である。様々なから揚げが存在する。それらは特別な名前で呼ぶ事もあるが単に「から揚げ」と呼ぶ事もある。各地域に様々なから揚げが存在する。それらは特別な名前で呼ぶ事もあるが、単に「から揚げ」と呼ぶ事もある。モチコチキンは、下味をつけた鶏肉にもち米の粉(白玉粉)をまぶして揚げたハワイの料理。プレートランチ屋のメニューに出ることがある。ミラネッサ・デ・ポジョは、肉を揚げたイタリア・ミラノの料理で、子牛や子羊や若鶏の肉で作られる。衣にはパルメザンチーズが入っている。ポジョ・チャクタードは、ペルー第二の都市アキレバの名物のペルー風から揚げ料理で、ピリ辛ソースをかけて食べる。中国には、から揚げに餡やタレをかける料理が多い。またから揚げはよりカリッとさせるため二度揚げすることが多い。材料の持ち味をそのまま生かしたから揚げの、外はカリカリ、中は柔らかく揚がる揚げ方は、中国では外脆裏嫩(ワイツェイリーネン)といい、揚げ物の特徴の一つである。
出典:wikipedia
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