海峡線(かいきょうせん)は、津軽海峡の海底下に掘削された青函トンネルを介して、本州の青森県東津軽郡外ヶ浜町の中小国駅と北海道上磯郡木古内町の木古内駅とを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(地方交通線)である。北海道新幹線開業以前は、すべての列車が直通する東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線およびJR北海道江差線(北海道新幹線開業後の道南いさりび鉄道線)・函館本線のそれぞれ一部区間と合わせて「津軽海峡線」という愛称が付けられていた。交通新聞社の『JR時刻表』やJTBパブリッシングの『JTB時刻表』などの市販時刻表でも「津軽海峡線」として案内され、「海峡線」として案内されることはほとんどなかった。2016年3月26日の北海道新幹線開業以降は、在来線としての「海峡線」は貨物列車・団体臨時列車のみの走行となり、『JR時刻表』・『JTB時刻表』では2016年4月号から路線図・本文とも非掲載となった。また、「津軽海峡線」の愛称は廃止された。海峡線は、国鉄分割民営化後の1988年(昭和63年)3月13日、従来青森駅 - 函館駅間で運航されていた青函航路(青函連絡船)に代わって本州と北海道を連絡するJR線として開業した。本州と北海道を結ぶ列車が多く運転されている。北海道新幹線との共用を考慮して新幹線規格で建設されたため、事実上のスーパー特急方式となっている。開業時は狭軌の在来線用の線路のみが敷設されたが、2016年(平成28年)3月26日の北海道新幹線の開業に向けて、標準軌の新幹線用のレールを併設して三線軌条化された。新幹線開業後は、新幹線列車と在来線の貨物列車とが線路を共用して運行される、共用走行区間となっている。北海道新幹線と在来線の分岐点は青森側が新中小国信号場の北側(北海道寄り)、北海道側が木古内駅の西側(本州寄り)に設けられ、開業時からそれに対応した線形となっている。保安装置は自動列車制御装置 (ATC) が採用され、開業当時東北新幹線の全線(東京駅 - 盛岡駅間)で使用されていたアナログATC(ATC-2型)との互換性を持つATC-L型が導入されていた。ただし、JR各社は新幹線のATCシステムのデジタル化を進め、東北新幹線では2007年(平成19年)7月22日から全線がデジタルATC (DS-ATC) へ移行したため、新幹線との互換性保持は意味を持たなくなった。北海道新幹線開業にあわせて海峡線もデジタルATC (DS-ATC) を導入している。開業当初、青函トンネル内には竜飛海底駅・吉岡海底駅が設置されていた。これらは同トンネルの避難施設を活用した見学施設であり、見学者以外の一般旅客が利用することはできない特殊な駅であった。吉岡海底駅は北海道新幹線工事の資材基地として使用されるため、2006年(平成18年)3月18日に定期列車の停車を終了し、同年8月28日から見学コースが中止されて全列車通過となった。竜飛海底駅も2013年(平成25年)11月11日から見学コースが終了して全列車通過となった。2014年(平成26年)3月15日に竜飛海底駅・吉岡海底駅・知内駅が廃止された後、当路線の津軽今別駅(2016年3月26日からは奥津軽いまべつ駅) - 木古内駅間は、JRの全路線で最も駅間距離が長い区間となった(営業キロ:74.8km)。当路線の中間駅は津軽今別駅のみとなったが、津軽今別駅も2015年(平成27年)8月10日から全列車通過となり、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅開業と引き換えに廃止された。海峡線全線が北海道旅客鉄道函館支社の管轄である。ただし、中小国駅 - 新中小国信号場(構内除く)間の施設は東日本旅客鉄道盛岡支社の管理下に置かれている。輸送密度は以下の通り。収支(営業収益、営業費用、営業損益)と営業係数は以下の通り。いずれも管理費を含めた金額である。▲はマイナスを意味する。北海道新幹線開業後は、基本的に貨物輸送のみで、在来線としての旅客列車は団体臨時列車を除き運行されていない。海峡線単独の列車はなく、すべての列車が青森駅および五稜郭駅以遠から発着する。なお、起点の中小国駅は海峡線の全列車が通過する。旅客列車は、1988年(昭和63年)3月13日の海峡線開業時から、寝台特急「日本海」「北斗星」や特急「はつかり」、急行「はまなす」のほか、快速「海峡」が青森駅 - 函館駅間で運転されていたが、2002年(平成14年)12月1日の東北新幹線八戸駅延伸に伴うダイヤ改正で八戸駅 - 青森駅 - 函館駅間の輸送体系が見直され、「はつかり」「海峡」は廃止され、代わって特急「スーパー白鳥」「白鳥」が青森駅 - 函館駅間に設定された。これ以降、海峡線には本州側の青森駅方面から北海道側の函館駅方面へ直通する特急列車・急行列車のみが設定され、普通列車(快速含む)の設定がない区間となっていた。そのため、津軽線蟹田駅 - 木古内駅間の各駅相互間には、乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車できる特例が設けられた。これは、同じJR北海道の石勝線新夕張駅 - 新得駅間が、日本国有鉄道(国鉄)時代の1981年(昭和56年)10月1日の同線開通と同時に適用になって以来2例目である。なお、2016年(平成28年)3月21日に海峡線を経由する在来線の定期旅客列車が運行を終了したため、この特例も事実上終了した。また、本州と北海道を結ぶ物流の動脈として、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車が多数設定されており、航空・船舶と比較して天候に左右されにくい貨物の安定輸送こそが本路線の最大の存在意義である。なお、1994年(平成6年)3月1日改正時より海峡線を通る貨物列車は完全コンテナ化を完了し車扱輸送は甲種輸送を残してほぼ消滅した。現在はコンテナ列車が中心で、危険物など一部の貨物は安全対策のため青函トンネル経由の輸送が制限される(青函トンネル#走行車両も参照)。1998年から、藤子・F・不二雄の漫画・アニメ『ドラえもん』とのタイアップが開始された。この当時運行されていた快速「海峡」の客車や機関車に同作品のキャラクターをペイントした「ドラえもん海底列車」の運転が行われ、吉岡海底駅では「ドラえもん海底ワールド」と銘打つ同作品の展示スペースが設けられるなどした。「海峡」廃止後の2003年夏からは、吉岡海底駅見学専用の全車座席指定列車として函館駅 - 吉岡海底駅間で特急「ドラえもん海底列車」が運転された。吉岡海底駅の見学コース中止に伴い、2006年(平成18年)8月27日の「ドラえもん海底列車」の運転を最後に、このタイアップ企画は終了した。海峡線は、2016年(平成28年)3月26日の北海道新幹線開業に向けて、夜間の1時から3時30分頃まで、新函館北斗駅 - 新青森駅間を1日3往復程度、H5系を使用した訓練運転での試運転を週に4回実施していた。この時間帯では、架線電圧を20,000 V から25,000 V に、信号保安設備を在来線用のATC-Lから新幹線用のDS-ATCにそれぞれ切替え、運行管理システムをこの区間での在来線用を停止させた後に北海道新幹線総合システム (CYGNUS) を立ち上げてJR東日本の新幹線総合システム (COSMOS) と接続することで、全線において新幹線の運行を可能な状態にして行われていた。試運転終了後には架線電圧・信号保安設備・運行管理システムを在来線用に戻しているが、これでは開業後に運行される在来線 - 共用走行区間(海峡線) - 在来線を走行するEH800形牽引による貨物列車の試運転ができない。そこで、海峡線を通過する在来線の列車を丸々1日以上にわたって運休させ、架線電圧と信号保安設備を25,000VとDS-ATCに切替え、運行管理システムは在来線用とCYGNUSを接続させることで、すべてを開業後の形に切替えて、貨物列車が在来線から共用走行区間に直通できることと共に、共用走行区間(海峡線)で新幹線と貨物列車の双方を走らせた状態で、開業後の運行システムが24時間安定して稼動することを確認する地上設備最終切替えの事前確認が、2016年(平成28年)1月1日に実施された。また、北海道新幹線開業の数日前にあたる同年3月21日から25日にかけて、架線電圧・信号保安設備・運行管理システムを、開業後の形にすべて切替える地上設備最終切替えが実施され、数日間にわたって海峡線を通過する在来線列車は運休となったが、貨物列車は切換え後の架線電圧・信号保安設備・運行管理システムに対応しているため、この期間も運行していた。有人駅は奥津軽いまべつ駅と木古内駅で、中小国駅は無人駅である。
出典:wikipedia
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