『ザ・カゲスター』は、1976年(昭和51年)4月5日から同年11月29日まで全34話がNET系で毎週月曜日19時00分 - 19時30分に放送された、東映制作の特撮テレビドラマ。およびそれに登場するヒーローの名称。白蝋魔人の一団に誘拐された風村コンツェルンの令嬢・鈴子とその秘書・姿 影夫は、隙を見てアジトから脱出に成功する。だが、逃げる途中で2人は誤って崖から転落、ともに高圧電線に触れてしまった。そのとき、電気ショックによって悪を憎む2人の心が影に宿り、カゲスターとベルスターの2人の超人が誕生した。影夫と鈴子はカゲスターとベルスターの力で悪と戦うことを決意。私利私欲のために人々を苦しめる犯罪者たちを次々と倒してゆく。やがて彼らの背後に、ドクター・サタン率いる巨大組織「サタン帝国」の存在が浮き彫りとなる。カゲスターとベルスターは、世界征服を目論むサタン帝国の怪人たちに敢然と立ち向かう。人間の記憶や性格、声をインプットしたロボット変身ヒーロー「宇宙鉄人キョーダイン」に続く東映の異色変身ヒーロー物で、本作は主人公の影に魂が乗り移り戦うという異色の設定である。「変身」に代わるヒーロー登場の手段として「影よ、行け!」という掛け声と分身ポーズが存在した。男性と女性のペアの主人公は珍しくないが、普段の人間の姿のときは女性のほうが上位で男性が部下というのは珍しい。シリーズ前半ではサラリーマン喜劇の要素も取り入れられている。第12話までは、それぞれ独自の組織(一味もしくは一団。戦闘員も毎回異なる)を率いるさまざまな犯罪者が登場した。これらの犯罪者は顔や口元が露出しているケースが多く(一部は頭部にマスクを着用)、完全な着ぐるみからの脱却を図っていた。ヒーローが、特定の組織ではなく、毎回違った犯罪者と対決するという構図は『バットマン』などアメコミの強い影響を受けている。サタン帝国が登場した第13話以降は、着ぐるみによる怪人が登場するようになった。実写である本作品ではさまざまな制約の関係上、中盤からは、影夫や鈴子が直接変身したような描写に変更されるなど試行錯誤が続いた。マントを効果的に魅せるアクションやベルスターのミニスカートを翻しての立ち回りが話題となった。影を用いた独特な演出も特徴となっており、カゲロベェの作画合成など独特な映像表現もファンからは高く評価されている。「原作・八手三郎」という肩書きの最初の作品である。実際の企画は仮面ライダーシリーズなどを手掛けた東映プロデューサーの平山亨と阿部征司、後にスーパー戦隊シリーズの企画協力を担当する企画者104によって制作された。当初はアニメ作品として企画されていたが、広告代理店の大広側からの意向もあり特撮作品へと変更された。敵キャラクターの変更理由について当時、撮影現場のスタッフから「超能力などを身につけたヒーローが、生身で人間の顔を露にした怪人を叩きのめすのは、逆に虐めてるみたいだ」との批判があったという。そのため後発の『快傑ズバット』では、「ヒーローを人間に格下げし」(平山プロデューサー談)バランスを取ったという。後に東映で数多の特撮作品を演出する長石多可男が、本作で公式に監督としてデビューを果たしている。長石は本作のオープニング・エンディングの演出も担当した。デビュー作となった第13話は「難解」という理由でリテイクを出され、不本意ながら撮り直した。長石は後年のインタビューで「その回のビデオを貰って久々に観たが、やっぱりどこが難解なのか分からなかった」と語った。また、カゲスターについて「最初にあのヒーローを見たときは『何だこれは!? 』と思ってびっくりした」と述懐している。本作は「宇宙刑事シリーズ」などで怪人デザインを多数手がけた野口竜の東映特撮初参加作品でもある。野口は後年「(カゲスターのデザインは)従来のヒーローとは違った斬新なデザインにしようと随分と凝りました」「仕事のシステムが今(1985年)とは違い、他のスタッフと会うことも少なかった」とコメントしている。影夫・鈴子の「影よ…影よ、ゆけ!」の呼びかけにより分離して現れる、カゲスターとベルスターの2人は、影を自在に操り、カゲ車輪、カゲハンマー、影しばりなどの技で悪と戦うが、サタン帝国の構成員を除き、ほとんどの相手は殺さず警察に逮捕させている。マントを使った華麗なアクションも得意としており、マントの星はスターシュートという手裏剣のような武器にもなる。ほかにカゲロープやカゲホッパーなど多種多様な装備を持っている。カゲスターの主な必殺技はカゲキック、流星キック。カゲスターとベルスターが活動中は影夫、鈴子は生気を失ってしまうという設定。ただし全く身動きできなくなるわけではなく、フラフラではあるが歩行などはできる。第10話ではカゲスターが虚脱状態の影夫を見かけ、会話もしている。また分身であるはずだが、第24話や第28話では鈴子がサタン帝国に洗脳されるとベルスターも洗脳されている。カゲスターとベルスターは自らの意思を持つ影・カゲロベェを自由にあやつることができる。カゲロベェは言葉を話すことができ、カゲスターを「親分」、ベルスターを「姐御」と呼ぶ。また、頭の模様を外して投げると5体のカゲロベェが現れ敵を攻撃する五段分身という技が使える。専用バイクは、それぞれの専用銃・フラッシャーから出現するカゲローカーとベルカー。その他、カゲボーシーという飛行母艦をも持つ。第10話ではマントを敵に奪われたベルスターが力を発揮できないという描写があったが、第23話でカゲスターが、第25話ではベルスターが、それぞれマントを外したまま通常通り戦っている。また第27話ではカゲスターが、トンボギラーを追跡する際に空中を飛行した。括弧内は登場話数。悪人・サタン帝国関係のゲストは放送リストを参照。主題歌シングルは1976年4月25日発売(SCS-294)。挿入歌の初出は1976年8月25日発売の「テレビまんが人気者(アイドル)デラックス 5」(CW-7076)。全曲とも、作詞は八手三郎、作曲は渡辺岳夫、編曲は松山祐士による。参照DVD「ザ・カゲスター Vol.3」の映像特典や、2007年12月7日に発売された「東映特撮ヒーロー THE MOVIE BOX」及び2009年11月21日の「東映特撮ヒーロー THE MOVIE Vol.4」に収録されている。
出典:wikipedia
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