ウォー・シミュレーションゲームあるいはウォー・ゲームとは、戦争を題材としその戦闘を再現したシミュレーションゲーム。ボードゲーム、コンピューターゲームの形式をとるものが多い。戦略シミュレーションゲーム、戦争シミュレーションゲーム、軍事シミュレーションゲームなどの呼び方もある。英語では"Wargame"と呼ばれる。登場する部隊やキャラクターを駒に見立てて、将棋のように盤面の上で駒を動かし、目的を達成していくゲームのこと。そのため、敵味方双方のキャラクターの特性を知り、それを生かす作戦を練ることが重要となってくるが、「目的の達成」とは、必ずしも敵を倒すことばかりでなく、敵から逃げる、敵を倒さないようにある地点に到達するなど、様々である。シミュレーションゲームの典型例で、単に「シミュレーション」「シミュレーションゲーム」と言えばこのウォー・シミュレーションゲームを指すことも多い。ウォー・シミュレーションゲームで使用される盤面(マップ)は通常、均質なマス目(四角形の「スクエア」または六角形の「ヘクス」)で覆われているか、地理的に意味を持つエリアに分割されている。そして部隊駒をマス目やエリアの中に配置することで、部隊の移動や攻撃のための位置関係を表現する。ただしミニチュアゲームではヘクスやエリアがなく、マップ上を自由に移動できるのが原則である。実際のゲーム進行は、野球のイニングに似たターンと呼ばれる単位で行われ(ターン制ストラテジー、略称 TBS)、プレイヤーは「1ターンの間に手持ちの部隊駒すべてに移動、戦闘などの行動を行わせる」という行為を数十ターンにわたって繰り返す。中にはターン制ではなく実時間制(敵味方同時に駒を操作する)で進行するものもあり、それらはリアルタイムシミュレーションあるいはリアルタイムストラテジー(略称 RTS)と呼ばれる。通常、各ウォー・シミュレーションゲームには、マップスケール(地理的縮尺)とタイムスケール(時間的縮尺)が定められている。地理的縮尺は、1ヘクスが何メートル/何キロに相当するかで表される。時間的縮尺は、ターン制のゲームの場合、1ターンが何分/何時間/何日/何ヶ月に相当するのかで表され、リアルタイム制の場合は実時間に対してゲーム時間がどれくらいに相当するのかで表される。そして、地理的縮尺やシミュレートする戦闘の規模、性質によって、戦略(級)シミュレーションゲーム、作戦(級)シミュレーションゲーム、戦術(級)シミュレーションゲームの三種に分類される(詳細は後述)。1980年代までは紙のマップ上で紙の駒を動かすタイプがほとんどだったが、1990年代以降、家庭用TVゲーム機や個人用コンピュータが普及し始めると、コンピュータゲームソフト化され、ゲームソフトの一分野を確立するまでになった。ボード時代は基本的に対戦相手を必要とする社交性を帯びたものだったのに対し、コンピュータ化後は一人プレイ中心となったという意味では、コンピュータ化により、趣味としての性格が変化した例ともいえるが、近年ではネットワーク対戦機能も付加され、それまでは対戦できなかった遠くの相手ともゲームが可能になった。さらには既存のボードゲームをソフト上に再現し、情報をやり取りして通信対戦できるソフトも登場している。コンピュータ・ウォー・シミュレーションゲームの中には、シミュレーションロールプレイングゲームと呼ばれる、物語の要素が強いものもある。現代的なウォー・シミュレーションゲームの先祖にあたるものはボードゲーム等の伝統的な「戦場を模したゲーム」である。歴史上、ボードゲームの亜種となるルールは多数が作られてきたが、その流れの果てに、19世紀のプロイセンにおいて、戦場で兵を指揮する訓練として研究・教育手段となるクリークシュピールというものが生まれた。戦場を精巧に再現した箱庭の中で部隊の動きをシミュレートするそれは兵棋演習として後の世に根付くこととなる。また、欧米では19世紀以前から模型は一部の層の趣味として存在していた。やがて陳列するだけでは飽き足らなくなった模型ファンたちは、動力を付けて動かすようになり、鉄道模型を始めとする可動式模型を生んだが、軍隊模型ファンの中にはただ動かすのではなく、兵棋演習のようなことを「遊び」として行ってみようという流れが生まれ、ミニチュア・ウォーゲームと呼ばれる娯楽が誕生する。ただし、この当時のミニチュア・ウォーゲームはおもちゃの兵隊を使った戦争ごっこにルールを定めたような素朴なものにすぎなかった。第二次世界大戦後の1954年、アメリカのチャールズ・S・ロバーツ()が、ミニチュア・ウォーゲームや兵棋演習の戦略的な部分のみに着目して、マス目が印刷された紙製の地図と、厚紙で作られた駒を使う自作のボードゲーム『タクテクス』を自費出版で販売。このゲームは彼我の戦力比によって戦闘結果が多様に変化するという概念を初めてホビー用のゲームに持ち込んだんものでもあり、ウォー・シミュレーションゲームと呼ばれるジャンルの元祖ともされている。ロバーツは1958年にアバロンヒル社を設立し、紙製の地図と駒を使ったボードゲームとしてのウォー・シミュレーションゲームを多数開発していく。その後もSPI社、GDW社などが中心となって開発が進んだ結果、徐々にアメリカ人の間に普及してゆき、1970年代には数多くのファンを獲得するに至った。日本には1970年代後半に、主に「月刊ホビージャパン」誌上で紹介され、一部に熱狂的なファンを生み、やがてエポック、バンダイ等国産メーカーの参入もなされた。1980年代前半にはテレビニュースなどでも報じられるまでになった。当初は「ウォーゲーム」という名称が一般的だったが、やがて「シミュレーション」という名称で呼ばれることが多くなった。当時の日本では「ゲーム」といえば『人生ゲーム』、『億万長者ゲーム』など、余興、暇つぶし、子供の戯れというイメージが強く、大人が真剣に打ち込む趣味として認知されにくいと考えられたため、「ウォーゲーム」という名称は敬遠されたと言われている。また、これらボードゲームが普及する以前、70年代の前半では紙製のボードやユニットではなく、ミニスケール(陸戦ならHOスケール前後の)プラモデルとジオラマを利用したミニチュアウォーゲームのプレイも「月刊ホビージャパン」の記事では行われており、ウォーゲームと言った場合、このジオラマを利用したものを差す場合が多かったようである。これらはメタルフィギュアを利用したミニチュアウォーゲームの直系と言える。物差しや分度器を駆使しして、射界や射線、移動判定を行っていた。ただし、統一ルールは存在しないに近く、仲間内で独自に作成されたものが使用されることがほとんどであった。しかし、戦闘級であってもジオラマベースとしては大きなものが必要な事(当時はゲーム向きの極小スケールモデルが市販されていなかった)、プラモデルを使用する事(作成の手間や、せっかく作ったもので遊ぶ事への抵抗感。又、数が必要になる制作費の問題。保管場所に対する収納問題)などから間口が狭く、認知度はかなり低いままに姿を消した。1990年代以降、ボードゲームのウォー・シミュレーションゲームは下火になったが、それに代わってコンピューターゲームのウォー・シミュレーションゲームが台頭するようになった。今日ではシミュレーションといえば後者のことをさす場合が圧倒的に多い。ボード・ウォーゲームが確立してからは逆輸入の形で、ミニチュア・ウォーゲームにも本格的なゲーム性が導入されるようになり、ゲーム性の高いミニチュア・ウォーゲームが新しく作られるようになった。ミニチュア・ウォーゲームでは「一人の人間個人」を象った人形を使うことから、「兵士一人一人の能力を個性化する」ことに注目するルールが発展していった。また、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年)を元祖とするロールプレイングゲームの出発点は、ミニチュア・ウォーゲームと『指輪物語』などのファンタジー小説の世界観を組み合わせたものであった。上記で述べたボードゲーム形式、コンピューターゲーム形式の他に、カードゲーム形式をとったものも存在する。過去に行われた戦いを扱ったもの、現在行われている紛争を扱ったもの、小説、アニメ、漫画などに描かれた架空の戦いを扱ったもの、現代、近未来を舞台にした架空戦(例:米中戦争)、架空の過去を扱ったもの(例:第二次世界大戦で勝利した日本とドイツの戦い)など。ほとんどは戦争が絡むものだが、中にはゾンビで溢れているショッピングモールから散弾銃で身を守りつつ逃げ出すもの(SPI『ゾンビ!』)、どたばたラブコメを題材にし、ライバルを蹴落としながら町中を走り回って買い食いをするものなどもかつて存在した(ツクダホビー『うる星やつら「友引町買い食いウォーズ」』)。主に近代以降の戦争を扱ったものを例にして説明する。中世以前の戦いを扱ったものの場合は、部隊規模はもっと小さくなる。1ターンは数週間から数ヶ月、1ヘクスは数十から数百キロに相当し、一つの部隊駒は一個師団、一個軍団(数個師団)ないし一個軍(五〜十五個師団)程度を表す。プレイヤーは一方面軍の総司令官か一国の国軍総司令官(数十〜百個師団を統率)、ないし一国の元首の立場をプレイする。部隊が射程を持つことはない(となりのヘクスの敵しか攻撃できない。ただし大陸間弾道弾や中長距離ミサイルなどの戦略兵器が登場する場合、希に射程や影響範囲を持つ場合がある)。海軍や空軍は、部隊の移動、戦闘という形ではなく、ある海域/空域に対する制海権/制空権といった形で表現される場合もある。大抵は、資源を集め兵器を生産するといった生産システムが備わっている。ヘクス制のマップではなく、エリア制のマップを採用しているものも多い。1ターンは半日から一週間、1ヘクスは数キロから数十キロに相当し、一つの部隊駒は一個大隊、一個連隊ないし一個師団程度を表す。プレイヤーは軍団長(数個師団を統率)、軍司令官(五〜十五個師団を統率)ないし軍集団司令官(数十個師団を統率)の立場をプレイする。一般の部隊が射程を持つことはない(となりのヘクスにしか攻撃できない)が、砲兵は射程を持つ(2ヘクス以上離れたところを攻撃できる)ことがある。空軍は、比較的規模の大きい作戦級の場合は部隊駒として表され、移動、戦闘という形で数日間にわたる数次の出撃を抽象的に表現するものもあるが、小規模作戦級の場合は、航空支援ポイントなどの形に極めて抽象化されていることが多い。コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームの分野では、純粋な作戦級はほとんどなく、戦略級ゲームでありながら局地戦を再現する際に一時的に作戦級に切り替わるという形をとる。コーエーの信長の野望シリーズにおけるエリア内戦闘マップなどがその例である。実際の軍隊で使われる兵棋演習に一番近く、かつてのボード・ウォー・シミュレーションゲームはこの作戦級が定番だった。なお、1941年から1945年にわたる独ソ戦全体などを扱った、比較的規模の大きい作戦級を、「キャンペーン(戦役)級」などと称して区別する場合もある。また、地理的縮尺は作戦級と同程度ながら、時間的縮尺が1ターン=数時間程度の、空母同士の戦いを扱ったゲームは「空母戦作戦級」などと呼ばれる。他の作戦級に比べると、兵器の個性が出るためか、一般にも人気が高い。1ターンは数秒から数時間、1ヘクスは数メートルから数百メートルに相当し、一つの部隊駒は一個人、一兵器から一個中隊程度を表す。プレイヤーは小隊長(数十人を統率)から師団長(一万数千人を統率)の立場をプレイする。ほとんどの部隊が射程を持っている(何ヘクスも離れた敵を攻撃できる)。一駒=一兵器単位の戦術級ゲームの中には、兵器操縦シミュレータや、チェスや将棋などの伝統的なボードゲームに近い性格を持ったものもあり、この規模のゲームを特に「戦闘級」と呼称する事もある。ウォー・シミュレーションゲームで使用される盤面(マップ)にはさまざまなタイプがある。後に現れたコンピューター・ゲームの場合、初期にはマス目やエリアを使うものがほとんどだったが、処理能力の向上に伴ってミニチュアゲームのように自由に移動できる方式も増えている。特にリアルタイムストラテジーはほとんどがそうである。マップには地形が描かれていることが多く、部隊が移動、戦闘を行う際に影響を及ぼす。たとえば道路に沿って移動すると移動距離を通常より長くできる、山岳が描かれたヘクスに陣取る部隊は防御が有利になるなどの効果を持つ。戦術級においては、射程距離内の敵であっても地形によって射線が遮られ攻撃不可となるなどの効果もある。部隊駒のことを「ユニット」と呼ぶ。ユニットには攻撃力、防御力、移動力などの数値が定められている。ボード・ウォー・シミュレーションゲームの場合はそれらが紙の駒の上に印刷されている。コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームの場合は「情報を見る」などのコマンドでそれらの数値を参照することができる。戦術級ボード・ウォー・シミュレーションゲームのユニットには普通、数値以外に、他との識別のために兵器のグラフィックが描かれている。一方、近代以降を扱った作戦級、戦略級ではNATOで採用されている兵科記号が印刷されているのが一般的である。コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームにおいてはユニット自体が兵器の形のグラフィックで表されることが多い。空母戦作戦級などでは、敵の部隊の位置や内容がわからないようになっていて偵察行為によって探り出すことがプレイの重要な部分を占める。ボード・ウォー・シミュレーションゲームでは、印刷された数値が相手のプレイヤーに見えないように、本物のユニットの代わりに、ダミー駒をマップ上に配置するというシステムをとる。コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームでは、選択したシナリオ(後述)に応じて、敵味方の部隊駒が自動的にマップ上に配置されるが、ボードゲームではプレイヤーの手でシナリオに従い配置しなければならない。概要でも述べた通り、ウォー・シミュレーションゲームの進行は、野球の回に似たターンと呼ばれる単位で行われることが多い。1ターンの間に両陣営は、自分の指揮下にあるすべての部隊駒に移動、戦闘といった行動を行わせる。両軍のすべての部隊駒が行動を終えた時点で次のターンへ移行する。部隊のとる行動によって、1ターンを複数の「フェイズ」に分割する場合もある。例えば、「移動フェイズ」と「戦闘フェイズ」に分割されている場合、プレイヤーは移動フェイズ中にすべての自軍部隊に移動を行わせ、次に戦闘フェイズにおいてすべての自軍部隊に戦闘を行わせる、という手順となる。ボードタイプのウォー・シミュレーションゲームではフェイズ制をとる場合がほとんどであるのに対し、コンピューターのウォー・シミュレーションゲームではあまり用いられず、一部隊ごとに移動と戦闘を両方解決してしまうことが多い。多くのウォー・シミュレーションゲームでは、一方の陣営がすべての部隊に任意の順で行動を行わせた後、他方の陣営の行動に移るという手順を踏む。野球でいえば各回における「表」「裏」に相当する。この「表」「裏」の一つ一つをプレイヤーターンと呼ぶ。プレイヤーターン制を採用していない場合、各フェイズごとに先攻、後攻が決まるものもあれば、ランダムに、あるいは一定の条件に従って敵味方関係なく部隊の行動順が決まるものもある。移動は一般には強制されるものではなく、すべての部隊が行動してもよいし、一部の部隊のみが行動してもよい。全てのユニットに行動させずターンを終えてもよい。また大抵の場合、どの部隊から行動を行わせるかの決定権もプレイヤーにある(強制的に決まる場合もある)。逆に、行動可能な部隊数などが自動またはランダムで制限される場合もある。一般に戦闘は会戦級または戦術級に多い「射撃戦闘型」と、作戦級以上に多い「戦力比型(又は戦力差型)」に大別される。前者は射撃可能なユニットは全て攻撃できる「相互射撃」か「手番側のみの射撃(またはそのフェイズに指定された側のみの射撃)」に大別される。射撃を行うユニットの攻撃力合計でその戦闘における火力が決まり、その打撃を対象ユニットが受ける。後者では、戦闘に参加する双方の部隊が双方のその戦闘における参加戦力差または戦力比とダイス目を元に戦闘結果表(CRT)で結果を求めるやり方で、比較的手間がかからない。損害は両軍が受ける可能性もあり、どちらかのみが一方的な損害を受ける可能性もある。戦力比(戦力差)型においては、一般に隣接しているユニット同士が戦闘を行うが、「マストアタック」と「メイアタック」に大別される。「マストアタック」においては、敵ユニットに隣接しているなどの条件を満たすユニットは全て攻撃を行わなければならず、また味方ユニットに隣接している敵ユニットは全て攻撃されなければならない。そのため、攻撃を行うプレイヤーに条件が厳しい。「メイアタック」においては、戦闘を行うかどうかは一切の自由であり、攻撃を行わないユニット、攻撃を行われない敵ユニットが存在しても構わない。「選択式マストアタック」などと呼ばれる、攻撃を行うかは自由であるが、行う場合にはマストアタック同様の制限がかかる、などのシステムも少数ながら存在する。一般に射撃戦闘型と戦力比(戦力差)のどちらかを使用するが、両方を使用するものもある。例えば射撃戦を「射撃戦闘型」で行い白兵戦を「戦力差型」で行う、または砲兵射撃を「射撃戦型」で行ってそれ以外の攻撃を「戦力比型」で行う、などである。プレイヤーターン制、フェイズ制ボードゲームの例プレイヤーターン制、非フェイズ制コンピューターゲームの例非プレイヤーターン制、フェイズ制(フェイズ内先攻後攻制)ボードゲームの例非プレイヤーターン制、非フェイズ制コンピューターゲームの例また、戦術級ボードゲームではもっと複雑な手順をとることも多い。以下はその一例この他、敵味方が一部隊ずつ交互に行動させるという、将棋やチェスに似た手順をとるものもある。より実戦に近づけるため、両軍の進行を同時に行うリアルタイム制の導入は度々模索された。しかし、ボードゲームでは困難で、本格的に導入されたのはコンピューターゲーム化してからである。リアルタイム制と言っても完全に同時進行であることは少ない。ゲームにより呼称が異なるが、「作戦フェイズ」と呼ばれるフェイズでプレイヤーが各ユニットの行動を決定し、「行動フェイズ」と呼ばれるフェイズで移動、戦闘が行われる。プレーヤーは行動フェイズ中にも各ユニットへの行動修正命令を出せ、戦場での不確定要素に対応する。ユニットの移動と行動を、あらかじめ記録用紙に記入するリアルタイム制のバリエーション。その性質上、通常は敵味方の二勢力が基本で、ゲームに導入が難しい同盟軍や中立軍と言った第三以上の勢力を簡単に導入出来るメリットがある。記録用紙へ駒毎に記入の必要がある為、『ディプロマシー』等、移動ユニット数の少ないマルチプレイヤーズゲームに導入される場合が多いが、空戦、海戦、戦車戦等の戦闘級ゲームにも用いられている。ただし、プレイヤー個人が扱うユニット数が増えれば増えるだけ時間が掛かる負の側面があり、特に戦闘級で敵味方入り乱れての大会戦をプレイアブルに進めたい場合、多人数プレイでなければ難しくなってしまう。部隊はとなりのヘクス、エリアに進入する際に定められた移動力を消費してゆき、移動力がゼロになったらそのターンはそれ以上移動することができない。陸軍部隊の場合、進入するヘクス、エリアの地形によってはより多くの移動力を消費することになる。例えば、平地ヘクスに進入する際の消費移動力が1、山岳ヘクスに進入する際の消費移動力が3と定められているゲームにおいて、15の移動力を持つ部隊は、平地ヘクスだけを移動するなら15ヘクス移動できるが、途中で二回山岳ヘクスに進入してしまったら11ヘクスしか移動できないことになる。当然ではあるが、陸軍部隊は海上ヘクス/エリアには進入できず、海軍部隊は陸地ヘクス/エリアには進入できない。エリア制の場合、基本的に敵の部隊が存在するエリアへの進入が認められているが、ヘクス制の場合は通常、敵味方の陸軍部隊が同一ヘクスに存在することは許されない(空軍、海軍は許される)。移動力は一ターンごとに定められた一部隊固有の数値であり、次のターンに持ち越したり、他の部隊に譲ることはできない。但し、一部隊に与えられた移動力のうちいくつを消費するかはプレイヤーの任意である。上記の例でいうと、15の移動力を持つ部隊が平地を10ヘクス移動しただけで移動をやめてしまってもかまわない(しかし、残りの5移動力を次のターンに持ち越したり他の部隊に譲ることはできない)。ゲームの途中でマップ外から援軍が進入してくるものもある。将棋やチェスと違い、一つのヘクス/エリアに自軍部隊駒を複数配置することが許可されている場合が多い。一つのヘクス/エリアに複数の部隊駒を配置することをスタック、もしくはスタッキングと呼ぶ。また一つのヘクス/エリアに配置された部隊駒の「一かたまり」をもスタックと呼ぶことがある。ヘクス制をとるゲームにおいては、各部隊は配置されているヘクスに隣接する六ヘクスに対し、ZOC(Zone of Control:支配地域)と呼ばれる特殊な影響力を及ぼす範囲を持っている。普通、移動中の部隊は敵部隊のZOCに進入したら、まだすべての移動力を使いきっていなくても、それ以上移動できなくなる(「進入停止」と呼ぶ)。但し、移動開始時点にすでに敵のZOC内にある場合は、まずZOC外のヘクスに出るのであれば、以降は何の制限もなく移動を続けることができる(再びZOCに入ればそこでまた進入停止)。逆にいうと、移動開始時点に敵のZOC内にあり、かつ周囲を完全に敵のZOCで囲まれている部隊は、全く移動することができない(包囲されていることになる)。包囲されると援軍が送れない、不利でも撤退することができない、より多くの敵から攻撃を受けるなどの不利益を被るため、実際のプレイでは、部隊を1〜2ヘクスおきに配置した列(戦線)を作ることによって包囲を避ける戦術をとることが多い。進入停止制ではなく、通常より多くの移動力を消費することによってZOCを突破できるシステムを持つものもある。戦術級の場合は射程距離内の敵部隊を、砲兵やミサイルユニットのない作戦級と戦略級の場合はとなりのヘクスにいる部隊(ZOC内の部隊)を攻撃することができる。エリア制マップを採用しているゲームでは同じエリアにいる敵だけが攻撃対象である。基本的に敵部隊を攻撃するかしないかは任意だが、エリア制の場合は普通、敵部隊が同じエリアに存在する限り必ず敵を攻撃しなければならない。また、初期のボード・ウォー・シミュレーションゲームでは、ZOC内にいる敵はすべて攻撃しなければならないシステムを採用している。敵を必ず攻撃しなければならないシステムをマスト・アタックと呼び、攻撃相手を選択可能なのをメイ・アタックという。個々の戦闘は、戦術級においては、まず攻撃側部隊の攻撃の命中判定が行われ、命中した場合はその攻撃力から防御側に与えられるダメージが算出され、それが防御側の防御力によって減じられた後、防御側部隊に適用されるというシステムをとる。作戦級や戦略級においては、コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームでは同様のシステムをとるものが多いが、ボードゲームでは、味方の攻撃力と敵の防御力を「いくつ対いくつ」という比率の形にし、そこから戦闘結果を算出するシステムが一般的である(同規模の大軍同士が戦った場合、前者なら双方とも大ダメージを被るのに対し、後者なら小競り合いに終わるという点で違いがある。どちらのシステムが正しいかは、扱っている戦闘の性質により異なるため、一概には言えない)。戦闘結果は、コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームではダメージ値に応じて敵の兵士、兵器の数が減少してゆくという形で反映されるのが一般的である。一方ボードゲームでは、それに加え、敵部隊の退却と自軍部隊による相手陣地の占拠、および追撃が盛り込まれていることが多い。その他、兵士個人や一兵器=一駒タイプの戦闘級では、「主砲が破壊、攻撃不能」、「士気崩壊、混乱状態、行動不能」など、より細かい戦闘結果を設定している場合もある。作戦級、および、戦略級ボード・ウォー・シミュレーションゲームの中には、戦闘フェイズの後に機械化移動フェイズを設け、戦車部隊や自動車化歩兵部隊などの機械化部隊にだけもう一度移動する機会を与えているものもある。これにより、第二次世界大戦でドイツ軍が採用した電撃戦のように、機械化部隊による前線突破が再現できる。兵站とは、敵部隊やそのZOCで妨害されることなく自軍部隊から補給拠点(首都や港湾など)までたどってゆくことのできるヘクスの連続体である。補給拠点までたどることができない部隊は「非補給下」にあると見なされ、移動力や攻撃力や防御力が減少する。非補給下にあるかどうかは普通、プレイヤーターンの開始時に判定する。補給線。兵站システムは多くのボード・ウォー・シミュレーションゲームで採用されている。敵の攻撃により部隊内の兵士数や兵器数が減少した場合、補充することができるシステムを持つゲームも多い。補充は移動フェイズ中に行われるものもあれば、戦闘フェイズの後だったり、下記の生産システムと同一に扱われているものもある。戦略級ウォー・シミュレーションゲームは大抵の場合、生産ルールを備えている。占領下にある拠点から人員、資源などを集め、それに応じて部隊の動員、兵器の生産などを行うものである。移動、戦闘とは別に生産フェイズが設けられているゲームも多い。戦略級ウォー・シミュレーションゲームの中には、自軍占領地域に内政を施すことで生産力を上げたり、敵軍占領地域に外交を行うことで敵の生産力を下げたりすることができるものがある。特に戦略級コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームでは、部隊の移動、戦闘よりも、生産、外交、内政のほうがゲームの主眼となっていることも多い。コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームでは勝利条件を満たせばプレイ終了となることが多い。ボードゲームでは普通、規定のターン数プレイしたら、そこでプレイは終了となり、定められた勝利条件に従って勝敗を判定する。ある条件を満たしてしまったら規定のターン数に達していなくても終了となる(サドンデス方式)場合もあるし、コンピューターゲームのように勝利するまで続ける場合もある。概要でも述べた通り、勝利条件はさまざまであり、かつ(特に歴史上の戦いを扱ったボードゲームの場合は)それぞれの陣営について別の条件が定められているのが普通である。これは、歴史上の戦いでは双方が互角の兵力を有することはほとんどなく、大抵は、防御している陣営に対し別の陣営が大軍で攻撃をかけるというシチュエーションになっているからである。そのため、守勢側の陣営はある拠点を守りきれば勝利、攻勢側の陣営はある拠点を占領すれば勝利、などとなっているものが多い。一つのゲームパッケージに入っているマップと部隊駒を使い回すことで、同じ地域で行われた複数の戦闘を再現できることもある。例えば、戦国時代の関東・甲信越地方を描いたマップと1560〜70年頃の武田軍部隊駒と上杉軍部隊駒と北条軍部隊駒があれば、1561年の第四回川中島の戦いを再現することもできるし、1569年の三増峠の戦いを再現することもできる。このように、一つのゲームパッケージで複数の状況設定をプレイすることができる場合、個々の状況設定を「シナリオ」と呼ぶ。戦術級ボードゲームでは、マップは特定の場所を描いたものではなく、典型的な地形が描かれたものであり、また海軍や空軍の戦いを扱った戦術級であれば最初から地形が描かれていないため、それらのマップと登場部隊駒の組み合わせより数多くのシナリオが設定されている。戦略級のボード・ウォー・シミュレーションゲームの中には、三人以上のプレイヤーがそれぞれ自分の陣営を率いてプレイすることを前提としたものもある。このようなゲームにおいては「ゲームシステム上の外交」ではなく、実際に他のプレイヤーと交渉したり、取引したり、場合によっては傘下に入ったりすることが認められている。ボード・ウォー・シミュレーションゲームの中には、一人プレイ専用のものもある。このようなゲームは、一般的に「ソリティア」もしくは「ソロプレイ専用ゲーム」と言われる。ソリティアゲームでは、ゲーム上の勢力の一部をプレイヤーが担当し、残りの勢力をゲームのシステムが制御する。具体的には、敵側の行動の番に、プレイヤーがルールにしたがって敵方のユニットを動かしたり、判定のためにダイスを振ったりする。敵側の行動がカードなどによって規定されており、これをランダムに引いて指示に従うという手法もある。多くの場合、敵側の行動についてはルールで全て決められているため、プレイヤーの意志は関与できない。よく似たものにソロプレイがある。これは、通常二人以上のプレイヤーで対戦するゲームを、一人で全プレイヤーを受け持ってプレイすることである。これはボード・ウォー・シミュレーションゲームのユーザーの間では、作戦研究のためなどに広く行われている。ただしソロプレイは、ゲーム情報の一部を相手に隠匿するタイプのゲーム(手札を使うなど)ではできない。ソリティアゲームとソロプレイには、上記の違いがあるため、一人プレイ専用ゲームのことを「ソロプレイ専用ゲーム」と称すると誤解される可能性もあり、近年では「ソリティア」の呼称が一般的になりつつある。機動戦士ガンダムなどのアニメを題材にしたウォー・シミュレーションゲームや、戦国時代を題材にした戦略級ウォー・シミュレーションゲームでは、キャラクター(一個人)が登場し、部隊の指揮官として戦局に大きな影響を与えるシステムを採用しているものが多い。例えば前者なら「アムロ」「シャア」など、後者なら「織田信長」「山本勘助」などである。ボードゲームでは普通、キャラクターが一つの駒になっている。戦略級コンピューター・ウォー・シミュレーションゲームにおいては、人材の発掘、敵の武将の調略などもプレイの重要な要素である。一般的に、ウォー・シミュレーションゲームは地理的縮尺に応じて戦略級、作戦級、戦術級に分類されるが、実際にはメインとなるのが陸戦なのか、海戦なのか、空戦なのかによって、さらに細分される。陸軍は週単位で、海軍は日単位で、空軍は時間単位で行動するため、別の時間的縮尺の中で扱う必要があるからである。一畳ほどの大きさに日本本土の地図を描き、それを用いて作戦級ウォー・シミュレーションゲームを作ると仮定した場合、行動速度の違いを考えれば、空戦ゲームなら1ターンは1時間程度、海戦ゲームなら6時間程度、陸戦ゲームなら3日程度とならざるを得ない(空戦作戦級で1ターンを数日にしてしまうと、航空基地からの複数回の出撃を一括して解決するなど抽象化する必要が出てくる。また陸戦作戦級で1ターンを数時間にしてしまうと、地図上に1ヘクス分の戦況の変化が現れるまでに何十ターンもかかるため、退屈なゲームになってしまう)。陸海空の三軍すべてが登場するゲームの場合、陸戦をメインにして海空軍を抽象化することが多い。すなわち、ある海域/空域に対する複数回の出撃、哨戒活動などをゲーム上では一回の「基地からの出撃&戦闘&帰還」で表現する、といった手法をとる。太平洋戦争戦略級ゲームなどの海空軍が主役であるゲームでも、同様の手法をとるものが多いが、中には1ターン=1週間の陸軍ターンの間に1ターン=半日の海空軍ターンを14回挿入して時間的縮尺の調整を図っているものもある。実際に起きた戦いを扱うウォー・シミュレーションゲームを、特に1980年代に流行した(一般的なブームとはいかないまでも、一定の隆盛を見せた)ボードゲームタイプのものを中心に俗に「ヒストリカル・ウォー・ゲーム」と呼ぶ。これは、より新しい語である「歴史シミュレーションゲーム」とは異なるものである(但し、一部メーカーにおいてシリーズ呼称として『歴史シミュレーションゲーム』としていたものは存在する)。この種のゲームではそのテーマとする戦いを再現するために、その戦いの戦局を決定付けた事象をルール化していたり、ゲームの流れの中で史実と近似した結果が出る様にデザインされていることが多い。例を挙げるとミッドウェー海戦を扱うゲームでは空母艦載機の搭載兵器交換に関するルールや空母被弾時に甲板上の待機艦載機や弾薬の誘爆に関するルールがあるとか、太平洋戦争を扱うゲームなら戦争が長期化すると物量に勝る連合軍が圧倒的に有利になるデザインになっている、などである。こうした再現性を「シミュレーション性」と呼び、ヒストリカル・ウォー・ゲームの評価で特に重視されるポイントである。ただ、シミュレーション性の高いゲームは、殊にその扱うテーマとなる戦いに有利・不利の関係があった場合、当然ながら往々にしてゲーム上にもその有利・不利の関係が再現される。しかしそれではゲーム性を大きく損なってしまうと考えられる場合、状況的には史実を再現しても別の形で勝敗が判定されるルールになっていたりする(プレイヤーに対して史実であることを敢えて了解させ、ゲーム性の維持に特に何の注意を払わないタイトルも一部には存在する)。例えば太平洋戦争を扱うゲームで、各戦略拠点の占領や敵主力艦船撃沈によって「勝利ポイント」を獲得し、ゲーム終了時に両者の勝利ポイントを比較することによって勝者を決定する、などである。一方で、シミュレーション性の高いヒストリカル・ウォー・ゲームはルールが難解かつ複雑になりがちで、プレイに手間がかかる・終了までに膨大な時間を要する、などの理由から初心者などには向かず、このため再現性を多少抑えても理解し易いルール、プレイしやすいゲーム性を確保することもある。これを「プレイアビリティ」と呼び、この種のゲームにおいて「シミュレーション性」と相反しながらも双璧を為す評価ポイントと見られる。ヒストリカル・ウォー・ゲーム開発においては、この「シミュレーション性」と「プレイアビリティ」のバランスをいかに取るかが大きく問われる。1980年代アメリカでこの種のゲームを二分したメーカーはそれぞれ、SPI社はシミュレーション性重視、アバロンヒル社(AH)はプレイアビリティ重視、と特色を持っていた。日本においてはホビージャパン・ツクダホビーなどがシミュレーション性を重視、バンダイ・エポック社などがプレイアビリティ重視の傾向にあった。特にバンダイの製品、およびエポック社が展開していた玩具性の高いシリーズ製品(紙媒体ではなく金属製マップとマグネット仕掛けの駒を使い、サイコロではなく戦闘判定を電子機器によって行っていた)などは、マップの縮尺に対して軍隊の移動速度や射程距離を正しく定めるという、シミュレーションの基本原則さえ無視したものがほとんどだった。東京から九州まで魚雷が届いてしまうようなゲームもあった。(ただし,ゲームとしての完成度は高いものもあった)なおツクダホビーが得意としていたものに、「機動戦士ガンダム」などのアニメ作品をシミュレーションゲームとしたシリーズがあったが、劇中に多く描かれる「ガンダムが弾切れとなった銃火器を放棄して敵に近接戦闘を挑む」というシーンが再現出来ない(近接する前に敵の銃弾を浴びてガンダムが破壊されてしまう)との指摘に対し、同社開発者は「実際の戦闘において銃器を射撃して来る相手に突進して被弾しないということは、いかにニュータイプという概念を盛り込むとしても考えにくい」と回答をしていた。シミュレーション性を重視していた同社ならではのスタンスであった。また、伝説巨神イデオンのシミュレーションゲームに至っては、最終シナリオでは地球・バッフクラン連合軍側に勝利条件は存在しない。イデオン1機に対して盤面を埋め尽くしたユニットが1回の攻撃で100個単位で損失していく中、たとえイデオンを破壊した(それさえ極めて困難であるが)としても、その時点でイデが発動し全ては因果地平へと飛ばされてしまうため、勝敗は無意味となってゲーム終了である。 2015年末時点で、日本でウォー・シミュレーションゲームまたはその専門誌を発行する出版社は以下のとおり。海外については参照。<数字・アルファベット><あ行><か行><さ行><た行><な行><は行><ま行><や行><ら行><数字・アルファベット>に採用されている。<あ行><か行><さ行> 関ヶ原…戦国時代 陸戦 - エポック社/サンセットゲームズ一連の戦国作戦級をすべて繋ぐことで、関ヶ原の戦いを全国規模で扱う巨大作戦級にする。<た行><な行><ま行><や行><ら行><数字・アルファベット><あ行><か行><さ行><た行><な行><は行><ま行><や行><ら行><わ行>
出典:wikipedia
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