奈良線(ならせん)は、大阪府東大阪市の布施駅と奈良県奈良市の近鉄奈良駅とを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線である。一般的には難波線と大阪線大阪上本町駅 - 布施駅間を含めた大阪難波駅から近鉄奈良駅を結ぶ運転系統の呼称として使われている。以下、特記のない限り運転系統としての奈良線(大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間)について記述する。駅ナンバリング等で使われる路線記号はA。色は赤であり、2015年9月から順次案内などに導入された。1914年に開業した近鉄の直系母体である大阪電気軌道の創業路線である。生駒山地を新生駒トンネル (3,494m) で貫き、大阪市と奈良市を最短ルートで結んでいる。開業以来、大阪上本町駅(旧上本町駅)を始発駅としてきたが、難波線が1970年に開業してからは、奈良線の実質的な起点は大阪難波駅(旧近鉄難波駅)に移った。大阪線の大阪上本町駅 - 布施駅間は方向別複々線となっており、奈良線・大阪線の列車が並走する。阪神電気鉄道の西大阪線が大阪難波駅まで延伸され、阪神なんば線として開業した2009年3月20日から、大阪難波駅を介して神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で相互直通運転を行っており、両駅間を最短70分台で結んでいる。1977年に大阪難波駅から八戸ノ里駅東方の府道大阪中央環状線付近までの立体交差化が完成しているが、2003年から八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間の連続立体交差事業が着手され、2010年5月30日に下り線が完成し、2014年9月21日に上り線も完成した。これにより新たに若江岩田駅・河内花園駅・東花園駅が高架駅となった。また、国土交通省による平城宮跡の整備事業計画には宮内を横断している奈良県道104号谷田奈良線および近鉄奈良線の移設が盛り込まれており、将来的には大和西大寺駅周辺を含め、地下化もしくは移設される可能性がある。全線で、スルッとKANSAI対応カードおよびPiTaPa・ICOCA・SuicaなどのICカードが全国相互利用サービスにより利用可能である。またJスルーカードが各駅の自動券売機で乗車券に引き換えることで利用できる。2016年3月27日から車掌のタブレット操作による車内自動放送が始まった。路線名称上の奈良線全線が大阪統括部の管轄である。旅客案内および運転系統上の奈良線は、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間32.8km、24駅(起終点駅含む)である。難波線・大阪線区間も含めて全長30km少しという近鉄の幹線の中では短い方の路線にあたるが、車窓はバラエティに富んでいる。本節では大阪難波駅から奈良方面に向かって記述する。大阪難波駅を発車すると千日前通(大阪府道702号大阪枚岡奈良線)の地下を東へ走り、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅を地下で進み、その後一気に高架に上がり、大阪環状線のガードを潜ると鶴橋駅に着く。鶴橋駅周辺は焼肉店やコリアタウンなどが立ち並ぶ繁華街となっており、昼や夜ともなれば電車の中にまで焼肉の香ばしい香りがたち込める。なお、この駅の焼肉の香りは環境省選定のかおり風景100選にも選ばれている。その後は住宅・工場・ビル群が混在する地域を高架で進むと3面4線を有する今里駅。国道479号(大阪内環状線)を跨ぎ、高度を上げて進むと奈良線の起点である布施駅で大阪線と別れる。そして次第に辺りは東大阪市の古くからの住宅や工場が多くなってくる。おおさか東線との乗換駅の河内永和駅、ハウス食品の本社所在地で準急停車駅の河内小阪駅、2面4線を有する八戸ノ里駅と進み、大阪中央環状線の中央を高架で走る近畿自動車道の下をくぐると左手にニトリモール東大阪が見える。この場所は近鉄の玉川工場の跡地で、近鉄ハーツが2010年3月まで営業していた。この辺りからは次第に進行方向に生駒山が迫ってくる。若江岩田駅・河内花園駅を過ぎ、ラグビーの聖地である東大阪市花園ラグビー場の最寄駅で準急停車駅の東花園駅を通り過ぎると高架区間が終了し、恩智川と国道170号(大阪外環状線)を渡り、2面4線で中央に通過線を持つ新幹線型の待避駅である瓢箪山駅。瓢箪山を出ると、いよいよ30‰超の連続急勾配が続く生駒山越えの区間に入る。列車は左に大きくカーブし枚岡駅・額田駅を通り過ぎると今度は右にカーブする。両駅間の勾配は35.7‰で、普通鉄道構造規則(2002年廃止)第十七条の2が定める上限35‰を超えていた。なお、この間にも列車は大きく標高を上げていっており、その間左手には大阪のオフィス街や阪神高速13号東大阪線、けいはんな線を見下ろすことができ、遠くには大阪市内の高層ビル群や淡路島も望める日がある。この区間は全国でも珍しく列車から夜景を見下ろすことができ、その美しさゆえ夜景の専門サイトでも紹介されている程である。この区間は阪奈道路や、日本の道100選である暗越奈良街道(くらがりとうげならかいどう、国道308号)など鉄道・道路問わず急勾配路線が多いことでも知られている。逆にあまり知られていないが、この辺りは昭和初期に開発された当時の新興住宅地であるので、阪神間同様歴史のある高級住宅地となっている。石切神社への参道が続く石切駅を過ぎるとすぐに新生駒トンネルに入り、3分ほどひた走って抜けると、奈良県生駒市に入り3面6線の生駒駅である。この駅ではけいはんな線や生駒線の電車と顔を合わせる。駅南西側からは生駒鋼索線も発着している。この先の東生駒駅で国道168号を渡り、けいはんな線が右手にわかれると新向谷トンネルを抜けて新興住宅街の中を進む。奈良市に入ると富雄川と奈良県道7号枚方大和郡山線を渡り、近畿大学(農学部)の最寄り駅である富雄駅を出てから高級邸宅街に差し掛かると学園前駅である。駅前には駅名・地域名の由来となった帝塚山学園がある。朝や夕方、晩は帝塚山学園を含めた付近の学校に通う通学客や一般の通勤客でホームが溢れかえる。そして、菖蒲池駅前の近鉄あやめ池遊園地の跡地を左手に眺め、少し行くと左から京都線が合流し、大和西大寺駅に到着する。大和西大寺駅は京都線と橿原線の列車が交錯するジャンクションで、橿原線沿いに西大寺検車区がある。ホームは3面5線の構造で、4番線と5番線はホームに挟まれており、橿原線から大阪難波方面への連絡がホーム上でできるようになっている。近鉄奈良方には引き上げ線がある。駅周辺は近鉄百貨店やショッピングセンターなどの商業施設が立ち並ぶ。大和西大寺駅を出るとすぐに平城宮跡に入り、右手には朱雀門、左手奥には復原された大極殿があり、正面には若草山と東大寺を眺めることができる。国道24号奈良バイパスをくぐると、奈良市役所をはじめとするオフィス街などが立ち並ぶ新大宮駅で、新大宮駅を出るとすぐに、国道369号の地下区間に入り、4面4線の近鉄奈良駅に到着する。近鉄奈良駅はJR奈良駅に並ぶ奈良市の一大ターミナル駅であり、ここから奈良交通バスが多数発着している。奈良県庁にも近く、また駅から東には東大寺大仏殿や春日大社がある奈良公園がある。奈良県では2010年が平城京に遷都されてから1300年目にあたり、これを記念した平城遷都1300年祭のメイン会場として平城京跡が選ばれたが、平城宮跡は奈良線が横断しており、利便性向上のために会場中心付近に歩行者専用の踏切が新設された。原則として踏切の新設は認められておらず、例外として踏切が新設された。近鉄の踏切名は「駅名+踏切の数を示す番号+道」であるが、この踏切は「朱雀門踏切道」の名称が付けられている。当初、平城京跡会場でのイベント開催中のみ設置される予定であったが、引き続き存続することが決まった。特急列車・快速急行・急行・準急・区間準急・普通が運転されている。布施駅を始発・終着駅とする列車はなく、同駅を経由するすべての列車が同駅から大阪線・難波線に直通し大阪難波方面に発着する。特急および急行以外は、さらに大阪難波駅から阪神なんば線に直通し尼崎駅まで、快速急行はさらに阪神本線の神戸三宮駅まで乗り入れる列車もある。大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間には京都線の列車のほか、京都線を介して直通運転する京都市営地下鉄烏丸線の車両も乗り入れる。1980年3月に関西私鉄では初めて10両編成で運転を開始した路線で、朝夕ラッシュ時に8、10両編成が多数運転される。土休日ダイヤにも10両編成列車が設定されている。昼間時間帯も快速急行・急行で8両編成での運用がある。ただし日中や夜間の上りは6両編成での運転も多く、曜日や時間帯により輸送力の落差が激しい。沿線地域の特性上、平日は奈良県内から大阪へ勤める通勤客、大阪や反対に奈良方面へ通う学生が、土曜・休日は奈良や反対に大阪方面へ向かう行楽客が多い。日中に走る急行は平日よりも土・休日の方が増結運転が行われるため編成が長くなっているのも特徴である。平日は6両編成であるが、休日は8両編成で運転される運用がある。梅田への利便性や所要時間などで阪奈間輸送のライバルであるJR西日本の大和路線が優位に立っている一面もあるが、途中は同線とほとんど並行しておらず、また沿線人口・運転本数も近鉄奈良線の方が圧倒的に多く、さらに奈良市内においては駅の立地も近鉄優位のため、大和路線が近鉄奈良線を脅かすまでには至っていない。だが、奈良 - 梅田間のほか、王寺駅で大和路線と接続する近鉄生駒線沿線や八尾・柏原といった近鉄大阪線沿線では、大和路線などへの旅客の転移が見られる。JR西日本とは競合していると言うよりは、鶴橋駅をはじめ乗換駅で相互に協力していると言える。以下に種別ごとの詳細を示す。尼崎・三宮方面と相互直通運転を行う阪神なんば線とダイヤがほぼ一体化しているために阪神線との直通運転に関してもここで記述する。ただし特急については「近鉄特急」の項を参照のこと。現行の停車駅は「#駅一覧」を参照のこと。1972年11月のダイヤ変更で、それまで走っていた奈良線無料特急の停車駅に生駒駅と学園前駅を追加する形で設定され、無料特急は廃止された。ただし、1976年まで朝ラッシュ時の難波行きは、学園前駅・生駒駅は通過し、特急よりも少ない停車駅であった。奈良線の主力速達種別で終日運転されている。一部の駅にあるLED発車標では「快急」と略して表示している。大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が主体だったが、阪神なんば線の開業後は尼崎駅・神戸三宮駅までの直通が主体となり、日中はほぼ全列車が神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で1時間あたり3本運転されている。時間帯によっては大阪難波駅で折り返す列車も存在する。また朝ラッシュ時の上り列車では大和西大寺発の列車も設定されている。また2016年3月19日のダイヤ変更より大和西大寺着の列車が平日に1本のみ設定された。2010年3月19日のダイヤ変更から、近畿大学附属小学校・幼稚園に通う児童のために平日下り1本が菖蒲池に臨時停車している(ただし休校日は通過する)。2004年6月以前は、菖蒲池駅前にあった近鉄あやめ池遊園地への行楽客への利便を図って、土休日には菖蒲池駅に快速急行・急行が臨時停車していた。近鉄線内の停車駅は、特急の停車駅に近鉄日本橋駅(ただし前身の奈良線の無料特急は停車していた)と新大宮駅(2000年より)が追加されたのみで、大阪上本町駅 - 大和西大寺駅間では特急と同等の停車駅で運転されることになる。朝夕の時間帯には特急と平行するダイヤで運転される列車があり、このうち下りの神戸三宮・尼崎発の一部には大阪難波駅で大阪難波発の特急と接続し特急を先行させる列車や、大和西大寺駅で近鉄京都発の近鉄奈良行き特急の待避を行う列車もある。阪神線内は、曜日および時間帯により停車駅が異なっている。編成両数は近鉄奈良駅 - 尼崎駅間で最大10両編成、尼崎駅 - 神戸三宮駅間では6両編成で運転されている。平日の日中は6両編成、ラッシュ時は10両編成(深夜に一部8両あり)である。平日上りの午前9時30分までに大阪難波駅に到着するすべての快速急行は最後尾(前から10両目)が大阪難波駅まで女性専用車両となっている。土休日は阪神なんば線開業前はすべて8両編成(土曜の朝の一部10両編成)であったが、現在は日中を中心に6両編成で運転される列車がある。一方、午前中や夕方以降は8・10両編成で運転され、土休日ダイヤで10両編成が増えている。基本的には乗り入れ先の阪神車や近鉄の阪神乗り入れ対応車が使われるが、大阪難波駅発着の列車については乗り入れ非対応車も運用に就くことがある。なお、一部の10両編成の列車は大和西大寺駅にて増解結を行う列車があるほか、神戸三宮駅発着の8・10両編成の列車については尼崎駅と大和西大寺駅の2駅で増解結する列車もある。現在の最短所要時間は、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間が35分、近鉄奈良駅 - 神戸三宮駅間が76分である。なお、ダイヤ変更後も、最大5分程度の遅延が発生しやすい。特に雨天での遅れが発生しやすい。2012年3月19日以前には、平日の日中には阪神なんば線内で各駅停車となっていたが、翌20日のダイヤ変更以降はすべての快速急行が尼崎駅 - 西九条駅間でノンストップとなったほか、土休日の朝には阪神神戸高速線内の新開地発となる快速急行が設定された。なお、快速急行の前身の無料特急は、上本町駅 - 布施駅間複々線化工事完成に伴う1956年12月のダイヤ変更で運転を開始したが、難波線開通前の停車駅は鶴橋・大和西大寺の2駅だけだった。布施駅3層化改造工事完成に伴う1978年3月のダイヤ変更で設定。日中以降に設定されており、全列車大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で運転されている。日中は快速急行と交互の運用であり、1時間あたり3本運転されている。原則として快速急行に抜かれることがないため、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で先着する。ただし、一部の列車は布施駅で特急に追い抜かれる。また石切駅では大和西大寺駅発着の各駅停車もしくは準急と緩急接続を行う。2004年3月のダイヤ変更までは日中のみの設定であったが、以後は利用客の減少などによる減便で夕ラッシュ以降にも快速急行の運行本数の半数を置き換え、準急と統合する形で設定が追加された。編成両数は平日の日中は6両編成、平日の夕方以降は8両編成(上りの一部6両あり)。土休日は終日8両編成で運行されている。阪神なんば線開通後も8両での運転が継続されていて、運用上の大きな変化はない。急行の10両運転がないのは布施駅の信号機の都合と石切駅のホーム有効長が8両分しかないためで、平日夕方下りの混雑が目立つ。また、天理教祭典時(おおむね毎月26日やその前後と1月4 - 6日)には大阪難波駅 - 天理線天理駅間の急行が運転されている。長年、天理行きは途中の布施駅で後続の快速急行を待避し、難波行きは奈良駅発の定期急行の続行で運行されるというダイヤパターンが多い。2011年4月18日には初めて三宮発天理行き臨時列車(阪神線内は快速急行で、大阪難波駅から急行)が運行され、2012年1月26日にも運行された後、同年3月26日以降も平日の祭典日に運行している。なお現在の急行は2代目で、初代の急行は1946年3月15日のダイヤ変更で設定され、1976年の白紙ダイヤ変更まで運転されていた。初代急行の停車駅は鶴橋駅 - 石切駅間ノンストップで、これ以外の区間は各駅に停車していた。当時東花園駅を通過していた準急とは布施駅(当時は奈良線・大阪線ともに準急・普通しか停車しなかった)と河内小阪駅を通過するだけの違いで、現在の急行よりもむしろ準急に近い停車駅パターンであったと言える。しかし、1973年のダイヤ変更で前述の学園前・生駒通過の快速急行を補完する形で平日朝の難波行きのみの設定となり、1976年のダイヤ変更で準急と統合された。奈良線の料金不要種別では唯一、定期列車で阪神なんば線への直通は設定されていない。ただし、阪神車両との走行距離調整のため一部は阪神車両で運転されている。なお、阪神車両に掲示されている停車駅案内には当初、近鉄奈良線急行の停車駅表示がなかったが、2012年3月20日のダイヤ変更での更新を機に表示されている。近鉄車両での英字表示は「EXP.」で、阪神車両での英字表示は「EXPRESS(車内案内表示機ではExpress)」である。京都線(地下鉄烏丸線直通を含む)からは、近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅間に6両編成で乗り入れている。大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転している。また2009年3月20日の阪神なんば線の開業後は一部列車が尼崎駅まで直通する。大阪近郊の中距離速達種別という位置づけで、編成両数は6両編成が基本でラッシュ時を中心に一部の列車は8両編成、阪神なんば線直通列車は6両編成。ほとんどの列車が石切駅・布施駅(一部は東花園駅)で快速急行を、夕方以降の一部列車には石切駅で特急・急行を待避する。早朝・深夜帯や夜間の大阪難波行きを中心に全区間先着となるものも存在する。一方奈良県内・阪神なんば線での各駅停車としての役割を担う。かつては大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が大半で大和西大寺駅発着のものは1日数本走る程度だったが、2000年3月15日のダイヤ変更で新大宮駅の快速急行停車により大半が大和西大寺駅発着に変更された。これにより準急停車駅である東生駒駅・富雄駅・菖蒲池駅から新大宮駅・近鉄奈良駅間のアクセスがやや不便になっている。近鉄京都線から奈良駅への乗り入れ強化を優先したためである。2006年3月21日実施のダイヤ変更では、従来ラグビー開催日に一部列車が臨時停車していた東花園駅に終日停車となった。それと同時に、日中の列車が区間準急に立て替えられた。東花園駅に停車開始後は、準急は東大阪市内における速達種別、石切以東での普通の補完という役割が以前にも増して強くなっているほか、難波方面と瓢箪山駅・枚岡駅・額田駅間、奈良方面と河内花園駅・若江岩田駅・八戸ノ里駅間のアクセスが大きく向上する結果となった。なお、1972年までは天理線天理駅まで直通する準急が定期列車として運行されていた。2016年3月19日実施のダイヤ変更では、平日の朝から夕方まで、阪神尼崎駅に乗り入れず、大阪難波駅折り返し運転をしており、その時間帯は、尼崎駅に乗り入れる列車は普通と快速急行だけになる。2006年3月21日のダイヤ変更で新たに追加された列車種別で、日中と夜間のみに運転される種別。大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部奈良駅発着も設定される。この種別の登場により日中の東生駒駅折り返しの普通の運転区間が短縮されて東花園駅折り返しとなり、東花園駅 - 東生駒駅間の列車本数は1時間あたり3本に実質減便されることとなった(大和西大寺駅発着の普通はそのまま残っており、また運用の都合で日中にも一部ではあるが近鉄奈良駅発着もある)。また阪神なんば線の開業後は一部列車(2012年3月20日改正以降は日中のほとんどの列車)が尼崎駅まで直通し、6両編成で運転されている。6両編成より8両編成での運転が適している朝ラッシュ時や夕方以降(深夜をのぞく)は従来どおり準急を運転している。平日の日中は、下りは基本的に石切駅で奈良行き急行と連絡し(一部は快速急行の通過待ち)、上りは基本的に石切駅で快速急行を待避する。土休日の日中は、下りは基本的に瓢箪山駅で快速急行を待避し(一部は石切駅で奈良行き急行と連絡)、上りは基本的に石切駅で大阪難波行きの急行と連絡し布施駅でさらに神戸三宮行き快速急行を待避する。ただし、一部の列車は、布施駅・東花園駅・瓢箪山駅で待避するものもある。また、平日・土休日ともに上りはすべての列車が東花園駅で普通と緩急接続を行う。土休日日中は大阪難波行き急行が東花園発の尼崎行き普通を追い抜かないため、この時間帯での近鉄奈良線奈良県内各駅から阪神なんば線千鳥橋駅 - 大物駅間へは区間準急が最速達列車ということになる(神戸三宮行き快速急行利用の場合には鶴橋駅 - 西九条駅間のいずれかで尼崎行き区間準急に乗り換え)。なお、1992年まで日中に運転されていた当時の普通の半数は瓢箪山駅で折り返し運転しており、当時のダイヤは枚岡駅・額田駅では1時間あたり3本しか乗車機会がなかった。これは、当時の両駅のホーム有効長が4両分しかなく、6両編成の普通が瓢箪山駅までしか乗り入れられなかったからで、当時は両駅に停車する列車は東花園駅で増解結を行っていた。枚岡駅・額田駅のホーム6両化延長工事の完成と同時に、これらの駅の利便性向上のために東生駒駅まで延長運転とされたものを、区間準急に置き換えることにより、各駅の停車列車本数を維持したまま運転本数を当時の水準に戻したものと言えるが、ダイヤ設定など中身は同じとは言えない。2007年3月のダイヤ変更では新たに夜間(主に22時以降)、午前8時台や夕方16時台の準急数本が区間準急に置き換えられた。2012年3月20日のダイヤ変更以前は平日の日中、大阪難波駅折り返しで運行されていたが、前述のように快速急行が平日日中も阪神なんば線内で通過運転を行うことになったことに伴い、千鳥橋・伝法・福・出来島・大物の各駅におけるその代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更された。なお、2012年3月20日のダイヤ変更では大阪線にも区間準急が新設されている。2016年3月19日のダイヤ変更では準急と同じく、平日日中の上り列車が阪神尼崎駅に乗り入れず、大阪難波駅で折り返し運転をしている。近鉄の駅設置の時刻表では、南大阪線の区間急行やかつて大阪線で運行されていた区間快速急行と急行・快速急行を区別するのと同様に、時刻の数字が斜字で表記され、区間準急は区間急行と同様に時刻の上に「(区)」マークをつけて表記されている。ただし、駅配布の紙製の時刻表では区間準急をオリーブ色で表記して区別している。スタフは紫色が使用されている。英文表記は Suburban Semi-Express であり、車両の英字表示は阪神車両を含めて「SUB.SEMI-EXP」である。大阪難波駅 - 東花園駅・東生駒駅・大和西大寺駅間の運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転している。また阪神なんば線の開業後は一部列車(日中は約半数の列車)が尼崎駅まで直通する。日中は近鉄側では東花園駅折り返しと大和西大寺駅(一部列車は近鉄奈良駅)折り返しの系統が交互に1時間あたりそれぞれ3本運転されており、大阪難波駅 - 東花園駅間では6本運転されている。ラッシュ時間帯には東生駒駅・瓢箪山駅を、早朝・深夜には石切駅を始発・終着とする列車もある。編成両数は6両(ただし早朝の東花園発奈良行きに4両、早朝の石切発奈良行きに8両、深夜の生駒発大和西大寺行きに4両がそれぞれ1本だけあり)。1992年までは枚岡駅・額田駅のホーム有効長や東生駒駅での折り返し線が短かったため6両編成が入らず、東花園駅で2両を増解結する列車もあった。さらにその当時は最終列車の設定で、奈良方面からの生駒止まりの6両または8両編成での列車運用が数本存在した。さらに逆方面では石切発奈良方面行きの6両編成での列車運用が少ないながらも存在した。系統を問わずL/C車(5800系・5820系、閑散時に回転式セミクロスシートとなるタイプの車両)も使われる。早朝、深夜時間帯を中心に大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間の運用があるが、これは西大寺車庫からの入出庫を兼ねたものである。ほかの普通が6両編成以下であるのに対し、この列車のみ8両または10両編成で運用されることがある。また阪神車両での運用もある。運用上、大和西大寺行きの準急・普通が大和西大寺駅到着後に天理または橿原神宮前行きの急行に変わったり、またその逆のパターンもある。これらの場合、到着前にその旨がアナウンスされている。しかし最近では大和西大寺駅 - 天理駅・橿原神宮前駅間の急行列車自体が減便されているため、このパターンは大幅に減少している。現在、日中に運転されている東花園駅折り返し系統はかつて東生駒駅まで直通していたが、2006年3月21日のダイヤ変更で区間準急の運転が開始されるのに伴い、現在のように改められた。2008年3月17日のダイヤ変更では、このダイヤ変更で新設される近鉄難波発近鉄奈良行き最終特急の接続を受ける形で生駒発大和西大寺行き普通1本が新たに設けられている。生駒線運用に就いていた車両を大和西大寺の車庫へ回送させていたもの数本のうちの1本を有効活用する形で設定されている関係上、同線ワンマン運転対応の1020系または1026系4連固定車で運行される。奈良線の列車で生駒駅を始発とする列車が設けられるのは十数年ぶりとなる。京都線からは、近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅間に4両編成が平日に数本、乗り入れている。日中の1時間あたりの運転本数をまとめると、以下の通りになる(ただし阪奈特急は除く)。奈良線は線内全駅で日中でも1時間最低6本の乗車チャンスが確保されている。線区内全駅で1時間6本以上の列車が停車するのは近鉄では奈良線系統のみである。休日はこのほか大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間の特急が1時間に1本運転される。それ以外は同じ本数である。なお、2009年3月20日ダイヤ変更時点における阪神なんば線直通列車の本数は以下のとおり。※2012年3月20日のダイヤ変更にて、西九条駅 - 尼崎駅間各駅停車の快速急行は廃止され、その代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更となったため、上表は現況と異なる。この路線においても毎年大晦日 - 元旦の終夜運転が行われる。2006年度までは1時間あたり近鉄奈良駅 - 大阪難波駅間運転の準急・普通が2本ずつ、東生駒駅 - 大阪難波駅間の普通が1本の運転で、基本的に東花園駅以西では普通がおよそ20分間隔・準急が30分間隔、石切駅以東では普通・準急を合わせて15分間隔(石切駅 - 東生駒駅間はさらに普通が1本追加)で運転されていた。2007・2008年度は、これまでの準急が区間準急に格下げされた上これまでの毎時2本が1本に減便し、代わりに近鉄奈良駅 - 大阪難波駅間普通が1時間あたり1本増やされ毎時3本となり、近鉄奈良駅 - 東花園駅間では区間準急と普通を合わせて15分間隔とするダイヤとなった。また東生駒駅 - 大阪難波駅間普通は区間準急の接続を受ける形で東花園駅始発に改められた。これらの結果速達性がやや減少したものの、額田駅以西の多くの駅で毎時3本から4本に増便となった。2009年度は、24時以降は区間準急がなくなりすべて普通になり20 - 30分間隔で運転され、一部を除き阪神なんば線尼崎駅まで直通運転を行った。奈良線沿線には春日大社や東大寺を始め枚岡神社や石切神社、生駒ケーブル乗り換えで宝山寺などの大規模・著名な寺社が多いことなどから終夜運転の本数も多く設定されている。この終夜運転の本数は全国的にも多い方である。また、例年近鉄の主要路線の終夜運転では特急が数多く設定される中、総距離が短い奈良線系統には全く設定されないのも特徴である。ただし1997年(の大晦日)までは毎時1本の特急が設定されていた。優先座席の設定位置は運転区間に関係なく阪神車両が各車両の神戸三宮側、近鉄車両が各車両の奈良側に設定されており現在のところ統一は図られていない。ただし、主要駅を中心に一部の駅では優先座席の案内板が設置されている。乗務員は、東花園列車区と西大寺列車区(大阪線および京都線直通を除く)、新田辺列車区(大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間)が担当しており、おおむね東花園駅ないし大和西大寺駅で乗務員交代が行われる。また、阪神電気鉄道との相互直通列車では、阪神乗務員との交代は境界駅の大阪難波駅ではなく阪神なんば線の桜川駅で行われることになっている。奈良線は4扉の近鉄車と3扉の阪神車が混在して運用されているため、ホームに設置されている発車標のうち、LCD式とLED式のものには乗車位置が表示されている。近鉄線内では、近鉄車および京都市交車で運転される列車は○印、阪神車で運転される列車は△印であるが、阪神線内では近鉄車は△印、阪神車は○印(同じく阪神線に乗り入れる山陽車も含む)となっている(つまり両社とも、自社車両=○印、他社車両=△印)。なお大和西大寺駅の大阪難波方面行きホームでは、快速急行とそれ以外の種別の列車との乗車位置を分けるために、快速急行の乗車位置を赤色と「快」で案内している。快速急行の列車種別の色は、近鉄線内では赤(快速 急行 、急行の字は縦書き。本節の写真参照)、阪神線内では水色(前面は。側面は)としている。またシリーズ21以外の車両の方向幕に使用されている阪神線内用快速急行幕は阪神に合わせた丸ゴシックが使用されている。また、阪神1000系・9000系のLED式の行先表示器は近鉄線内では前面が赤地に白文字の「快速急行」で、横は赤地に白文字の「快急」となっている。いずれも大阪難波駅 - 桜川駅間を走行中に表示を切り替える。停車駅の案内では、鶴橋駅以西は阪神線内の西九条駅まで各駅に停車するが、大阪上本町駅以東での阪神線直通列車の自動放送では、大阪難波駅 - 鶴橋駅間の停車駅は略されることなく放送され、西九条駅(尼崎駅) - 大阪難波駅間の途中駅のみ省略されている。これは布施駅以東における準急、区間準急も同様である。奈良・京都線系統の通勤車両は東花園・西大寺の各車庫に所属している。近鉄では阪神電気鉄道との相互直通運転に備えて2000年代後半には新製車両を奈良・京都線系統に集中的に投入させ、8000系など経年車両の廃車がすすめられているほか、1980年代前半に製造された8810系・9000系・9200系の一部が大阪線および名古屋線へ転属となっている。なお、阪神乗り入れに対応していない車両も折り返しの関係で回送列車として阪神なんば線の桜川駅まで乗り入れる。阪神乗り入れ対応車両には、先頭車両の車体前面および車体側面に直通対応車両であることを示すステッカーが貼りつけられている。一部車両を除いて、新旧関係なく2両編成・4両編成・6両編成を組合わせて運用されているが、阪神乗入対応車両は2両編成と6両編成の組合せのみである。地下鉄烏丸線乗入対応車両は6両編成固定となっている。3両編成は2本を連結して6両編成として運用する場合もある。なお、2両編成を5本連結した10両編成も運転されることがある。瓢箪山駅 - 生駒駅間などの連続急勾配区間に備え、奈良・京都線系統の通勤車両各形式(および後述の阪神1000系・阪神9000系)にも勾配抑速ブレーキが装備されている。抑速ブレーキの設定は72km/h、60km/h、53km/hの3段階あり、車両数や乗客数、天候を考慮して切り替えて、速度を一定に保っている。前述したように他の線区よりも運転本数が非常に多く、過密ダイヤとなっているだけではなく、同様に過密ダイヤとなっている阪神線や京都市営地下鉄烏丸線との直通運転も行っていることから、起動加速度も大阪線などに所属する車両と比較し、高めに設定されているものが多い。近鉄線以外にも梅田駅や山陽姫路駅方面にも運用しているため、3扉19m車を用いている。近鉄用の電鈴も整備されており、切り替えて使用している。なお、車両走行距離調整のため阪神なんば線へ直通しない列車にも使用されることがある。また、阪神車両の夜間滞泊も西大寺車庫と近鉄奈良駅構内で行われている。また、近鉄の自動放送には対応していない。前述したように、近畿日本鉄道の直系母体会社である大阪電気軌道(大軌)初の路線として建設された。本線の開通前には生駒山系の北側を迂回するルートで片町線が、南側を迂回するルートで関西本線が既に開通していた。いずれも生駒山系を避け長大トンネルの建設から逃れる形であり、所要時間の点で不利であった。これらルート沿いの集落は当時まだ発展しておらず、競合路線を敷設しても十分な収益が上がる目処も立たなかった。そこで、大軌は生駒山を一直線に貫き、大阪と奈良を最短で直結するルートに賭けることとなった。当初はトンネル掘削の技術的困難さからケーブルカーの使用まで検討されたとされるが、同社の設立に尽力した岩下清周の主張と大林組の技術によって、長さ3,338mの生駒トンネルを開削し、生駒山の登坂区間にできる急勾配を高出力の電車(デボ1形)で越えるという案が採択された。生駒トンネル開削には多額の資金を使い、最後は社長の岩下が私財を投げ打って建設を続行させたという逸話も残っている。大阪と奈良の間をできるだけ直線ルートで結ぶことにしたため、開業当初は沿線人口が少なく、生駒山の宝山寺や奈良へ向かう観光客が主要な乗客であった。よって収入は天候に左右され、同社の社員は常に天気に気を使っていたといわれる。そのため、「大阪電気軌道」でなく「"大阪天気軌道"」だと揶揄されたこともあった。旅客は1961年(昭和36年)当時、年間1億人を突破し、1日約30万人を輸送していた。沿線の開発や将来の難波延長によりますます旅客が増加することは明らかであった。当時奈良線では、朝夕のラッシュ時において、毎時特急、急行、準急列車各4本のほか、普通列車を合わせ計30本を運転していたが、各列車とも超満員で、最多客区間の乗車率は定員の230%に達していた。輸送力増強の方策としては、15m級小型車両や18m級中型車両の編成長増強と、21m級大型車両の運行の2つの方法が検討された。1968年(昭和43年)度における輸送量を前提として、あらゆる経費を計算した結果、総建設費が大型車両案の方が増加するが、金利および償却費を含めた経費は大型車両案の方が有利であり、また生駒トンネルの補修費を考慮すると大型車両の方がはるかに有利であることが判明した。また、小・中型車両では輸送量の限度が1970年(昭和45年)頃と早く到来すると予測されたのに対して、大型車両では1976 - 1977年(昭和51 - 52年)頃と予測され、大阪近郊における複々線(現けいはんな線)の建設時期を将来に繰り延べできる利点も有することが明らかとなった。そのほか、難波延長線(現難波線)の建設時までに既設路線を改良しておけば、延長線の停車場の有効長を短縮でき余剰建設費の支出を避け得ること、将来電車線の電圧を600Vから1,500Vに昇圧すれば、大阪線や名古屋線の車両との流用が可能となり、車両検修設備の統合ができることなど、合理化の面においても有利であった。このため、開業時から使用していた小・中型車から車体規格を大きくすることにした。それに際して建築限界を拡大する必要から、新生駒トンネル(長さ3,494m)を新たに開削している。2029年に予定されている大阪高速鉄道大阪モノレール線の門真市駅以南から近鉄奈良線交差地点までの延伸に合わせ、近鉄奈良線にも「瓜生堂駅」(仮称)が設置される予定である。2010年に平城宮跡で開催される平城遷都1300年記念事業のイベント期間中に大和西大寺駅 - 新大宮駅間に臨時駅を設置することが検討されていたが、イベント規模縮小化への方針などにより臨時駅設置は行なわれなかった。
出典:wikipedia
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