空港線(くうこうせん)は、東京都大田区の京急蒲田駅と羽田空港国内線ターミナル駅を結ぶ、京浜急行電鉄(京急)の鉄道路線である。大田区内を東西に走り、東京国際空港(羽田空港)への空港連絡鉄道としての役割を担う。英語表記は、Keikyu Airport Line。駅ナンバリングで使われる路線記号はKK。京急の支線としては唯一東京都内のみを経由する路線である。おおむね環八通りと併走しており、京浜間の主要道路との交点も多い。京浜工業地帯の一角ではあるが、中小・家内工業的な雰囲気のある地域を走っている。京急蒲田駅の2階(本線上り)と3階(本線下り)からそれぞれ単線が分岐し、半径100mでほぼ直角にカーブしながら第一京浜と立体交差する。それぞれの線路は糀谷駅手前のシーサスクロッシングまで併走する単線並列区間となり、高架の糀谷駅に進入する。この区間は京急蒲田駅周辺の連続立体交差事業により高架化された区間(詳細は「京急蒲田駅#高架化」を参照)で、これによって京急蒲田駅構内のボトルネック(本線とは単線で接続していた)と第一京浜との平面交差が解消され、ダイヤの制約が大幅に軽減された。なお、第一京浜との立体交差が最初に計画されたのは大正時代であり、それから約90年を経ての完成となる(「国道15号#京浜国道改築」を参照)。糀谷駅を発車すると急勾配を下り、一気に地下に潜って産業道路と環八通りの交差点の直下に位置する大鳥居駅へ進入する。大鳥居駅付近は1985年から1997年にかけて地下化されたもので、これにより産業道路・環八通りとの平面交差が解消された。大鳥居駅を出ると地上に戻って首都高速羽田線羽田出入口の下をくぐり、穴守稲荷駅を過ぎると羽田空港ターミナル直下に位置する羽田空港国内線ターミナル駅までの地下線区間に入る。海老取川をくぐった付近で南北に走る東海道貨物線を乗り越し、天空橋駅では同じく地下線の東京モノレールと連絡する。滑走路を迂回しながら一部で高架線を走行するモノレールに対し、空港線は短距離で空港ターミナルに向かっている。羽田空港国内線ターミナル駅は国内線第一ターミナルと国内線第二ターミナルの間、東京湾岸道路(首都高速湾岸線・国道357号)の直下で直交する位置にある。すべての列車が京急蒲田駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅間の全線通しで運転し、途中駅での折り返しはない。下り(羽田空港国内線ターミナル駅行き)の行き先はすべて「羽田空港行き」として案内される。大半の列車は京急本線(品川方面・横浜方面)に直通し、線内折り返しは朝ラッシュ時に見られるのみである。快特とエアポート快特は線内に通過駅を有するが、それ以外の種別は各駅に停車する。線内の各駅は通過線を持たないため、緩急待避は行われない。本線品川方面に直通する列車の多くはそのまま都営地下鉄浅草線に直通し、京成押上線・京成本線を経て北総鉄道北総線、京成成田空港線(成田スカイアクセス線)、京成東成田線、芝山鉄道線まで乗り入れる。成田スカイアクセスの開業後は、スカイアクセス線と線路を共有している北総線方面に直通する列車が増発されたが、京成本線京成船橋駅・京成佐倉駅・京成成田駅方面に直通していた列車の多くが青砥駅・京成高砂駅発着に変更された。かつては毎年12月31日から翌年1月1日にかけて終夜運転を行っており、近年では最終電車を繰り下げているが、羽田空港の警備上、羽田空港国内線ターミナル駅まで営業運転されず、営業区間は京急蒲田駅 - 穴守稲荷駅間となる。ただし、穴守稲荷駅での折り返しは不可能なため、到着した列車は羽田空港国内線ターミナル駅まで回送される。基本的には以下の5種別で構成されている。日中(おおむね平日10時台 - 15時台、ならびに土休日9:30 - 19:30)は40分単位でダイヤが編成されており、40分あたりエアポート快特1本、快特(品川方面)3本、エアポート急行(横浜方面)4本の割合で運行され、普通列車は運行されない。都営浅草線への直通列車には京急の車両はあまり使われず、乗り入れ各社(京成・北総・都営)の車両による運用が中心となる。なお、速達列車はラインカラーで呼称される場合もある。品川駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅間で途中羽田空港国際線ターミナル駅のみに停車する空港線の最速達列車で、40分間隔で運行される。空港線で唯一の品川方面専用種別である。2012年10月20日までは20分間隔となっていたが、翌10月21日の改正で約半数が快特に切り替えられたことで40分間隔となり、大部分の列車が成田スカイアクセス線直通列車となっている。2014年11月8日改正後の品川駅 - 羽田空港国際線ターミナル駅間の所要時間は11分、品川駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅間の所要時間は14分である。現行ダイヤでは以下の運行パターンがある。空港線はすべて羽田空港国内線ターミナル駅発着のため割愛する。基本的に空港連絡を担う列車であり、平日の朝ラッシュ時には運転されない。2010年5月から2012年10月の間は早朝・夜間のみの運転となっていたが、2012年10月改正以後は日中40分あたり3本(上述のエアポート快特とあわせて10分間隔)で運行されている。空港線内の停車駅は京急蒲田駅と羽田空港国際線ターミナル駅・羽田空港国内線ターミナル駅のみとなっている。品川方面や横浜方面の直通列車が設定されている。ちなみに、京急の支線内で通過駅を有する速達種別は空港線の「快特」・「エアポート快特」、久里浜線の「モーニング・ウィング号」のみである。車両は京急1000形10次車以降、600形、京成3000形、京成3000形50番台、3700形8両編成が使用されている。現行ダイヤでは以下の運行パターンがある。空港線はすべて羽田空港国内線ターミナル駅発着のため割愛する。品川・都営浅草線方面への直通列車として、1997年10月に運行を開始した。それまで品川との間で運行されていた急行を置き換え、浅草線の西馬込 - 押上系統を統合したうえで浅草線直通としたもので、空港線内では各駅に停車する。1998年11月から1999年7月にはエアポート特急が存在したが、エアポート快特に統合された。その後は本線・都営浅草線直通列車として20分間隔で運転されるようになる。また、早朝には本線下り方(横浜方面)から直通する列車も後に登場している。2002年10月には京急蒲田駅の改良によって本線下り方への直通が容易になり、同駅で進行方向を変え横浜方面へ直通する列車が大増発される。日中には本線京急川崎駅 - 金沢文庫駅間で快特と併結され、新逗子駅・浦賀駅を発着する4両編成の列車が20分間隔で運行を始めた。羽田空港発の列車は京急川崎駅手前で一旦引上線上で停車し、後続の快特を先にホーム入線させ、その後部に連結している。またこの列車は京急蒲田駅で本線の快特(下りは品川駅(一部泉岳寺駅)始発、上りは都営浅草線直通)と相互接続を図っている。2003年7月になると品川方面への列車はすべてエアポート快特・快特および急行に整理され、特急は本線横浜方面への列車のみとなった。この改正により、京急では日中に運行される特急列車は本線の快特と併結する空港線列車のみとなった。2010年5月、空港線直通列車の併設作業は基本的に中止となり、横浜方面への直通は単独で運転されるエアポート急行(後節参照)に変更された。現在は平日朝上りに京急久里浜、浦賀、新逗子、金沢文庫発羽田空港行きの列車と、深夜下りに羽田空港発金沢文庫、京急久里浜、三崎口行きの運転がある。品川・横浜方面への直通列車として、2010年5月16日に登場した。主に8両編成で運行され、品川・都営浅草線方面と京急川崎・横浜方面の2系統が運行されている。かつては早朝 - 朝ラッシュ時・夕方以降は品川・都営浅草線方面が中心、日中は品川・都営浅草線方面と京急川崎・横浜方面がそれぞれ20分間隔で運行されていたが、2012年10月改正以後は品川・都営浅草線方面の列車が快特に置き換えられ、京急川崎・横浜方面のみが10分間隔で運転されている。空港線内は各駅に停車しており、日中運行の行われない普通列車の代わりとなっている。品川・都営浅草線方面のエアポート急行は、2010年5月15日までは「急行」として運転されていたが、翌日のダイヤ改正から「エアポート急行」に改称した。現行ダイヤでは以下の運行パターンがある。空港線はすべて羽田空港国内線ターミナル駅発着のため割愛する。各駅停車で、早朝 - 朝ラッシュ時・夕方以降のみ運行される。基本的に線内ピストン運転で運行されるが、京急久里浜・浦賀・新逗子発羽田空港行き、および羽田空港発品川・神奈川新町・浦賀行きが設定されている。線内運転の列車は多くが8両編成だが、本線直通列車および一部の線内運転列車は4両または6両の編成で運行される。東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)では、2012年(第88回)まで往路1区と復路10区が京急蒲田駅そばの第一京浜にかかる踏切を通過していた。1月2日の往路では全出場校がすぐに通過するが、1月3日の復路ではトップの通過から最後尾までの差が30分程度開く。そのため、毎年1月3日には競技への影響を抑えるため、本線からの直通運転を中止し、以下の通り臨時ダイヤを組んでいた。2013年(第89回)以降は、上下線共に高架化が完了しているため、臨時ダイヤは実施されない。2011年(第87回)・2012年の臨時ダイヤは以下の通り。2010年、京急蒲田付近立体交差化事業の進捗に伴い、同年5月から一部高架の使用を開始した結果、当該踏切は、選手通過時間帯には列車を通過させない措置が可能となった。2010年(第86回)までの臨時ダイヤは以下の通り。2010年までは踏切付近に特設本部を設置、鶴見中継所(鶴見市場交番)と雑色駅付近に連絡要員を配備し、その情報と日本テレビで放送されるテレビ中継(『新春スポーツスペシャル箱根駅伝』)を元に列車の運行と踏切閉鎖を決定していた。なお、選手が踏切で足止めされた時間はロスタイムとして計上された。1902年(明治35年)、京浜電気鉄道の穴守線(あなもりせん)として単線の専用軌道で開業。当時は羽田支線とも呼称され、大森停車場前(大森駅)と穴守を結ぶ列車が運行されていた。1910年(明治43年)には複線となり、8分間隔での運行が行われる。戦前は空港島での潮干狩りや海水浴、当時島内にあった穴守稲荷神社への参詣など観光輸送の色合いが濃く、当時の京浜電鉄も海の家や海水プールを直営し、観光開発に力を入れていく。夏季には海水浴輸送のため本線と直通する急行列車も運転された。その後、羽田に飛行場が整備されると、飛行場への人員輸送も行われるようになっていった。第二次世界大戦終結直前の1945年には空襲により駅が被災するなどしたが、列車の運行は続けられた。しかし終戦を迎えると羽田飛行場が連合国軍の1国であるアメリカ軍に接収され、京急線は空港島からの撤退を余儀なくされる。穴守線も稲荷橋以東の末端部が営業休止、残る区間も貨物線を建設するため単線化された。翌年には省線蒲田駅から空港内への貨物線が開業し、蒸気機関車による貨物輸送が開始された。さらに被災により車両数が減っていた中、先頭車両の半室を仕切る形で連合国軍専用車の運転も行われていた。当時は列車交換設備のない単線運転で、運転間隔は20分以上に開いてしまったとされる。返還後は空港アクセスに使用されることもあったが、1964年に空港敷地内に乗り入れた東京モノレールの開業後はローカル線として地域輸送に徹することになった。京急元鉄道本部長中根啓介の証言によれば、東京オリンピックを前に運輸省からなされた空港乗り入れの打診を、本線の輸送力増強に専念するため断ったことで、1972年に再乗り入れの検討を始めて以降も、ターミナルへの乗り入れは長らく運輸省・東京都とも門前払いが続くことになった。なおこの時期にも「羽田空港駅」が存在したが、現在の穴守稲荷駅 - 天空橋駅間に位置していたため、空港からは距離があった。羽田沖合移転工事が始まる頃にようやくバス連絡を始めたが、駅前が狭く小型から中型のバスしか入れないなど、空港アクセスとしてはほとんど機能していなかった(将来の空港再乗り入れをあきらめないというポーズのため赤字覚悟で維持していたともいわれる)。当時は本線との直通列車もなく(1966年 - 1968年にはわずかに存在)孤立した状態だったため、京急最古参の車両が常に使用されるなど近代化は大きく遅れ、冷房車の投入も1986年と本線に比べ著しく遅かった(この時に全列車が800形となり京急線でいち早く完全冷房化したが、1993年から約2年間は非冷房の都営5000形も入線している)。羽田空港の沖合展開事業(沖展)の中、拡大する空港及びターミナルに対して、東京モノレールだけでは増大する輸送量に対応できないとの判断から、念願の羽田空港乗り入れが認められた。1993年に羽田駅(現在の天空橋駅)が空港島内に開業して都心方面(本線・都営地下鉄浅草線)からの直通運転が開始され、1998年には羽田空港駅が開業し、羽田空港へのアクセス路線として本格的に機能するようになった。この際に「京急、搭乗。」という航空会社のカウンターや旅客機の傍らに京急の車両(600形が使われた)が横付けするイメージ広告ポスターを製作して、京急線各駅や東日本旅客鉄道(JR東日本)の車両や駅などに掲出したほか(2002年に東京モノレールがJR東日本の傘下となって以降はJR線内ではほとんど行われなくなった)、他空港とそのアクセス鉄道・バス(南海電気鉄道、大阪モノレール、福岡市地下鉄など)にも積極的に出稿した。さらに横浜、逗子方面や成田国際空港への直通列車も設定され、空港アクセス路線としてさらに積極的に活用されることになり、東京モノレールと激しい乗客獲得競争を繰り広げている。東洋経済新報社は、2015年頭時点での羽田アクセスに対する京急と東京モノレールのシェア比を「6対4程度」と見込んだ上で、JRの上野東京ライン開通で宇都宮線・高崎線・常磐線が東京モノレールの連絡駅である浜松町駅を通過して京急の連絡駅である品川駅に乗り入れることから、さらに京急が優位に立つだろうと分析している。列車運用に関する内容の詳細は「#列車種別」の節を参照されたい。羽田空港国際線ターミナル駅・羽田空港国内線ターミナル駅を発着とする場合には加算運賃が、京急蒲田駅を含む空港線内各駅 - 羽田空港国際線ターミナル駅・羽田空港国内線ターミナル駅間では特定運賃が設定されている。ただし、天空橋駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅間だけを普通券・回数券で利用する場合は加算運賃等の設定はない。運賃設定の詳細は「京浜急行電鉄#運賃」を参照のこと。この加算運賃で京急が得た収入は開業から2014年度末まででおよそ606億円にのぼる一方、羽田空港延伸に要した工事費はおよそ700億円、開業から2014年度末までに利払いや土地・施設の使用料として発生した金額はおよそ325億円である。
出典:wikipedia
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