コアラ(子守熊、学名:"Phascolarctos cinereus")は、有袋類双前歯目コアラ科コアラ属で現存する唯一の種。オーストラリア東部の森林地帯やユーカリの林などに生息している。体色は背面が灰色で、腹面が白色、体長は約65cm-82cm、体重は約4kg-15kgである。北部に生息するコアラよりも、南部に生息するコアラの方が体が大きく、体毛の長さも長い。タンニンや油分を多く含むユーカリの葉を好んで食べる。歩くことは稀にあり4足歩行である。オーストラリアのクイーンズランド州ヨーク岬半島南部より、ニューサウスウェールズ州東部、ビクトリア州、南オーストラリア州南東部に分布する。西オーストラリア州、タスマニア州には分布していない。分布域内では熱帯雨林、温帯のユーカリ林、疎林などに生息する。特に川沿いや海岸地帯に近い、肥沃な場所でユーカリ類に含まれるタンニンや油分が少ない場所を好む。通常は単独性で、群れを作らない。ヨーロッパ人到来によって分布域を急激に減少させ、1930年代までには、ヨーロッパ人入植前の50%にまでに分布域は減少した。南オーストラリア州の個体群の一部には、州内外の個体群を再導入された個体群も含まれる。コアラはコアラ科コアラ属で現生する唯一の種である。化石種では他に同じ科の属、同じ属の種があり、西オーストラリア州南西部やオーストラリア中央部や北部において化石が発見されている。近年まで次の3亜種に分けられていたが、1999年のホールデンなどの分析により、遺伝子レベルでの違いは亜種に分けるほどに大きくはないことが確認された。それぞれの名に含まれている州名がおよその分布域を示している。これら3亜種に分けない場合、ニューサウスウェールズ州北部以北に生息する個体群、ニューサウスウェールズ州中部以南からビクトリア州にかけて生息する個体群に分けられる場合もある。体の大きさ、体毛の長さとも、寒冷域に行くほど大きく長くなる傾向があり、クイーンズランド州に生息するコアラが最も小さく体毛も短く、ビクトリア州に生息するコアラが最も大きく体毛も長く、ニューサウスウェールズ州に生息するコアラは大きさも体毛の長さも両者の中間程度である。“koala”の名前はダルク語の"gula"に由来するものである。元来、母音のはアルファベットで"oo"と綴られ、スペルは"coola"、"koolah"と表記されたが、表記ミスにより"oa"と変わった 。この言葉は、"doesn't drink"(水を飲まない)を意味すると誤って言われている。コアラはクマの1種ではないが、18世紀後半にやってきた英語を話すヨーロッパ人入植者により、クマに似ていることから"koala bear"(コアラグマ)と呼ばれた。分類学的には不適切であるが、"koala bear"の名前は現在でもオーストラリア以外で使われている この名称は不正確であるため、使うことは推奨されていない。他の英語表記には、クマを意味する“bear”を基に、"monkey bear"(猿クマ)、"native bear"(固有のクマ)、"tree-bear"(木のクマ)などと呼ばれることがある。また日本語ではコモリグマなどと呼ばれることがある。ヨーロッパ人の入植以前から、オーストラリア先住民が食糧としていた。しかし、ヨーロッパ人到達の植民地化以降、特に1860年代から1920年代後半にかけてコアラの毛皮をとるために狩猟が行われており、イギリスのロンドンだけで毎年1-3万頭分もの毛皮が販売されていた。例えば1889年には30万頭分の毛皮がイギリスへ輸出され、また1920年代にはアメリカへの輸出がされていた。一時的にではあるが1898年にはビクトリア州で、1906年にはクイーンズランド州でコアラの狩猟が禁止されたが、この間も狩猟が行われ、“ウォンバットの毛皮”として輸出されていた。また最盛期にあたる、1919年にはクイーンズランド州では100万頭以上が、1924年にはニューサウスウェールズ州で100万頭以上ものコアラが毛皮のために捕獲され、また1927年には狩猟が許可された期間である約1ヶ月間で58万5千頭弱分ものコアラが捕獲され、毛皮がとられた。このように捕獲がしやすかったコアラは、次々と毛皮のために狩猟されていき1930年代後半までには南オーストラリア州では絶滅の危機に瀕し、その他の州では急激に減少していた。このような乱獲や開発による生息地の分断などにより、クイーンズランド州北部、南オーストラリア州、またニューサウスウェールズ州とビクトリア州の州境付近などで個体群が孤立した。その後、保護活動がなされ、ビクトリア州フィリップ島やフレンチ島などから、本土のビクトリア州、南オーストラリア州などに再導入されている。特に南オーストラリア州には1920年代から1960年代にかけて、数度の再導入が試みられてきた。現在、コアラの個体数は、オーストラリア政府は判断をしていないが、オーストラリアコアラ財団により10万頭以下であると予想されている。しかし、すべての地域で個体数を減らし続けているわけではなく、グレートディバイディング山脈西部のいくつかの個体群などでは、個体数が増加し、分布域を広げている。また南オーストラリア州においては、再導入の結果、ヨーロッパ人入植時よりも多くの個体数がより広範囲に分布している。一方で、再導入された島嶼部や自然分布以外の地域、分断された生息地などにおいて、コアラによるユーカリの食害が報告されており、問題となっている。国際自然保護連合のレッドリストでは、2016年から危急種(Vulnerable)に指定されている。オーストラリア政府の法律では、サウス・イースト・クイーンズランド地域の個体群を除き保護対象になっておらず、2010年9月30日までに再評価を行うとしている。また、オーストラリア政府はコアラの保護政策を各州政府に任せている。クイーンズランド州ではサウス・イースト・クイーンズランド地域の個体群を危急種(Vulnerable)に、その他の地域のコアラを軽度懸念(Least Concern)に指定している。ニューサウスウェールズ州はワリンガのピットウォーター地区と、グレート・レークスのティー・ガーデン地区およびホークス・ネスト地区のコアラを絶滅危惧(Endangered)に、その他を危急種(Vulnerable)に指定している。ビクトリア州では野生動物全般を扱う法(Wildlife Act 1975)の下に野生動物の取引などを制限しているが、保全状態の評価はしていない。南オーストラリア州もビクトリア州と同じように野生動物全般を扱う法(National Parks and Wildlife Act 1972)で野生動物や生息地の保護、取引や狩猟などの行為を制限している。近年まで希少種(Rare)とされていたが、2008年に指定から外された。アメリカ合衆国では絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律により、絶滅危惧種(Threatened)に指定された。1980年までオーストラリア以外でコアラを見ることができたのは、1915年にコアラの飼育を始めたアメリカのサンディエゴ動物園だけであり、コアラの生息数が減少してからはオーストラリア政府は海外へ輸出することを禁止していた。1980年にオーストラリアの法律が改正され、1984年および1985年にオーストラリアのタロンガ動物園から日本の多摩動物公園、東山動植物園、平川動物公園の3園に贈られた。この時にユーカリが日本で育てられるかも調べられたほか、コアラが到着する3週間前には餌となるユーカリが輸入され、またそれと同時にコアラが一日にどのような葉が適しているのか、どのくらいの食糧なのかなど様々な飼育方法などの情報が提供された。この時、日本では“コアラ・ブーム”が沸き上がることとなった。オーストラリアからコアラが贈られた際、日本からはそのお返しにオオサンショウウオを贈っている。さらに翌年1986年に埼玉県こども動物自然公園・横浜市立金沢動物園、1987年に淡路ファームパーク、1989年に大阪市天王寺動物園、1991年に神戸市立王子動物園、1996年に沖縄こども未来ゾーンと増えたが、2010年に沖縄こども未来ゾーンで飼育されていたコアラが死亡したため、2016年2月現在、日本国内でコアラを飼育している動物園は8つである。しかし、近年コアラの飼育数が減少しているため、全国のコアラを飼育する動物園が協同繁殖に取り組んでいる。最も問題となるのがコアラの餌で、前述のようにコアラはユーカリなど決まった植物の中からさらに特定の種類、しかも若い木の葉ではいけないなどの嗜好があり、大量に食べる為、合理的にコアラを飼育するには餌用のユーカリを専門に栽培する農家の存在と、ユーカリを年中安定して供給できる環境が必要である。また、初来日時のコアラブームが去ってコアラの動物園等への集客力がジャイアントパンダ等に比べて大幅に落ちている。1984年3月に、コアラが初来日する前にその情報を得たロッテがコアラをモチーフとしたコアラのマーチを発売した。稀に王冠をかぶっているキングコアラが入っていることがあり、それを食べると王様になれると言われている。その後、世界数カ国で発売されるようになった。ドアラはコアラが初来日した東山動植物園のある名古屋市に本拠地を置く中日ドラゴンズのマスコットである。そんぽ24損害保険株式会社のテレビコマーシャルに登場するキャラクター。コアラに似ているが、鼻の部分が携帯電話やパソコンのマウスになっていて、取り外せる。同社ではコアラに似た"架空のキャラクター"としている。
出典:wikipedia
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