キリル文字(キリルもじ、、、キリール文字とも)は、主にスラヴ諸語を表記するのに用いられる表音文字の体系の一種である。キリル文字という名称は、スラヴ人に布教を行った正教会の宣教師キュリロス(キリル)とメトディオス(メフォディ)の兄弟に由来する。しかし彼らが実際に考案した文字は、現在グラゴル文字と呼ばれる別な文字であった。キリル文字はキリル・メフォディの没後、900年前後にギリシア文字をもとに作られた文字であり、12世紀以降徐々にグラゴル文字に取ってかわった。このため、後世にはキリルが作ったのがキリル文字と信じられるようになった。日本等では特にロシア語の文字として知られ、ロシア語で使う 33 文字(大文字小文字を同一視して)は、ロシア文字とも呼ばれる。しかし、キリル文字の総称としてロシア文字と呼ぶのは、起源や使用範囲から見て問題がある。同じくギリシア文字を元に作られたラテン文字とは似た形の文字が多いが、形が似ていても音価が対応関係にない、あるいは音価が対応していても形が対応関係に無い場合も多いので注意を要する。例えばラテン文字の () と似ているキリル文字として () があるが、前者はギリシア文字の から、後者は合字の から派生した文字であり、発音も起源も全く関連が無い。また、例えば の音価に相当する文字は、ラテン文字ではギリシア文字の () から派生した V だが、キリル文字では (、現代ギリシア語では)から派生した である。古くからキリル文字が使われ、現在も使われている言語は、スラヴ語派と正教会の重なる範囲にほぼ一致する。つまり、東スラヴ語群のロシア語・ウクライナ語・ベラルーシ語、南スラヴ語群のうちブルガリア語・マケドニア語・セルビア語である。スラヴ語族でも、カトリック圏のポーランド語・チェコ語・スロヴァキア語・スロヴェニア語・クロアチア語はラテン文字であり、イスラム教に属するボスニア語もラテン文字を使う場合が多い。また、正教会であってもスラヴ語派でない場合はキリル文字は使われておらず、例えばルーマニア語・アルバニア語はラテン文字、ギリシア語はギリシア文字、グルジア語はグルジア文字、アルメニア語はアルメニア文字である。ソビエト連邦時代には、ソ連内でこれまで文字を持たなかったシベリアなどの言語や、アラビア文字を使っていた中央アジアなどの言語に、ラテン文字での正書法が制定されたが、後の言語政策の変化によりキリル文字での正書法の制定、既にラテン文字で正書法が制定された言語についてはキリル文字への切り替えがなされた。使用地域が現在もロシア領である言語では、アルタイ語・エヴェンキ語・オセット語・カルムイク語・サハ語・ショル語・タタール語・チュヴァシ語・チュクチ語・トゥバ語・ドンガン語・ニヴフ語・ハカス語・ブリヤート語などがキリル文字を使用している。ソ連崩壊時に独立した国の言語では、カザフ語・キルギス語・タジク語などがある。ソ連の強い影響下にあったモンゴルでも、モンゴル語がモンゴル文字からキリル文字化された。ソ連あるいは帝政ロシアによる併合以前からアラビア文字以外の文字を用いていたバルト三国のエストニア語・ラトビア語・リトアニア語(いずれもラテン文字)、アルメニア語(アルメニア文字)、グルジア語(グルジア文字)はキリル文字化されなかったが、ルーマニア語から政治的に分離されたモルドバ語はラテン文字からキリル文字に改められた。また、ソ連時代にアラビア文字からラテン文字化され、更にキリル文字化されたアゼルバイジャン語・ウズベク語・カラカルパク語・トルクメン語では、独立後ラテン文字が再び採用され徐々に切り替わりつつあり、他にいくつかの言語で、これに続こうとする動きがある。詳細については各言語を参照のこと。ラテン文字と同じように立体とイタリック体の活字がある。一部の文字は立体とイタリック体で形がかなり異なり、例えばロシア語では、イタリック体の「т」はラテン文字小文字のmに似た字形となる。以下にロシア語のキリル小文字の立体とイタリック体を示す。特に形が異なる字を強い強調(太字)で示す。また一部の文字では、言語によってイタリック体の字形が異なる。例えばセルビア語では、ロシア語などと違い、イタリック体の「т」はラテン文字小文字のmを上下逆にして上線を付したような字形となる。小文字の筆記体はロシア語のイタリック体の字形とほぼ同じだが、「б」と「д」の筆記体はセルビア語のイタリック体の字形と同じである。ただし、識別度を高くするや個人の習慣などの理由により、あえて「г」「п」「т」をセルビア語のイタリック体字形と同じように書くこともある。Unicode では以下の位置に次の文字が収録されている。キリル文字を使用する主な言語のWindowsにおけるキーボードの配列は以下の通り。
出典:wikipedia
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