ニホンカワウソ(日本川獺)は、日本に生息していたカワウソの一種である。ユーラシアカワウソの一亜種 または独立種 とされる。全国に広く生息していたが、1979年以来目撃例がなく、2012年絶滅種に指定された。愛媛県の県獣でもある。かつては礼文島、北海道、本州、四国、九州、壱岐島、対馬まで日本中の陸地から島々に至るまで広く生息していた。1964年6月27日に、日本国の天然記念物に指定された。そして1965年に特別天然記念物に指定された。最後の捕獲例は1975年4月8日に愛媛県宇和島市九島で保護されたもので、その後は捕獲されていない。1979年6月の最後の目撃例は高知県須崎市の新荘川におけるもので、それ以後生息の確認は得られていない。(株)jiCC出版局レッドデータアニマルズには、1989年に高知県須崎市での3枚の写真が掲載されている。1993年には同じ新荘川の支流でフンと食べ残しの痕跡の報告例があるが、他の動物によるものである可能性もある。また1996年3月20日には土佐清水市の海岸で足跡の写真が撮影されている。2012年8月に絶滅種指定をされた後、愛媛県では多数目撃情報が寄せられており、生存の可能性を指摘する専門家もいる。1997年には北海道釧路支庁管内の厚岸湖に流れ込む別寒牛川にてカワウソらしき動物が目撃されたとの報告もある。体長64.5-82.0cm、尾長35-56cm、体重5-11kg。外部計測値は韓国産のユーラシアカワウソとほぼ同じだが、頭骨形状に特徴があった。眼を水面から出して警戒できるよう、眼と鼻孔が顔の上方にあった。鼻孔は水中で閉じることができた。毛皮は二層からなり、外側に見える部分は粗い差毛、内側は細かい綿毛であった。差毛は水中で水に濡れて綿毛を覆い、綿毛に水が浸入するのを防いだ。このことにより水中での体温消耗を防ぐ効果があった。この良質な毛皮を目的とした乱獲が、絶滅の要因となった。河川の中下流域、砂浜や磯などの沿岸部に単独で生息していた。主に夜行性で、魚類、テナガエビ、カニ、カエルなどを食べていた。1頭の行動域は十数kmにもおよび、この中に「泊まり場」と呼ばれる生活の拠点(岸辺近くの大木の根元の穴や岩の割れ目、茂みなど)を3、4か所もっていた。縄張り宣言のために、定期的に岩や草むらの上など目立つ位置に糞をする習性があった。春から初夏にかけて水中で交尾を行い、61-63日の妊娠期間を経て2-5頭の仔を産んでいたと考えられている。仔は生後56日程で巣から出るようになり、親が来年に新たな繁殖を開始するころに独立していたと推定される。ニホンカワウソは、ユーラシアカワウソ "Lutra lutra" の一亜種として分類されている。日本本土亜種 "Lutra lutra nippon" と北海道亜種 "Lutra lutra whiteleyi" に分ける考え方が有力である。環境省レッドリストでは、その分類で記載されている。"Lutra nippon"という独立した種として取り扱う考えもあるが、生息が確認されていないだけに、分類に関する再評価は進んでいないのが現状である。鈴木知彦らが行ったシトクロムb遺伝子の塩基配列の比較では、ユーラシアカワウソ3亜種間の差異が4塩基、ホンドイタチとチョウセンイタチの差異が6塩基であるのに対して、ユーラシアカワウソ3亜種とニホンカワウソのそれは7-9塩基であった。ミトコンドリアゲノムDNAによる系統解析では、1977年に高知県内で捕獲されたニホンカワウソは約127万年前にユーラシアカワウソから分かれその後日本で進化した固有の系統。また神奈川県で捕獲された別の個体は約10万年前に分れた大陸のユーラシアカワウソの系統という結果が得られた。人間にとって身近な存在であり、河童伝説の原型になったと考えられているほか、カワウソそのものも伝承に登場する。また、アイヌ語では「エサマン」と呼ばれ、アイヌの伝承にもしばしば登場している。江戸時代の料理書『料理物語』には、「獣の部」において「川うそ」の名が記載されており、かつては食用となっていたとみられる。ニホンカワウソの毛皮は保温力に優れているため、この毛皮を求めて大正から昭和初期にかけて乱獲が進み、生息数が激減した。このため、1928年に捕獲禁止となっている。第二次世界大戦後、香川県から愛媛県にかけての沿岸部、および高知県南西部の沿岸部にわずかに生息域を残すのみとなったが、農薬や排水による水質悪化、高度経済成長期における周辺地域の開発、河川の護岸工事等により、生息数の減少に更なる拍車がかかった。さらに、漁具による溺死や生簀の食害を防ぐための駆除も、大きな打撃となったと見られる(最後の個体群は当初猟師だけが知っていたもので、細々と密猟されていた)。
出典:wikipedia
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