住民基本台帳ネットワークシステム(じゅうみんきほんだいちょうネットワークシステム)、通称住基ネット(じゅうきネット)とは、日本において、地方公共団体と行政機関で個々の日本国民を特定する情報を共有・利用することを目的として構築され稼働したシステム。市区町村の住民基本台帳に記録されている者(=日本国民)に11桁の住民票コードが割り当てられる。準備期間の間に総務省によるe-Japan重点計画の一環と位置付けられて稼働開始した。住民基本台帳カードの交付率は約5%現在は情報提供ネットワークシステムの採用が予定されている。市区町村、都道府県、全国センター、および行政機関を結ぶ形で構成される。全国センターは指定情報機関である地方公共団体情報システム機構が運営している。コミュニケーションサーバ (CS) という中継用のサーバが設置され、既存の業務ネットワークと住基ネット回線にそれぞれ個別のファイアウォールを介して接続する。既存の住民記録システムとは業務ネットワーク側のファイアウォールを通して通信を行う。また、CS端末と呼ぶ検索用端末があり、CSと通信して住基ネット上の情報を検索・表示することができる。CS端末はCSと同一のネットワークセグメントに置く場合と、業務ネットワーク内に置いてファイアウォール経由でCSにアクセスする場合と、両方ある。都道府県サーバが設置されており、ファイアウォールを介して住基ネット回線に接続する。業務/DBサーバと情報提供サーバが設置されている。業務/DBサーバは、住民票コードを割り当てられた者全ての情報を保持するものであり、情報提供サーバは行政機関からの検索に対して情報提供するものである。住基ネット回線と行政機関との通信回線の双方にファイアウォールを設置。なお、全国センターの所在地は地方公共団体情報システム機構の住所地が事務局として公にされているが、データセンターはこれとは別に2006年度(平成18年度)の時点で東京都内に設置されている。セキュリティ上の観点から外観からは一切判らないようになっており、住所も非公開である。住基ネットの回線は専用回線であるとされている。具体的には専用線ではなく、IP-VPNが今のところ用いられている。住基ネット上に保有される情報は、本人確認情報と呼ばれる個人を特定するための情報である。本人確認情報は、住民票コードおよび4情報(氏名、生年月日、性別、住所)と変更情報と呼ばれるこれらの変更履歴とからなり、変更情報には変更年月日と変更理由が含まれる。本人確認情報の開示請求や訂正の申出は、都道府県知事または指定情報処理機関に対して行うものとされている。なお、住民票コードを民間が利用することは法律で禁止されている。住基ネットは既存のインターネットと同一の技術で構成されていながらも、かなりの精度で孤立したネットワークとなっているが、導入に前後して思想・信条の枠を超えてセキュリティやプライバシーの不安が取りざたされた。長野県はネットワークへの侵入実験を実施し、田中康夫知事(当時)は侵入可能であると公表した。実際には住基ネット内部に侵入することはできず、住基ネットに接続された庁舎内ネットワークに侵入したに過ぎなかったことが後日発表された資料により明らかとなった。法的に関連する個人情報保護法関連五法が成立するまでは施行を「違法」ととらえ接続しない自治体も相次ぎ、反対運動も各地で起きた。かつて接続していなかった自治体も順次接続しているが、2015年(平成27年)3月30日に福島県矢祭町が接続したのを最後に全自治体の接続が完了した。次のような批判的な指摘もなされている。以下のような失態(主に運用面)が起きている。完全に接続していない市区町村は違法状態であり、それら職務に従事する職員にも地方公務員法違反ではないかとの疑義もある。また、横浜方式の接続も一方的に始めたものであり、上記の未接続自治体と同様に違法状態であることには変わりはない。現に、札幌市も市民選択制度を取ろうとしたが違法状態を作り出すことになるとして断念しているし、住基ネット反対をマニフェストに掲げ当選した、埼玉県の上田清司知事、神奈川県の松沢成文知事も当選後に方針を翻している。その他、埼玉県志木市、北海道ニセコ町など同様に断念しているケースは多い。住民基本台帳法における市区町村の業務は法定受託事務ではなく市町村自治事務である。さらに、住民票コードの記載を定めた第30条の2や、都道府県知事への通知を定めた第30条の5などは「するものである」条項であり「しなければならない」条項とは違って実施にあたっては自治体の裁量の余地が大きい。従って、扱われる個人情報の安全性への法的・技術的な問題点や不安が払拭されていないという正当な理由のもとで、自治体が不接続や選択制を選ぶのは適法であるとするものである。これまで、住基ネットを巡って各地で憲法訴訟が提起されているほか、関係経費の費用返還を求める住民監査請求、個人情報を外部に提供しないよう求める提供中止請求、個人個人に割り当てられた住民票コードの削除請求などの行政訴訟等が提起されている。これに対し、後述のとおり、2008年3月6日、最高裁判所第一小法廷は、住基ネットを管理、利用等する行為は憲法13条に違反しないとの判決を行った。最高裁判決を含む住基ネットに関する訴訟の概要は以下のとおりである。2008年(平成20年)3月6日、最高裁判所第一小法廷(涌井紀夫裁判長)は、住基ネットを管理、利用等する行為は憲法13条に違反しないとして、大阪訴訟の高裁判決を破棄するとともに、石川訴訟他3件の上告を棄却したがその理由の要旨は以下のとおりである。
出典:wikipedia
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