日本における救急車とは消防車やパトカーと同様緊急自動車の一つで、車内に傷病者を収容し緊急走行で病院などの医療機関まで搬送する車両の事を指す。また、ドクターカーも、救急車の一種である。 消防法施行令上の正式名称は救急自動車(きゅうきゅうじどうしゃ)。この項目では、日本の救急車について説明する。日本の地方自治体が救急車を購入する場合、一般的には競争入札で購入する。納入までの主な手順は次の通り。消防法施行令第44条によると救急車は「救急自動車」と表記されており、特種用途自動車の緊急自動車の形状例示では「救急車」と表記されている。また、道路交通法施行令第13条では緊急自動車の指定を受けることができる自動車として「国、都道府県、市町村、関西国際空港株式会社、成田国際空港株式会社又は医療機関が傷病者の緊急搬送のために使用する救急用自動車のうち、傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有するもの」を挙げている。車体の色は道路運送車両法に基づき白色と定められており、横に赤色のラインが引かれているのが一般的であるが、青色又は黄緑色のラインが引かれている車両もあるなど、ラインの色やデザインは地方自治体ごとに異なる。例えば、札幌市消防局の場合は色帯を「"Sapporo"」の頭文字である「S」をモチーフに変形させたものや大阪市消防局を含む一部の地方自治体では、赤色のラインが無い車両もある。車両上部には赤色警告灯(側面や後部には補助警告灯として高輝度LEDを用いたものが設置されている)やスピーカー、消防無線機などを備えている。救急車のデザインは所属・隊名の他に、スター・オブ・ライフや消防本部または市町村章のマーク、オリジナルキャラクター、火災予防や救命講習の呼びかけなど、多種多様である。車両前部に“救急”の表示を左右反転させ鏡文字にしている車両があるが、これは走行中の一般車両が後方から接近する救急車をバックミラーで認識しやすいようにするためで、ヨーロッパなどでは一般的である。空港近くの消防署・出張所に配置されている救急車の中には、空港構内へ進入して航空機のすぐ近くへ接近するために、空港構内登録用のナンバープレートを装着した車両もある。救急車のサイレンは、1970年(昭和45年)に現在の「ピーポー」音電子サイレンに切り替える際、運輸省(現国土交通省)に道路運送車両の保安基準への適合について照会しており、法令上正式なサイレンである。近年では補助警告音としてイェルプ音付サイレンアンプを装備する車両も増えている。イェルプ音は日本で正式なサイレンと認められていない為、公道での単独吹鳴は違法になる。その為、正規の「ピーポー」音電子サイレンが消えないよう同時吹鳴するようになっている。医療機関の所有する救急車は、主として 患者容体の急変や専門外の治療などにより、他の病院へ転院搬送が必要となった患者を救急搬送するために使用される車両である。なお、「病院救急車」 という呼称は通称であり正式なものではなく、法令上の正式名称は 消防と同じく「救急自動車」である。 空港の救急車は、海外から我が国に入ってくる感染症(伝染病)患者からの病原体拡散や2次感染の拡大を防止するため、患者を収容・緊急搬送することを第一の目的としている。(空港内で感染症以外の負傷者などが発生した場合には、普通に地元消防や、空港に併設された消防署の分駐署の救急車が搬送する。)自衛隊の車両は陸上自衛隊と海上自衛隊がOD色、航空自衛隊は紺色だが、現在は白色の車両も導入されている。なお、陸上自衛隊衛生科では、手術車・手術準備車・滅菌車・衛生補給車の4台で構成される野外手術システムを所有している。この他に日野自動車の中型トラック日野・レンジャーベースの高規格救急車が北海道網走郡大空町東藻琴にある網走地区消防組合東藻琴分署と千葉県の市川市消防局に導入されていた。1991年(平成3年)の医師法改正により救急救命士が誕生し「応急処置」の範囲を超える高度な処置が出来るようになった。しかし、当時の国産救急車規格では隊員の活動が制限されたり、新しく増える医療器具や処置器材を置くスペースがないなどの問題が発生する事がわかった。そこで救急救命士が車内で迅速に救命処置ができ、なおかつ医療器具などを無理なく搭載できる高規格な救急車、「高規格救急車」を規格化することになった。東京消防庁に配備されている京成自動車工業の「特殊救急車:スーパーアンビュランス」に代表される救急車のことである。このほかにも日本赤十字社岡山県支部は多目的救急車(仕様は日野・レンジャー)を、熊本県支部は片側だけが拡張するタイプ(仕様はいすゞ・ギガ)で4床の集中治療室と同等の機能を有した「特殊医療救護車両:ディザスターレスキュー」を保有している。“救急車”ではなく、現場救護所や移動医務・処置室として使用する。また、2015年度に京都市消防局がそれまで運用していた札幌ボデー・トライハートの大型救急車を更新する形でいすゞ・ギガベースの東京消防庁のスーパーアンビュランスと同型の車両「高度救急救護車:ハイパーアンビュランス」を導入し2015年6月より運用を開始した。消救車(しょうきゅうしゃ、正式名称:消防救急自動車)は、消防車の出動頻度に比べて、よく駆り出される救急車の運用効率化を図り、消火と救急の両方の機能を持つ車を配備することを目指して作られた車である。2台買うよりは若干安いが、両方の機能を持つ車両は法令上も想定外だったこともあり、効率的に運用できるかどうかはこれからの課題である。配備されている消防機関はまだ少なく、2004年(平成16年)12月にモリタが開発・製造した日野・デュトロベースの車両が、千葉県松戸市消防局六実消防署に第1号として導入された。2007年(平成19年)4月には京都市消防局北消防署中川消防出張所に全国第2号として消救車が導入されたが、消防車部分は京都市消防局特注モデルのため小型動力ポンプしか搭載していない。また、救急車部分でも防振ベッドや生体情報モニターなどを備えるが、高規格救急車と比べると設備は劣るため、救急車としては準高規格救急車と同レベルであるといえる。2008年(平成20年)4月には青森県むつ市大畑町の大畑消防団本部付分団に全国3号目の消救車が配備された。同分団の消防団がポンプ車として使い救急車としては、同分団に隣接する下北地域広域行政事務組合消防本部大畑消防署が運用する。2015年度には福井県の嶺北消防組合にも配備された。患者収容スペースを活かした指揮車仕様のタイプが2007年(平成19年)4月現在福岡市消防局、北九州市消防局に配備されている。救急出場時に救急現場に近い消防署・出張所から消防車を同時に出場させ、救命処置や救急隊の活動支援等に当たらせるいわゆる「PA連携」と呼ばれる出場がある。一時、愛媛県と高知県の公安委員会が「消防車の本務は消防活動でありPA連携は目的外使用。道交法違反の疑い」などと指摘したため、2011年12月28日に警察庁交通局交通企画課からPA連携時の「消防自動車が緊急走行により救急現場に向かうことが許されると解される」と各都道府県警察本部などに通知。同日、総務省消防庁からも同内容が都道府県に通知され、現在では全国で問題なくPA連携が行えるようになっている。人工呼吸、心臓マッサージなどの他に、現在では救急救命士の免許取得後一定の講習を修了した「気管挿管(きかんそうかん)認定救急救命士」によって、気管挿管で呼吸の確保が行えるようになっている、また自動体外式除細動器(AED)の発達により電気的除細動を医師の指示なしに行うことも可能になっている。2006年(平成18年)4月からはやはり講習修了済みの「薬剤投与認定救急救命士」によって、アドレナリンの投与が可能になった。心肺停止の時間をできるだけ短くするため、救急車の現場到着の時点で、救命処置が開始されることが望ましい。このため、医師が現場へ臨場したり、医師の指示の元で救命処置が行われるのが理想である。多くの場合、救急隊長、機関員(運転手)、救急隊員(救急救命士資格者の場合もある)の3名で構成され、午前9時から翌日午前9時までの24時間勤務である。従って、1台の救急車を維持するためには3交代とする必要上3個隊9名が必要であり、救急の専属でなく、消防隊(ポンプ・梯子)・救助隊との兼任で隊員資格を取得させ要員を確保している救急隊もある。3名のうち最低1名は救急救命士資格者である事が望ましいとされている。消防庁によると近年救急車の出場回数は増え続けており、2007年(平成19年)には529万件にも及んだ。要請の過半数が入院加療を必要としない軽症であり、「虫歯が痛む」「深爪した」「病院まで歩くのが苦痛」などの、救急車を出動させる必要のない不適切な要件(いわゆるタクシーのような利用)を含む軽症事案を事実上拒否できないことが大きな要因とされる。そのために本当に救急車が必要な症状のケガ人や病人を搬送するための救急車が足りない、サイレンが騒音公害になる(詳細は後述)など多くの問題が発生している。そのため、消防庁では救急車出動を有料化する検討をしており、これについて国民の間では40%が有料化に賛成、50%が反対している。また一定の条件の下で民間の患者搬送車に緊急自動車認定をおろすことも検討されている。また、自治体によっては使用の基準の広報活動や緊急性の薄い患者は民間患者搬送車への紹介等を行っている。また、悪質な患者と判断できるケースの場合偽計業務妨害罪が成立することもあり過料他罰則を設定する自治体もある。救急車の出動回数が増えているのは前述の通りで、本来非常時にのみ運用されるべきはずであった緊急走行が現在では慢性的に行われ、サイレンが市民生活に与える影響もそれに伴い増大している。サイレンが人々に負担を与えるものであることが住民意識調査により示されている。救急車がうるさいという事象は、歌謡曲の歌詞にもなるなど、現代社会の歪みの象徴の一つとして定着している。一方、消防庁の見解によると、出動増加は利用者側に責任があるとし、サイレン騒音が市民生活に弊害をもたらしている事実については具体性に欠けるとして認めておらず、消防庁側には責任がなく新たに騒音対策を検討する予定はないとしている。そのため、騒音を巡る住民とのトラブルも増加し、2014年8月21日には川崎市において搬送中の救急車に自転車が投げつけられるなど深刻な事件に至るケースも少なくない。(救急車のサイレンを含む騒音問題一般については騒音を参照)。
出典:wikipedia
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