『究極超人あ〜る』(きゅうきょくちょうじんあーる)は、ゆうきまさみによる日本の漫画作品、およびそれを原作としたOVA作品。第19回星雲賞マンガ部門受賞。週刊少年漫画雑誌『週刊少年サンデー』(小学館)にて、1985年から1987年にかけて連載された(昭和60年34号 - 昭和62年32号)。単行本は小学館:少年サンデーコミックスより全9巻、同ワイド版より全4巻、小学館文庫より全5巻が刊行されている。他のメディアでの展開はその項を参照。私立春風高校を舞台に「光画部」(こうがぶ。一般にいう写真部)に属する生徒・OBたちとその周辺で起きるさまざまな珍妙な(ある意味非常識な)出来事を描いた学園コメディ漫画。それまで部活動をテーマにした作品は体育会系のクラブ活動を熱く描くものが多かった中、派手な活躍の場が少なく、比較的地味とされていた文化系クラブにスポットライトを当てた。社会的には変人に分類される個性的な生徒や人々の感性や生態をユーモアをこめて肯定的に描いている。本作の舞台である春風高校はごく普通の学校だがどこか変な人が集っており、中でも光画部は(OBも含めて)特に個性豊かな人々が集まっている。(一応)主人公であるR・田中一郎は、マッド・サイエンティストが世界征服のために作った、(あらゆる意味で)人間同等のアンドロイドという非常識極まりない存在であるが、登場人物たちにあっさりと受け入れられているばかりでなく、周りのあまりにも非常識な人々の前では、非常に影が薄い。作品中には当時の時事ネタや特撮・アニメネタなどが豊富に織り込まれており、解る人は大笑いし、解らない人にも何となく笑えてしまう話の作りが人気の源である。人間と同等のアンドロイドが実在すると言う点においてはSFに分類されるが、それが日常のものとして受け入れられていると言う意味ではエブリデイ・マジックの要素も持ち合わせる。2010年に作者であるゆうきまさみの開業30周年を記念した様々な企画の1つとして単行本『ゆうきまさみ年代記』が発売され、書き下ろし読み切り「究極超人あ〜る EVOLUTION」が収録された。『究極超人あ〜る』がストーリーのベースになっており、そこに『鉄腕バーディー』のバーディー&つとむや『機動警察パトレイバー』の泉野明などのゆうきまさみ歴代キャラが登場する。連載終了から25年後の2012年には週刊ビッグコミックスピリッツ49号で読み切り短編「究極戦隊コウガマン劇場版3D」が掲載された。これは前年に発生した東日本大震災の復興支援を目的としたチャリティー企画「ヒーローズ・カムバック」の一環として行われており、2013年4月30日に同企画の作品をまとめた単行本『 ヒーローズ・カムバック』を発売し、諸経費を除いた収益が寄付された。2015年には作者であるゆうきまさみの画業35周年を記念した企画が小学館の雑誌で行われ、その中で『あ〜る』関連の企画も行われた。月刊!スピリッツ10月号に「『究極超人あ〜る』ほぼ週めくり!?“あ〜る”な究極カレンダー」が特別付録として添付され、前後編の新作読み切りの前編が週刊ビッグコミックスピリッツ42・43合併号、後編が月刊!スピリッツ11月号に掲載された。また、電子書籍版の月刊!スピリッツ11月号に限り前編も特別掲載されており、前後編ともに掲載されている。連載終了後からの続編となっており、扉絵はかつてスピリッツで連載されていた『美味しんぼ』のパロディとなっている。2016年2月、バレンタインのエピソードを描いた「14日の土曜日」の巻で、椎子があ〜るに贈ったハート型のせんべいをモチーフにした“究極超人あ〜る メモリアルせんべい”がナタリーストアで販売された。しかし、バレンタイン当日の14日を過ぎてからの発送である。もともとこの漫画は全くの創作というわけではなく、その舞台は都立板橋高校の光画部をモデルにしている。ゆうきまさみの友人である音楽ディレクター・とまとあきの出身校で、その高校の後輩の成原(ナリゲンと読む。成増に住む原人の意。とまとあきの3つ下)があ〜るの直接のモデルである。それ以外にも、ゆうきの友人・知人をモデルにしたキャラクターや、明らかにモデルがわかるキャラクターが多数登場する。ゆうきの友人・知人をモデルにした例:明らかにモデルがわかる例:両者に当てはまる例:また、この漫画にはいたるところに特撮やその当時の時事ネタを基にしたパロディがちりばめられており、知っている人は思わずニヤリとしてしまう要素も数多い。例えば、さんごの苗字「大戸島」はゴジラが初めて出現した島の名前である。台詞が時々、第二次世界大戦前を思わせるものになる(「なんでしょう?」→「なんでせう?」等)のも特徴の一つ。連載当初は誤植と思われないよう、現代仮名遣いのルビが振られていた(本作品の個性と認知されてからは、定番のセリフにおいてはルビ振りがなくなった)。舞台である春風高校は、東京都練馬区の桜台と羽沢の間にある架空の町・諌坂町(いささかちょう)に戦前から存在している私立高校。諌坂町の所在は、2010年11月に小学館から発売された『ゆうきまさみ年代記』により、明らかにされた(春風高校校歌にも「環七陸橋跨いで眺る京王ビル…」とある)。また、本編中では「いささか(東京都練馬区諌坂)」という駅が江古田駅と桜台駅の間に存在している。単行本第2巻で光画部の発行の雑誌「RanRam(乱々)」を各クラスに24部配布し、生徒会長選挙での投票数が966名である事から、各学年8クラス、クラス定員40名以上、全校生徒1,000名弱の学校規模である事が推測される。また、校長の奥さんが理事長を務めている。作品内では、陸上短距離のインターハイ優勝経験者がいたり、中学野球で全国制覇を果たした曲垣が甲子園出場を目指して入学してくるなど、運動部の活動は活発なようであるが、実績は残せていないようである。それと平行して、光画部を始めとする様々な文化部が自由奔放に活動するリベラルな校風も持ち合わせている。声優の後ろの記号は登場メディアの違い(ミニドラマは「D」、OVAは「A」)を表す。一般で言う写真部のこと。光画部に所属する部員は、現役とOBが入り交じっているため、ここでは入学年度にあわせて同学年ごとに紹介する。ただし、あ〜ると小夜子については転入生であるためその年度の入学生ではないが、ここでは便宜上該当年度の入学生として扱う。なお役員経験者には別に役職名を示す。春風高校の文化系クラブによる連合組織。参加クラブは、漫画研究会、文芸部、映画研究会、演芸部、光画部、超常現象研究会、鉄道研究会(順不同)。まりいにより部費の削減を断行された文化系クラブが、生徒会に対抗するために組織された。組織結成の提唱者は、漫画研究会部長の有島。通称「土研(どけん)」。春風高校のクラブの一つ。部費は生徒会に一切依存せず、春・夏・冬休みの「合宿」と称する土木工事のアルバイトによって捻出しているため、生徒会も内部干渉できない。また就職率100%を誇り、「春風高校最強のクラブ」と呼ばれている。なお、土木研究会の歌も存在する。本作は漫画以外のメディアでもその世界を展開している。イメージソングはインストゥルメンタルを含めれば実に30曲以上が制作されており、これは当時の他の漫画にはあまり見られない現象である。作者のゆうきまさみが音楽ディレクターとまとあきと長年の友人だったことから、その伝でゆうき自身がファンだったという作曲家山本正之にイメージソング(コウガマンの主題歌)の作詞・作曲を依頼し、それならついでにと、とまとが参加していたワーナーパイオニア「イメージカプセル」シリーズ(当時)からアルバムリリースを打診され、その勢いで数々のイメージアルバムが完成した。例えば、春高校歌は3日で歌詞ができた。最初の打ち合わせが1986年9月15日。ここから主要キャストとして招聘する声優の一部にゲリラ的な出演依頼が行われた。例えば塩沢兼人はたまたまタクシーに乗り込む際、いきなりとまとあきが一緒に乗ってきて、その場で『あ〜る』のコミックスを渡されて「これやってくれませんか?」と依頼されたという。また、特別ゲストとして校長先生のモデルである春風亭柳昇が招聘された。翌1987年2月に発売された、最初のアルバムは製作期間2週間であるが、これがワーナーパイオニアの社内で「ヒット賞」を受賞するほどのセールス実績となり、ひいては当時低調だったイメージアルバム市場が息を吹き返すきっかけともなった。このヒットを受けて、1987年6月にイメージアルバム第2弾が発売、続けて『究極超人あ〜る どらまSPECIAL』が制作・発売された。『どらまSPECIAL』はアニメ雑誌で脚本の伊藤和典が「2000円のアナログミュージックテープのみで8月25日発売」という情報を書いたが、直前で方針変更され、1987年9月10日に延期されアナログカセット・LP(2000円)ならびにCD(2500円)で発売された。「究極戦隊コウガマン コウガピンク危機一発!!の巻」で「裏返ったなA面B面!」というギャグが出てくるのは、当初のアナログカセットテープ版のみという企画を反映した名残である。この作品については、ワーナーパイオニアで1987年8月末-9月頭のリリースアイテムが無いという事情から急遽企画されたアルバムであったことも一因となり、製作期間中に方針変更等の混乱があった模様である。これらイメージアルバム中にはプロの有名声優とゆうきまさみ本人や彼の友人を主体にした業界人の“素人声優”が入り混じって演ずるミニドラマも多数収録されており、これが後年のOVA企画への足がかりになった。なお、ゆうきたち“素人声優”はノーギャラでの出演で、これは第1弾において本来は低予算の小規模作品であったことを顧みずに人気声優を次々と出演させた上に特別ゲストとしてベテラン落語家の柳昇まで招聘した事からこれらのギャラが制作費を圧迫してしまい、その為に行われた窮余の策であったものの、元々ゆうきらには『魔法帝国ドロント』という同人サークルでの本格的なオーディオドラマの制作経験があり、それが活かされた形になった。第1弾・第2弾のライナーノートには「協力:DORONT」の表記がある。なお、後年のOVAでは全キャラクターが声優によって演じられている。その一方で原作において1987年度入学の光画部部員がイメージアルバムおよびOVAには一切登場しないが、これはキャラクターを多く登場させると収拾がつかなくなってしまう事を理由に「ベンジャミンらは出さない」という伊藤和典の方針によるものである。また、このOVAも好評であったことから、R・田中一郎の声を担当していた塩沢兼人が不慮の事故で急逝するまでは、テレビアニメ化という噂も何度か上がったことがある。しかしゆうき自身は「この作品は会話劇であり、アニメになると台詞の間の取り方が難しくて面白くならない。音楽と歌を先に作って後から絵をつけたものが最も適した手段ではないか」として、アニメ化はかたくなに断っていた。その様な状況の中でOVA企画が実現したのは、アニメーションの実制作をゆうきと旧知の間柄である知吹愛弓が率いるスタジオこあが担当していたという事情があった。イメージカプセルレーベルにおいてアルバムとして制作された漫画原作の作品群については、主要制作スタッフが共通している事から、起用される作曲家や歌手、構成などに共通点が多い。特にドラマを収録した作品では、同じイメージカプセルの他作品の曲をBGMとして(場合によっては歌入りの曲から歌を抜いて)流用する例が多い。山本貴嗣『エルフ17』や柊あおい『星の瞳のシルエット』からは当作に、逆に当作からはあろひろし『優&魅衣』に曲が流用されている。また『超新星フラッシュマン』のBGMも『あ〜る』『優&魅衣』に流用されているが、これは田中公平が前三者いずれの作品も担当していたため。
出典:wikipedia
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