『刑事コロンボ』(けいじコロンボ、原題:" )は、アメリカで制作・放映された、ロサンゼルス市警察殺人課の警察官コロンボを主人公としたサスペンス・テレビ映画である。全69話。音声吹き替え版で日本でも放送。民放テレビでは2時間枠の放送となる。1962年にウィリアム・リンクとリチャード・レビンソンが制作したテレビミステリー・シリーズで、1968年から1978年まで45本がNBCで放送され(日本語版タイトル『刑事コロンボ』)、その後1989年から2003年まで24本がABCで放送された(日本語版タイトル『新刑事コロンボ』)。制作はユニヴァーサル映画。主演のピーター・フォークにとっては、初めての本格的な刑事ドラマとなった。原作・原案はリンクとレビンソン。テレビにコロンボが初登場したのは、1960年に『"The Chevy Mystery Show" 』内で放送されたエピソード "Enough Rope" でアメリカの俳優がコロンボを演じた。その後1962年にこのエピソードをもとに脚色したトーマス・ミッチェル主演の舞台劇『殺人処方箋』をサンフランシスコを皮切りに全米、及びカナダで25週間ツアー公演し、1968年に再度テレビ版にアレンジした単発作品をパイロット版とした。フォークが選ばれたのは、舞台で絶賛されたトーマス・ミッチェルがすでに死去していたためだった。独特のテンポで進むストーリーで、知的で社会的地位も高い犯人が完全犯罪を目論むも、一見愚鈍で無害そうなコロンボにアリバイを突き崩され、自ら破滅の道を転落する必罰的展開ながら、コロンボと犯人との駆引き、静かにそして確実に追い詰められて行く犯人の内面の葛藤・焦りといった感情描写や、コロンボのユーモラスな台詞回しなど、そのいずれもが味わいのある1話完結の人間ドラマとなっている。脚本家も監督もメインと呼べるほど多数を担当をした者はおらず、基本設定を厳守した中で各自の個性を発揮する競作となっていることもあって、設定を深追いしていくようなキャラクター・ドラマの方向へは進まなかった。レギュラーはあくまでコロンボ一人だけであり、その性格や設定も第1話と最終話で大きく変化はしていない。最初に完全犯罪を企む犯人の周到な犯行を視聴者に見せた後、一見して隙のない犯人が見落としたほんの僅かな手がかりを元にコロンボが犯行を突き止める物語となっている。ミステリー小説では倒叙物と呼ばれる形式だが、視聴者はあらかじめ犯人とその犯行を知っているので、視聴者の興味は「犯人と視聴者は一体何を見落としていたのか」「コロンボがどうやって尻尾をつかんで犯人を追い詰めるか」「犯人側の心境に重ねる緊張や焦り」などの心理的駆引きが展開されていく。犯人が結末にわかる(シーズン5「さらば提督」)、犯人は明らかにされているがトリックは結末までわからない(シーズン7「美食の報酬」)、など例外作品も放映されている。テレビミステリーシリーズにおいて、際だって著名な俳優(いわゆる大物俳優)や個性的な俳優を犯人として配役した場合、彼らの登場時点で視聴者に真犯人がわかってしまい、「最後まで犯人が分からない」というストーリーを成り立たせることは難しい。単発のドラマであれば大物俳優を複数配役すれば可能ではあるが、シリーズものでは予算的にも困難である。しかし、倒叙物の手法を取り入れることにより、大物俳優を犯人役に、毎回起用することができることとなった。テレビドラマでは、ともすると視聴率重視のために短い時間で様々な要素が盛り込まれがちだが、本シリーズでは暴力や性的描写が(旧シリーズでは)なく、ドラマは犯人とコロンボの心理戦を中心に進められる。犯人は医者や弁護士、作家、会社重役、スターなど地位や名声のある知識人、有名人であることが多く、犯行動機も権力欲や遺産目的によるものが多い。知能犯である彼らの犯行はいずれも緻密かつ周到で、コロンボから追及されても鮮やかにかわしていく。これら特権階級(エスタブリッシュメント)の世界をうかがわせること、そしてそれらの人々が作り上げた完全犯罪を覆していくことにこの作品の魅力があるといえよう。原案者のリンクとレビンソンは、コロンボの庶民的で凡庸なキャラクターの対比を鮮明にするため犯人を特権階級に設定したと語っている。コロンボは、アメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルス市警察殺人課に所属する警察官であり、階級は「Lieutenant(ルテナント)」である。アメリカ合衆国の警察での「Lieutenant」という階級は、一般的な英和辞書では警部補と訳されるため、それに従えば「コロンボ警部補」となるが、実際の各階級の役職、役割、人員の構成比率などで較べた場合、ロサンゼルス市警察においては日本の警察での警視がもっとも近い階級となる。それに従えば、「コロンボ警視」となるのが一般的であるが、日本語版の放送やビデオの日本語訳字幕では一貫して「コロンボ警部」とされている。また、日本語版の作品のタイトルは「刑事コロンボ」である。また、ロサンゼルス市警察も含め一般的なアメリカ合衆国の警察においては、「captain」→「lieutenant」→「sergeant」といった階級制度が採用されている。これを日本語に訳す場合、一般的には captain を「警部」、lieutenant を「警部補」、sergeant を「巡査部長」とすることが多い。ただし、アメリカの実際の制度では captain は分署長や本部の課長などを務めることが多く、lieutenant はそれに次ぐ階級として、署長(もしくは実動部隊の長)の「副官・代行」であるとともに、場合によっては署長職を務めることもある。その下の階級の sergeant でも警察署の係や課、警察署全体の当直(ウォッチ)シフトなどを監督・指揮する役職の階級となっている。すなわち、厳密に警察組織内の役割・役職等を比較した場合、アメリカの警察の階級である captain、lieutenant、sergeant と日本の警察の階級である警部、警部補、巡査部長は対応していない。しかし警察組織に限らず、別の言語や文化間においては物事の概念と単語が一対一で対応しないのは珍しいことではない。シリーズを通して劇中でコロンボのファーストネームが登場したことは一度もない。コロンボも名前を尋ねられた際、「私を名前で呼ぶのはカミさんだけです」と答えている。フォークはインタビューでの質問に答えて、コロンボの名前を「警部補(ルーテナント)」と述べたことがある。第5話「ホリスター将軍のコレクション」と第35話「闘牛士の栄光」で、コロンボの警察バッジケースがクローズアップされる場面があり、それには「Frank Columbo」と記されている。2009年1月に再放送した際のNHKデジタル衛星ハイビジョン番組公式サイトトップでは、身分証に"Lt. Frank Columbo A096824"(警部補 フランク・コロンボ、A96284号。Lt.は"lieutenant"=警部補の略称)なる表記がある。なお、「コロンボ」姓については、脚本家のウィリアム・リンクによると、ビリー・ワイルダーの代表作『お熱いのがお好き』の登場人物「スパッツ・コロンボ」に由来しているという。リンクとリチャード・レヴィンソンの両名はいずれもワイルダーを熱烈に崇拝している。よれよれの背広とレインコートのスタイルはフォークが作り上げたものであり、レインコート・背広とも彼の私物である。乾燥しており降雨が少ないロサンゼルスではレインコートはほとんど普及しておらず、砂よけのダスターコートが一般的である。しかし、フォークは「"コロンボに強烈な個性と独特なキャラクターをもたせたかった。そこで、"(雨の少ない)"カリフォルニアでレインコートを着せることにした"」(『隔週刊 刑事コロンボDVDコレクション』デアゴスティーニ・ジャパン刊)という。同じコートを7年間使用している。ピーター・フォーク扮する主人公・コロンボ警部の愛車として、くたびれたプジョー・403カブリオレ(米国輸出車)がしばしば登場し、彼のライフスタイルを物語る小道具として登場。ピーター・フォークが自伝で語る起用の経緯によれば、シリーズのとあるエピソードの撮影に先立ち、自らがコロンボの自家用車のチョイスを任されたが、ガレージ一杯の劇用車のどれを見ても気に入らなかった中、ガレージの隅で色褪せくたびれているうえに1輪がパンクしているプジョー・403カブリオレに遭遇、直感的に選んだものであったという。薄汚れたがたがたのプジョー・403はドラマの中でしばしば不調を起こすが、コロンボはさして意に介する様子もなく、時には名無しの愛犬を助手席に載せ、自らの足として愛用し続けた。コロンボの世界的な人気により、一時製作中断されていたシリーズが1989年から再開された(日本での題名『新・刑事コロンボ』)が、この時、以前のシリーズの撮影で使用していたプジョー・403はすでに廃車になっていた。ピーター・フォークがまとうよれよれのレインコートや指に引っかけた安葉巻と並んで、ぽんこつプジョー・403はコロンボの象徴というべきアイテムとなっていた。新シリーズの製作スタッフは、コロンボの愛車としてプジョー・403こそが最も相応しいと判断し、様々な伝手をたどった末に、可動状態のプジョー・403カブリオレを保有するコレクターからこれを借用して、撮影に供したという。日本で一般に「刑事コロンボのテーマ」として知られている曲は、『コロンボ』を含む4作のテレビシリーズをローテーション放送していた『NBCミステリー・ムービー』のテーマ曲である(原題:"Mystery Movie Theme"、作曲:ヘンリー・マンシーニ)。NHKでの放送時にこの曲がオープニングとエンディングで流され、「刑事コロンボのテーマ」として定着した。もうひとつの「コロンボのテーマ」と呼ばれる曲は、アメリカの古い歌 " で、劇中でコロンボが頻繁に口笛を吹いたり口ずさんだりしている。「死者のメッセージ」などではピアノを弾く場面もある。『刑事コロンボ』(旧シリーズ)終了後、NBCによって『ミセス・コロンボ』(1979年 - 1980年放送)が制作された。『ミセス・コロンボ』は『刑事コロンボ』を意識しており、ときおり挿入されるミセス・コロンボの家のカットでは、ミセス・コロンボの乗る車に加えてぼろぼろのプジョー403が写っている。しかし、『ミセス・コロンボ』は『刑事コロンボ』スタッフの反対を押し切って制作されたもので、ファンの支持も得られず、制作側(ユニバーサル)もミセス・コロンボがコロンボ夫人と同一人物であることを否定した。このため『ミセス・コロンボ』も路線変更を余儀なくされ、結局打ち切りとなった。刑事コロンボの犯人も参照のこと。なおゲストスターは犯人を演じるのが原則であるが、特殊な回については例外もある。本編のBGMを担当した作曲家を記述。( )は担当エピソード(第14話はクレジットなし)。旧シリーズは1990年代にCICビクター・ビデオ(後のパラマウント・ジャパン)からはVHSが、パイオニアLDC(後のNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)からはレーザーディスクが発売されている。テレビ放送の際にカットされたシーンは、レーザーディスクでは原語に日本語字幕で対応したが、VHSでは新たに日本語吹き替えが行われた。後に発売されたDVD・Blu-ray Discにも、この追加された日本語吹き替えが収録されている。発売元はユニバーサル・スタジオ・ホーム・エンターテイメント。デアゴスティーニ・ジャパンより、DVD付き分冊百科が刊行されている。日本では、2011年6月23日に死去したコロンボ役のピーター・フォークに追悼の意を込め、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン(後のNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)から2011年12月2日に全69話を収録したBlu-ray BOX『刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX』(品番:GNXF-1245)が発売された。映像は2009年に衛星ハイビジョンで放送されたHDリマスター版を使用し、存在する日本語吹き替えを全て収録している(「殺人処方箋」NHK版はラスト14分のみ)。また、衛星ハイビジョンでの放送に伴い収録された、新シリーズの欠落シーン追加吹き替えも収録されている。デイヴ・グルーシン、ビリー・ゴールデンバーグ、ギル・メレ、オリヴァー・ネルソン、パトリック・ウィリアムズなどがBGMを担当した回の内10作品にBGMや効果音のみを聞ける「音楽&SEトラック」が収録されている。その他に解説や追加吹き替えキャストを含めた吹き替えキャスト名などが掲載された「刑事コロンボ完全版ブックレット」が付属している。初回生産分には「殺人処方箋」NHK版日本語吹替収録に使われた台本の縮小復刻版が付属していた。Blu-ray BOX発売に伴い、石田太郎版の日本語吹き替えが存在していなかった第69話の新規収録が行われ、犯人役を俳優の香川照之が担当した。小説版については放映された番組から独自に書き起こしたもの、脚本から小説化したものなど形態は多々存在する。そのためストーリーやトリックなどに相違点がある場合がある。著者ウィリアム・リンクとリチャード・レビンソンとして訳者名が記載されていてもそれは訳者(を名乗る者)による日本独自のノベライゼーションであり、元になった英語の小説というものは存在しない。リンクとレビンソンはプロデューサーとして名を出しているに過ぎない。二見書房より新書版で発行されたものの復刻版。新書版は「愛情の計算」を除く旧シリーズ44話に加えオリジナル小説が出版されていた。全て二見書房文庫。「殺人依頼」のみハードカバー。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。