小田急1000形電車(おだきゅう1000がたでんしゃ)は、1988年(昭和63年)3月に営業運転を開始した小田急電鉄の通勤形電車。小田急では2600形でVVVFインバータ制御方式の実用試験を行っていたが、その実績から営業用電車で本格的にインバータ制御を採用した。車体についても同社の車両で初めてステンレス鋼を採用した。採用にあたってはステンレス特有の光沢を押さえたいという小田急側の意向により全面ダルフィニッシュ仕上げとしている。ただし前面のみ繊維強化プラスチック (FRP) 製で、デザインは9000形に類似するものである。9000形に代わる帝都高速度交通営団(現在の東京地下鉄)千代田線への直通対応車でもあり、そのため車体幅なども9000形に準じており同形の発展形とみなすことができる。2012年(平成24年)3月時点では4両編成19本(76両)・6両編成12本(72両)・8両編成1本(8両)・10両編成4本(40両)の計36本・196両が在籍している。このうち、箱根登山鉄道に専従で充当される「レーティッシュカラー」の車両は、4両固定編成の1058F - 1061Fの4編成である。2007年以降、小田急持ちの千代田線直通列車には本形式と新4000形が使用されていたが、4000形の増備が進んだことと本形式へのD-ATS-P設置により2011年以降、本形式は直通運用から外れ地上専用となった。ブレーキ方式は、従来車と同様に回生制動併用電磁直通空気制動を採用しているので、2000形、新4000形以外の現有通勤車全形式と相互連結が可能である(3000形は電気指令式空気ブレーキのためブレーキ方式が異なるが、3000形に読替装置を搭載しているため連結可能)。車内内装については8000形後期車において採用された「暖色系」の色調を全面的に採用した。内張りは白色系にベージュ模様入りの化粧板を使用、床材は灰色のカラースキームとなった。なお、主電動機の三相交流化により、床のモーター点検蓋(トラップドア)は廃止されている。座席は赤色の表地に変更された。車内設備は8000形に準じているが、座席端の仕切りは袖仕切と呼ばれる化粧板を貼った板に(座席側はモケット張り)、客用ドア内側は化粧板仕上げに変更されている。天井はラインフローファン方式だが、ラインデリアは先頭車9台・中間車10台に増設された。冷房装置は集約分散式のCU195Cとなった。8000形で実績のあるCU195Aの改良型である。運転台の主幹制御器は従来どおりの縦軸式ABFMタイプだが、オフ位置は右ではなく千代田線仕様の手前である。乗務員室内は緑色のカラースキームである。運転台計器盤は8000形よりも高くし、高運転台に準じたものとなった。乗務員室仕切りは運転席背面は配電盤などの機器設置スペースとしたため窓はなく、中央に仕切扉窓・右端に2段式の窓がある。遮光幕は中央の仕切扉窓のみある。台車はFS-534(電動台車)とFS-034(付随台車)で、基礎制動装置は全台車が両抱き式踏面ブレーキ(クラスプブレーキ)である。いずれも小田急では2200形からの実績があるアルストムリンク式空気バネ台車である。1990年(平成2年)から1991年(平成3年)にかけて幅2mのワイドドアを採用した車両が登場したが、乗務員室直後のみ幅1.5mである。これらの車両は俗に1700形(過去に存在した4両編成の場合は1500形)に分けられることがある。この車両には多くのテスト的施策があり、側面にはLED式の種別・行先表示器のほか、1次車(1551F・1552F・1751F・1752F)では車内旅客案内表示装置と座席跳ね上げ機構を小田急で初めて搭載している。車内旅客案内表示装置は1551Fと1751FにLED式スクロールタイプが、1552Fと1752Fに液晶式ディスプレイタイプ(LCD。ただし後に登場した3000形や4000形より小型)がそれぞれ採用された。その後新製した2次車 (1553 - 1556F) もLCDを採用したが、液晶の劣化が早く、数年で順次撤去した。また、客室内の戸袋と扉以外の窓をパワーウィンドウとし、ボタン操作で開閉できるようになっている(これも本形式のみの装備)。ラッシュ時の乗降をスムーズに行うために幅2mのドアを採用していたが、期待した程の効果が得られなかったことと閑散時間帯での座席数を増加させるため、1998年(平成10年)に東急車輛製造で0.4m狭く2000形と同一の幅1.6mに改造した。この際に構体のドア開口部は従来どおりとしたため、開扉時に左右それぞれ0.2m引き残している。車内はドア幅の縮小に合わせて内装を装備したため、引き残しているようには見えないが、閉扉時の扉窓位置が左右非対称となり、扉窓の両端部が仕切りと接しているように見える。ドア改造の際には1551Fと1751FのLED式装置の一部を1552Fと1752Fに取り付け、1551F・1751Fと1552F・1752Fでそれぞれ千鳥配置となった。1553F - 1556Fの各編成では6両編成化工事の際に新しくLED式スクロールタイプを設置している。これは千代田線直通対応編成である1091F - 1094Fおよび1081Fの枠を黒くしたタイプで、1次車とは若干形状が異なる。ドアチャイムは1753F - 1756Fのみ設置されている。通常ドア編成と異なり、ワイドドア編成は優先席が各車両の両端(先頭車は連結面側のみ)に設けられている。また、一部編成には車椅子スペースが設置されている。1991年の新製当初の段階では4両編成6本(24両)と6両編成2本(12両)の計36両が在籍し、4両編成は小田原寄りに通常ドア幅の1000形4両編成を連結した8両編成で新宿口の各駅停車に充当されていた。しかし2004年(平成16年)に4両編成は一部先頭車を中間車に改造した上で編成を6両固定に組み換えて解消したので、2007年時点では6両編成6本となり、他の6両編成と共通運用されている。側面のLED式種別・行先表示器は登場時は書体がゴシック体で、フォントはロゴ並みになっているなど画素が粗かったが、2005年(平成17年)より明朝体のものになるとともに英字も表示可能なもの(3000形1・2次車と同じ物)に交換した。また、2008年度に、1751F・1752F・1753Fが、2009年度に1754F・1755F・1756Fが純電気ブレーキ化改造を受けた。このグループには、登場以来千代田線直通に対応する編成は存在しない。なお、車内の銘板は、ドアの幅の改造時にすべて東急車輛製造のものに交換されており、さらに1753F - 1756Fは組み換えの際に再度交換されている。このため、川崎重工業製であっても車内の銘板は「東急車輛」である。日本の他鉄道事業者のワイドドア車としては、東京メトロ東西線用の05系第14 - 18編成と15000系に1.8m幅のものを採用した事例がある。製造から25年ほど経過したこともあり、リニューアルを実施することが2014年4月に発表された。更新内容は以下の通り。リニューアルは2014年度から2021年度にかけて、ワイドドア車36両を除いた全ての車両に実施される予定となっている。2014年度は2編成8両(4両編成2本)が施工対象とされ、2015年1月、初めてリニューアル改造を終えた1066Fが運用を開始し、3月に1057Fが運用開始した。2016年春に1056Fと1256Fを運転席撤去の上1095Fとなった。2015年度は4両編成1本に施工、8月に1063Fが運用開始した。2016年度は1095Fを含む10両編成2本への施工が予定されている。
出典:wikipedia
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