『11人いる!』(じゅういちにんいる!)は、萩尾望都による日本の中篇SF漫画。「11人いる!」は、漫画雑誌『別冊少女コミック』1975年9月号から11月号に連載された。1976年、第21回小学館漫画賞少年少女部門を受賞。名門校・宇宙大学の入学試験最終テスト(最終日程の最後の科目)の会場“外部とのコンタクトが不可能な宇宙船”を舞台に、宇宙のさまざまな国からやって来た11人の受験生が、疑心暗鬼のなかで反目しつつ、信頼関係を築き合いながら友情や恋を培い、非常事態を乗り越えようとするさまを描く。発表当時の少女漫画ではまれな、本格的なSFだと衝撃を与えた。綿密な設定と魅力的な登場人物、緊張感のある構成は完成度、影響力共に高い。「11人いる!」というインパクトのある題名も高評価を受けている。作者によると、本作のヒントの1つになったのは、宮沢賢治の童話『ざしき童子のはなし』であるという。舞台を宇宙船内に設定したのは、ざしき童子を基にしたストーリーを考えていた高校生当時、SFが好きで宇宙船内で起こる事件を色々考えていたため、と語っている。続編に「続・11人いる! 東の地平・西の永遠」、番外編に「タダとフロルの スペース ストリート」がある。いずれも「11人いる!」とはストーリー上の関係が薄く、番外編には11人の中で登場しない人物もいる。テレビドラマ・映画・舞台にもなっている。ワープ航法と反重力推進の発明により、地球人類が宇宙へ進出を果たしている未来。人類は200年の間に51の惑星を開拓したが、異星人の遺跡の発見、および異星人とのファーストコンタクトを経て団結する必要に迫られ、総合政府・テラを樹立する。その後、サバ系、ロタ系、セグル系の3大国で構成される星間連盟に、地球および周辺惑星もテラ系として加盟。400年の時を経てロタ、セグル、サバに次ぐ国力を獲得した。異なる種族間同士の遺伝交配はロタ系を除き可能。上記4星系に属さない惑星もあり、作中ではフロルの出身星がそれにあたる。宇宙大学の受験生である主人公タダトス・レーン(タダ)は、最終テストである実技試験(協調性のテスト)として、筆記試験の成績に基づいて組まれた10人チームのメンバーとなり、漂泊中と仮定して外部との連絡を断たれた宇宙船・白(はく)号の乗員として53日間船内にとどまるよう言い渡される。だが白号に乗り込んでみると、そこにいたのはなぜか1人多い11人。大学側に事態を知らせようにも連絡手段は司令室(ブリッジ)に設置された非常用赤ボタンのみであり、押せばチーム全員が不合格になってしまう。試験合格のため、11人は互いに疑念を抱きながらも規定の53日間を過ごすことに決める。11人目という不測の存在を抱えつつも試験は順調であるかのように見えたが、白号の軌道が公転軌道から外れて恒星「青」に近づいていくというアクシデントにより、船内温度が徐々に上昇。さらに船内温度が40℃に達すると、船内に繁茂している野生化した電導ヅタに起因する死亡率93パーセント、空気伝染の伝染病・デル赤斑病が発生する可能性があることが判明し、11人はこの危機を回避するための行動を迫られる。暑さと伝染病への不安が疑心を煽り、一時はタダを11人目として殺害しようとする騒ぎにまで発展するが、各人の機転や努力で互いに協力し合えるようになり、遂に白号の軌道変更とワクチン抽出に成功する。しかし45日目を迎えたところでフロルが発症したため、タダたちは棄権を申し出ることを決め、非常用ボタンを押した。ところが試験終了後、実は11人目とは53日目までに非常用ボタンを押させるために大学側が仕組んでいた受験用のワナであり、受験生70チーム全てが1人多く組まれていたという事実が明かされる。11人目による妨害工作と予定外のアクシデントにもかかわらず全チームの中で最長期間を耐えたタダたちのチームは首席合格と通知され、彼らはそれぞれの未来へと旅立っていくのだった。「続・11人いる! 東の地平・西の永遠」(ひがしのちへい・にしのとわ)は、漫画雑誌『別冊少女コミック』1976年12月号から1977年2月号に連載された。大学入学資格者になったまま帰郷したマヤ王バセスカが統治するアリトスカ・レと宇宙大学を舞台に、前作の受験生たちが大学生になってからを描く。前作が好評だったためメンバー11人全員の惑星出身地の構想であと11本作品ができると作者は思ったが、主人公のタダがいい子過ぎてうまく動かなかったため断念し、結局その構想が実現したのはマヤ王バセスカとソルダム四世ドリカスの出身地を舞台にした本作のみであった。バセスカの出身星アリトスカ・レ(東の地)とフォースの出身星アリトスカ・ラ(西の地)の間には、アリトス母星の鉱山を巡る武力紛争が続いていた。タダとフロルはバセスカに招かれ東の地を訪れるが、そこでは急進派と古典派が対立していた。滞在中に起こった急進派によるクーデターに巻き込まれ、譲位を拒否して反逆罪に問われたバセスカ共々収監されてしまう。別の場所へ護送される途中、新王を認めないアマン伯爵に救われ脱走する。バセスカを排除した東の新政権は西の地に宣戦布告、西の鉱山に侵攻する。対する西の地は休戦協定を結ぶべく和平使節団を派遣するが、漁父の利を得ようとするドゥーズ大国の陰謀により使節団が殺害され、東西両国とも大混乱に陥る。逃走中で行方不明となったバセスカはすべての濡れ衣を着せられ、タダ、フロルと共に宇宙大学へ逃げ込んだ。大学がテラ政府により絶対保障された学生の勉学の権利を根拠に、バセスカの身柄保護、武力行使への対抗を宣言したため、直接手出しができなくなってしまった西の地は、宇宙大学の学生であるフォースにバセスカ暗殺を命令する。人質に取られた郷里の家族と学友の板挟みになったフォースは、バセスカに戦争終結の希望を託して自ら命を絶った。バセスカはフォースの遺志を継ぎ戦争を終結させるためタダとフロルと共に祖国へ帰還するが、その場で全員が捕らえられ西へ引き渡されることになってしまう。だが引き渡しの場でクーデターの首謀者とドゥーズ政府の陰謀が明らかとなり、バセスカは王として復権、彼の手で東西和平協定が結ばれた。「11人いる!」登場分は省略。「タダとフロルのスペース ストリート」は、漫画雑誌『別冊少女コミック』1977年3月号から9月号に連載された。「11人いる!」の登場人物によるコメディ。学内で起きるドタバタ騒ぎを描く。全7話、1話あたり4ページ。NHK少年ドラマシリーズの1作として、1977年1月2日午後6時5分 - 45分に放映、DVDも発売されている。11人目が原作とは異なる。1986年11月、キティ・フィルムによりアニメーション映画化。映劇のドラマCDレーベル「e☆star」より2013年9月25日発売。演劇ユニット、アクサルにより舞台化。「劇団スタジオライフ」により舞台化。「劇団スタジオライフ」により「11人いる!」「続・11人いる! ~東の地平・西の永遠」(初演)2作品連続公演として上演。演劇女子部『続・11人いる! 東の地平・西の永遠』のタイトルで、「イースト」「ウエスト」の2つの公演パターンが用意されており、パターンによって出演者の演じる役が異なる。
出典:wikipedia
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